市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

鉱山保安法改正後2年経って遅出しジャンケンでサンパイ場が作れた東邦亜鉛の自民党献金効果

2012-02-07 23:29:00 | 東邦亜鉛カドミウム公害問題
■カドミウムをはじめとする重金属を含む排水や煤塵で周辺・下流地域を汚染し続けている東邦亜鉛㈱が、同社安中製錬所のある安中市の岩野谷地区で初となるサンパイ場を平成19年にこっそり造成し、それをまもなく稼働させるために群馬県知事に対して産業廃棄物処理施設設置許可申請を行っています。年末年始のドサクサにまぎれて平成23年12月27日から平成24年1月26日まで公告・縦覧を行い、いよいよ2月9日に安中市長及び利害関係者からの意見書の受付を締め切り、3月末の設置許可を目指して、最後のセレモニーを行っています。


自民党の政治力を最大限利用して、公害問題の封じ込めを図る東邦亜鉛。
 これまで、東邦亜鉛による亜硫酸ガスによる大気汚染、カドミウム等重金属による水質汚染と土壌汚染に悩まされてきた地元岩野谷地区の住民は、このサンパイ場が地区にとって初めてのサンパイ場として稼働することから、住環境、生活環境、営農環境、自然環境などの観点により、地域の将来にとって重大かつ深刻な影響を与えることになる為、東邦亜鉛はもとより、許認可を行う国や群馬県、そして安中市に対して、安易に許可を出さないよう強く要請してきました。

■同社のサンパイ場から最も近い地元住民の場合、サンパイ場の敷地境界から僅か220mしか離れておらず、岩野谷地区のうちサンパイ場が作られる北野殿に住む数百名の住民にとって、サンパイ場と隣接して暮らしていかなければならないことになり、そうでなくでも公害地のイメージが払拭できず、若い世代が地区に定住したがらない現状にくわえ、サンパイ場のある地域という負のイメージが加速し、ますます人口減少に拍車がかかることが懸念されます。

 また、東邦亜鉛安中製錬所の周辺に広がる重金属まみれの農地を所有する住民の場合、公害問題が昭和40年代前半に浮上して以来、降下煤塵による重金属汚染農地の除染をいまだに東邦亜鉛がやろうとしないため、このうえさらにサンパイ場を作られては、ますます安全な農産物の生産はもとより、販売するにしても、ただでさえコーデックスの定めた重金属含有基準をもとに国内法として改正された食品衛生法をクリアすることが困難な現状に加え、サンパイ場の付近で生産された農産物という負のイメージが加速し、ますます農地の耕作放棄に拍車がかかることが懸念されます。

■そのため、東邦亜鉛のサンパイ場計画による地域への悪影響は必至だとして、先日、縦覧最終日の1月26日(木)午前8時半に、北野殿の区長代理ら地元住民ら5人が高崎市台町にある西部環境森林事務所を訪れて、サンパイ場資料を閲覧しました。

 当会はすでに1月24日に群馬県庁にある廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係(TEL027-226-4861)を訪れて資料は縦覧済みでしたが、担当職員が「縦覧をしていない住民が意見書を出しても、本来事業に関する資料を見ていないのだから、正しい意見書としては当然見なされない」という趣旨の発言を行ったため、急遽、地元の区長(あいにく仕事の都合で当日参加できず)及び区長代理らに通報して、きちんと閲覧しておく必要があると進言するとともに、彼らと一緒に再度資料に目を通しました。

 資料閲覧の際に、地元住民らは担当窓口の松本潔示氏に、なぜ縦覧が年末年始休暇の時期で、平日の、それもオフィスタイムのみで、群馬県庁と高崎市台町の2箇所だけなのか、について疑問を提示し、「せめてあと2週間ほど縦覧期間を延長してほしい」と要望しました。また、「今からでも遅くないので、ホームページでいつでも縦覧資料を見られるようにしてほしい」と依頼しました。しかし、松本担当は「縦覧は法律で告示の日から1ヶ月間と決まっている。ホームページに掲載をするよう義務付けられていない」とネガティブな回答でした。それでも最後には「いちおう縦覧期日は、意見書の締切日の2月9日まで有効にしてもかまわない」と少しだけ譲歩しました。

 2時間近くかけて資料の閲覧を終えた地元住民らからは、「騒音の調査結果を見ると深夜0時から朝の6時までしかない。実際には午前4時から5時にかけて、いわき市の小名浜製錬所からダンプで運ばれてきた粉末の焼鉱を荷降ろしした後、ダンプが荷台に付着した粉末鉱石を払い落とすために、車体を前後に揺さぶり、荷台後部にあるフラップ扉をバタン、バタンとさせる音がうるさくて、未明から起こされる始末だ」とか「普通、こういうサンパイ場が作られるときは事前に周辺の住民の同意書をとられるはずだが、今回なにもそういう経過がなかった」などという質問が出されました。

 そこで、さっそく窓口の松本担当に対して、「サンパイ場設置計画では事前協議として付近の住民など利害関係者の合意書を取得する必要があるはずだが、どのような範囲の住民の合意書が必要なのか、教えてほしい」とお願いしました。

 すると、松本担当は「群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程」というファイルを持ってきて、「同規程の中で次の関係者からの合意書の取得を指示している」と教えてくれました。

