市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

県外ゴミ搬入を巡る茶番劇裁判(3)…第1回口頭弁論

2008-10-05 14:10:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■原告サイボウと被告安中市の裁判で、被告の安中市は、7月24日に任命した3名の職員による答弁書を、7月29日に、前橋地裁と原告のサイボウに提出しました。

サイボウは8月6日の第1回口頭弁論で、準備書面を出してきました。本項の最後に全文を示してありますが、これによると、サイボウは、平成19年9月20日付で安中市と館林市との間で「三者間公害防止協定書」を取り交わし、館林市からの焼却灰を処分場に搬入していることが分かります。
準備書面の最後に、サイボウは、自社のカタログを証拠書類として提出していますが、処分場の施設のPRと、いかに長い年月を掛けて処分場の開設に漕ぎつけたかが詳しく述べられています。それだけ、違法行為がたくさんあり、手続きに手間取った証拠ですが、そうした事情は全く記載していません。

■8月6日の第1回口頭弁論では、いきなり、サイボウは「裁判を早期に解決したいため、裁判長からの和解勧告を希望する」などと申し出ました。しかも和解内容としては「協定書第3条を組みなおして、県外ゴミを持ち込めるように変更するだけでよい」というものです。
この裁判が、当初から茶番劇であることを物語っていると言えるでしょう。
安中市は和解について、「(市長から任命された)指定代理人だけでは判断できないため、持ち帰って上司と相談したい」と回答しました。
安中市が弁護士を起用した場合、サイボウの弁護士との間でナアナアの裁判が行なわれる心配がありますが、今回、市職員3名を代理人としたことで、形式的ながら少しはサイボウと安中市とのやり取りが見えてくることが期待されます。

■次回裁判までの日程として、安中市が9月12日(金)までに原告の準備書面の反論を提出し、それにより9月24日(水)午後3時30分から第2回口頭弁論を開くことになりました。

【第1回口頭弁論の報告】**********
回議用紙
年度 平成20年度
起案年月日 平成20年8月6日
決裁年月日 平成20年8月8日
起案者 市民部環境推進課廃棄物対策係 職名 課長補佐 氏名 真下明 内線(1121)
決裁区分 市長・岡田 部長・原田 課長・多胡 係長・真下 係・中曽根  公印
関係部課合議 総務部長・秋山 秘書行政課長・鳥越
課内供覧 環境衛生係長・竹内

件名 平成20年(行ウ)第6号協定書無効確認請求事伴(第1回口頭弁論)

1 第1回口頭弁論
(1)日時 平成20年8月6日(水)午後1時10分~20分
(2)場所 前橋地方裁判所第21号法廷
(3)出席者 原告 野村創弁護士、高山和之取締役
       被告 多胡 正、真下 明、吉田 隆(以上指定代理人)、原田勇市民部長
(5)裁判官氏名 (裁判長)小林敬子(裁判官)渡邉和義、青野卓也(書記官)米山哲雄
(6)内容 談判長から原告に対して証拠書類の甲第5号証の印刷状態が悪いため、差替えについて指示がなされ、原告が次回口頭弁論までに提出を約束する。また、証拠書類の原本確認を行う。原告から裁判を早期に解決したいため、裁判長からの和解勧告を希望する申出がなされたが、裁判所としては、和解の内容及び被告の意向が確認できなければ勧告は困難であるとされた。原告は和解内容としては、協定書第3条の組み直しで考えているとのことであった。この後、被告に対して当該和解の考えについて確認されたが、指定代理人だけでは判断できないため、持ち帰って上司と相談したい旨を回答する。次回日程について調整し、被告安中市は9月12日(金)までに原告の準備書面の反論を提出すること、それを持って9月24日(水)午後3時30分から第2回口頭弁論を実施することが決定。
2 和解勧告の協議
(1)日時 平成20年8月6日(水)午後4時
(2)場所 市長室
(3)出席者 岡田市長、原田市民部長、多胡課長、真下係長、吉田係長
(4)内容 協定書の第3条(県外規制条項)の改正について、安中市として和解の余地があるか市長に確認を行う。市長から、当該和解に応じることは住民に対する背信行為にあたるため市民に説明かつかない。このため、判決により裁判所の判断を仰ぎたい考えが示された。また、報道機関に対する情報提供もできるだけオープンにするよう指示がされる。上記市長の指示により、報道機関の取材があった場合に和解しない方向であることを回答する前提として、原告訴訟代理人に和解には応じられない旨を電話で伝える。(同日午後5時30分)
**********

