■当会では平成17年5月9日までに、再三にわたって、安中市土地開発公社51億円巨額詐欺横領事件の刑事記録の公開を、住民訴訟を通じて粘り強く前橋地裁や前橋地検にお願いしてきました。しかし、「関係者の平穏な生活に影響が及ぶ」などという理由で、ことごとく無視或いは拒否されてきました。
当会が前橋地検のトップに対して、最後に提出した書面を次に示します。これに対する地検からの返事は、現在まで全くありません。
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【前橋地検検事正あて依頼書】
平成17年(2005年)年5月9日
郵便番号371-8550前橋市大手町三丁目2番1号
前橋地方検察庁検事正殿
郵便番号379-0114群馬県安中市野殿980番地
市政をひらく安中市民の会 事務局長 小川賢
安中市元職員多額邦夫の刑事事件(平成7年(わ)第333号)に閲する裁判記録の末閲覧部分の閲覧・謄写許可について(お願い)
拝啓 平素より法治国家である我国の社会正義と秩序の維持にたゆまないご尽力を厚く御礼申し上げます。
私たちは、平成7年5月18日に安中市役所内部で発覚した一公務員による我国史上空前の公金着服事件の真相解明を住民レベルで追及している市民団体です。これまでにこの事件に関連して、芝原団地固定資産税の賦課徴収を怠る事実の違法確認請求事件(平成9年(行ウ)第1号、多胡邦夫の市民税の賦課徴収を怠る事実の違法確認請求事件(平成10年(行ウ)第8号)、安中市土地開発公社巨額公金流出追及住民訴訟事件(平成11年(行ウ)第2号)、および安中市長個人を相手取った多胡邦夫の市民祝の賦課徴収懈怠による損害賠償請求事件(平成13年(行ウ)第24号)の4件の住民訴訟を提起してきました。
これらの請求事件は、いずれも棄却もしくは却下の判決が出されて、私たち住民の請求が退けられ、現時点では、最後の4番目の損害賠償請求事件だけが係争中で、最高裁で目下審理中となっております。
ところで、本件は平成7年5月18日の発覚以来、今月18日で丁度10年が経過しようとしています。
育森県住宅供袷公社でも高知県土佐山村でも、安中市の事件に酷似した巨額横領事件が起きていますが、いずれも歴代幹部や職員の責任をきちんと追及し、損害金の回収が図られました。なぜ安中の場合には、事件関係者の平穏な生活を脅かす、という理由で、刑事記録が開示されないのか、理解に苦しみます。しかもすでに刑事罰の時効も到来しており、事件関係者を新たに訴追することは不可能なのですから、平穏な生活は脅かされることはありません。
標記については、平成11年5月31日付、平成12年5月16日付、同年12月10日付、平成13年8月2日付、同年11月9日付、平成14年10月23日付けで貴殿宛の弊状でもお願いをしております。その趣旨は、公社事件の公金着服や使途不明金などの全容解明を私たちの世代で行い、100年後の世代に対して説明責任を果たしておく必要性を痛感しており、そのためには納税者の費用で賄われた刑事記録の閲覧無くしては実現できないためです。
共犯者と思しき人物の告発につきましては、平成11年5月28日、同6月14日、同11月15日付の詐欺横領の共犯容疑者の告発や申入れもその一環でした。平成11年11月19日に貴庁検察官殿からの書状で当会に告発書が返戻しされたことからも、もはや時効が到来した現在、関係者の訴追も不可能となり、真相解明に向けた手段として、刑事記録の閲覧以外に手段がなくなっていることも事実です。
なお、貴殿からはこの件で、平成12年12月26日付で「多胡邦夫の裁判記録に関する閲覧等の許可申請については、検討の上改めてご連絡いたします」とのご見解を頂いております。当該刑事記録の保存年数期限が何年なのかわかりませんが、事件発覚以来10年を経過して、当該記録が廃棄されるような事態も、住民としては心配なところです。
どうか、こうした事情と市民感情をご賢察のうえ、多胡邦夫の刑事記録の夫閲覧部分及び必要な場合の謄写、並びに既閲覧記録においてはマスキングされていない原本の閲覧及び必要な場合の謄写をどうか許可下さるよう、重ね重ねお願い申し上げます。
敬具
添付:多胡事件に関する証拠等関係カードのうち末関覧となっている記録リスト
上告受理申立理由書(写し)
