■毎年恒例の東邦亜鉛安中製錬所の第33回工場視察会は、現場視察を終えて、参加者は午前10時55分までに、事務棟前に戻りました。
その後、事務棟2階の会議室に全員が集まり、しばし、休息した後、午前11時から意見情報交換会が始まりました。当会からは、予め用意した東邦亜鉛安中製錬所から排出される降下煤塵を群馬県環境保全課が月例で測定したデータをまとめた資料を、会社側も含めて参加者25名全員に配布しました。
司会:ご視察大変ご苦労様でございました。本日のスケジュールによりますと、この後、11時から10分間、休憩というふうに記載があるんですが、(大地を守る会事務局長の)白石さんに相談いただいて「このまま続ける」ということでお話をいただきましたので、再開をさせていただきたいと思います。本日のこの工場視察会につきましては、終了予定を12時ということで、用意しておりますので、ご協力のほう、よろしくお願い申し上げます。では、意見情報交換会のほうを進めさせていただきたいと思います。意見情報交換会で会社側の司会を引き続き務めさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。それでは、令和5年度の経過と、令和6年度の設備改善計画につきまして、所長の森田よりご報告をさせていただきます。
所長:まずは工場視察、大変ご苦労様でございました。それでは令和5年度の設備改善経過と、令和6年度の改善計画の内容につきまして、ご説明させていただきます。まず、2023年度、令和5年度でございますが、大きな工事案件としては、一番目に、キルンの修理、函体ですね、の第2支点、全部で3つ支点がございましてその第2支点の受けローラーの製作、それから第2支点の受けローラーの、こちらは交換を行いました。これはすべて夏の定修期間中でございます。で、2番目としましては、電解工場、電解工程の第3電解、アノードクリーナーというのがございまして、まあ、陽極板のアノードでございますけど、それを工場の中で、ある一定の時間が経過しましたら、抜いてですね、これをクリーニングするという工程がございます。ここの設備を、以前は1台で全部、2系列を賄っていたのですが、それを1台ずつにしたということで、一つクリーナーを増設してラインのほうに設置しました、ということでございます。で、3番目としましては、第1集水池の西側の、まあ、集水地のですね。だいぶ古くなってきておりまので、これをきれいにコンクリート替えをしまして、補強工事を行った。これは大きな工事の内容でありまして、昨年ご報告いたしました計画はすべて実行して完工しております。続きまして、24年度、今年でございますが、大きな工事としましては、同じく1番目として、キルン工程の第2エプロン・コンベアの交換工事ということで、キルンから排出されますK砕を高いところまで持ち運ぶコンベアでありまして、これがだいぶ老朽化しておりますので、これを新しくするという工事。これが一つでございます。2番目としましては、共沈脱鉄、No.3の撹拌機の交換です。共沈脱鉄というのは、いわゆるキルンで回収されました酸化亜鉛を溶解するんですが、どうしても鉄の成分があるということで、それを落とす工程でございまして、そこの酸化亜鉛槽の撹拌機が老朽化しましたので、その為交換するということでございます。
(当会注:「共沈脱鉄」とは、工業排水から重金属を除去する際の、鉄の水酸化物による共同沈殿法の糊塗と思われます。工業排水に硫酸鉄(FeSO4)を入れて、水中に多量のFe2+を溶存させて、これにアンモニア水や水酸化ナトリウムを添加してアルカリ性に保ってやれば、FeO(OH)のコロイドができます。このとき、溶存する微量な金属元素も水酸化物や酸化物の難溶性の超微粒子を形成します。多量のFeO(OH)コロイドは、他元素の水酸化物微粒子を巻き込んで沈殿〔共同沈殿=共沈〕します。この沈殿を回収すれば、工業排水から重金属を効率的に除去することができる、ということのようです)
3番目としましては、第3の集水池、一番東側のですね、浄水工程、その西側の集水池、これもだいぶ老朽化しているということで、コンクリートを打ち直しまして補強工事を行うということで、これらもすべて昨年同様、夏期定修、7月、8月の期間に、工事を完工するという計画で進めております。その他、持続可能な亜鉛製錬所として鋭意改良を進めておりまして、製錬所内設備も休止設備も撤去を進めて、空地づくりのほう、現在展開しております。一方、公害防止設備をはじめ各設備は計画的に更新して日々公害防止に努めております。これからも地元の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いしたいと申し上げます。まあ、以上でございますが、引き続きましては、中島のほうから懸案事項等、ご説明を進めさせていただきたいというふうに思っています。よろしくお願いします。