【原告サイボウの準備書面1】**********
平成20年(行ウ)第6号  直送済
原告 サイボウ環境(株)
被告 安中市
平成20年8月6日
前橋地方裁判民事1部 合議係 御中
   原告訴訟代理人弁護士 野村 創(印)
原告準備書面1
第1 答弁書に対する認否、反論
1 答弁書「第3 経過」に関して
①同第1項乃至第4項
 認める。
②同第5項
 事実関係として概ね認めるが、庁内で長時間検討したとする点は不知。
②同第6及び第7項
 認める。
2 答弁書「第4 被告の主張」に関して
①同第1項
 争う。
 甲6号証において、安中保健所は、「平成5年11月29日付けで提出のあった廃棄物処理施設等設置構懇書について、安中市長の意見を求めたところ計画について了解が得られなかったので、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程(*甲6)第8条5項の規程により安中市長との調整を指示します。(中略)期日までに調整結果報告書が提出できない場合は“安中市長の了解が得られる見込みがないものと判断し、本構想書については不承認としますので念のため申し添えます」”(“ ”内は下線あり)と担示し、安中市長の了解がなければ、本構想書(廃棄物処理施設設置構想書)については不承認とすると被告に対し明言している。
 甲4号証の記載から明らかなとおり、廃棄物処理施設設置構想書が不承認とされれば、現実的に本件処分場の許可申請手続は頓挫し、全く先に進まない状態となる。安中市長の了解を取り付けなければ、つまり最終的には本協定書を締結しなければ、現実問題として本件処分の許可は下りない。一般私人において、斯様な通告が行政からなされれば、許可を得るためには、その本心と異なっても従わざるを得ないのであり、実質上はほとんど権力作用と変わりはなく、事実上「強制」である。この様な行紋指導の弊害の存在を立法事実として、行政手続法が制定され、同法32条乃至36条が立法化されたものであることは云うまでもない。
 しかも、廃棄物処理施設設置構想書の提出や事前協議書の提出は、廃掃法及びその下位法令に基づく手続ではなく、法形式上は、あくまでガイドライン=行政指導ないし指導要綱に基づく任意の手続に過ぎない。少なくとも行政事件訴訟法が改正される以前の平成6年の段階においては、これを適切に争う行政争訟は存在しない。保健所の「構想書不承認」との行為に対し、取消訴訟を提起したとしても、処分性無しとして却下判決が下されるだけである。
 行政争訟等により正式に争う手段は存在せず、法的対応として考えられるのはせいぜい国家賠償程度である。それは原告の望む解決ではなかった。
 被告の主張に対する、端的な反論は以下のとおりであろう。
  (原田尚彦著、行政法要論第6瓶、学陽書房、198ページより)
 「規制的行政指導は、このように形式上はともあれ、実質上はほとんど権力作用とかわりない。そしてさらに悪いことには、法的手段で指導の違法を争うことがむずかしい。これらの事情が無責任行政を助長してきた。行政側は正式の規制権限の発動を避け、安易に行政指導に依存して事を曖昧に処理したり、逆に、被規制者と必要以上に妥協して行政腐敗の原因をつくってきた。
 行政指導に対する批判は現在強まる一方で、官僚支配の打破・規制緩和の風潮を呼び起こしている」
②同第2項
 なるほど、本協定が、法形式的に法規命令たる地方自治法15条に定める行政規則でないことはそのとおりである。しかし、原告が指摘するのは、本協定の実質が、強制の契機を含み(本協定書第15条は、「乙(原告)が以上の項目を遵守することを条件に、甲(安中市)は、施設の設置を認めるものとする。」と定めており、甲4号証から明らかなとおり、被告の承認がなければ現実的に許可は取得できない。許可を欲する者は、協定書を締結せざるを得ない)、かつ、第3条は、廃棄物の搬入元を制限し、私人の権利義務を制限する内容となっていることから、実質として、権力的規制手段である行政規則と同視できると言う点である。
 後は法的評価の開題であると考える。
 本協定が法的拘束力を有するとの点は争う。
 本書面第2、原告の主張で詳遮するが、福岡高裁平成19年3月22日判決の趣旨からして、本協定に法的拘束力は認められない。
③同第3項
i 被告が協定を作成するに至った経緯については理解できる。
 しかし、本質的問題は、廃掃法及びその関連法令上、当時の被告が苦慮したような事実が、許可の要件として考えられているか、言い換えれば、法の保護する利益となっていたかである。これは原告適格の問題である。
 誤解のないように付言するが、地域環境の保全を図ること及び当該地域に居住する住民の感情に配慮すること、これは行政における公益保護の原則からして、原告としても何ら反対するところはない。但し、いうまでもなく行政法分野においては、法律による行政の原則が適用され(根拠、憲法41条、法律の専権的法規創造力)、法律の趣旨に反する行政活動は許されない。
 廃掃法上の処分場設営許可は、孤束行為(被告も自認する)であり、平成11年当時は、現行法における環境アセス条項(廃掃法8県1項2号)、申請者の経済的能力条項(同法同県同項3号)は存在せず(これら条項は平成12年の廃掃法改正によって立法化された)、維持管理に係る技術上の基準に合致すれば、当該行政庁は、許可をなす義務があった。
 その観点で、被告が主張する各種事実は、他事考慮に他ならないものである。いや、被告は廃掃法上の許可権者ではないが、被告の同意がなければ、本件処分場の許可申請が現実に進まないという許可申請システム(甲4)にあっては、実質的に認可権の一翼を担っている等しく、これをもって、原田教授をして、「無責任行政を助長してきた。」と言わしめる現実となっている。住民運動が盛んであること、住民感情に配慮することと廃掃法上の設置許可との間に何らの合理的な関連性はない。特に県外からの一般廃棄物の搬入は認めないことが妥当とすることと廃掃法上の許可基準との問に何らの整合性はない。言い換えれば、廃掃法上の許可要件の基準として、県外からの搬入を不当と解すべき条項が存在しない以上、県外からの一般廃棄物の搬入は認めないこと」を「妥当」とする判断は生じ得ない。
 他事考慮といわざるを得ない。
ii また、被告は、「当時は一般廃棄物処分場のダイオキシン汚染が社会問題となった」点を指摘する。
 「当時」において、これは事実であって、何ら否定するものではない。しかし、正にこのダイオキシン問題が社会問題となったが故に、平成11年3月、ダイオキシン対策閣僚会議は、「ダイオキシン対策推進基本指針」を決定し、平成12年改正の廃操法等により、焼却炉の設置基準が極めて厳しくなったことにより、現在においてこの問題は解決している。まして、本件処分場は、一般廃棄物処分場であり、搬出元として想定できるのは、地方公共団体ないし公共組合である。そしてこれら搬出元と原告及び被告は、甲7号証の様な「三者間公害防止協定」の締結が義務付けられている(甲3、第5条2頃)。この三者間公害協定中で、搬出元は、被害補償条項(甲7号証、第8条)を定めるのが通例であり、被告ないし地域住民に、万が一、不測の事態が発生したとしても、当該搬出元が責任を負う対政が取られており、かつ、この様な協定を締結することは、排出元の各地方公共団体等に対する担保となっており、排出元に対し、’不法、不当な事を起こさせないシステムが確立している。
 この三者間協定締結義務(本協定書第5条2項)は、県外からの搬入であっても、当然締結義務がある。
iii 被告の主張する「自区内処理」は全く異論がない。そのとおりである。
 しかし、「自区内処理」は、一つの理念であり、廃掃法において明文化されていない,法的な原則ではない。
 人口密度の商い都市部において、いわゆる家庭ゴミ(一般廃棄物)の排出量は多いにもかかわらず、それを処理する用地が不足することは構造的に当然である。それが故に、廃掃法をはじめとする廃棄物関連法令は、自区内処理を明文化していないのである。これはとりもなおさず、国家レベルの法規制としては、自区内処理原則を認めない、廃棄物の県外への移出及び移入を所与の前提として認めるということである。
 それにもかかわらず、本件県外規制を設けることは、正に一種の上乗せ条例であり、地方自治法違反であると原告は主張するのである。
 なるほど、感情論として、都市部のゴミを地方に押しつけるのは如何なものかと、という立論は十分に理解できる。
 しかし、例えばである、原告が他県等の廃棄物を受け入れることにより、法人としての利益は上がる。そして、利益が上がれば法人住民税あるいは事業税額は当然多額に上るのであり、被告の財政に貢献できる、被告の財政に貢献できれば、それはすなわち、被告の住民サービスの原資となるのであり、住民サービスの形で地元に還元できる。
 現行廃掃法は、地域住民に対する配慮も十分になされており(先に述べた環境アセス条項等)、連切な行政の監視ないし指導がなされれば、十分に地域住民の生活環魂の保全は図ることができるのである。廃棄物の量の問題に対しては、総量規制で対応でき、繰り返すが、本件協定には総量規制条項が存在する、そして、原告は、総量規制条項に関し、何ら異議もなく、これを遵守する所存である。
 この状況下において、県外規制に合理性は存在しない。
④同第4項
i 既に①においても詳述したが、行政サイドは先に結論ありきで、何を言っても受け入れなかった。結論を押しつけるのみであった。原告は、県外規制条項を外すべく、最大限の努力をしたが、その結果が、現状なのである。
 本訴提起に至るまでも、原告は県外規制の廃止を被告に対し訴え続け、協議を継続していたのである。
ii 事前協議(平成6年当時)及び設置許可当時(平成11年当時)と廃棄物ないし環境に関する社会情勢は大いに変化した。
 「信義則という一般法理に対しては、事情変更の法理という一般法理を提言する。ダイオキシンの問題も今や過去の話であり、現行廃掃法における強度の焼却施設に関する規制においては、どこの地方公共団体の一般廃業物も大差はない、また、既述したとおり、排出元と原告と被告間で三者協定を締結するのであり、万が一の場合における調査、責任追及は容易である。
⑤原告が、処分場の規模縮小の補正を行ったのは事実である。
 それは、群馬県知事からそのような補正の行政指導が存在したからであり、かつ、本件県外規制により、本件処分場への搬入量が減少したことにより、当初の規模を維持することに意味が無くなったためでもある。
 付言すれば、被告が主張するとおり、規模を縮小し、平成19年より本件処分場は稼働を開始したが、搬入元は、被告と館林市の2者しかなく、平成19年の埋立容量から逆算すれば、本件処分揚は埋立終了まであと約37年が必要となる。許可証(甲2)に許可の条件(正規の附款)として定められた埋立期間は、施設を使用できるようになってから15年である,
 つまり、本件処分場は、許可基準の2倍以上の受け入れ能力を有効に生かし切れない状況にある。そして、後14年ェ経過すれば、許可条件としては、なお埋立容量の2分の1の容量を残しながら処分場を閉鎖しなければならない運命にある。これが国民経済(処分場の有効利用)及び地域経済(税収)にとって好ましいことであろうか?
 被告は、原告の施設規模を云々するが、上述したとおり、その能力の2分の1しか活用できていない。
 群馬県内の市町村にニーズがあるのであれば、是非に原告を紹介して貰いたい。
 県外からは多数の引き合いがある。
 自県内だけではなぐ、国家レベルの視点から廃棄物処理の現状を見て頂きたい。

第2 原告の主張(法的拘束力の不存在)
1 本件県外規制条項には法的拘束力がない。
2 本件と同様に、廃棄物処理施設に関する公害防止協定が争われた案件である、福岡高等栽判所平成19年3月23日判決(以下「本件判決」という。甲8号証)は、以下のとおり判示し、公害防止協定の法的拘束力を否定した。

 「(前略)協定は、生活環境の保全のために締結されるものであって、それ以上のものではない。ところが、施設使用期限条項は、上記のとおり、許可の期限を付すか、あるいは許可の取消時期を予定するに等しいものであるから、そのような、許可そのものの運命を左右しかねないような本質的な部分に関わる条項が同協定に盛り込まれ、そのことによって許可を根本的に変容させるというようなことは、同脇定の基本的な性格一目的から逸脱するものであって、本来予定されていないものというべきである(中略)そうすると本協定のうち施設使用期限条項については法的拘束力を認めることはできない」。
3 本件判決の判旨に照らせば、本件県外規制条項も法的拘束力が否定されて然るべきものである。
 いうまでもなく、本件判決と同様に、本来、県知事のなす施設設置許可において、その搬出元を制限することはできない。それを認めうる何らの法令上の根拠もない。許可証上、「留意事項(許可条件ではない)」とされているのはその証左である。法令上の根拠があれば、「許可条件」とすれば良いだけである。
 それにもかかわらず、搬出元を制限する本件県外規制は、本件許可を根本から変容させ、しかも、本件県外規制には接々述べたとおり、同協定の目的たる生活環境の保全との関連で何ら合理性を有しないものであり、同協定の基本的な性格・目的から逸脱するものであって、本来予定されていないものというべきである。従って、本件県外規制には法的拘束力はない,

証拠方法
甲7 三者間公害防止協定
甲8 判例(福岡高等裁判所平成19年3月23日判決)
甲9 原告会社案内

添付書類
甲号証写し 各2通
以上

【証拠説明書】(内容省略)