<事業者が合意書の取得を群馬県から指示されている利害関係者>
 ①廃棄物処理施設の設置場所の土地所有者の全員
 ②廃棄物処理施設の敷地境界から20m以内にある土地の所有者及び使用権原を有する者の全員
 ③廃棄物処理施設の敷地境界から50m以内の地域に居住する者(複数の者が一の世帯を構成する場合には、その世帯主)の全員
 ④廃棄物処理施設の敷地境界から300m以内の地域に居住するもの(複数の者が一の世帯を構成する場合には、その世帯主)の5分の4以上
 ⑤廃棄物処理施設からの排水等を放流する河川、水路等(河川等)の管理者の全員
 ⑥廃棄物処理施設からの排水等を河川等に放流する場合(雨水のみを碓氷排除溝等によって排水ウする場合その他これに類する場合で明らかに生活環境の保全上の支障がないと認められるときを除く)、放流地点の下流およそ500m以内の水利権者及び同じくおよそ500m以内の農業者等の利用者又は当該利用者の団体の長
 ⑦廃棄物処理施設(地下浸透防止措置が講じられている施設を除く)から500m以内の地域から湧出する地下水又は湧水の利用者の全員
 ⑧前各号に定める者のほか、知事が特に合意を得ることが必要であると認めた者

 さっそく、縦覧資料の中にあった地図を取り出して、地元住民らが調べてみると、5人のうち1人の住民の住居敷地が、上記④に該当することが分かりました。おそらく北野殿に住んでいる30戸前後の家がサンパイ場から300m以内にあると思われます。

 そこで、地元住民から「住民の中には、こういうサンパイ場のような迷惑施設の計画が立てられる場合、かならず実施される事前協議の手続がなぜ行なわれていないのか?」とたずねた所、松本担当は「それは県庁のリサイクル課が決めたことなので、そちらに聞いてほしい」とはぐらかしました。さらにしつこく聞くと、「この東邦亜鉛のサンパイ場の場合、既に同社が住民説明会を行っていることと、同社が国の鉱山保安法の監督下から外れることになり、一般法である廃棄物処理法が適用になったということで経済産業省の技術基準に適応しており問題ないという文章が同省から群馬県に出されたため、これらを勘案して県庁のリサイクル課が事前協議を不要と判断した」と説明しました。

■これを聞いた地元住民は仰天し、“なぜ事前協議を不要にしたのか”“その根拠となった経済産業省からの書状の内容はどのようなものだったのか”を知る必要があると考えて、窓口の松本担当に「すぐ県庁のリサイクル課の笛口課長か安村次長に電話をして、これから地元住民がそちらに言って、事前協議を不要とした理由と、国から県に出された手紙の内容を教えてもらえるように依頼してほしい」とお願いしました。

 実際には、緊急な用事ができたため、1月26日には県庁リサイクル課を訪れることができなかったので、2月7日にあらためて県庁を訪れ、必要な情報を聴取し、関係資料の入手に努めました。

■2月7日午前11時半に県庁を訪れた地元住民らは、さっそく、群馬県廃棄物リサイクル課の吉田課長補佐らに面談し、「なぜ、事前協議を省略するという判断=意思決定をしたのか。またその根拠とした国からの書状の内容について説明してほしい」とお願いしました。

 事前協議の省略については、吉田課補によると「国からの手紙で東邦亜鉛のサンパイ場が国の鉱山保安法に合致しているという趣旨なので、県が独自で定めている事前協議規程を適用する必要は無いと判断した。根拠としては、群馬県廃棄物処理施設の事前協議等に関する規程の“第二章 事前協議(協議対象施設)第8条”にある、“ただし国又は地方公共団体が廃棄物処理施設の設置等を行う場合又はこれに順ずるものとして知事が認めた場合は、この限りではない”という条項だ」という説明でした。

 国からの書状2通については、即日開示という形で、その場で写しを交付してもらいました。それには次のように書かれています。

【経産省から群馬県知事宛の書状】**********
                    平成22・12・14関東産保第6号
                    平成22年12月16日
群馬県知事 殿
                         関東東北産業保安監督部長
鉱山保安法の適用を外れる安中製錬場施設の一般法への移行となることについて
 拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
 平素は、当部の鉱山保安行政に対し、ご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、対州鉱山附属安中製錬場(藤岡事業所を含む。以下同じ)につきましては、平成16年の改正鉱山保安法前の旧法下においては「鉱山保安法第2条第2項ただし書きの附属施設の範囲を定める省令(平成12年通商産業省令第407号)」において、対州鉱山の附属施設として、対州鉱山の鉱石を受け入れた遠隔地附属製錬場と位置付けられていました。
 平成17年4月1日、改正鉱山保安法が施行され、同省令が廃止されたごとにより、事実上、対州鉱山の鉱石の受け入れをしていない安中製錬場は、鉱山保安法が適用とならない独立製錬場に該当することとなりました。
 このため、平成17年4月1日以降安中製錬場を鉱山保安法の適用外施設とすべく貴県と調整を行ってきたところでありますが、今般、対州鉱山が事業の休止認可を受けることから、安中製錬場は対州鉱山の附属施設とならなくなります。
 ただし、鉱山保安法第17条の規定により、「製錬場に附属する鉱さいの集積場(東鉱保第10号、第12号)」については、引き続き鉱山保安法上の管理義務が残ります。
 以上のことから、鉱山保安法の適用を外れ一般法への移行となる施設について下記のとおりお知らせいたします。
                            敬具
                     記
  対州鉱山附属安中製錬場の施設のうち鉱山保安法の適用を外れる施設
    ・製錬場 (東鉱保製第28号)
    ・ダイオキシン類発生施設(東鉱保ダイオキシン第1号、第2号、第9号、第10号、第11号、第12号、第13号、第14号、第15号、第16号、第17号、第18号)
    ・鉱業廃棄物の坑外埋立場(東鉱保鉱外埋第4号)
(丸判:群馬県22.12.17廃棄物政策課収受)