司会:続きまして、環境問題等、懸案事項に関して、課題につきまして、環境管理室の中島、私のほうから報告をさせていただきます。最初にですね、公特事業の進捗につきまして、ご報告を申し上げます。岩井畑地区の碓氷川流域農用地土壌汚染対策事業。こちらでございますけれども、ご承知のとおり、令和5年の3月で完了をしたということでございます。令和5年から7年にかけて指定地解除をすべく、解除前の試験を実施するということになっているということで、県のほうに確認をしました。県に確認をしたところ、令和5年、昨年ですね、につきましては3箇所で陸稲を栽培したということでございました。その結果なんですけれども、県に問い合わせをしたんですが、「現在、効果を確認中」ということで、まだ、報告がいただけておりません。今日視察会ということでしたので、「できれば3月中に」というお願いをしていたのですが、すいません、残念ながら、まだ報告をいただけていないという状況でございます。野殿地区の公特事業ですけれども、こちら令和6年度、今年度ですね。境界確認を完了していく、という予定であるというふうにお伺いをしております。以上が、公特事業に関する実施状況、情報等でございます。今後も県と市ですね、情報交換をしながら進めていきたい、というふうに考えております。こちらについては皆様のほうが情報をお持ちかなというふうに思いますので、情報共有等できればと思います。次に、令和5年度産米のカドミウムについてですが、令和5年度産米のカドミウム濃度の調査結果につきましては、安中市で行った検査結果については「特に問題ない」ということでご報告いただきました。また高崎市の検査結果についても「異常なし」ということでご報告を頂いております。以上が、会社が把握しています令和5年度の情報等でございます。詳細部分につきましては、ご質問にお答えするかたちということで、ご理解を賜りたいというふうに思いますのでよろしくお願いをいたします。では以降の進行につきましては、高坂先生のほうにお願いをしたいと思います。高坂先生宜しくお願いをいたします。
弁護団長:皆様どうもお疲れ様でした。それでは、これから、質疑応答の時間ということで皆様のほうから、ご質問やご意見を出していただいて、会社側にお答えしていただくというかたちで進めていきたいと思います。それでは、先ほどの視察の結果でも結構ですし、普段思っている事でも結構ですけども、ご質問ありましたら皆さんのほうからお願いします。はい、どうぞ。
当会:はい。いつもお世話になります。小川です。
司会:小川さん、ちょっとマイクのほう。
当会:声でかいから、いつものとおり。あ、届かないのか。ああそうか、届かないのか。もう(声)入ってますよね。テスト、テスト。はい。野殿の小川です、いつもお世話になっています。いくつか事前に考えたのがあるんですけど、えーと、すいません。順不同で申し上げたいと思います。まず先ほど中島次長のほうから、昨年の産米の結果について問題なしというふうにレポート頂きました。安中市の場合、本当に問題ないというふうに会社側に報告があったんですよね?
会社側:・・・(頷く)。
当会:はい、ここはあらためて確認します。齟齬があるようなので。で、続きまして、先ほどというか、打合せ前に皆様の前にお配りしました、毎年、毎回恒例の、最近これ2年間くらいに亘っている降下煤塵。降下煤塵というのは、今日も、TCAという一番上のところにある排ガス塔から吹き出るのをメインとして周辺に降り注ぐ煤塵のことですね。で、当然、東邦亜鉛さんは、鉱石で亜鉛鉱石を取り扱っていますから。ただし亜鉛鉱石の中には亜鉛以外のいろんな成分が混じっております。亜鉛と類似した金属の、原子周期律表。難しい言葉になるんですが、まあ、カドミウムとか鉛とか、そういうやつが当然混じってくるわけですね。で、これについて、スラグという形で前々から鉱石中に含まれる亜鉛分を除いたやつ。硫黄については今、小名浜で除去しているたやつをここに運んできているということですが、そうするとカドミウム、鉛、砒素、水銀もあるようですけど、あと銀とか有用な成分もあるようですが、この降下煤塵で、そうした成分が混じっているということは昔から言われておりまして、このデータを、群馬県が毎月そこにお手元になるように計測し続けております。で、黄色く着色したのは、私が勝手にそれぞれの閾値を設定して、それを上まわっているものを着色しております。で、これを見ますと、確かに、令和4年の3月までに焙焼炉の休止、稼働の休止。それと併せて、操業量の減少ということですね。今日朝、バスの中で鈴木製造部長が申し上げておられましたけれども、本来だと、14、15万ドンくらいの、なんというか、製造能力を経産省に申請して認定されているわけですけれども。