市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

一般県民のツイートには直ぐに被害届を出すのに身内職員の不祥事を告発しない群馬県人事課の二重基準

2023-05-28 17:25:00 | オンブズマン活動

https://www.youtube.com/watch?v=VlveH3BeNt8

人事課業務内容紹介|人事課|群馬県 アップロード日: 2022/03/22 人事課の業務内容を紹介するものです。○問い合わせ先:人事課(027-226-2071)

■刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第239条第2項は、「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」と定めています。そのため、この要件を満たす場合には、原則として公務員には告発義務が課せられていると解されています。いわゆる公務員の告発義務の根拠とされているものです。ところが現実には、公務員は守秘義務を優先して考え行動しています。

 なぜなら一般職の公務員の場合、国家公務員法では第100条第1項、地方公務員法では第34条第1項で守秘義務が課されています。違反者は、国家公務員の場合、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられ、地方公務員の場合は、1年以下の懲役又は3万円以下の罰金に処せられるからです。他方、告発義務の違反には罰則がありません。

 群馬県の場合も守秘義務を最優先にしており、告発義務を守る職員は見当たりません。たとえば、群馬県教育委員会の「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html を見ると、告発義務について触れていません。

 一方、ほかの都道府県、例えば徳島県教育委員会の「教職員の懲戒処分の指針」には「第3 告発」という条項があり、「教職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより、告発又は告訴を行う場合がある。ただし、被害者が告発を望んでいない等、特別な事情があると認められるときは、告発しない場合もある。」と記されています。義務という表現ではありませんが、いちおう告発義務を示唆しています。

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1412012_16.pdf

 このほかにも、東京都西多摩郡瑞穂町の「瑞穂町職員の懲戒処分に関する指針」(平成17年12月5日、訓令第12号)では「第3 内部通報及び告発関係」として、「1 非違行為の事実を内部機関に通報した職員は、通報したことにより、いかなる不利益も受けないものとする。 2 非違行為の事実を、自ら発覚前に申し出た職員に対しては、懲戒処分の量定を軽減できるものとする。 3 職員が行った非違行為のうち、刑事事件に係る事案については、刑事訴訟法に定めるところにより告発又は告訴を行う。」と定めています。

■ところが群馬県の場合、告発又は告訴を行う場合は、一般県民が対象となっています。まだ記憶に新しい事件として、昨年2022年7月8日に安倍総理が銃撃を受けて死亡しましたが、その日の夕方午後5時20分ごろ、県内在住の男性が、ツイッターの県公式アカウントの投稿に対し「安倍、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信しました。すると、山本知事の速記院で固める知事戦略部メディアプロモーション課で、一太知事お気に入りの公費をふんだんにつぎ込んだ動画・放送スタジオtsulunosを運営し、県公式ツイッターやホームページ、県Line、そしてYouTubeチャンネル番組を担当するtsulunos室の職員がこの投稿に翌9日の朝に気付き、一太知事に報告してから、警察に被害届を出しました。

 当会のこれまでの経験では、警察は当事者の被害届でないと受理しないため、その場合、一太知事が被害者として届けたことになります。もちろん、県庁のすぐ隣にある県警本部には県職員がおっとり刀で被害届を持っていたはずです。

 県警は、当会からの告発状は殆ど受理したことがありませんが、一太知事の被害届はすぐに受理され、「知事に危害を加えるような内容をツイッターに書き込んだ」として、群馬県警捜査1課と前橋署などは僅か2週間後の7月26日に、早くも脅迫や異形業務妨害で、投稿した一般県民を逮捕したのでした。

 逮捕された一般県民は、一太知事の県税の私的流用に呆れて投稿しただけなのに、なぜ逮捕されなければならないのか、すぐには事情を呑み込めず、県警の調べに対し、「投稿したことは間違いないが、何かしてやろうという意図はなかった」と供述しており、冤罪も甚だしいのに、略式起訴されてしまい、罰金を支払ったため前科者扱いとされてしまい、職場から解雇されてしまいました。この顛末は以下のブログ記事をご覧ください。