**********

【経産省から群馬県環境森林部長宛の書状】*******
                     平成22年12月16日
群馬県環境森林部長 殿
                関東東北産業保安監督部鉱害防止課長(田口の印)
対州鉱山附属安中製錬場の一般法移行に伴う鉱業廃棄物の坑外埋立場の扱いについて
 常日頃、鉱山保安監督行政にご理解ご協力を賜り誠にありがとうございます。
 対州鉱山の附属製錬場である安中製錬場については、「鉱山保安法の適用を外れる安中製錬場施設の一般法への移行について(平成22年12月16日付け平成22・12・14関東産保第6号)」においてお知らせのとおり、正式に鉱山の附属製錬場でなくなることとなりました。
 つきましては、鉱山保安法下において設置された下記特定施設に係る工事計画届、検査結果の写しを別添のとおり送付いたしますので、一般法移行後は、貴県において廃棄物処理法に基づく指導監督を行っていただくこととなるので、よろしくお願い申し上げます。
 なお、下記特定施設は、鉱山保安法の技術基準に適合するよう設置されたものであり、鉱害防止上もなんら問題ないことを確認しております。
 この件についてのご不明な点その他必要資料等なにかございましたら、当課担当滝田・平田までお問い合わせいただければ幸いです。
              記
1.受理年月 日   平成19年4月24日(平成19・04・24関東産保第24号)
            (平成21年2月26日(平成21・02・26関東産保第9号)変更)
2.特定施設の番号   東鉱保鉱外埋第4号
3.特定施設の種類   鉱業廃棄物の坑外埋立場
4.設 置 場 所   群馬県安中市中宿1443番地 安中製錬場内
5.能 力・規 模   新規残土置場
            面  積:  2,350㎥
            埋立容量: 13,420㎥
(丸判:群馬県22.12.17廃棄物政策課収受)

**********

■驚くべきことに、群馬県は、通産省の担当部署である関東東北産業保安監督部長と同部鉱害防止課長の名前で出された2通の書状にもとづき、東邦亜鉛のサンパイ場は「鉱山保安法下において設置された本件施設の工事計画届と国の検査結果が送られてきたのと、鉱山保安法の技術基準に適合するよう設置されたもので鉱害防止上も問題ないと、国のお墨付きが出ている。だから一般法に移行後、群馬県において廃棄物処理法に基づく指導監督を行うのだ」と判断し、その過程で群馬県が定めた事前協議の規程を省略するという暴挙を行なったのです。

 このように、西部環境森林事務所の縦覧窓口担当者は「東邦亜鉛のサンパイ場の事前協議省略を判断したのは県庁リサイクル課だ」とし、県庁リサイクル課の担当者は「事前協議の判断の根拠となったのは国から鉱山保安法できちんと検査済みとの通知があったため、事前協議省略を決めた。その根拠は、東邦亜鉛のサンパイ場は、国又は地方公共団体が廃棄物処理施設の設置等を行う場合に順ずるものだとして群馬県知事が認めたからだ」というのです。

 また、一昨年の平成22年12月18日(土)に行われた地元説明会は、上記2通の平成22年12月16日付の経済産業省関東東北産業保安監督部から群馬県あての書状のわずか2日後に開催されたことも判明しました。さらに、県庁リサイクル課の説明によると、住民説明会のあと、翌平成23年1月ごろ、東邦亜鉛が安中市と地元岩野谷地区の代表区長に、本件サンパイ場計画について説明し、「特段異論は出なかった」と県庁リサイクル課に口頭で報告し、同課もそれをもって、安中市への説明もきちんと手続されたと判断していたことが分かりました。しかし、その報告については、口頭だけで、書面は一切残されていないことも分かりました。

■これは明らかに、国と群馬県と安中市と東邦亜鉛が癒着していることを示しています。

 つまり、平成22年12月16日に国から県に東邦亜鉛のサンパイ場について通知があり、その2日後の同年12月18日に地元説明会が開催され、平成23年の年明け早々に東邦亜鉛が安中市に口頭で説明し、さらに地元岩野谷地区の代表区長にも説明し現地案内したというのです。

 そこで、地元住民らは「東邦亜鉛がほんとうに地元岩野谷地区の当時の代表区長をサンパイ場予定地に案内して現地説明をしたのかどうか。文書等による証拠はあるのか」と強く問い質したところ、県庁リサイクル課は「たしかそのような記憶があるが、念のため、このあと東邦亜鉛の総務課あたりに電話をして、事実関係についてあらためて確認する。結果はおって報告したい」と答えました。いかに県と東邦亜鉛の関係が親密でナアナアであるかがよく分かります。