【甲第7号証】
三者間公害防止協定書
 安中市(以下「甲」という。)と館林市(以下「乙」という。)及びサイボウ環境株式会社(以下「丙」という。)は、丙が群馬県安中市大谷字西谷津1893番地7他15筆に設置した一般廃棄物最終処分場(以下「処分場」という.)の搬入並び処分に際し、関係住民の健康と生活環境の保全を守るため、搬入及び処分により発生する可能性のある公害を未然に防止するため並びに万が一公害が発生した場合の対応について、次のとおり協定を締結する。
(法令等の遵守)
第1条 乙及び丙は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令、群馬県廃棄物処理施設の構造及び維持管理等に関する基準、公害関係諸法令、群馬県の生活環境を保全する条例並びに本協定書の各項を厳守するものとする。
(搬入する廃棄物)
第2条 処理施設に搬入するものは「廃棄物の処理及び價掃に関する法律」に定める一般廃棄物のうち、群馬県内の市町村及び一部事務組合が収巣及び処分した一般廃棄物(焼却灰、不燃残渣)に限定し、その他は一切搬入しないものとする。
2 一般廃棄物を搬入するにあたっては、甲、乙及び丙との間で本協定書を締結した後でなければ搬入してはならないものとする。
(事前協議及び報告)
第3条 乙及び丙は、甲が一般廃棄物についての協議が必要と認めた場合、これに応じなければならない。
2 乙は毎年度末までに、次年度に関する一般廃棄物処理計画に基づき、処分場で処理される予定の一般廃棄物の量を丙に報告し、丙はこれをまとめて甲に報告するものとする。
3 丙は、当該年度の搬入に係る一般廃棄物の種類及び量並びに処理量の実績を翌年度4月末日までに甲に報告するものとする。
(一般廃棄物の受け入れ基準)
第4条 丙が処分場に受け入れるものは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律137号。以下「法」という。)に規定された一般廃棄物のうち、一般廃棄物の処理施設から搬出された焼却残灰(熱しやく減量10%以下)及び不燃残渣に限定し、その他のものは一切搬入しないものとする。
2 甲及び丙は、廃棄物の受け入れにあたっては、乙に炭素物の分析結果の報告を求め、法に基づく基準及び前項に定める規定に適合しているかどうかの確認を行うものとする。
(一般廃棄物管理票の使用)
第5条 乙は、丙に対し、処理・処分を委託する一般廃棄物の種類、数量その他必要事項を記載した一般廃棄物管理票(マニフェスト)を交付し、丙は、一般廃棄物管理票(マニフェスト)の記載内容と搬入された廃棄物を確認しなければならない。
2 甲は、必要に応じ、乙及び丙に一般廃棄物管理票(マニフェスト)の提示を求めることができるものとする。
(搬入する一般廃棄物の確認)
第6条 丙は、搬入する一般廃棄物の確認を受け入れ時において行うものとする。丙はその確認により不適合とした場合は、一般廃棄物の受け入れを行わないものとし、乙に対してその旨を通知するものとする。
(各種検査等の報告)
第7条 乙及び丙は、甲が行う必要な調査、検査及び各種測定等について協力し、それに係わる資料の要求があった場合は、これに応じるものとする。
2 丙は、処理施設に関する各種の検査が行なわれた時は、その結果を甲に報告しなければならない。
(被害補償)
第8条 丙は、埋め立てた一般廃棄物に起因して地域住民の健康又は財産に被害を及ぼした場合は、速やかに加害原因の除去、原状回復その他適正な措置を講じるとともに、その状況・対策について甲に報告し、乙と連帯してその損害を賠償するものとする。
2 乙及び丙は、公害の事故等について公害の拡大又は再発を防止するため、甲が操業の一時停止を含む必要な措置を要請したときは、甲の指示に従うものとする。
3 丙は搬入に際し、甲又は第三者に被害を及ぼしたときは、直ちにその加害要因を除去するとともに、甲又は第三者に被害を補償しなければならない。
(一般廃棄物の搬入方法、時間帯)
第9条 甲及び丙による平成:10年6月5日締結の協定書に基づき搬入車両は丙の車両とする。
2 搬入時間は8時30分から正午までとする。
3 協定書に変更があった場合は、甲、乙及び丙の協議により決めるものとする。
(立入調査等)
第10条 甲は、この協定の履行状況を確認するため、丙の処理施設に甲の指定する職員の立入調査を実施し、必要な報告を求めることができるものとし、乙及び丙はこのことに応じると共に協力するものとする。
(この協定書の失効)
第11条 本協定書に定める各条項については、処分場を閉鎖(一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上に基準を定める省令(昭和52年総理府・厚生省令第1号)第1条第2項第17号で規定された「閉鎖」をいう)した日を持って効力を失うものとする。
(協議)
第12条 本協定書に定めのない事項または疑義については、甲、乙及び丙が協議の上決定する。

 この協定を証するため、本書三通を作成し、甲、乙及び丙が記名押印の上、各自一通を保有する。

平成19年9月20日
 (甲)群馬県安中市安中一丁目23番13号 安中市代表者安中市長 岡田 義弘
 (乙)群馬県館林市城町1番1号      館林市代表者館林市長 安樂岡一雄
 (丙)群馬県喪中市大谷1900番地1 サイボウ環境株式会社代表取締役 結城剛

【甲第8号証】
http://legai.lexisnexis.jp/Ingateway.dll/JP_COM01/JP_COM/jplnjcmt9_0622012...2008/07/28
産業廃棄物最終処分場使用差止請求控訴事件
事件番号:平成18年(ネ)第547号
事件名 :産業廃棄物最終処分場使用差止請求控訴事件
裁判所 :福岡高等裁判所
判決日 :平成19年3月22日(2007-03-22)
判示事項:(内容省略)