○2022年9月26日:【一太知事の独善】「安倍、竹中の次はお前だな」Twitter投稿に被害届を出した知事の思惑と今後の影響

https://blog.goo.ne.jp/ogawakenpg/e/2cc590ebde410757b2c779c1ebd28fc1

■この事件後まもなく、2022年11月18日に、群馬県が職員2名を、非違行為を理由に懲戒免職処分にするというニュースが報じられました。

**********NHK NEWS WEB 2022年11月18日16:53

県職員2人が不適切事務処理や備品持ち帰りか 懲戒免職に

 群馬県は、環境森林事務所で不適切な事務処理を繰り返していた56歳の職員と、県畜産試験場で県費で購入した備品を自宅に持ち帰り使用するなどしていた49歳の職員を、それぞれ18日付けで懲戒免職にしました。

 このうち県の森林保全課に勤務している56歳の男性係長は、吾妻環境森林事務所に勤務していた令和2年度までの4年間に、森林開発の許可や保安林の解除の申請について、上司の決裁を受けずに無断で許可を出したり申請を放置したりする不適切な事務処理を合わせて196件、行っていたということです。

 県は、男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など7人を減給10分の1、1か月の処分などにしました。

 また、太田市にある東部農業事務所に勤務している49歳の男性係長は、昨年度まで勤務していた前橋市の県畜産試験場で、県費で購入した作業服や洗剤、家電製品など1147個の備品、合わせて204万円分を自宅に持ち帰り使用するなどしていたということです。

 県は男性係長を懲戒免職にすると共に、当時の上司など6人を戒告処分などとしました。

 県人事課の中島高志課長は「職員個人に根本の原因があるのは当然だが、いずれも4年間という長期間にわたって不適正な行為を許した所属組織の対応にも大きな課題がある。綱紀の保持を徹底したい」と述べました。

 

**********上毛新聞2022年11月18日15:15

「予算使い切るため」公費で購入した約205万円分の物品を私物化した男性係長を懲戒免職 虚偽の公文書を作成した別の男性係長も 群馬県

 群馬県は18日、信用を失わせる行為があったとして、農政部と森林環境部の職員2人を懲戒免職にしたと発表した。農政部の職員は、年度内に予算を使い切る目的で、公費で約205万円分の日用品などを購入し、自らの所有物としていたという。

 県人事課によると、農政部の職員は東部農業事務所に勤務する男性係長(49)。畜産試験場に勤務していた2018~21年度、物品購入の事務を担当する中で、家電製品や家庭用洗剤、作業服など計1147点(計204万2854円相当)を公費で購入し、自宅に持ち帰るなどして所有物としていた。多くの物品の購入額は数百~数千円で、最も高額なもので約2万5000円だった。高圧洗浄機や電子レンジ、洗濯機なども含まれていた。

 外部から県に情報提供があり調査していた。未使用だった約130万円分の購入品は職場に返却、自ら消費した分は男性係長が弁済する。県の調査に対し、男性係長は「年度内に予算を使い切るため、物品を必要以上に購入してしまった。(自宅に持ち帰ったのは)大量の物品の置き場所に困ったことがきっかけだった」と話しているという。

 環境森林部の職員は、森林保全課付の男性係長(56)。吾妻環境森林事務所に勤務していた17~20年度、保安林や林地開発に関する事務を担当する中で、起案や決裁など組織の意思決定を経ていない虚偽の公文書19件を作成して事務を進めた上、公文書の紛失や事務処理の放置などを177件発生させた。男性係長は「家庭事情もあり、悩んでいた。初めての業務で分からないことが多く、その場しのぎの不適切な事務を行ってしまった」と述べているという。

 この不適切な事務処理の影響で、県が吾妻地域で進めている上信自動車道の建設工事が8月17日から中断されていたが、林野庁との間で保安林解除の手続きが完了したため、11月2日に再開された。

 県は2人の法令違反となる行為に関係した職員計15人も減給や戒告などの処分とした。

 

**********読売新聞2022年11月19日16:10

公文書を無断作成・紛失、事務処理を放置…懲戒免職の県係長「家庭の悩みがあった」

 群馬県は18日、森林保全課の課付係長(56)と、東部農業事務所家畜保健衛生課の環境衛生係長(49)を同日付で懲戒免職にしたと発表した。

群馬県庁(当会注:今はこの「群馬県庁」と書かれたモニュメントはない)