 そして、平成23年4月26日に東邦亜鉛が群馬県知事宛にサンパイ場設置許可申請を行い、その後、おそらく平成23年夏から秋にかけて東邦亜鉛が㈱環境技研に委託して「地域の生活環境への影響調査」を実施し、平成23年11月に東邦亜鉛が県庁リサイクル課に生活環境影響調査報告書を提出しました。

■廃棄物処理法の手続によると、地域の生活環境への影響調査を最初に実施してから、サンパイ場の設置許可申請(設置計画、維持管理計画、災害防止計画、生活環境影響調査)が県知事に出されて、その後、告示・縦覧が行われることになっていますが、東邦亜鉛のサンパイ場計画では、最初に設置許可申請が出された後、生活環境影響調査が行われています。

 しかし、その報告書を見ると、騒音や振動の環境数値については平成23年9月16日(金)の時点としながら、現況騒音・振動については、平成22年12月7日(火)としているなど、明らかに矛盾したデータとなっています。

 つまり、鉱山保安法が平成16年10月1日に改正され、平成17年4月1日から施行されたことから、本来であれば東邦亜鉛は鉱山保安法の庇護の下から外れたにもかかわらず、平成19年4月24日に鉱山保安法によりサンパイ場の設置届を経産省関東東北産業保安監督部に出していたのです。東邦亜鉛の遅出しジャンケンを国が認めていたことになります。

 また、吉田課補の事前協議の説明の中で気になる発言がありました。それは、事前協議は「あくまで任意である」という発言と、「第22条で定めた利害関係者からの同意書はあくまで生活環境影響調査時の立ち入りに関する合意のことであり、事業そのものについての合意の有無について、求めているわけではない」という発言でした。

 前者は、これまでにも当会が何回も県庁の担当職員から聞いた言葉です。一方で、事前協議は行政手続法の観点から事前に指導しておき、業者からのクレームを少なくしたり、住民側の理解を得るためにも必要だ、という説明も県の担当職員らから、よく聞かされました。実際には、本申請を簡単に済ませるために、事前協議に時間をかけて実施するのが群馬県の担当職員の釈明の常でした。ところが、東邦亜鉛のサンパイ場だけは、事前協議を省略した上に、本申請も簡単に済ませようという思惑のようです。

 合意書についても、県庁の職員の認識は非常にお粗末です。事前協議規定に添付されている合意書は、「生活環境影響調査等関係準備事務に関する合意書」と題していますが、本文は次のとおりの記載となっています。

**********
甲(サンパイ業者)が設置等を計画している下記の廃棄物処理施設について、乙(地元住民)は次の事項に合意する。
第1 甲は、下記の廃棄物処理施設にかかる事前協議所及び見解書に基づき、生活環境影響調査及び関係準備事務に着手すること。
第2 甲は、生活環境影響調査が終了した時は、当該調査の結果を乙ほか関係地域内の住民に対して説明すること。
第3 甲は、下記の廃棄物処理施設の設置及び維持管理に関する計画を作成するに当たっては周辺地域の生活環境の保全について、より一層の配慮がなされるよう務めること。
第4 乙は、甲が生活環境影響調査のため、乙が権原を有する土地又は建物等に立ち入り、又は観測器具等を設置する必要があるときは、当該土地又は建物等の使用に協力すること。
第5 第1から第4までに定める事項のほか、甲は、事前協議書及び見解書の内容を遵守するとともに、この合意が締結された以後においても関係地域住民等に誠実ある対応をすること。
第6 その他の合意事項
        記
施設の種類:
処理する廃棄物の種類:
設置場所:
処理方法、構造及び設備の概要;
(注)1 合意書の住所、氏名欄は、合意者本人が自署押印すること。
   2 設置場所欄は、設置場所のすべての地番を記入すること。
**********

 県庁職員が言うように、確かに事前協議にともなう調査等関係準備事務に関する合意書なのかもしれませんが、サンパイ業者が事前協議を進めることについて関係住民として合意するわけなので、実質的にはサンパイ業者にとっては、関係住民の事業賛成の証拠としての御墨付きとなるわけで、地元住民としては、その重みは決して軽いはずがありません。にもかかわらず、県職員の事前協議に関する認識は非常にお粗末です。

■念のため、国の言い分も聞かなくてはなりません。地元住民は、県庁リサイクル課の担当者から国の本件担当者の電話番号を聞きだして、さっそく電話をして、上記の2件の群馬県に対する書面出状の理由や背景について質しました。関東東北産業保安監督部公害防止課(TEL048-600-0449)の滝田技官と40分ほど電話で聴取した結果、次のことが判明しました。