で、大体11万とか12万トンずつ今まで、つまり令和3年頃までやって来ていたんですけど令和4年4月頃からは、今言ったように小名浜で硫黄を飛ばした、いわゆる焼鉱、焼いた鉱石というやつを、タンク車という、安中貨物と呼ばれる、毎日夕方、こう(列車で)来ますよね。これで運び込んでいるやつです。それで、減産をしているんですよね、4割くらい減産をしている。で、まあ、そういうことを背景としてみてきますと、トータルで当然処理量が、製錬量が減っているわけですから、黄色の着色もそれに応じて4割減くらいだという会社側の公表値ですが、でもそれにしてはまだしぶとく残っているんですよね。これはやはり問題だと。1年経つとやっぱりこれだけの分量。これミリグラムでわずかではあるんですが、鉛とかカドミウムはとくに猛毒ですから、これがやっぱりきちっとゼロに近づけてほしいということで、今までも何度もお願いしているわけです。で、スラグの問題につきまして、大気中に周辺に拡散する、排ガスを37mの塔の、先ほど見ましたけど、ここから空気中に放出されるやつのほかに、スラグという固形物として、会社の外に排出される副産物がございます。これについては今日拝見させていただいて、バスの中でも第1班の人には声が届いたと思うんですが、えーと、なんと昔使っていたものがまた稼働中だと。で、数年前に鳴り物入りで、設置をした、群馬県の手続きを取ってね、防塵対策の、これは許可が必要ですから、届出か。これを使っていないということで、これ、恒久的なものかそれとも、仮の、ある一定時期かと思って、その後、最後に案内されたところは、昔の第1電解工場というところ、これもその前に撤去した跡地なんですけれどもね。ここに移すという話で、これは会社側として「まだ決定ではない」と、こういうご説明でした。すいません、説明の前段が長くなってしまったが、このスラグの取扱いについては、これ、報道でも為されたんですが非常に杜撰な取り扱いがされて、これが有価物かどうかということで、会社側にも私も以前からモニタリングしてきたんですけどね。現在は産業廃棄物だということで所定の場所に引き取ってもらうというか、管理型の最終処分場というんですけども、どうもその辺がハッキリしません。で、これに絡めてですね。何回か前の席上で、このスラグについて、県内の各地区、特に西毛地区にいろいろ路盤材とか、埋め土材として、使っていたわけですよね。とくに、岡田興業とか、これは群馬町にあるんですけれども、岡田興業とか、その兄ちゃんがやっている岡田工務店、ここに大量に出してたんです。あとは前橋市の土建屋さんとか太平洋セメントとかね、部出していたんですけれども、とくに、ビックリしたのは、県に会社が届けた120数カ所のうち、安中市に、安中市に埋め立てた、そういう場所があるのかどうかということで、で、会社側のほうに聞いても「みんな行政側に報告しているから」ということで、群馬県に3年半くらい前に情報開示請求をしました。その結果、開示しないというか、もう不開示で真っ黒け同然のやつがきて、これはいかがなものか、ということで審査請求をずっとしてまいりましたところ、昨年秋に、ようやく2年8カ月ぶりに開示されました。しかし、肝心の安中市に2か所あるということが判明したんです。だけど、その黒塗りになっている、それ以外は、現場の写真も含めて真っ黒塗りなんですよ。で、その報告をしたのが1か所は東邦亜鉛で、もう1カ所が東邦亜鉛以外の業者。東邦亜鉛の名前は出ているんですが、それ以外の業者は、つまり下請けの業者の名前は出てきません。ということで安中市に「東邦亜鉛から改めてこの情報を取ってくれ」と、「群馬県じゃなくて今度は安中市で摂ってくれ」ということで取ってもらったんですが、やはり群馬県と調整したんでしょうね。同じようなモノしか出てこないんです。これやはりね、開示してもらいたいんですけれども、東邦亜鉛さんは「行政に聞け」というが、行政はそういうことで(東邦亜鉛に)忖度しているわけですね。で、安中市で2か所、実際に東邦亜鉛の有害スラグが、まあ有毒スラグと言ってもいいですが、使われたんですよ。これやはりきちんと、もう少し、安中市内のどこなのかくらい、岩野谷地区なのか、旧安中なのか、磯部なのかね、原市なのか、秋間なのか教えてもらえませんかね。これ後でお願いしますよ。それから・・・。まあ、とりあえずそれくらいかな。
弁護団長:小川さん。
当会:長くなってすいません。もうお仕舞いにします。ありがとうございます。
弁護団長:要点を絞ってご質問をお願いします。
当会:ではまず、お願いしたいのは、安中市から昨年の産米のデータについて問題なしということについては、「そうだ」というお答えを頂いたので、それは間違いないですよね?