 県人事課によると、森林保全課の係長は吾妻環境森林事務所(中之条町)に勤めていた2017~20年度、保安林関係や林地開発許可の公文書19件を無断で作成したほか、公文書を紛失したり事務処理を放置したりする行為が177件あった。この影響で東吾妻町での上信自動車道の工事が8~11月に中断した。「家庭の悩みがあった。初めての事務で分からないことも多く、その場しのぎで処理した」と話している。県は当時の所長ら7人も減給10分の1(1か月)の処分にした。

 環境衛生係長は、県畜産試験場で物品購入事務を担当していた18~21年度、県費で購入した洗濯機や電子レンジなど1147点(204万円相当)を横領した。「年度内に予算を使い切るために買ってしまった。整理に悩み、一部を自宅に持ち帰った」と述べ、弁済の意思を示しているという。

 

**********Security NEXT 2022年11月25日

組織の決裁なしに公文書施行、職員を懲戒免職 - 群馬県

 群馬県は、事務処理を怠り、同県の意思決定を経ず、勝手に公文書を施行したり、文書を紛失した職員に対して懲戒処分を行った。

 同県森林保全課における係長級の職員に対して処分を行ったもの。同職員は保安林の解除や林地開発などの業務を担当していたが、2017年度から2020年度にかけて事務手続きを怠り、組織による意思決定を経ずに公文書を作成、施行していたことがわかった。

 同県によれば、森林計画の策定にあたり、6月から7月にかけて航空写真を撮影したところ、林地開発において許可が出ていない場所に施設が建設されていることが判明。

 調査を行ったところ、同職員の業務において決裁を経ずに公文書19件を作成。また申請書など関連文書177件などを紛失していることが発覚した。

 建設中である上信自動車道の工事に関連した保安林の解除申請についても、組織としての決裁がないまま申請を許可しており、すでに工事が行われていたという。

 保安林の解除については、要件を満たしており、再び工事は再開されたものの、問題発覚後に正式な手続きが必要となり、8月17日より11月2日にかけて工事が一時停止した。

 今回の問題が発覚する契機となった、施設についても、その後安全性が確認され、許可が出ており、森林保全における直接的な影響はなかったとしている。

 職員は事態に至った経緯について、「家庭の事情で悩みがあり、仕事についてもはじめて担当する業務でやり方がわからず、ずさんな処理をしてしまった」と話しているという。

 同県では、決裁を経ることなく公印を用いて虚偽公文書を作成し、信用を失墜させた点などを踏まえ、11月18日付けで同職員を免職とする懲戒処分とした。また管理監督責任として当時の上司7人を減給、2人を戒告処分としている。

*********

 

■この2件とも刑事罰に相当する犯罪行為によるものです。ところが、当会が群馬県人事課に「告発もしくは被害届は警察に出し確認したところ、「懲戒免職処分にしたが、警察に告発ないし被害届は出していないし、出すつもりもない」というので、ビックリしました。

 知り合いの県職員にこの懲戒免職事件の感想をヒヤリングしたところ、「横領を働いた職員は業務面では有能だったと言われており、いわゆる窃盗や万引きを止められずに繰り返してしまう窃盗症もしくは病的盗癖があったのかもしれないが、もう一人の虚偽公文書作成罪を犯した職員の方が何十倍も悪質だと思う」とコメントをいただきました。

 そこで、当会では、今回の2つの懲戒免職事件について、群馬県知事(総務部人事課人事係)に対して、以下のとおり公文書開示請求を令和4年12月23日付、同28日付でそれぞれ行いました。

 

*****12/23情報開示請求(虚偽公文書作成等事件)*****

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

 令和4年1月18日付「職員に対する懲戒処分について」で免職とされた田島秀樹職員の処分事由とされた内容(公文書19件+関連177件)がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る過程がわかる情報。管理下訓徳責任の対象者とその処分理由がわかる情報。

*****12/28情報開示請求(横領事件)******

<開示を請求された公文書の内容又は件名>

①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報

②令和4年11月18日付で元職員茂木浩徳に対して行った懲戒処分の詳しい処分事由(時期、場所、盗品リスト、被害額など含む)

③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報

④管理監督責任を判断した経緯と結果が分かる情報

**********

 

■すると、年明けの令和5年1月6日付で、虚偽公文書作成等事件の情報開示については、決定期間延長通知(人第1362-4号)として、横領事件についても決定期間延長通知(人第1362-5号)として、2つの事件とも「令和5年4月1日付人事異動に向けた業務が集中しており、通常の期間内に決定を行うことが困難であるため」を延長理由に「本来1月6日までに開示決定すべきところ、2月3日まで延長してきました。