(1)本件サンパイ場は平成19年4月24日に鉱山保安法第15条の規程により設置届が受理され、平成19年夏には完成した。
(2)一方、鉱山保安法は平成16年に改正公布され、平成17年4月1日から施行された。
(3)この法律の改正は、東邦亜鉛のように、かつては自山鉱の鉱石を精錬していた製錬所はすべて鉱山保安法の適用を受けていたが、その後、経済状況や円高のため海外の鉱石を使用するようになり、実質的に鉱山保安法の適用に無理がでてきたため、きちんと実態に即した法律に改正したものだ。
(4)東邦亜鉛の場合、過去に公害問題も起こした曰くつきの会社のため、それまで一般法ではなく、鉱山保安法のなかで通産省が管理監督してきた。
(5)それが上記の平成17年の鉱山保安法改正により、東邦亜鉛が、自山鉱の山元製錬所ではなく、よそから鉱石を持ってきて事業を行うということで、一般の製錬所となんら事業形態が変わりないという状況にあること、また、昔と異なり、公害防止への対応が進んでいることから、再度、実態を見直す必要が出てきた。
(6)実際に、東邦亜鉛が自山鉱としてきた対馬の対州鉱山を監理する九州の鉱山保安監督所も、すでに稼動がとまってからずいぶん時間が経過するのに、まだ東邦亜鉛が鉱山保安法の適用を受けているのか、と実態に合わない現状について、経産省に是正を求めていた。
(7)そこで、東邦亜鉛も一般法の中で見ていこうということになったが、いきなり平成17年4月1日の鉱山保安法改正日をもって、それまでの管理監督のやり方をプツンときってしまうと、それまで鉱山保安法の庇護の下で、長年にわたり脈々と事業をしてきていたことから、法改正に基づき、突然なにもかも変更することは手続き上むずかしいのではないか、という意見がでてきた。
(8)それは、国会答弁で示されたもので、ある一定の猶予期間が必要ではないか、という意見であった。すなわち平成16年5月18日に国会で開催された衆議院経済産業委員会の席上、付帯決議として鉱山保安法改正に伴う猶予について自民党の発議で決定されたという経緯がある。
(9)ただし、この付帯決議には、猶予期間について具体的な日数や月数は明記されていない。
(10)この付帯決議をもとに、国としては東邦亜鉛が鉱山保安法に基づいて作ったサンパイ場について、それを一般法に移行するにあたっては、県と協議をしてきちんと引き継げるように、猶予期間を与えた。
(11)このため、平成17年4月1日に鉱山保安法が改正された後、2年たっても、まだ経過措置が適用されて、東邦亜鉛がサンパイ場を旧鉱山保安法の適用のもとに作った。

■以上の経緯が判明したことから、当会がこれまで再三指摘したとおり、東邦亜鉛が熱心に自民党関係議員に献金を続けていることの理由が浮き彫りにされました。

 つまり、東邦亜鉛が自民党に長年にわたり多額の政治献金をしてきたのは、こうした国会でのロビー活動がものをいって、実際には、遥か昔から、海外の鉱石を輸入して製錬事業を行ってきたにもかかわらず、鉱さい等の廃棄物を、山元の製錬所と同様に自由に工場周辺の敷地内に捨てることができたのでした。

 そして、もはや安中製錬所の敷地内で捨て場所がなくなった時期に、鉱山保安法がいよいよ改正され、東邦亜鉛もいよいよ一般事業者としての製錬所と見なされることになる為、いまのうちに20年分の廃棄物の捨て場所を確保しておかなければならない、と判断して、政治力をつかって国や県や市に、遅出しジャンケンで、サンパイ場の造成手続を特別に認めさせたのでした。

■また、地元住民らが、3.11東日本大震災と福島第一原発事故による放射能汚染がれきの持ち込みについて、いわき市の東邦亜鉛小名浜製錬所等からの搬入可能性について懸念していることを告げたところ、関東東北産業保安監督部は「小名浜製錬所はすでに昨年半ばには一般法(=廃棄物処理法)の適用を受けており、そこで生じた廃棄物はきちんと一般法に基づいて処分されているはずだから、心配要らない」と説明しました。

 住民側としては、「同じ会社同士で廃棄物の受け渡しを行う場合にはマニフェストがないため、そうした懸念がつきまとう」ことを強調しました。しかし同技官は「そのようなことがおこるはずがない。東邦亜鉛は昔と違って、ちゃんとやるようになっているはずだ」と繰り返すのみでした。

■また、東邦亜鉛のOBが地元岩野谷地区で、東邦亜鉛周辺の重金属汚染農地をたばねて、メガソーラー事業による土地利用法に関する資料を配っている実態を告げ、「メガソーラー計画も推進している通産省に所属する産業保安監督部としてはどう思うか?」と質問してみました。すると、同部担当者からは「現在、周辺の農地は耕作放棄をされているところが多いと聞いている。国も自然エネルギーに軸足を置くという姿勢も見せていることから、メガソーラー計画はたしかに実地に即したアイデアだと思う」などという感想がありました。

 どうやら、今年の元旦に安中市長の岡田義弘氏が、市長の挨拶として発表しながらも、住民の指摘をうけて、なぜか「一地権者の立場で申し上げた」ことになった「メガソーラー計画」は、あながち荒唐無稽ではなさそうです。我々地元住民の知らないうちに、国や県や市や東邦亜鉛がいろいろ画策していることも十分考えられます。

 その証拠に、当会が平成24年1月20日付で群馬県知事宛に出した東邦亜鉛周辺の汚染土地とはじめ県下でいま動いているソーラー発電計画に関する情報公開請求で、群馬県知事(事務担当課:企画課科学技術振興室TEL027-226-2321)から、本来2月3日までに開示通知が出されるところ、「請求対象文書の範囲の確定や、開示・非開示の判断等に時間を要する」として、3月16日まで決定期間延長を通知してきました。どうやら、何か具体的な動きのあることを示唆しているようです。