司会:・・・はい、安中市のほうからは、そういうふうにうかがっております。
(当会注:当会が、この確認にこだわった理由は、令和5年度産米で、地元北野殿地区の谷津田で実際に稲を栽培していた農家のかたが、初めて玄米中カドミウム含有量検査を申請されました。ご本人は、毎年収穫した自家米を食べていたのですが、検査の結果、基準値を超過した場合、影響が広範囲に及ぶのを懸念されて、敢えて「飼料米」として検査申請しました。この結果、心配した通り、カドミウム含有量が基準値0.4ppmを大幅に超過する0.73ppmも検出されました。後日、安中市農林課に確認したところ、「東邦亜鉛には、食用米として申請された玄米のカドミウム含有量検査のみ通知した」ということが判明しました。したがって、東邦亜鉛側が、今回の工場視察会で発表した結果は、安中市から連絡のあった範囲内での内容であることが確認できました。しかし、実態は、やはり、北野殿地区の農地は、ことほど左様に重金属汚染されていることが明白に確認されたことになります。一刻も早い、汚染土壌除去のための公害防除特別土地改良事業の推進が必須であることのは変わりありません)
当会:で、先ほどのそのスラグの使用が市内に2箇所あったと、いうことは、県のあれ(開示資料)にあるんですが、市内の2か所は、あまり番地まではとは言わないが、どういう経路で、いつ、それが使われたかということを、今、ご説明頂けるとありがたいですね。
弁護団長:その点どうですか?どうぞ。
司会:えー、すいません、こちらにつきましては、えー、・・・まあ、毎度毎度で申しわけないですが、あのう、うーんと、所有者様はもちろんですけど、行政のほうにもご報告させていただいております。具体的な場所、それと経緯等につきましては、回答を控えさせていただきたいというふうに思っております。申し訳ありません。よろしくお願い申し上げます。
当会:排出者責任の認識を、もう少しきちっとお願いしたいと思います。ではすいません、時間もないんでね。簡潔に言います。その他について、いくつか申し上げたいんですけども、昨年岩井地区の排土、排客土工事で出た排土が、御社の所有する、あの農免道路のすぐ西側のわき、あそこに埋め立ててありまして、これが一昨年11月に土壌調査を、これは群馬県の環境保全課のほうから、任意で所有者である東邦亜鉛さんのほうにね、「測定してはどうか」というか、「測定してみてくれ」とこういう形らしいんですけれども。その結果、これは1昨年の5月ね、半年後に11月に業者を呼んで。あそこで土壌汚染対策法に基づく調査をしました。その結果が昨年1月までに群馬県に出されたんですけども。そこで、3箇所、というか3項目、群馬県ははっきり言わないんですが、カドミウムと鉛と砒素、これが土壌基準、土対法の基準を超えたということで、いろいろ騒ぎが今、起きているわけですけれども。これについて、群馬県は「任意でお願いした」んですけども、東邦亜鉛のほうは、これ、どういうふうな認識で、測定したんですか?群馬県から命令があったんですか?それともやはり任意で、と思うんですけどね。これなぜ測定したんですか?
弁護団長:土捨て場?排土?
当会:はい、排土、土捨て場です。
弁護団長:では、会社のほう、どうですか?
司会:えー、これは前回も多分お聞きになったようですが、えー、まず、えーと群馬県から調査依頼について、どういう位置づけがあったのか、という質問かと思いますが、えーと、命令ではございませんでした。
当会:うん。
司会:はい。ただ、そうは言えども、群馬県さんから、公文書を頂いたものですから、なかなかお断りもできずにですね、えーと、結果的には調査をした、という経緯でございます。
当会:うん、だからすいません。ありがとうございます。「任意で測ったから公表しない」と、こういうスタンスなんですね。でも3種類(重金属が)出たということは、これはやっぱり重大な影響があると思うんですけど、これについて、行政も、県も市も、まあ、市は関係ないか、県は出さないんですよ。依然として情報開示請求に対して不開示なんですね。これは審査請求しております。ありがとうございました。引き続き開示の努力をお願いします。最後にもう一つ、今日もお願いしたんですが。最初にも触れましたが、スラグ置場をなぜ、前使っていて、ああいう、その、ただ穴を掘っただけのようなところだったので、きちんと床とか、壁、それから防塵の為に、スプレーを施した塀付きの広大なところを整備したにもかかわらず、また、一時的とはいえ、あのような昔のところを、今、お使いになっているわけですよね。で、あれ、ちゃんと対策していらっしゃいます。で、いつまで、あのような状況をやっているんですか?きちんと群馬県には、防塵施設として、届けて、認可、認可かどうか知りませんけど、届出だけかもしれませんが、許可というかOKをもらっているんですか。お願いします。
弁護団長:旧スラグ置場ですね。
司会:そうですね、今日一番最初に見ていただいたスラグ置場。
当会:そうそう。
弁護団長:昔、使用した場所ですか?