 そして、待望の開示通知の連絡が2月3日に当会代表宛にあり、2月6日(月)午前9時に2件の開示を受けに県庁2階を訪れました。

 ところが、人事課人事係から開示されたのは、いずれも黒塗りだらけの文書でした。4週間も開示期間を延長したのは、開示文書を黒塗りするための時間が必要だったことになります。

*****ノリ弁状態で開示された情報【田島秀樹分】*****

*****同じくノリ弁状態で開示された情報【茂木浩徳分】*****

 当会は、横領事件については、業務面では有能であった職員がひょっとして魔が差して持病の盗癖に逆らえず、横領をしてしまい、事件発覚後は盗品を返還したり、費消した分は金銭で支払ったから、警察への告発は見送ったのかと思い、そうした本人からの聞き取り内容を踏まえて人事課で懲戒免職処分を決定した過程を検証しようと思っていました。しかし、黒塗りの開示資料を見せられて、そうした気持ちもうせてしまいました。

■当会は、今回の懲戒免職事件で、群馬県人事課がなぜ刑事訴訟法で定めている公務員の告発義務を行使しないのか、いろいろ調べてみました。その結果、群馬県のホームページに「群馬県教育委員会懲戒処分指針」が掲載されていることがわかりました。

※URL「群馬県教育委員会懲戒処分指針」(更新日:2022年3月10日)↓

https://www.pref.gunma.jp/page/4447.html

 これを見ると、他の都道府県の教育委員会が定めている懲戒処分指針には「公務員の告発義務」についての項目があるのに、群馬県教育委員会の懲戒処分指針には、告発義務についてどこにも見当たらないのです。

 そこで、2022年12月28日付の公文書開示請求では、「①県職員の懲戒処分について指針が分かる情報」について、含めました。

■これら2件の開示請求の結果、群馬県は2023年2月3日付で公文書部分開示決定通知を出してきたので、当会は同2月6日午前9時に県庁2階で開示情報の閲覧と写しの交付を受けました。

 

 

 部分開示情報と言っても、懲戒免職となった田島直樹・元職員と茂木浩徳・元職員の懲戒処分の理由がおそらく記載してあっただろう箇所は、個人情報ということで、ほとんどが真っ黒気に塗られたシロモノです。これでは、一帯どのような理由で両名がクビになったのか、その詳らかな経緯がさっぱりわかりません。

 とりわけ、なぜ刑事告発をしなかったのか、その背景や理由についてどのような討議が果たして為されたのか否か、これについても全く把握する術がありません。なにしろ「ノリ弁当」同然の状態なのですから。

■こうしたノリ弁状態で開示された公文書を見て、さらに呆れたのは、不祥事の発生を防げなかった上司らの職位と氏名が黒塗りされていることです。そのため、令和5年3月3日付けで群馬県知事あてに2件の審査請求書を提出しました。

*****3/3田島直樹に係る情報不開示についての審査請求*****

             審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

   審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                (電話番号090-5302-8312)

         ふりがな しみんおんぶずまんぐんま だいひょう おがわまさる

         氏  名 市民オンブズマン群馬 代表 小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処 分 庁 群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「令和4年11月18日付『職員に対する懲戒処分について』で免職とされた田島秀樹元職員の処分事由とされた内容がわかる情報。免職処分と判断された理由、決定に至る経緯がわかる情報。管理監督責任に対象者とその処分理由が分かる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-7号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.そのため、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされているため、処分理由、人事記録カード、報告書等の黒塗りされた情報の開示が不可欠である。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)

 なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

 

*****3/3茂木浩徳に係る情報不開示についての審査請求*****

            審 査 請 求 書

                             令和5年3月3日

群馬県知事 山本一太 様

  審査請求人 住所又は居所 〒371-0801群馬県前橋市文京町1丁目15−10

                    (電話番号090-5302-8312)