■以上の通り、東邦亜鉛のサンパイ場については、国も群馬県も安中市も、既に東邦亜鉛とは水面下で協議が全部済んでおり、知らぬは地元住民ばかりなり、という実態があきらかになりました。東邦亜鉛はサンパイ場をつくる資金はあっても、アスベスト処理の対策費は節約するつもりのようです。さらには、昭和40年代から半生記にわたり課題となっている重金属汚染土壌の除染問題については、あいかわらず頬被りを続ける所存のようです。

 東邦亜鉛は、これまで自民党に対して多額の政治献金をおくり、自民党はそれに十分答えてきたことから、今後も東邦亜鉛は引き続き、巨額のコストがかかる工場周辺の重金属汚染対策については、時間稼ぎのため、のらりくらりとした対応をとることが予想されます。また、東邦亜鉛から長年、政治献金を受けている安中市や群馬県の政事関係者としては、引き続き東邦亜鉛の都合に加担するほうがメリットのある選択だ、と考えていることでしょう。

■あと2日に迫った意見書の提出期限を控えて、当会は東邦亜鉛のサンパイ場設置に伴う問題点を浮き彫りにして、きちんと意見書を提出してゆく所存です。

 なお、一般法=廃棄物処理法によれば、2月9日の地元利害関係者と安中市への意見聴取の期限後は、審査と称して技術上の基準、申請者の能力及び適格性、周辺地域の生活環境への適正な配慮の観点からチェックをした後、最後に、専門委員会に意見聴取をした後、遅くとも今年3月末までに許可が出されるという手順になっています。

 そのあと、本来であれば、施設設置工事着工届が出され、使用前検査(完成検査)を経て、施設の運営開始となりますが、東邦亜鉛サンパイ場だけは、国や県や市の庇護の下で、遅出しジャンケン手続だったにもかかわらず、設置工事だけは早出しジャンケンで既にサンパイ場は完成しており、新年度早々、東邦亜鉛はサンパイ場を稼働させることでしょう。

【ひらく会・東邦亜鉛公害問題対策タスクフォース】

※参考資料<平成22年12月18日の地元説明会配布資料から>

「適用法令変更と新工場稼働に関して」
と き 平成22年12月18日
ところ 岩野谷公民館
 安中製錬所を管理する法律がかわります
 東邦亜鉛㈱安中製錬所は、このたび、水質・大気及び廃棄物の処理などについて、一般法(公害関係法令、廃棄物処理法)に基づいて群馬県の管理監督を受ける事業所に移行する方針を決定いたしました。
1.鉱山保安法から一般法への変更経緯
1)東邦亜鉛㈱安中製錬所は、長崎県対馬市にある対州鉱山の附属製錬所として、これまで経済産業省の監督の下に「鉱業法・鉱山保安法」という特別法の適用を受け、国の機関(関東東北産業保安監督郎)によって管理監督されていました。
 そのため、水質・大気の公害防止や廃棄物の処理については、これまで、鉱山保安法に基づく規制が行われてきました。
2)平成17年に鉱山保安法が改正され、鉱石を採掘していない鉱山の附属製錬所を「鉱業法・鉱山保安法」の適用から外し、一般法に移行させる方針が、国において決定されました。
 当社では、これまで関東東北産業保安監督部及び群馬県環境森林部のご指導を受けながら、安中製錬所の一般法移行に関して問題点の洗い出しや具体的な手続きの調整を続けて参りました。
2.安中製錬所における環境管理の考え方
1)所内設備については、これまで鉱山保安法に基づき産業保安監哲郎の管理監督下で水や大気に関する測定調査が行われ、また、所外の環境影響については、群馬県による調査が行われていました。一般法への移行後は、所内設備についても公害関係法令に基づいて、群馬県の管理監督下で測定調査を行うことになります。
2)公害関係法令の規制を受ける所内設備(施設)については、一般法への移行に併せて、改めて群馬県へ届出を行うこととしております。水や大気については、鉱山保安法と公害関係法令とで排水基準や排出基準等に変わりがないため、一般法に移行しても従来通りの管理が継続されます。
3)所内で発生する廃棄物の処理について、一般法への移行対象となっているのは、鉱山保安法に基づく設置手続きを終え、工事が完了して未使用となっている理立場ですが、一般法に移行した場合、最終処分場に該当することから、廃棄物処理法に基づく施設設置の許可手続きを行う予定です。
3.適用法令変更に伴う会社の決意
 当社は、これまでも過去の公害問題に関する強い反省に基づき、場内は国のご指導と監督のもとに、外部は県のご指導と安全確認を頂きながら、企業活動を進めてきました。
 当社では、法律による規制値は勿論のこと、地域の皆様の安心や信頼を得る水準達成への取組を行っております。なお、所外の環境影響につきましては毎年群馬県が発表する環境白書で報告されています。
 この間、国の機構見直しや新たな環境法規の制定など、時代の変化とともに環境管理体制には変化が見られます。特に昨今は、事業主に対する「自己責任」が強く求められており、自主的な管理監督体制の構築は企業存続の必須事項と認識しています。
 今回、会社は地元の皆様のご理解がいただけることを前提として、国のご指導のもとに、鉱山保安法から外れ、一般法へ移行する方針を決定いたしました。
 一般法移行後も、群馬県のご指導のもとに、地域の皆様との共存共栄を大前提として、より一層の環境改善に取り組み、周辺の環境保全を図っていく決意であります。
 何とぞご理解を賜りますようお願い中し上げ、ご報告とさせていただきます。
                             以 上