【甲第9号証】
サイボウ環境株式会社カタログ
<未来への提言>
地球と環境に配慮し、クリーンで開かれた施設をめざします。
 平成11年に許可取得後、関連施設等の建設を行い平成18年11月に施設が完成いたしました。
 当社の最終処分場の特長は、構造基準に規定されている囲いを、ネットフェンスとし、埋立状況及び維持管理等を何時でも確認が頂ける構造になっております。
 又、最終処分場運営に当たっては、環境方針を定め、遵守することにより、住民の最終処分場に対する不安感・不信感を払拭出来るよう努めてまいります。
 今後も、安中市、群馬県の指導に基づき運営を行い、最終処分場の観念を変えられるよう努めてまいります。
<環境方針>
 サイボウ環境株式会社は、一般廃棄物の収集運搬、処分を通じて地域環境保全を考慮し、「廃棄物を適正に処理する」、「地域、社会に貢献する」という基本理念のもと、企業活動を通じ継続的な環境負荷の軽減に誠意をもって取り組みます。
1.地域、社会への貢献     
 環境方針のもと、廃棄物を適正処理し環境汚染の防止に努め、地域環境をより良くすることに努めます。
2.廃棄物処理法・規則の順守
 環境に関する法規則、協定書を順守します。
3.環境美化活動
 処分場内、周辺はもとより、搬入道路の美化活動を通して、地元とのコミュニケーションを図ります。
4.環境意識の向上
 環境方針の理解と環境に関する意識の向上を図ります。
5.環境方針の周知
 この環境方針は当社で働く従業員のすべての人に周知します。
<さらなる安全を求めて>
①法面保護
当社の処分場法面は、保護マットの2重構造とし施設設置基準は十分満たされていますが、さらに30mmの発泡ウレタンを塗布し、紫外線による劣化、廃棄物中に含まれる鋭利物による破損を防止致します。
②一般廃棄物適正処分対策協議会事務所
 地元安中市と事前協議の中で締結した協定書に基づき、安中市、地元区、弊社の3者により一般廃棄物適正処分対策協議会を設置し、搬入時間の開門、閉門及び搬入廃棄物の内容、量の確認を行ないます。
③埋立測量
 日本には魔法の処分場が存在すると聞いたことがあります。それは、埋めても埋めても埋まらない魔法のような処分場であります。当社は毎月の搬入量をXYZ座標を使用して上底面積と下底面積を計測し搬入高から搬入体積を計算して報告しています。
④重機
 底面遮水シート破損を防止するために、50cmの上質保護土を底面遮水工の上に埋設していますが、その上を大型重機、ダンプ車の通行により底面シートを破損することがあります。当社は搬入道路から、埋立作業を行い、通常1mの廃棄物引き馴らし高を3mとし、さらに使用重機も0.45のパワーシャベルでの作業としています。
⑤水質検査
 法律により地下水の水質検査は義務づけられていますが、万一の遮水シート破損を早期に発見する為に、週に一度、簡易測定器で測定記録し管理を行っています。
一般廃棄物は最終処分が行われても、搬出市町村の責務を逃れることはできません。費用を頂いて最終処分を行うと言う行為でなく、処分場が廃止出来るまでの問、廃棄物をお預かりすると言う姿勢でおります。これからも安心して委託できる会社であり続ける為に努力は惜しみません。
<あゆみ>
平成 5年11月18日 サイボウ環境株式会社設立
平成 5年11月29日 廃棄物処理施設設置等構想書
平成 6年 3月18日 構想書に関する安中市長との調整
平成 6年 3月24日 関係市町村との調整結果報告書
平成 6年 4月 4日 廃棄物処理施設設置等事前協議書提出の通知
平成 7年 2月 1日 廃棄物処理施設事前協議書提出
平成 7年 7月25日 天白農道一部使用許可
平成 7年11月10日 廃棄物処理施設事前協請書条件付承認
平成 8年 3月27日 処分場用地農振除外
平成 8年 4月16日 国土利用計画法受理
平成 9年12月15日 進入道路変更申請
平成10年 3月 2日 進入道路変更申請
平成10年 6月 5日 安中市との協定書締結
平成10年 6月11日 一般廃棄物処理施設設置許可申請書提出
平成10年 7月15日 進入道路交差点協議の回答
平成10年10月30日 河川法第24条、26条、55条1項申請
平成11年 8月30日 一般廃棄物処理施設設置許可
平成11年10月13日 河川法第24条、26条、55条1項許可
平成11年10月22日 進入道路橋梁架設許可
平成12年 4月 4日 進入道路農振除外
平成15年 1月 6日 進入道路着工
平成15年12月18日 進入道路竣工(全長901m幅員6m)
平成16年 2月12日 道路法第24条承認工事及び関係工事、竣工検査終了
平成16年 3月30日 溜池工事着工
平成16年 5月14日 溜池工事竣工
平成17年 1月 7日 溜池安中市に寄付採納
平成17年 3月 2日 進入道路安中市に寄付採納
平成17年 4月 4日 処分場内公共物質受
平成17年 4月11日 処分場工事着工
平成18年11月20日 竣工
平成18年11月27日 竣工検査
平成19年 3月 1日 安中市一般廃棄物処分業許可
<最新鋭の排水処理設備で徹底した環境対策>
 13年の歳月を経て完成した処分場は、業界の既成概念を覆す全面開放型とし、365日・24時間常時周辺から埋め立て状況が確認できる設計になっています。特に排水処理においては「炭酸ソーダ溶解.・活性炭吸着・キレ一ト樹脂吸着・RO(逆浸透膜)装置」等の最新鋭設備で浸出水処理をほどこしています。
 そして、埋立終了後は「マレットゴルフ場」や「ふれあい広場」としての活用を予定しています。(注:隣接の牧場主に無償で払い下げる密約ができているらしい)
<炭酸ソーダ自動溶解装置>
①上部タンク内に炭酸ソーダ(粉末)を貯蔵します。
②自動制御によって炭酸ソーダ(粉末)を清水と混ぜ合わせ、炭酸ソーダ溶液を作ります。
③浸出水内に含まれるカルシウム分を炭酸ソーダ溶液により除去します。
<砂ろ過塔>
凝集沈殿・生物処理などの工程で取り残した細かいゴミ(浮遊物)を取り除きます
活性炭吸着塔…COD(化学的酸素要求量)及び色度成分など取り除きます。
キレート樹脂吸着塔…処分水中に溶け込んでいる重金属類(鉄・マンガン等)を取り除きます。
<RO装置>
①一般に膜と呼ばれる物には、大きく分けて次の3種類があります。
 1.MF膜(マイクロフィルター)精密ろ過膜
 2.UF膜(ウルトラフィルター)限外ろ過膜
 3.RO膜(リバース・オスモシス)逆浸透膜
 1→2→3の順に性能が高くなり、当浸出水処理施設にはRO膜が設置されています。
②RO膜は水中に溶け込んでいるイオン類(塩化物等)及び、水中に存在する細菌類(大腸菌等)も除去できます。
<浸出水処理フローシート>(略)
<主要施設>
貯留構造物      重力式コンクリートえん堤型
進水工        1.5%ゴムシート+85%モルタル+10%保護マット+1.5%ゴムシート+30%発泡ウレタンの五重構造
埋立ガス処理施設   縦型ガス抜き管3箇所 法面ガス抜き管13箇所
浸出水処理施設    凝集沈殿+生物処理+砂ろ過・活性炭吸着・キレート樹脂吸着+逆浸透膜(RO膜)
放出量        100m3/日
管理施設       50tトラックスケール 1台-
湿式タイヤ洗車設備  1機                      j
ポンプピット内ポンプ 3台
モニタリング観測井戸 3箇所
モニタリング枡    3箇所
雨水調整池      600m3
管理道路       幅員4.5m As舗装 450m
進入道路       幅員3.1m コン舗装 220m
外周フェンス     市道部(メッシュフェンス)、民地部(ネットフェンス)
門扉         入口部(メッシュゲート)1箇所
キャスターゲート   4箇所
管理棟        2棟
<施設概要>
設置場所       安中市大谷字西谷津1893-7番地 他15筆
処分場面積      32,298m2
埋立面積       18,988m2
埋立容積       274,388m3 廃棄物 207,042m3 覆土 67,346m3
許可品目       焼却灰、不燃ごみ
埋立期間       15年
埋立工法       セルアンドサンドイッチ工法
埋立構造       準好気性埋立構造
<会社概要>
本  社 サイボウ環境株式会社
     〒379-0113群馬県安中市大谷1900番地
     TEL027-380-5788㈹ FAX027-380-5787
設  立 平成 5年11月18日
資 本 金 2,050万円
事業内容 一般廃棄物最終処分場
着  工 平成17年 4月11日
竣  工 平成18年11月20日
監  理 株式会社ゆはそエンジニアーズ
施  工 株式会社大林組
**********

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県外ゴミ搬入を巡る茶番劇裁判(2)…被告安中市の答弁書

2008-10-05 14:08:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■安中市は、7月24日に任命した3名の職員による答弁書を、7月29日に、前橋地裁と原告のサイボウに提出しました。

答弁書では、この処分場の手続きにおいて「当時は、原告の廃棄物処理施設設置構想に対し、住民の激しい反対運動があり、旧安中市議会にも256名による設置反対を趣旨とする請願書が提出されていた」などと、地元住民の反発の強さなどを挙げて、「協定書の各条項を遵守すること」は、サイボウが事前に納得して、行政に対して約束したので、これが前提となって設置許可が出たから、信義則上からも法的拘束力を有すると反論しています。
しかし、サイボウが偽造書類を作成したことについては、触れていません。なぜなら、安中市もそれを黙認したという後ろめたさがあるためです。
こうして、8月6日(水)午後1時10分に前橋地裁第21号法廷で第1回口頭弁論を迎えたのでした。

【被告安中市の答弁書】**********
平成20年(行ウ)第6号 協定無効確認請求事件
原告 サイボウ環境株式会社
被告 安中市
答弁書
 平成20年7月29日
前橋地方裁判所民事第1部  御中
 〒379-0192 群馬県安中市安中一丁目23番13号
   安中市役所(送達場所) 電話 027-382-1111
               FAX 027-381-0503
               被告指定代理人 多胡 正
               同       真下 明
               同       吉田 隆
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する
2 訴訟費用は原告の負担とする
 との判決を求める。

第2 請求の原因に対する認否
1 請求の原因第1項(当事者)につき
  概ね認める。ただし、本件処分揚が、原告の業務の中核である点については、不知。
2 同第2項(協定書の締結)につき
  認める。
3 同第3項(本件協定書締結に至る経緯と本件処分場許可申請)につき
  不知。ただし、「留意事項」は、あくまで「気を付けること」に過ぎず、「許可の条件」(行政講学上の附款、根拠法律は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃掃法)第8条の2、第4項)とは異なり、何ら法的拘束力を持つものではないという点は争う。
4 同第4項(県外規制条項の違法性)につき
  争う。
5 同第5項(確認の利益)乃至第6項(まとめ)につき
  不知。