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【多胡事件に関する証拠等関係カードのうち未閲覧となっている記録リスト】
ファイル番号(記録番号)/未閲覧の記録番号(予想される主な該当内容)
1
2(甲1-30)/甲19, 20(上申書、時系列表、捜査報告、領置調書、鑑定書)
3(甲31-48)
4(甲49-52)
5(甲53-59)/甲59(群銀関係者の供述調書)
6(甲60-70)
7(甲71-77)
8(甲78-84)
9(甲85-94)
10(甲95-109)/甲100, 102, 103, 104, 106(市関係者、多胡配偶者らの供述調書)
11(甲110-132)/甲110, 111, 112, 116, 117, 126, 129(関係者らの裏付捜査資料関係)
12(乙1-10)/乙1(被告多胡邦夫の供述調書関係)
13(乙11-16)/乙11, 12, 15, 16
14(乙17-20)
15(甲133-163)/甲136, 147, 148(関係者についての捜査報告及び裏付捜査資料)
16(甲164-183)/甲164, 165, 166, 180, 181(同上)
17(甲257-267)/甲257(融資決済金の比較対照一覧表等のデータ)
18(甲268-280)/甲268, 269, 278, 279(金融関係の融資残高に関するデータ類)
(甲283-286)/甲283, 284(同上)
19(甲281, 282, 283)
20(群馬銀行安中支店の伝票類)
21( 同上 )
22( 同上 )
23( 同上 )
24( 同上 )
25(甲396-400, 313)
(甲314, 403-407)
26(甲408, 410-323, 412-436, 349, 438-468)/甲423, 424, 425, 426, 427, 428, 429, 430, 431, 432, 433, 434, 435, 436, 438, 439, 440, 441, 442, 443, 446, 447, 448, 449, 450, 451, 452, 453, 454, 456, 457, 458, 459, 460, 461, 462, 463, 465(預金、貸付金の調査結果、入国管理局登録課からの回答データ、市長辞職の関係資料、職員の処分結果についての回答を求めた返事内容など)
27(甲184-209)/甲190, 191, 200, 201(市・公社、金融関係者他の供述及び捜査報告書など)
28(甲210-232)/甲210, 211, 220, 221, 230, 231
29(甲233-256)/甲248, 249
30(甲359-395)/甲359, 360, 361, 362, 363, 364, 365, 366, 367, 368, 369, 370, 371, 372, 373, 374, 375, 376, 377, 378, 379, 380, 381, 382, 383, 384, 385, 386, 387, 388, 389, 390, 391, 392, 393, 394, 395(資産、所得、納税状況、給与台帳、源泉徴収など、多胡邦夫の所得や納税関係のデータ、通帳、証書カードなど着服金の使途にかかる捜査資料など。なお、このうち甲387, 388, 389は平成9年9月26日の芝原団地固定資産税民訴訟第六回公判で裁判所から書証として取寄せられ、入手済み。ただしマスキング箇所あり)
(甲287-288)/甲287, 288(同上関連)
(甲290-342)/甲336(同上関連)
31(甲343-358)/甲344, 348, 350, 351, 352, 353, 354(不正取得金一覧表、骨董品の入手経路、着服金帯封等、使途不明金に関する捜査結果資料など)
32(乙21-23)
33(乙24-25)
34(乙27-30)
35(乙31-38)
36(弁1-19)/弁16(多胡邦夫の着服資産の販売に関するデーク等)
以上
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【上告受理申立理由書】
平成16年(行ノ)第261号
〒379・0114群馬県安中市野殿980番地 上告受理申立人 小川 賢
〒371-0116群馬県安中市安中1-23-13 上告受理相手方 安中市長 中島博範