<東邦亜鉛が群馬県知事に提出した地元説明会報告書>
                              平成22年12月26日
群馬県知事 殿
                             東邦亜鉛(株)安中製錬所
   岩野谷地区地元説明会
1.期日  平成22年12月18日(土)  13時30分~16時45分
2.場所  岩野谷公民館
3.立会人
 関東東北産業保安監督部 鉱害防止課  滝田監督官,平田監督官
 群馬県環境森林部 廃棄物政策課    小原次長,吉田係長
 安中市 市民部 環境推進課      須藤課長,真下係長
4.東邦亜鉛
 本社 環境管理部 ■■■■
 安中 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
5.地元参加者  34名(参加者名簿参照)
6.報告内容
 ①適用法令変更(一般法移行)について
 ②新電解工場稼働について
 説明会資料 添付
7.主な質疑応答
【質問1】埋立場に入れる廃棄物の量はどの位か。
【回答】1ケ月に40㎥位と考えている。定修等で150㎥位の月もあると思うが平均としては40㎥位と考えている。
【質問2】工場のなかにドラム缶入りの廃乾電池が山積みされ最近減った様子がない。廃乾電池はどうやって処理しているのか。Mnは最近安価で処理してもペイしないと聞いているが埋立場に埋め立てるのですか。
【回答】電池処理に関しては廃棄物処理業の許可を持っており、一般・産業廃棄物として処理しています。電池に20%程含まれるZnを原料として回収しています。MnはZnと一緒に燃やして製錬用材として鉄を酸化させる酸化剤の補助剤としています。ドラム缶については移動用にドラム缶を使用しているため、カラのドラム缶もあるので多く見えるでは。
【質問3】Mnはロークリーキルンで溶かして鉱滓として外部に排出するのですか。セメントの原料になると言うことですか。
【回答】Mnは乾電池を粉砕した段階で製錬工程で使います。一部はロークリーキルンからクリンカーという鉄滓の中に入ります。
【質問4】東邦亜鉛は装置産業なので安定5品目のようなものは出ないのでは。安定5品目と言いながらややこしい重金属の混じったものを埋めるのではないかと心配だ。例えば建築廃材を業者に処理を頼むと高いから、今どこかに溜め込んでいるものを埋めてコストを浮かそうとしているのでは。
【回答】建築廃材としては補修工事等でコンクリートやレンガが発生します。ゴムもベルトコンベヤやポンプの部品などとして、廃プラスチックは塩ビ製のパイプなどが発生します。
【意見1】東邦亜鉛はリサイクル・リユースを進め、業界でもトップクラスのゼロエミッション企業を目指していると思っていた。建築廃材が出たら焼いてアスフアルト原料にするとか、ゴム屑等カロリーのある物はキルンの助燃剤に使うなどリサイクル・リユースの努力が足りないのでは。オーストラリアの鉱山買収や新電解工場建設などに費用をかけるなら、埋立場の上に屋根を掛けるとか、コンクリートで囲うなど雨水が入らないようにして遮断型とし、既存の水処理施設に負荷がかからないようにして欲しい。環境に投資することがゼロエミッション企業の東邦亜鉛の姿だと思う。
【回答】色々なアイデアはあると思いますが、屋根を付けるとかコンクリートで囲うなど必要があるか検討させて頂きたい。
【質問5】安定5品目のなかに金属屑とあり、鉄さびなどとあるが「など」はなにか説明をして頂きたい。亜鉛鉱石にはFe分やHg,Pb,As,Cdなど色々入っているので気になる。
【回答】Pb,Cd,As,Hgなどは一切考えていません。入れるのはFeが主体でプラスチックと鉄が一体となっているものなどを考えています。
【質問6】岩野谷地区は処分場の話はもううんざりしている。安定5品目を埋め立てるのなら遮水シートはいらないはず。危ない物を入れる、入れても外にばれないようにしようなど何か後ろめたいことかあるのでは。稼働する前に住民に説明しておかなければならないから、役所の皆さんを呼んで説明したから、稼働しますでは困る。立案した段階で説明してもらわないと困る。回答.現在、岩野谷地区の皆さんが真剣に一般の埋立場の建設に対する意見を県・市に上げているのは伺っています。ただ、それと私どもの埋立場は背景が違う点を説明させて頂いている。鉱山保安法で今まで問題なくやってきてたことが、今回一般法に移行するので県に受け継いでくれという特例であることをご理解頂きたい。本来安定5品目であれば素堀でもいいのですが、監督行政さんからの指導もあり、より皆さんに安心して頂くために管理型に近い形にした。先程、完全な管理型にとの話もあったので行政のご指導も頂きながら進めて行きたい。
【意見2】私が言いたいのは、まず第一に今後環境を崩さないこと。二番目に野殿と岩井のCd汚染されている土壌をきれいにすること。今後環境について住民が泣きっ面するようなことがないように、安心して住めるように、行政の方が監視して東邦亜鉛とともにやって欲しい。
回答.叱咤激励ありがとうございます。環境については二度と同じ失敗を繰り返さないために法律は最低限、それ以上に皆さんに安心して頂けるように一生懸命取り組んで行きたいと思います。土地改良については、長い間畑地を汚したままで何もできないので心苦しく思っています。地権者の皆さんにご意見等伺い、県・市のご指導も頂きながら皆さんのご要望に応えられるよう努力したい。本日お越し頂いている行政の皆さんは窓口が違いますのでこの話は別の機会にお話したいと思います。