第3 経 過
1 被告安中市は、平成18年3月.18日に、合併前の安中市(以下「旧安中市」という。)及び碓氷郡松井田町とが合併し、その区域をもって新たに安中市が設置されたものである。このため、地方自治法施行令第5条第1項により、旧安中市の事務は、被告が承継している。
2 原告は、安中市大谷地区内に、一般廃棄物処理施設の設置を計画し、平成5年11月29日、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程(甲第5号証。以下「規程」という。)第7条第1項の規定に基づいて、廃棄物処理施設設置等構想書を安中保健所長に提出した。同保健所長から、規程第8条第2項に基づき、旧安中市(被告)に対して設置構想書の内容について意見が求められたため、旧安中市の意見として、平成6年2月18日付けで廃棄物処理施設設置にかかる事前協議に対する意見書(乙1号証。以下「意見書」という。)を回答した。
3 意見書の提出を受けて、安中保健所長は、規程第8条第5項により原告に対し、被告との調整を指示したため、原告は、旧安中市と協議し、その結果、旧安中市が示した意見又は条件を了解して、平成6年3月24日に指示事項を遵守する旨の誓約書(乙2号証)を提出するとともに、安中保健所長宛に、関係市町村との調整結果報告書(乙3号証)を提出した。
4 平成7年2月1日、原告は群馬県知事に対し、規程第9条に基づき廃棄物処理施設設置等事前協議書を提出し、平成7年11月10日、群馬県知事は、規程第12条第1項により、事前協議書を承認する通知をした。
5 平成10年6月5日、原告と被告は、前記3記載の協議結果に基づき、協定書を締結した。協定書の作成に当たっては、被告は、庁内関係各課、安中保健所の関係職員、顧問弁護士とも協議を重ね、長期間費やして原案を検討し、当該廃棄物処理施設が住民に悪影響を及ぼさないよう、また、不安を与えることのないよう十分に配慮した内容とした。第3条については、協定書の締結以前に意見書の中に明記されていた事項であるが、環境行政のあり方や住民感情を考慮した場合に県外からの一般廃棄物の搬入は認めないことが妥当であるとの判断から、盛り込まれた条項である。当時は、原告の廃棄物処理施設設置構想に対し、住民の激しい反対運動があり、旧安中市議会にも256名による設置反対を趣旨とする請願書が提出されていた。
6 平成10年6月11日付けで、原告は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき、群馬県知事に対して一般廃棄物最終処分場の設置許可申請を行った。ところが、当該申請に対する施設の規模が過大で、旧安中市との協定を踏まえると県内市町村の一般廃棄物の排出状況からみて埋立期間が極めて長くなり、その間の施設の安全性を確保することが困難となることから、施設規模の適正化等について補正が指示され、原告は施設規模を縮小する旨の補正を行った。
7 平成11年8月30日、原告に対して群馬県知事から一般廃棄物最終処分場設置が許可され、その際、許可の留意事項として平成10年6月5日に旧安中市長と締結した協定書の各条項を遵守すること等が示された。

第4 被告の主張
1 原告は、許可書及び許可証に記載された「留意事項」は、行政講学上の附款ではないため、法的拘束力がないとしている。確かに、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく一般廃棄物最終処分場の設置許可は、尊重行為であるため、法が許容しない条件等まで附款として付することはできない。
  しかしながら、「留意事項」に記載されている(1)から(5)までの全ての事項は、その内容から推測すると、群馬県知事が一般廃棄物最終処分場の設置を許可するうえで、許可の条件とまでは言えないが、原告において当然に遵守することが予定される事項又は遵守すべき事項が定められたと考えられる。このうち、(5)の「協定書の各条項を遵守すること」は、許可行為がされる以前に、既に原告において了解し、群馬県及び旧安中市に約束した事項であり、これが前提となって設置の許可がなされたものであるから、信義則上からも法的拘束力を有することは明らかである。
  また、原告は、安中市長の了解(本件協定書の締結)が処分場設置許可の事実上の条件であるとはしながらも、法令上の許可要件ではないとしている。
  法令上の許可要件でないなら、法的に対抗することも可能だったはずである。原告が法令上の許可要件ではないことを承知しながら、協定書を締結したのは、原告自らが協定書の内容でも経営的に問題がないと判断したためであり、旧安中市が強制したものではない。
2 原告は、本件協定書第3条(県外規制条項)は、違法であり、公序良俗に反し無効であると主張している。その理由の一つとして、県外規制条項が上乗せ規制であり、地方自治法第15条第1項に違反するとしているが、本件協定書は、同法第15条に定める規則には該当しないし、もともと規則は条例と追って、相手に義務を課したり、権利を制限することはできない。また、協定書は、「契約」の形態をとるもののその実質は、行政規則の制定であるともしているが、行政規則は、訓令、通途、要綱等の行政内部のきまりであって、法規の性質を有しないものである。なお、地方自治法第15条に規定する規則は、行政法学上は法規命令であって、行政規則ではない。以上、原告の主張は明らかに失当である。
  なお、本件協定書は、行政契約に当たり、旧安中市と原告との間で、お互いの合意に基づき締結された公法上の契約として法的拘束力を有するものであるが、原告の営業権を違法に規制するものではない。
3 次に、本件県外規制条項は、合理性を全く欠くとしているが、旧安中市がこの条項を入れた趣旨は、首都圏の一般廃棄物が焼却灰に姿を変えて流入することは、好ましいことではなく、処分場設置に反対する住民運動も激しかったことから、地元の住民感情を考慮した場合、少なくとも県外からの一般廃棄物の搬入は認めないとすることが妥当であると判断したことによるものである。
  また、当時は一般廃棄物処分場のダイオキシン汚染が社会問題となっており、住民の不安も高まっていたため、旧安中市としては、処分場に搬入される一般廃棄物に対する住民への説明責任から、廃棄物の迅速な調査が可能な範囲として県内に限る必要があった。
  本来、一般廃棄物に対する行政の責務は、自区内で出た廃棄物は、全て自区内で処理する「自区内処理」が原則である。つまり、国の内外を問わず、廃棄物の処理はできうる限りその排出地域に近いところで行うべきであるとされており、県外からの廃棄物搬入を規制している自治体も多い。
  もともと、都市部の廃棄物を処分場の用地確保が困難という理由だけで、地方に押しつけていいはずはなく、こうした点からも本件県外規制条項は、合理性を欠いていない。
4 そもそも、原告は協定書のなかの本件県外規制条項に不満があったならば、旧安中市や反対する地元住民に対して、条項が不合理であることを十分に説明して理解を求めるか、許可権者である群馬県知事(安中保健所長)の指導又は仲介を仰ぎ、条項を削除する努力をすべきであったにもかかわらず、これをせず、処分場の設置が許可されてから、いまさら不合理であると主張するのは、信義則に反するものである。
5 さらに言及すれば、上記第3の経過に記載した事実にあるように、原告は群馬県知事に県内市町村の一般廃棄物の排出状況から、処分場の施設規模の適正化等について補正が指示され、施設規模を縮小する旨の補正を自ら行っている。
  つまり、原告は、処分場の規模が、県内市町村の一般廃棄物の処理を基準としていることを当初から認識しており、これ以外に県外市町村の一般廃棄物を受け入れることは、予定していなかったはずである。しかも現在、原告は群馬県内においては被告と館林市との2市の一般廃棄物の処理しか受託していない。にもかかわらず、本件県外規制条項を無効として、県外市町村に営業の範囲を広げようとするのは、その施設規模からもあまりに安易な考えである。もし、仮に今後、県内市町村からの受託の予定が全くないとするならば、原告の「本邦において処分場の枯渇は深刻な問題であり、一般廃棄物処理の責務を負う多くの市町村は、その搬入先(最終処分先)の確保に四苦八苦しているのが、現状である」との原告の主張と明らかに矛盾する。

証拠方法
1 乙1号証 廃棄物処理施設設置にかかる事前協議に対する意見書
2 乙2号証 安中市の調整事項並びに意見及び条件を遵守する旨の誓約書
3 乙3号証 関係市町村との調整結果報告書

附属書類
1 答弁書副本            1通〔直送済〕
2 乙1号証乃至3号証の写し    各2通〔うち1通は直送済〕
3 証拠説明書            1通
4 指定代理人届           1通

【乙1号証】
安市収第5764号
平成6年2月18日
安中保健所長 様
   安中市長 小川勝寿
廃棄物処理施設設置等に伴う市の意見書の提出について
 平成5年12月3日(安保)付け、依頼のありましたこのことについて別紙のとおり回答します。

廃棄物処理施設設置にかかる事前協議に対する意見書

1.所管する法令等の手続きが必要な事項
①森林法に基づく開発許可申請が必要となります。
②土地を使用する権利を取得する(通常の賃貸借を除く。)場合には、国土利用計画法に基づく「届出」が必要となります。
③場合によっては、都市計画法附則第4条に基づく「開発許可申請」の対象事業となります。
④都市計画法の開発許可申請の対象となる場合には、市の指導要領に基づく事前協議の対象となります。
⑤計画地に農振農用地域が含まれているので農業振興地域の整備に開する法律に基づく所定の手続きが必要。
⑥農地法等について手続きが必要。
⑦区域内の道水路(公共物)についての扱いを明確にするとともに必要な手続きをとること。

2.計画の実施にあたって留意すべき事項
①農業用水の利用上、その安全と確保を下流耕作者と調整すること。
②進入路について、道路管理者(土木課)と協議して計画すること。
③排水計画について、流末が既存の水路へ流入するが既存水路の改修等が必要と思われる。

3.意見又は条件
①県外からの搬入
 県としては、首都圏の一般廃棄物が焼却灰に姿を変えて流入することは、好ましいことではないという考え方であるので、市としても県の基本的な考え方を踏まえ、又市民感情を考慮すると県外からの一般廃棄物の搬入は認めない。
②搬入台数
 1日の搬入台数は、20台以下とする。
③搬入時間
 原則として、午前8時から、正午までとする。
④協定書
 安中市と協定書を締結すること。
⑤農道は、搬入路として使用しないこと。
⑥排水については、計画地の下流に水田があるので営農に支障がないよう万全な対策を請づること。
⑦当該地域内に埋蔵文化財の存在する可能性は少ないが、万一工事中に埋蔵文化財が発見されたときは、市教育委員会に連絡し、その指示にしたがうこと。
⑧申請者は他に、施設、権利等一切を転売しないこと。