最高裁判所 御中
上告受理申立理由書
1.上告受理申立の理由について、原判決に最高裁判所の判例と相反する判断があること、その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むことを示して記載するように定められている。前代未聞の51億円にものぼる元職員多胡邦夫が起こした巨額詐欺横領事件について最高裁の類似判例はない。
2.原判決の重大な誤りについて
(1)本件監査請求は、監査請求期間内に為された適法な監査請求であるとの主張について
原判決では、申立人のこの主張に対する判断について、「『怠る事実』に係る監査請求 であれば、すべて法242条2項の定める期間制限に服しないという考え方を徹底すると、例えば、一定の時期に行われた違法な財産処分行為を捉えて監査請求をする場合には、そのときから1年という期間という期間制限に服するのに、これを違法な財産処分によって生じた損害賠償請求権等の実態法上の請求権の不行使を『怠る事実』と較正して監査請求すると、法242条2項の定める期間制限を受けないという不都合な事態を生じることになる」などと、最高裁判所の判例を引用している。
申立人は、当初「怠る事実」の違法確認請求事件として相手方を相手取り、裁判を提起した。これは、相手方が雇用していた安中市役所の元職員多胡邦夫が得た巨額の犯罪利得に対して、なぜ国々自治体は、その異常な浪費振りに気付かなかったのか、という点が安中市民の間で大きな疑問として挙がっていたからだ。
このため、平成10年8月31日安中市監査委員に住民監査請求をしたところ、同年10月26日に監査委員から請求棄却が通知されたので、同年11月18日、安中市長を相手取り元職員に対する市民税の賦課徴収を怠る事実の違法確認請求を平成10年11月に前橋地裁に提起した。しばらく足踏み状態だったが、多胡邦夫と公社関係者を提訴した別訴の損害賠償請求の住民側敗訴判決をきっかけに急展開を見せて、平成13年10月26日、前橋地裁で住民敗訴の判決が出された。理由は、弁論終結の時点で、本件は時効となっているため、怠る事実の違法確認では、不作為の違法性を問えない、というものであった。このため、東京高裁に提訴したが、これもすぐに結審して敗訴した。
地方公務員による史上最高額の巨額詐欺横領事件で、事件発覚後まもなく10年が経過するというのに、群馬銀行との和解条項により、相手方はいまだに毎年12月25日に2000万円ずつ群銀に支払っている。理論上は、西暦2102年まで支払い続けることになるという。市民の子々孫々に渡り、元職員のツケが回されようとしているのに、また巨額の不当利得をせしめ、いまだに14億円余もの使途不明金があるにもかかわらず、なぜ裁判所は、1年などという監査請求期間制限を持ち出すのか。特別な理由や事情をなぜ考慮しようとしないのか。住民はこの史上空前の巨額詐欺横領事件の真相を知らされないまま、元職員のツケだけ回されている。この損害を少しでも軽減できるようにするため、相手方に多胡邦夫の市民税をきちんと徴収するように、求めただけなのに、そして、相手方が徴収をしなかったから損害賠償を求めただけなのに、なぜ裁判所は、相手方を庇うのか。
さらに、裁判所は、「市民税の賦課徴収権の消滅時効又は除斥期間満了の成否は各年度を基準に決定されるものであるから、控訴人らの上記主張は採用できない」などと判断しているが、空前の巨額の詐欺横領事件で、年中、銀行から偽造書類でカネを偏し取りまくっていた多胡邦夫の不当利得に、なぜ消滅時効や除斥期間などというものが適用されなければならないのか。真相も解明されぬまま、あるいは相手方が事件の真相を解明しようとしないまま、消滅時効や除斥期間などをいうものが納税者である住民に適用されなければならないのか。
申立人には、このように特別な理由があるから、監査請求期間の徒過は当てはまらない。よって、監査請求は適法であるから成立する。
(2)被控訴人が、多胡の刑事事件記録の検討もせずに、多胡の市民税賦課決定をしたことが、違法、不当であるとの主張について