【意見3】岩野谷地区には計画中も含めて7ヵ所の最終処分揚がある。現在計画中の処分揚について「絶対にできては困る」として運動中である。だけど、「東邦亜鉛ができたからうちも同じにできる」となったら困る。
【回答】会社は廃棄物処理事業としてやる一般の最終処分揚とは違う。また、法律の移行措置として説明させて頂いていることを理解して頂きたい。
【意見4】安定5品目を見ると全部リサイクルできるもの。廃プラ、ゴム屑これらはキルンに入れれば助燃剤になる。それを助燃剤にしないのが気になる。業界の最先端でリサイクル・リユースを目指している会社なんだから埋立揚なんかいらないと言う姿勢を見せて欲しい。
【回答】我々も技術的に進歩しつつリサイクル・リユースの指導を受けながら進めている。外部処理は最終・最後まで責任を取らなければいけないのできちっとした業者さんがいればいいのですが、重金属に強いところばかりではない。それから完全な管理型にすればコストも非常にかかる。外部処理も進めてはいますが、まだまだ全量はできない。重金属を心配されているようですが製錬の途中で出てきた物を埋めることはありません。安定5品目の中で溶出物がないか確認して処理している。
【質問5】天然ガス利用を考えているのでは。設備変更のとき出てくる廃材を埋めるのでは。安定5品目を処理しているところはたくさんあるが、重金属をやってくれるところがないから社内に埋めると感じるが。
【回答】天然ガス事業は東京ガスでやっていて、当社は使用する約束はしていない。使用する計画もない。将来エネルギー事情が変われば可能性はゼロではないが。
【意見5】理立場ができる前に何で説明してくれなかったのか。まず説明ありきなんだ。稼働する前に説明しなければ、後でやりにくいから取りあえず説関しておこうでは困る。
【回答】埋立場については事前協議があって、設置許可を取ってというのが一般法だと思いますが、当社の最終処分場は今まで鉱山保安法の元で埋立場という名前で存在していました。その延長で、今回一般法に切り替わるため報告している。鉱山保安法では報告などの義務はなく隠していたわけではない。
【質問6】再度質問します。この埋立場には何が入るのか。
【回答】建築廃材の残土が一番多い。次に廃プラスチックの塩ビです。
【質問7】新電解工場計画に際して住民の意見は聞いたか。
【回答】住民の皆さんの意見は聞いていません。今回の工場の規模ではそういうのに該当しないため周辺の皆さんへの手続きは取っていません。区長さんを通した説明会は初めてですが、緑の大地を守る会の皆さんは毎年工場見学にこられて公害防止設備や環境成績の報告などをしており、2~3年前から丁寧に説明してきた。
【質問8】新電解工場ができても生産量が変わらないと言いますが、工場新設のコンセプトをはっきり聞かせて欲しい。新電解工場の稼働により排ガス,排水,粉じんがどの位変わるのか。
【回答】安中製錬所全体のフローの中の電解部分の工場を作った。鉱害発生施設の焙焼炉とかキルンなどは全く変わらない。このことからも製錬所全体の生産量に関わる補強でないとをご理解頂きたい。自動化・機械化による効率化や補修スペースを広く取ることで設備の維持管理をやりやすくする、作業環境改善が目的である。
【質問9】古い建物(第一電解)を壊すとそこに重金属の付着した廃材が出ると思うが、外部処理できないので自分のところに埋立するので埋立場を作ったのか。
【回答】埋立場の問題と新電解工場建設は直接関係ありません。古い工場を解体したのものを入れないとは約束できない。
【質問10】新電解工場は騒音・振動防止法に適合した建物という解釈でいいか。
【回答】大丈夫です。稼働してからも測定しながらやっていく。
【意見6】「企業活動で廃棄物が出る」というのは皆さん理解できると思います。処分場を作るのも致し方ないのかなと思います。ゼロエミッションを目指しているがゴミはまだ出るというのもわかりました。大谷地区には稼働・計画中の処分揚が5ヵ所あり、それぞれが「法律を守ってやります」と、法律を守れば「同じ場所に何個でもできてしまう」これが法律で、今の法律では問題があると感じている。安心・安全を確保してもらうために、法律プラスアルファの対応をお願いしたい。
【回答】法律を守ると言ってもまだまだ信用されていない。だからあと一歩努力しなさいとのご意見だったと思います。その辺は肝に銘じて今後の企業活動をしていきたい。このような報告会を開催するのは久しぶりなのですが、今後は、できるだけオープンな形で企業状況について報告させて頂きたいと思います。
【質問11】埋立場を掘削した土はどこへ。
【回答】埋立場の隣の窪地を造成して資材置場としている。排水は所内で回収し処理している。
【質問12】今日の報告会の目的がわからない。
【回答】本日の報告会で合意を頂くとかではなく、ありのままを報告して皆さんのご意見を聞いて、今後、県に届け出る作業について留意すべき点を整理するためです。色々な論議や忠告を頂きましたが、皆さんに安心し、愛され、信頼される製錬所を今後も追求していきたいと思います。
                                       以上

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