【乙2号証】
平成6年3月24日
安中市長 小川 勝寿様
    サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫(社印)
廃棄物処理施設設置等構想書に関する指示事項について
 平成6年3月18日付をもって、別紙(写)のとおり安中保健所長より通知のありました安中市の調整事項並びに意見及び条件については遵守することを誓います。

【乙3号証】
関係市町村との調整結果報告書
平成6年3月24日
安中保健所長殿
    報告者 住所 群馬県安中市大谷229番地の1
        氏名 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫
        (法人にあっては名称及び代表者の氏名)
        電話番号 0273 81 2709
 平成6年3月18日付け 第 号で指示のあった廃棄物処理施設の設置等に開する安中市市(町村)長との調整が終了しましたので、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程第8条第6項の規定により、次のとおり報告します。
施設の種類 一般廃棄物処理施設(最終処分場)
設置場所  群馬県安中市大谷字西谷津1893-6外18筆
調整結果  別紙で指示された市の意見又は条件について①~⑧で8項目を市の最終的意見として認識し、すべての項目について異議なく其の意見を受け入れる事に合意した。
協議過程  平成6年3月24日安中市役所と別紙市の意見書について各項目別に意見交換、協議を行い法令の遵守を含めて、市の意見、指示に従う旨、話し合った。
備考
1 調整結果は、関係市町村の最終的な意見及び調整に基づく合意事項等について記入すること。
2 協議経過は、調整のための協議をほった年月日、相手方、協議の概要を記入すること。
(安中保健所 6.3.24 収受印)
**********

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県外ゴミ搬入を巡る茶番劇裁判(1)…原告サイボウの訴状

2008-10-05 14:02:00 | 全国のサンパイ業者が注目!
■安中市の岡田市長は、現在、複数の裁判を抱えています。とりわけ、全国のサンパイ業者から注目を集めている安中市の廃棄物行政を象徴するのが、群馬県下で民営として3番目のサイボウ一般廃棄物処分場への、県外ゴミの持ち込み問題です。

サイボウが県外ゴミ搬入を禁じた協定書の無効確認のため、前橋地裁に訴状を提出したのが、平成20年7月2日(水)でした。訴状を受理した前橋地裁は、7月11日(金)付けで安中市に、「第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」を送達しました。そこには、7月30日(水)までに答弁書を提出し、8月6日(水)午後1時10分に前橋地裁第21号法廷に出頭するよう記されていました。

■サイボウが7月2日に前橋地裁に提出した訴状の全文は次のとおりです。
このなかで、サイボウは、一般廃棄物処分場について提訴しているにもかかわらず「処分場の枯渇は深刻な問題」だとして、サンパイ業者のホンネを明かしてしまっています。さらに、「原告は、本件県外規制条項は、違法、無効であり、かつ、法的拘束力を有するものではないと考えているが、本件県外規制条項を無視して本件処分場への搬入を断行した場合、本件処分場設置許可権者である群馬県知事より廃掃法に基づく行政処分がなされる可能性は否定できない。上述のとおり、被告が本件協定書の変更協議に応じる余地は無く、むしろ、被告においても公権的判断がなされることを希望している」などと、本件の許認可権が群馬県知事にあることを承知しながら、組しやすいと見て取り、県知事ではなく安中市長を相手取って、茶番訴訟に持ち込んだことを示唆しています。

■一方、安中市の岡田市長も、サイボウの動きを察知したのか、6月19日(木)に安中市の顧問弁護士である渡辺明男弁護士と面談したにも関わらず、結局、7月24日に次の3名の市職員を指定代理人として、弁護士を起用しない、いわゆる「本人訴訟」に踏み切りました。
・市民部環境推進課長       多胡 正
・市民部環樵推進課廃棄物対策係長 真下 明
・総務部秘書行牧課文書法規係長  吉田 隆

【原告サイボウの訴状】**********
訴 状
平成20年7月2日
前橋地方裁判所 民事部 御中
  原告訴訟代理人 弁護士 野村 創
 〒379-0113 群馬県安中市大谷1900番地1 原告 サイボウ環境株式会社
       上記代表者代表取締役  結城 剛
(送達場所)
 〒105-0003 東京都港区西新橋一丁目20番3号 虎ノ門法曹ビル407号室 野村総合法律事務所 原告訴訟代理人弁護士 野村 創 電話03-3539-3151 FAX 03-3539-3152

〒379-0192 群馬県安中市安中一丁目23番13号 被告 安中市 代表者市長 岡田義弘

協定書無効確認の訴え
 訴訟物の価額  金1,600,000円(算定不能)
 貼用印紙額      金13,000円

請求の趣旨
1 原告と被告間の平成10年6月5日付別紙協定書第3条項は無効であることを確認する。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

請求の原因
1(当事者)
 原告は、安中市に本店を有し、一般、産業廃棄物の最終処分業を主たる業務とする株式会社である。原告は、安中市大谷に一般廃棄物の最終処分場(許可番号:群馬県第132号、以下「本件処分場」という。甲1、2)を有し、本件処分場が、原告の業務の中核である。

2(協定書の締結)
①原告と被告は、本件処分場の設置及び運営に関し、平成10年6月5日、別紙協定書(以下「本件協定書」という。甲3)を締結した。本件協定書は、行政講学上の「公害防止協定」である。
②本件協定書には、下記条項が存在する。
i 第3条
 乙(原告)が処分揚に搬入するものは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に定める一般廃棄物のうち、群馬県内の市町村及び一部事務組合(以下「市町村等」という。)の一般廃棄物処理施設から排出された焼却残灰(熟しやく減量10%以下)、不燃残渣及び汚泥(以下「廃棄物」という。)に限定し、その他は一切搬入しないものとする。ただし、汚泥については別途三者間公害防止協定書の事前協議において、甲(被告)の承認を得たものとする。(以下本条を「本件県外規制条項」という。)。
ii 第15条
 乙(原告)が以上の項目を遵守することを条件に、甲(安中市)は、施設の設置を認めるものとする。

3(本件協定書締結に至る経緯と本件処分場許可申請)
①原告は、平成5年頃より、本件処分場の許可申請行為(設置構想書の提出、事前協議含む)を行ってきていた。
 当時の群馬県における廃棄物処理施設の設置許可の手続は、甲4号証記載のとおりであるが、「廃棄物処理施設設置構想書」の提出あるいは「事前協議書」の提出等は、法令(法律、政令、省令及び条例)に基づくものではなく、いわゆる指導要綱(甲5)にその根拠を置くものに過ぎない。
 この手続の過程において、安中保健所長より、以下の通知を受けた(甲6)。
 
「平成5年11月29日付けで提出のあった廃棄物処理施設等設置構想書について、安中市長の意見を求めたところ計画について了解が得られなかったので、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程(*甲6)第8条5項の規程により安中市長との調整を指示します。(中略)期日までに調整結果報告書が提出できない場合は“安中市長の了解が得られる見込みがないものと判断し、本構想書については不承認としますので念のため申し添えます”(注:“ ”部分は下線あり)」

 文面から明らかなとおり、安中市長の了解を承認、不承認の条件とするものであり、かつ、法令上の根拠は全く存在しないものの、甲5号証の手続概要からして、廃棄物処理施設等設置構感賞が不承認とされた場合、事実上、本件処分場の設置が許可される見通しはない状況であった。

②原告は、安中市長の処分場設置の了解がなければ、本件処分場の設置許可がなされないものと判断し、平成10年6月5日、安中市長と本件協定書を締結した。
 その6日後の同年同月11日、原告は、正式に本件処分場設置許可申請を行った(甲1)ものである。
 安中市長の了解が処分場設置許可の事実上の条件とされていることは、本件処分場の許可書(甲1)及び同許可証(甲2)に、「留意事項」として、「平成10年6月5日に安中市長と締結した協定書の各条項を遵守すること」との記載があることからも明らかである。
 なお、「留意事項」は、あくまで「気を付けること」に過ぎず、「許可の条件」(行政講学上の附款、根拠法律は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(略称:廃掃法)第8条の2、第4項)とは異なり、何ら法的拘束力を持つものではない。このことからも安中市長の了解、すなわち本件協定書の締結が法令上の許可要件では無いことは明らかである。

4(県外規制条項の違法性)
①本件県外規制条項は違法であり、公序良俗に反し無効である。
②本件県外規制の趣旨は、群馬県内の市町村等以外の市町村からの一般廃棄物の搬入を認めないという内容であり、原告の営業権に対する規制である。
 ところで、一般廃棄物処理施設の設置許可及び維持管理基準として、廃掃法第8条の2、第1項及び同法施行令第4条乃至第4条の2の2は、下記の基準を定めるのみで、当該一般廃棄物が排出された場所等については、何らの規制もない。
 すなわち、廃掃法は、生活環境保全の見地から、廃棄物処理施設(最終処分場含む)の設置、維持管理に当たって、当該廃棄物の有害物質による地域住民への健康被害の防止の観点から技術上の規制及びこの技術上の規制を達成しうる設置者の能力に関する規制のみを定め、当該廃棄物が、当該処分場の設置されている地方公共団体から排出されたものか、他の地方公共団体で排出されたものであるかは全く規制の対象外としているのであり、処分揚が枯渇している本邦の現状に鑑みれば、法の趣旨は、廃棄物をどこから搬入するかは、事業者の自由に任せる趣旨であると考えられる(いわゆる法律の先占領域)。
    記