原判決では、「地方税は、個人の市民税の所得割の額について、所得税法の規定に基づき算定された前年の所得について算定した総所得金額等によるとしている(地方税法313条1項)。その趣旨は、課税標準類の基礎となる前年の所得について国と地方自治体の算定が異なるはずがないから、原則として権限や人員で手厚い国の課税庁が調査し、算定した結果を尊重し、重複調査を避け、税の徴収手続を統一的、効率的に行えるようにするとともに、納税者に対しても同一の申告手続により得ることとして、税の申告手続の簡素化を測ることにしたものであると考えられる」などと一般論を展開している。
多胡邦夫は安中市役所の税務課にも在籍した経験を持つ元職員である。多胡邦夫は、昭和45年9月に市職員として採用され、税務課で市民税・固定資産係として勤務し、昭和50年からは農政課で農業共済関係の仕事に従事し、昭和54年10月から建設部都市計画課に異動した。以降、庶務係として安中市土地開発公社の設立事務を担当し、昭和55年4月に公社設立後は、公社職員と都市計画課職員とを併任しながら、公社の事業資金借入れや利息返済等の一切の経理事務を担当し、平成4年4月に同課の主査に昇格し、平成7年4月に社全教育課係長として異動した直後、平成7年5月の51億円事件が発覚した。
従って、公社には15年間、長期配置されていた。元職員は税務課勤務で税のことはよく知っているはずだ。その元職員が市民税を滞納していて、それを安中市の首長である相手方が看過しているのだから行政と住民の信頼関係は、行政側が一方的に壊していることになる。元職員の税務知識や役所での人脈が、巨額横領事件の背景にあることは容易に想像がつく。元職員が巨額横領全て好き放題散財できたのも、市職員らが飲み屋で一杯やった後に酒の飲めない(と言われる)元職員を呼び出して勘定を支払わせたのも、元職員がかつて市営住宅で母子家庭を装って住むことができたのも、元職員の所得の源泉について安中市の税務課や税務署がまともな調査をしなかったことが原因だと断言できる。
このような人物がおこした巨額詐欺横領事件では、警察が多大な労力を払って多胡本人をはじめ、市役所内外の関係者から事情聴取を行い、各方面の捜査を実施した。この間、関東信越国税局の査察官は、警察の捜査を見守っていただけであり、警察の捜査が完了した時点で、捜査資料をもとに税制面で厳しく対応する、と明言していた。
ところが実際には、なぜか捜査記録と国税局の不当利得の計算額が食い違っており、本当に国税が、警察から入手した捜査記録をきちんとチェックしたのか疑問だ。相手方の市役所側として言えば、安中市の屋台骨を揺るがした巨額詐欺横領事件で、犯人の多胡邦夫の巨額不当利得に対する市民税の調査や徴収手続に、人員が充分割けないとか、調査の時間が足りないなどと言い訳をすることはできないはずだ。裁判所が、地方税法をなぜ杓子定規に、この史上最大の地方公務員による不祥事件に適用できるとするのか、申立人には理解できない。
さらに、原判決では「地方税315条1号ただし書の規定による市町村の調査義務についても、市町村が独自に積極的に、市民税の課税標準等を調査すべきことを予定したものではなく、納税義務者が提出した所得税に係る申告書等の記載や計算過程に誤りがあったり、提出資料から見て総収入額の算定が過小であると疑うに足りる相当の事由があるなど、特段の事情のある場合に、自ら調査を行って総所得金額等を算出することとしたものというべきであり、そのような事情を認めることのできない本件において、多胡の刑事事件記録を探索し、その内容を検討して総所得金額を算出することまでもが要求されていると解することはできない」などと元職員の事情を寛大に斟酌して判断している。
多胡の事件は、市役所が舞台であり、多胡邦夫と一緒にギヤンブルをしたり、多胡から絵画や骨董品などをもらったりした市役所の関係者は相当数に上る。また、多胡邦夫のカネの使いっぷりは、市役所の中でもつとに有名で、多胡の不当利得について、市役所の関係者から情報を収集すれば、多州の不当利得に関する調査は、容易にできたはずだ。また、相手方は、群馬銀行との間の民事訴訟において、申立人ら住民よりも先に、刑事記録を克明にチェックできる立場にあった。相手方は、弁護士に手数料として1億円も支払っており、その気になれば多胡邦夫の不当利得の詳細な全容を掴めたはずだ。
にもかかわらず裁判所は、相手方の立場を異常に物分りよく取り上げた。多胡が市役所の税務課に所属していた元職員だということに目を向けようとしない裁判所とはいったい何を基準に判断しているのか。
3.安中市の財政状況と多胡邦夫への課税懈怠について
