■当会が安中市を相手取って6月13日に提起した行政訴訟事件「公文書不公開処分取消請求事件」の期日指定日が決まりました。本日午後2時10分過ぎに、前橋地方裁判所民事第1部(電話027-231-4275)の書記官から「裁判所としては、本件請求事件の期日指定日を7月20日(水)午前10時30分にしたい」という電話連絡があったのです。
安中市を震撼させた土地開発公社を巡る51億円余りに上る地方自治体としては空前絶後の巨額詐欺横領事件が発覚して16年が経過しました。当会がタゴ事件とよぶこの前代未聞の不思議な事件は、当会の粘り強い努力にもかかわらず、16年の歳月を経てもなお、真相の核心に辿り着けていません。
■一方、タゴ事件発生直後は、地方税の納税拒否者が続出した安中市民ですが、16年という歳月の経過にともない、次第に風化した感があります。
しかし、3年前の8月3日早朝に発生した多胡運輸による首都高タンクローリー横転炎上事故で、再びタゴ事件の暗部を世の中にさらけ出すきっかけになりました。
そして、昨年4月11日の安中市長選の投票日の翌日、4月12日に、藤岡市内に住むタゴ一家に、富岡在住の元古物商から一本の電話が入りました。
■当会が、今回の裁判の提訴に至った背景は、その電話の内容が発端でした。
安中市が当会に開示した書類によると、最初の電話があった時の状況は次のとおりでした。( )内は当会の推測です。
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○平成22年4月27日(火)
債務者:■■■■(多胡邦夫)の妻、■■■■(多胡春美)様より電話有り。
富岡市の■■(石原)様から4月12日に、「■■■■(多胡邦夫)さんから預かっていたのでお返しする。」とのことで絵画等6点を保管している。土地開発公社で引き取って処分していただき、■■■■(多胡邦夫)の損害賠償金に充ててもらえないか。ただし、本物がどうかは不明である。という内容であった。
同日、土地開発公社3役及び事務局で協議し、引き取る方向付けが出されたため、■■■■(多胡春美)様へ「引き取る」旨電話連絡を行う。
※絵画等を引き取るための準備を進める。
○平成22年5月7日(金)
■■■■(多胡春美)様宅へ訪問し、絵画等を預かる際に提出していただきたい書類について説明し理解を得る。債務者である■■■■(多胡邦夫)の署名・押印、及び提出者である妻■■■■(多胡春美)様の署名・押印をお願いする。
○平成22年5月11日(火)
■■■■(多胡春美)様から書類の準備ができた旨電話有り。日程調整の結果、5月14日(金)に引き取りに伺うこととなった。
○平成22年5月14日(金)
■■■■(多胡春美)様宅訪問。「提出書」を確認後、絵画等6点を確認し引き取る。持ち帰り保管する。
○平成22年5月21日(金)
安中市土地開発公社理事会に報告
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■一方、この時期の岡田義弘安中市長の行動についても見てみましょう。
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平成22年7月4日発行岡田義弘後援会季刊誌「市長の一日」より抜粋
4月26日(月) 9:30土地開発公社打合せ
4月27日(火) 9:30土地開発公社打合せ
14:00富岡市訪問対話
15:30藤岡市訪問対話
16:00収納課打合せ
5月7日(金) 13:30土地開発公社理事会
14:00土地開発公社監査
5月14日(金) 9:00友愛訪問(市内)※終日
5月17日(月) 8:30公社打合せ
5月21日(金) 15:30土地開発公社理事会
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■市長2期目の昨年4月~5月にかけて岡田市長の行動を推測すると、平成22年4月26日(月)の朝と同27日(火)の朝、立て続けに岡田市長は土地開発公社で打合せを行っています。そして、4月27日(火)の午後2時から富岡と藤岡に出かけています。
タゴの妻の多胡春美が、4月12日(月)に富岡市在住の石原から、絵画等6点の返還について電話で打診されていたのに、半月もの間、タゴの妻が安中市役所に電話をしなかったのか、非常に疑問があります。タゴの妻は、夫と一緒に市議時代に土地開発公社の仕事で一緒だった岡田市長のことを知らないはずがないからです。当然、富岡在住の石原から電話をもらった時、すぐに、夫を通じて、岡田市長のところに連絡を取った可能性が高いと思われるからです。
■にもかかわらず、安中市が開示した資料では、タゴの妻から公社に電話があったのが4月27日だとされています。そして、同日、土地開発公社3役及び事務局で協議し、引き取る方向付けが出されたため、タゴの妻に「引き取る」旨電話連絡を行ない、絵画等6点を引き取るための準備を進めたことになっています。
他方、岡田市長の「市長の一日」では、平成22年4月27日(火)の行動は、朝9時半に公社で打ち合わせて、午後は2時から富岡市と藤岡市を訪問して午後4時に市役所に戻ったことになっています。この間、公用車を使用しない岡田市長は自分の車で自分が運転して、公務時間内に、富岡市内の石原宅と、藤岡市内にあるタゴ夫婦宅を訪問した可能性があります。
この日、公社の事務局は、藤岡にいるタゴ夫婦と電話連絡を行い、タゴのお宝である絵画等6点を「引き取る」と電話をしたことになっていますが、実際には、公社理事長自ら、タゴのお宝の保管者と所有者の自宅を2か所回ったことになります。やはり、タゴ事件のことは他の職員には任せておけないよほどの理由がありそうです。
■次に5月7日(金)に、公社関係者は藤岡在住のタゴ夫婦宅を訪問して、預かり書類の手続やタゴの署名押印について説明したことになっていますが、岡田市長はこの日、午後1時半から2時にかけて土地開発公社の知事会と監査のため、市役所に留まったことになっています。
5月11日(火)に、タゴの妻から書類の準備ができたと電話で連絡が安中市役所に入り、公社では、5月14日(金)にタゴのお宝を藤岡にあるタゴの自宅まで引き取りに行くことにしたとなっています。
そして、平成22年5月14日(金)に、公社関係者がタゴの自宅を訪れ、書類を確認してから、タゴのお宝の絵画等6点を確認して、引き取り、市役所に持ち帰って保管したことになっています。一方、この日の岡田市長の行動は、午前9時から午後2時まで「友愛訪問(市内)」と称して、外出していたことになっています。ということは、公社の開示資料にあるとおり、岡田市長=公社理事長以下、公社幹部らが、揃い踏みで藤岡のタゴの自宅に行き、警察の目を掠めて、タゴの親友の古物商で元かんら信金(現・しののめ信金)職員が保管していたタゴのお宝の絵画等6点を引き取って市役所に持ち帰ってから、どこかに保管し続けていることになります。
■今回のタゴのお宝のビジュアル情報、すなわち絵柄の非開示処分の取り消しを求めた裁判では、もちろん、タゴが隠していた絵画等6点の真贋を、市民の手によって確かめることが主目的ですが、このことにより、タゴ事件の使途不明金額である14億円余りの内訳についても、この裁判を通じて、有益なヒントがつかめるのではないかという期待があります。
きたる7月20日(水)午前10時半からの初回裁判までにどのような答弁書が安中市から提出されてくるのか、また、初回裁判に、岡田市長自ら被告席につくのか、それとも、市の顧問弁護士に訴訟依頼を行うのか、今後の成り行きに注目が集まります。
【ひらく会事務局】