廃掃法第8条の2、第1項
1号 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画が環境省令で定める技術上の基準に適合していること。
2号 その一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。
3号 申請者の能力がその一般廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画に従って当該一般廃棄物処理施設の設置及び維持管理を的確に、かつ、継続して行うに足りるものとして環境省令で定める基準に適合するものであること。
4号 申請者が第7条第5項第4号イからヌまでのいずれにも該当しないこと。

* 上記環境省令(廃掃法施行規則)は、別紙に記載。

③本件県外規制条項は、法律の先占領域につき、より厳しい規制をなそうとする、いわゆる上乗せ規制であり、地方自治法15条1項に違反するものである。
 本件県外規制条項は、形式的には協定書の形態を取り、いわゆる講学上の「行政契約」と目されるが、既述したとおり、本件協定書第15条は、「乙(原告)が以上の項目を遵守することを条件に、甲(安中市)は、施設の設置を認めるものとする。」との条項が存在し、本件処分場許可取得に当たっては、本件協定書の締結が事実上強制されており、形式上は「契約」の形態を取るもののその実質は、中嶋博範前安中市長による行政規則の制定に他ならない。
 また、本件県外規制条項は、その合理性を全く欠く。
 どこの市町村であれ、現在、排出される一般廃棄物(産業廃棄物以外の廃棄物を云う。いわゆる家庭ゴミである。)に有害物質の含有量の多寡等の差異はない。そもそも、一般廃棄物の収集、運搬、処理は、地方公共団体の責務である(廃掃法第6条、第6条の2、第1項)。一義的には、当該市町村がその処理責任を負うが、廃掃法の基準に従い、許可を得た事業者にその処理等を委託することができる(同法第6条の2、第3項)。
 本件処分場に搬入される一般廃棄物は、当該市町村が廃掃法の基準に従い自ら収集したか、許可を有する受託者が廃掃法の基準に従い収集したものである。すなわち、全国一律の基準で収集されたものであり、現在、市町村による差異は、構造的に存在し得ない。まして群馬県内の市町村等と他都道府県内の市町村等との間に特段の差異は存在しない。
 本件協定書の目的は、廃掃法の目的である地域住民の生活環境の保全にある。上述したとおり、市町村等により、一般廃棄物の有害性に差異は存在しないのであるから、目的との関連性において、本件県外規制条項は、規制手段として全く無意味である。
 仮に、市町村等毎に一般廃棄物の有害性に差異があるとしても、第一に、群馬県内の一般廃棄物のみが他の都道府県内の一般廃棄物より有害性が少ないという客観的事実は存在せず、規制目的と手段の間に合理的な関連性がない。第二に、本件協定書第5条2項により、一般廃棄物を搬入するに当たっては、原告と被告と当該市町村等との間で三者間公害防止協定を締結せねばならず、この三者間公害防止協定を締結するに際し、個別、具体的に一般廃棄物の内容、有害性等を被告においてチェックできる体制となっており、より制限的でなくかつ効果的な規制手段が存在している。
 一方、本件県外規制条項により、搬入される一般廃棄物の総量を減少させるという規制目的も一考に値する。
 しかしこれは、総量規制という形で別途対応すれば足りる話しであり、かつ、本件協定書第6条2項において、「乙(原告)は、一日の搬入台数を20台以下とするものとし(後略)」という条項により総量規制がなされており、この見地からも本件県外規制条項は無意味である。
 以上のとおり、本件県外規制条項は、地方自治法15条1項に違反し、かつ、行政目的に対し、全く合理性を有しない違法な条項である。従って、民法90条の公序良俗に違反し無効である。

5(確認の利益)
①上述したとおり、本邦において処分場の枯渇は深刻な問題であり、一般廃棄物処理の責務を負う多くの市町村は、その搬入先(最終処分先)の確保に四苦八苦しているのが現状である。
 原告の下にも長野県内、栃木県内及び埼玉県内の複数の市町村から、「一般廃棄物を受け入れて(最終処分して)欲しい。」との要請がなされている。
 本件処分場に関しては、平成19年4月より搬入を開始したが、本件県外規制条項により、群馬県内の市町村以外からの搬入は現状では行えず、結果として、埋立容量に余裕があり、原告として、これら市町村からの要請は受諾可能な状態である。
②原告は、群馬県外の各市町村からの受け入れ要望に対し、これを受諾する予定であるが、本件県外規制条項の存在により実施することは困難である。
 原告は、本件県外規制条項は、違法、無効であり、かつ、法的拘束力を有するものではないと考えているが、本件県外規制条項を無視して本件処分場への搬入を断行した場合、本件処分場設置許可権者である群馬県知事より廃掃法に基づく行政処分がなされる可能性は否定できない。
 上述のとおり、被告が本件協定書の変更協議に応じる余地は無く、むしろ、被告においても公権的判断がなされることを希望している。
③以上のとおり、原告には確認の利益がある。

6(まとめ)
 よって、原告は、公法上の法律関係に関する確認の訴(行政事件訴訟法第4条)として、請求の趣旨記載の判決を求める。

証拠方法
甲1 一般廃棄物処理施設許可書
甲2 一般廃棄物処理施設許可証
甲3 協定書
甲4 廃棄物処理施設の設置に関する事務手続きの概要
甲5 群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程
甲6 廃棄物処理施設設置等構怨言に関する安中市長との調整について(通知)

添付書類
資格証明書 1通
委任状   1通
甲号証写し 各2通
                以上


【別紙】廃掃法施行規則 第4条(一般廃棄物処理施設の技術上の基準)、第4条の2(適正な配慮がなされるべき周辺の施設)、第4条の2の2(一般廃棄物処理施設を設置しようとする者の能力の基準)→内容省略