原判決では、「被控訴人において多胡の刑事事件記録を調査せず、その結果、控訴人らの主張する市民税の賦課徴収の懈怠という事態が生じたのであるとしても、そのことが地方税法315条1号ただし書の規定に反する違法な行為であるということはできない」などと判断している。事実誤認も甚だしい。
地方税法第14条では、地方税優先の原則として、「地方団体の徴収金は、納税者又は特別徴収義務者の総財産について、全ての公課その他の債権に先立って徴収する」と定めてある。ところが、被告は、事件発覚後、元職員が個人所得税として国税に更正手続をした資料をそのまま鵜呑みにして、元職員への市脱税を賦課する税務資料を作っただけで、服役中の元職員に対して、税務債権の徴収を行った形跡が見えない。地方財政の危機が叫ばれている今日、公務員による巨額横領事件で、公務員の特権を利用して巨額の利得を得た役人に対して、役所が地方税の賦課徴収の熱意を示さないことは、税務行政上からも、住民の納税モラルの維持からも、極めて危機的なことである。
多胡邦夫の配偶者の経営する喫茶店の隣接地に元職員が建てた骨董倉庫に保管してあった膨大な骨董品や自宅のあちこちにしまってあった古銭や記念コイン、ゴルフ会員権、リゾートマンション会員権、配偶者といっしょに乗り回していた何台もの外車、そして群馬銀行など金融機関に預けていた家族名義のいくつもの隠し預金。これらは全て公金を横領したものだが、これらを事件の捜査がほぼ終了した平成7年11月~平成8年2月にかけて、元職員は自分の弁護士を通じて、安中市・安中市土地開発公社の弁護士ら、群馬銀行の弁護士らと相談のうえ、平成8年3月までに換価した約6億1200万円を、かってに、群馬銀行に払い込み、群馬銀行が平成7年10月に公社と、その連帯責任者である安中市を相手取って起こした総額39億9886万1000円の貸金・保証債務履行請求訴訟の債務に充当した。なぜ、三者合意する際に、相手方は地方税優先の原則を主張しなかったのか。
こうして、元職員の横領全て購人した金品のうち6億1200万円余を換価して、元職員が群馬銀行に返済するのを看過していた市・公社は、その後、現在(平成17年1月末)に至るまで、元職員の財産のうち、わずかに1107万2200円を回収しただけである。
しかも、元職員やその配偶者名義の不動産の換価の為の強制競売の手続は全く進んでいない。
多胡邦夫の配偶者は、いまだに多胡と一緒に籍にいるとみられている。巨額の使途不明金の存在を背景に、多胡の不当利得で得た財産が失われないようにしているのではないか、という見方が市民の開では根強い。情報によれば、多胡邦夫の使途不明金は、某税理士が管理しているという。この情報は、すでに国税に伝えられているが、国税がどのような対応をとったのかどうか、住民が尋ねても数えてくれない。
地方税法10条及び10条の2によると、共有建物については、共有者の一人が他の共有者の分まで固定資慶祝を連帯して支払うことを規定している。この規定は、夫婦にも適用されるはずである。相手方が、多胡邦夫の配偶者に対して、すべての共有者の固定資産税を支払うよう賦課努力をしてきたのかどうか、はなはだ疑問である。
多胡邦夫の配偶者は、警察の捜査記録によれば、多胡邦夫から1億円を超える不当利得をもらっていたことがわかっている。相手方は、税法を駆使して、多胡邦夫から回ったカネの流れをつかめたはずである。刑事記録を、相手方よりもずっとあとに入手した申立人ら住民は、なぜ役所は財政的に余裕がないにもかかわらず、元職員の多胡やその親族、職場の友人、関係業者などに流れたカネを、税金という形で回収からしようとする意欲がないのか、不思議でならない。
安中市の市税の収納状況については、平成16年12月議会における相手方の答弁は次のような内容であった。
「市税の収納状況のうち、市税の課税根拠についてご答弁いたします。市税のうち市民悦につきましては、住民税の申告により所得計算・税額計算を行うため課税資料として申告を行っていただいております。また、所得税法の確定申告を行った者は、住民税(市・県民税)の申告があったものとみなされますので、改めて申告する義務は無いものですが、そのほか地方税法あるいは市税条例によって課税しております。固定資産税についても同様に、地方税法あるいは市税条例の根拠法令等に基づいて課税を行っております。」