                 ふりがな                 しみんおんぶずまんぐんま   だいひょう おがわまさる

                 氏 名    市民オンブズマン群馬  代表  小川賢

対象となる処分:以下の処分について不服があるので審査請求をします。

・処分庁   群馬県知事 通知日 令和5年2月3日

・処分の内容 「③刑事訴追をしない理由や判断過程がわかる情報 ④管理監督責任を判断した経緯と結果がわかる情報」にかかる公文書部分開示決定に関する処分

・文書番号等 人第1362-8号

処分があったことを知った日:令和5年2月6日

審査請求の趣旨:「対象となる処分を取り消す。」との裁決を求めます。

審査請求の理由:以下の点から、対象となる処分は違法・不当であるため、処分の取消しを求めます。

1.処分庁は「①職員の氏名、所属、職、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第2号に基づくとし、但し書きの同号ハに規定する公務員と認めながら、「個人の権利利益を不当に侵害するおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

2.人事院事務総長が発した「懲戒処分の公表指針について」(平成15年11月10日総参―786)によれば、「次のいずれかに該当する懲戒処分は、公表するものとする。(1) 職務遂行上の行為又はこれに関連する行為に係る懲戒処分 (2) 職務に関連しない行為に係る懲戒処分のうち、免職又は停職である懲戒処分」と明示しており、本事案は(1)に該当する。

3.そのうえで「事案の概要、処分量定及び処分年月日並びに所属、役職段階等の被処分者の属性に関する情報を、個人が識別されない内容のものとすることを基本として公表するものとする」と明示しており、個人が識別される氏名を除く「所属、役職段階等」の属性に関する情報は公表するものとする、と解される。事実、公務員の不祥事件では管理監督責任が問われることから、報道でも「所属先の部長を減給10%1ケ月」などと報じることは珍しくない。

4.ちなみに神奈川県の場合、懲戒処分等の公表基準によれば、公表する内容は次のとおりである。

 <3 公表する内容>

  職務に関する事案の場合において、公表する内容は、原則として次に掲げる事項とする。

    ア 事案の概要

    イ 該当職員の所属する所属名(被害者に対して特に慎重な配慮を要する場合は部局名とする。)

    ウ 該当職員の職名

    エ 該当職員の年齢及び性別(監督責任の場合を除く。)

    オ 処分の内容

    カ 処分年月日

  このように他県では所属名と職位を公表している。

5.次に処分庁は「②処分理由、人事記録カード、報告書等」を不開示とした理由について、群馬県情報公開条例第14条第6号に基づくとし、「人事管理に関する事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある」として黒塗りにしたが、これは条例の解釈を故意に捻じ曲げており、撤回しなければならない。

6.本事案では刑事上の罰が問われており、本来、刑事訴訟法第239条第2項により 「官吏または公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない」と定められていることから、知事は警察もしくは検察に告発するのが本筋である。

7.ところが群馬県の「職員の懲戒処分に関する指針」において、上記6に示した告発義務についての記載がない。実際、本事案について、未だに知事による告発が為されたという報道も見あたらない。

8.知事は、昨年7月8日に県公式ツイッターに「安部、竹中の次はお前だな、県税私的流用腐れ一太」と送信した県民の行為を脅迫罪及び偽計業務妨害罪だとして、翌9日に県警や前橋署に、被害届を出すことにより告発した。職員でない納税者県民に対して告発し、知事部局所属の、いわば身内である職員に対して告発を躊躇うことがあってはならない。

9.ただし、本事案では、該当職員が職務においてそれなりの実績を挙げており、職場関係者からも「とてもあのような非違行為を起こすことは考えられない。なにか、窃盗癖のような病的な原因があったのかもしれない」とするコメントもあり、「畜産試験場職員 横領事案 処分理由」を記した黒塗りの報告書の最後の8ページ目にも「以上のことを総合的に考慮し、本事案については刑事告発を見送ることとする。」と結論付けている。審査請求人は本事案について刑事訴追をしない理由や判断過程を考慮したうえで、処分庁の処分決定の適否を吟味したいと考えていたが、これほど迄に黒塗りされた開示情報に接し、審査請求人は納税者県民として知事にかわって告発することを余儀なくされている。

10.よって、今回の処分を取り消すことがぜひ求められる。

教示:○有 ・ 無

(内容)なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の被の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)

 また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。

添付書類等:・対象となる処分の通知書の写し

**********

 

■3月3日に審査請求書を群馬県知事に提出してから、来週末で3か月が経過しようとしていますが、県からは今のところなにもこの件について何も反応がありません。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

 

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