【安中市とサイボウとの協定書】
協定書
 群馬県安中市(以下「甲」という。)と安中市大谷229番地エサイボウ環境株式会社(以下「乙」という。)とは、乙が安中市大谷字西谷津1893番7外15筆に一般廃棄物管理型最終処分場(以下「処分場」という。)を設置するに当り、次の通り協定を締結する。
(法令等及び協議に付された事項の遵守)
第1条 乙は、法令等(関係法令、条例及び要綱)、特に夏棄物の処理及び清掃に関する法律、同法施行令、構造指針等の許可申請等又は事前協議において明らかにした事項を遵守しなければならない。
2 乙は、処分場を設置し事業を行っていくに当って公害の防止に万全を期さなければならない。
(用水計画)
第2条 乙は、処分場に必要な用水については、別に甲と協議する。
(搬入する廃棄物)
第3条 乙が処分場に搬入するものは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に定める一般廃棄物のうち、群馬県内の市町村及び一部事務組合(以下「市町村等」という。)の一般廃棄物の処理施設から排出された焼却残灰(熱しやく減量10%以下)、不燃物浅漬及び汚泥(以下「廃棄物」という。)に限定し、その他は一切搬入しないものとする。ただし、汚泥については別途三者間公害防止協定書の事前協議において、甲の承認を得たものとする。
(搬入する廃棄物の検査)
第4条 搬入する廃棄物及び搬入車両の検査は、処分場の搬入管理施設において、乙が責任を持って検査する。
(搬入の方法等)
第5条 搬入する車両は、すべて乙のトラックとする。
2 廃棄物を・搬入するにあたっては、甲、乙及び市町村等との間で別紙様式による三者間公害防止協定書を締結するものとし、協定がなされた市町村以外からの搬入はしてはならない。
3 乙は、搬入車両をいつもきれいな状態で使用整備をするものとする。
4 乙は、交通渋滞の発生防止に努め、甲が必要と認めた場合は退避場所等を設置して協力するものとする。
(廃棄物の搬入時間等)
第6条 乙は、処分場への搬入時間は、原則として8時30分から正午までとして、日曜、祭日は搬入しないものとする。
2 乙は、1日の搬入台数を20台以下とするものとし、時間調整をしながら分散して処分場に搬入するものとする。
3 処分場の開場時間内での団体等の視察及び見学については受け入れるものとする。                               
(進入道路)
第7条 乙は、工事期間中及び廃棄物の搬入については、道路管理者が関係機関と協議して定める新設道路及び県道高崎・富岡線から市道岩323号線、市道岩324号線並びに天白農道の一部(市道324号線に接続する100m以内)を経由して進入するものとし、その他は一切使用しないものとする。また、地元車両の通行は優先しなければならない。
2 乙は、前項の進入道路については幅員5.0m以上としなければならない。また進入道路を破損した場合は、甲の指示に従い、乙の負担により補修を行なうこと。
3 覆土の搬出入車両の通行は、第1項において特定する道路及び覆土置場用地に接する市道岩580号線の範囲内で道路管理者の許可を得た部分とし、その他は一切使用しないものとする。
(処分場の管理)
第8条 乙は、処分場の開場時間内は管理責任者を常駐させるものとする。
2 乙は、搬入される廃棄物が、設定した受け入れ基準に合戦しているかの検査及び搬入量の計量等を行うために、搬入管理施設を設置するものとする。
3 乙は、処分場の埋立地に搬入される対象廃棄物について、その種類、性状、有害物質の有無、搬入可能量、納入者の要件等の基本的項目を内容とする受け入れ基準を設定し、基準に合致しない物は受け入れないものとする。
4 乙は、廃棄物の受入状況を記録し、月毎に当該月齢了後、速やかにその結果を甲に報告するものとする。
(処分場の構造及び安全対策)
第9条 乙は、処分場の設置に当たっては、平成9年10月の生活環境審議会廃案物処理部会廃棄物処理基準等専門委員会報告の内容に適合した構造としなければならない。
2 乙は、処分場建設工事着工までに、処分場の建設、稼動及び廃案物の搬入等が周辺地域の生活環境に及ぼす影響について調査し、その結果を甲に報告するものとする。
3 乙は、甲から前項の結果について必要な指示を受けたときは、速やかに対応しなければならない。
4 甲は、処分場の建設に混たって、各部分の確実な施工が行われていることを確認するため、甲の指定する職員に立入り検査をさせ、乙から報告を求めることができる。
(地下水の監視及び報告)
第10条 乙は、処分場の浸出水による地下水汚染の有無を判断できる観測井戸を設置し、地下水の水質を定期に監視するものとする。
 なお、観測井戸の設置場所、地下水の水質検査項目、検査頻度等については、甲乙が協議して定めるものとする。
2 乙は、前項の水質検査の結果を記録、保存し、甲の求めがあったときは、速やかに報告するものとする。
3 乙は、地下水の水質に異常を認めたときは、直ちに甲に報告し、甲のほか監督官庁の指示を受けて、必要な措置を講じるものとする。
(住民保護)
第11条 乙は地域住民から出された要望事項等については、誠意を持って解決するものとする。
2 乙は、処分場の建設及び処分業務にあたり、地域住民に迷惑をおよぼさないよう最善の努力を払うものとし、地域住民が損害を受けたときは補償するものとする。
3 乙は、工事期間中及び処分場の操業期間中、学童の登下校時の事故防止及び一般歩行者の安全に十分な配慮を行い、必要に応じて誘導係員をおくものとする。
(農業用水の確保等)
第12条 乙は、処分場が、生活環境保全上の問題がないことが確認され閉鎖されるまでの間、処分場からの排出水を延長放流する地点までの農地耕作者(以下「耕作者」という。)のために、灌漑用ため池及び井戸を設け、乙の責任において、営農に支障がないよう農業用水を確保しなければならない。
 処分場閉鎖後においてもなお営農に支障があると甲が認めるときは、乙は、必要な措置を講じるものとする。
2 その他、乙は、処分場下流の営農に支障を来さないよう、耕作者に協力しなければならない。
(立入り調査等)
第13条 甲は、本協定の履行状況を確認するため、甲の指定する職員による立入り調査を実施し、必要な報告を求めることができることとし、乙はこれに応ずるものとする。
(転売の禁止)
第14条 乙は、他に施設、権利等一切を転売しないこと。
(施設設置の同意)
第15条 乙が以上の項目を遵守することを条件に、甲は施設の設置を認めるものとする。
(その他)      
第16条 乙は、事業内容を変更しようとするときは、甲に対して変更内容の協議申請を行わなければならない。
2 本協定書に定めのない事項又は疑義については、甲、乙協議の上決定する。

 この協定を証するため本書二通を作成し、甲、乙記名押印の上、各自一通を保有する。

 平成10年6月5日
  甲 群馬県安中市安中1丁目23番13号 安中市長 中島博範(公印)
  乙 群馬県安中市大谷229番地1 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫(社印)

【甲第1号証】
群馬県指令生環第591号
 安中市大谷229番地の1 サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫
平成10年6月11日付けで申請のあった一般廃棄物処理施設の設置について、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第8条第1項の規定により、下記のとおり許可します。
 平成11年8月30日 群馬県知事小寺弘之(公印)
      記
1 施設の種類
 一般廃棄物の最終処分場
2 処理する一般廃棄物の種類
 焼却灰、不燃ごみ
3 設置場所.・
 群馬県安中市大谷字西谷津1893-7、同1893-10、同1893-11、同1894-1、同1895、同1896-1、同1896-2、同1897-1、同1897-2、個1898-1、同1899-2、同1899-3、同1900-1、同1900-2、同1901、同1902
4 処理能力
 埋立地の面積 19,895m2
 埋立容量 262,655m3 (うち廃棄物量 198,516m3)
5 許可の条件
(1)平成11年7月の生活環境影響調査結果を踏まえ、周辺の生活環境保全上の支障を生じないもの.とすること。
(2)施設建設工事の着手から終了までの間で群馬県知事が予め通知して行う当該一般廃棄物の最終処分場に係る検査を受けること。
(3)理立期間は、(2)の検査を受け施設を使用できることとなった日から起算して15年間とする。
(4)株式会社サイボウ(埼玉県大宮市御町2丁目6番15号)の保証を受けた維持管理及び災害防止計画を適正に実施すること。
6 留意事項
(1)施設の設置(変更)に当たっては、各種関連法規を遵守すること。
(2)計画内容等に変更があった場合は当庁に速やかに連絡し、指示を受けること。
(3)施設の使用前検査申請書を提出し、職員の検査を受けること。
(4)廃棄物の処理及び清掃に関する法律第6条第1項に基づいて安中市が定める一般廃棄物処理計画に適合するものとすること。
(5)平成10年6月5日に安中市長と締結した協定書の各条項を遵守すること。

【甲第2号証】
一般廃棄物処理施設設置許可証
 内容は甲第1号証と同じ。

【甲第3号証】
サイボウと安中市の協定書
 内容は前述の通り。

【甲第4号証】
廃棄物処理施設の設置に関する事務手続きの概要
 (フロー図。略)

【甲第5号証】
群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程 平成5年3月31日制定 →内容省略

【甲第6号証】
(安保)平成6年3月18日
サイボウ環境株式会社 代表取締役 結城文夫 様
   安中保健所長(公印)
廃棄物処理施設設置等構想書に関する安中市長との調整について(通知)
 平成5年11月29日付けで提出のあった廃棄物処理施設等構想書について、安中市長の意見を求めたところ計画について了解が得られなかったので、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程第8条第5項の規定により安中市長との調整を指示します。
 安中市長と調整を要する事項等については下記のとおりです。
 なお、安中市長と調整した結果について、平成8年3月17日までに、調整結果報告言を提出してください。
 おって、期日までに調整結果報告書が提出できない場合は安中市長の了解が得られる見込みがないものと判断し、本構想書については、不承認としますので念のため申し添えます。
    記
調整事項
1.所管する法令等の手続きが必要事項
①森林法に基づく開発許可申請が必要となります。
②土地を使用する権利を取得する(通常の賃貸借を除く。)場合には、国土利用計画法に基づく「届出」が必要となります。
③場合によっては、都市計画法附則第4条に基づく「開発許可申請」の対象事業になります。
④都市計画法の開発許可申請の対象となる場合には、市の指導要領に基づく事前協議の対象となります。
⑤計画地に農振農用地域が含まれているので農業振興地域の整備に関する法律に基づく所定の手続きが必要。
⑥農地法等について法第5条の転用許可の手続きが必要。
⑦区域内の道水路(公共物)についての扱いを明確にするとともに必要手続きをとること。
2.計画実施にあたって留意すべき事項
①農業用水の利用上、その安全と確保を下流耕作者と調整すること。
②進入路について、道路管理者(土木課)と協議して計両すること。
③排水計画について、流末が既存の水路へ流入するが既存水路の改修等が必要と思われる。..
3.意見又は条件
①県外からの搬入
 県としては、首都圏の一般廃棄物が焼却灰に姿を変えて流入することは、好ましいことではないという考え方であるので、市としても県の基本的な考え方を踏まえ、又市民感情を考慮すると県外からの一般廃棄物の搬入は認めない。
②搬入台数
 1日の搬入台数は、20台以下とする。
③搬入時間
 原則として、午前8時から、正午までとする。
④協定書
 安中市と協定書を締結する。
⑤農道は、搬入路として使用しないこと。
⑥排水については、計画地下流に水田があるので営農に支障がないよう万全な対策を講ずること。
⑦当該地域内に埋蔵文化財の存在する可能性は少ないが、万一工事中に埋蔵文化財が発見されたときは、市教育委員会に連絡し、その指示に従うこと。
⑧申請者は他に、施設、権利等一切を転売しないこと。
**********

【岩野谷の水と緑を守る会】
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