「収納状況とその対策についてお答えいたします。まず現在の滞納状態でありますが、10月末時点における滞納額(滞納繰越分収入未済額)は、一般市税約11億3900万円、国民健康保険税約4億8600万円、合わせて16億2500万円となっております。主な収納率向上対策としては現在、年4回の全庁的な滞納市税特別徴収(訪戸徴収)、市税納期限日における午後・・・(中略)・・・いるところであります。なお、差押件数は平成13年度44件、14年度90件、15年度140イ牛、16年度10月時点で63件となっております。また的確厳正な財産調査を行ったうえで、処分財産がない或いは著しい生活困窮又は行方不明等の滞納者については、税法に基づく適正な処分として、滞納処分の執行停止又は不納欠損処分を行い、滞納税額の圧縮を図ってまいりたいと考えております。」
「固定資産税・都市計画税の納税義務音数については、平成16年度現在の状況は、固定資産税20,600人、都市計画税12,259人となっております。収納状況とその対策についてでございますが、現状では、一般市鋭滞納額の主な内訳は固定資産税が7億4500万円(65.4%)、市民税2億1300万円(18.7%)、特別土地保有税が1億500万円(9.2%)となっております。固定資産税滞納額はこれまで約年1億5000万前後ずつ増加しておりましたが、差押等の滞納処分強化によりここ2、3年は7000万円前後の増加となっており、滞納増加幅は減少しつつある傾向となっております。また平成15年度において努力した結果、16年度当初滞納繰越分の調定額が初めて前年度を下回る額となっております。」
「また、国民健康保検税につきましては、不特定多数の滞納者による累積滞納の増大により毎年度4000万円~5000万円の増加傾向となっております。今後の課題につきましては、税の使われ方等も広報誌を使って行い、今まで年4回の特別徴収を滞納処分を前提とした納税交渉の第一歩として位置づける等、その効率的なあり方を充分に検討し、さらには、大口・悪質滞納者への差押等の処分強化により市税債権の確保を図るとともに、電話加入権及びとくに差押不動産の公売の実施等により滞納市税の圧縮に努力していきたいと考えております。」
このように、市税の滞納は毎年増加傾向にあり、巨額なものになってきている。このような現況下で、相手方としては、一般市民に対する徴税圧力を強化しようと議会で答弁しているが、肝心の元職員の多胡邦夫は例外のようだ。
こうした身内の元職員が起こした不祥事の真相追及にはきわめて不熟心な相手方は、一般市民に対しては、税法を駆使して徴税に励むことを宣言している。摩謁不思議な相手方の対応を、原判決は肯定したことになる。前代未聞の詐欺横領事件を起こした被告方に対しては、裁判できちんと責任の所在をハッキリさせて再発防止に向けた対策をとるよう、申立人の意向に沿った判決を出すべきである。
今回の住民敗訴は、元職員と一般市民との間の不公平感を助長するものであり、到底容認できない。
以上
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■このように司直は、タゴ事件関係者に対して、彼らの「平穏な生活を脅かす」ことのないように、極力配慮しております。
今回、タゴ事件の関係者が経営する運送会社所属のタンクローリーが起こした前代未聞の首都高炎上事件に対しても、彼らの「平穏な生活を脅かす」ことのないように、どのような配慮がなされるのでしょうか。
■事故発生から、今日でちょうど5週間が経過しました。これまでの経緯を見ると、タゴの親族が経営していた運送会社の名前はもとより、同社に出光興産の製品配送の仕事を下請けに出していた運送会社の名前も、さっぱりマスコミに報道されません。運んでいた燃料は出光興産の製品でしたが、「出光」の名前すら、まったく表に出ません。
事故の原因についても、初日のニュースで「運転手がハンドル操作を誤った」と報道されただけで、重傷を負った運転手の氏名も容態も明らかではありません。8月5日に関東運輸局が無通告で立入監査を行ないましたが、その結果もまったく公表されません。
タゴ事件関係者に対して、彼らの「平穏な生活を脅かす」ことのないように、大きな力が働いていることを感じさせたこの一ヶ月間の動きだったと言えるでしょう。
【ひらく会事務局】