当会:そうそう、そのとおりです。
司会:えーと、届出の件ですね?
当会:変更、はい。
司会:はい。こちらについては、ですね。もともと使っていた時に、一般粉塵発生施設としての届出をしておりました。これはあのう、鉱山法で管理をしていたときの続きで、一般法に移った時に、大気汚染防止法の一般粉塵発生施設の届出をしておりました。今回ですね、今日ご覧いただいたように散水の方法を今までと変えたものですから、えー、この辺についての変更届を、提出をさせていただきました。
当会:はい。で、施設的に、その、直接、土壌に触れないような、側壁も含めてね。そういった配慮はした上で、再使用したんですか?
司会:そうですね、まず、床面については今回、きちっと整理するために、コンクリートを、追加を一応しました。打設をしました。壁についてはですね、今日も小川さん、見ていただき、ご指摘もあったとおり、大分、頑張ったんですが、あれ以上、重機、大きいのを入れてやったんですけど、あれ以上はもう取れないんので、あそこまで、ということになっております。
当会:取れないというか、せめて遮水シートとかね、そういうやつを設置すべきだし、散水後の水の処理は、以前と同じように、排水処理施設に導いているんですか?
司会:えー、はい。今日ご覧いただいた散水したあとの水ですね。えー、こちらについてはですね、えーと、まあ、あのこの製錬所を大きく排水が3系統に分かれているんですが、まあ、真ん中の中央系統といわれる排水のところに入って、ですね。第2集水地。今日、ご覧いただい集水地ですね、そのあと、排水処理にかかると、こういうことになっております。
司会:はい、大体以上なんですが、最後に要望。今、県と市と情報共有をして、これからも公特事業について進めたいと、最後には「地元にいろいろお世話になる」という話が有ったんですが、私のほうも情報共有、最近ちょっと怠っているんですけれどもね、会社のほうとは、行政と負けないほど情報共有しながら、一刻も早くこの事業の着工に向けて進めさせていただきたいと、思いますので、これは要望なので、よろしくお願いしますね。お願いしますよ!本社のほうも。はい、どうもありがとうございます。
弁護団長:はい、他の方でご質問、ご意見、ございますか?
場内:・・・。
弁護団長:先ほどの、繰り返しで申し訳ないんですが、先ほどの小川さんの質問に関連してなんですけど、あのう、第1電解工場の跡地を今度新しく、スラグの置場とか出荷場にされるということで、あそこはちゃんとコンクリートを打ってあるところですよね。だから、あそこのところを、使えるようにしてから、新しい、今、これまで使っていたところから、直に移すとよかったのではないかな、という気がするんですけれども。要するに、旧(スラグ置場)を復活させるのではなくて、新しいところを作って、直にそちらへ移すと、何の懸念もないような、と思われるんですけど。
司会:・・・はい、あのう、そうですね。えーと、もともと「東」が、今日、カラになったところをご覧いただいたK砕出荷場から、旧第1電解工場の、今日、最後にご覧いただいたところ、これに直接移すという、お話だと思うんですが、コスト的に見てこちらの方が間違いなく・・・あの、えーとですね、以前使っていたとはいえ、そのまま使えないので、当然、先ほど申し上げたように整理をしましたので、当然コストも、設備対応もしてますので、当然、その分もコストがかかっております。という意味では、本来であれば、今、高坂先生のおっしゃったようにですね、直接というのが、ということもなかったわけではないんですが、とりあえず、こちらにつくるのに、ですね。えーと、土壌調査をしたり、えーと、コンベアの設計をしたり、えー、とにかくいろいろな時間が結構かかるもんですね。で、すぐにと、いうわけにはなかなかいかないものですから、「ちょっと早めに空けろ」という指示もございまして、すいません。真ん中で一回、仮に使わせしていただいて、最終的には移すという計画でございます。
当会(つぶやき):どうしようもないね・・・。
弁護団長:あの、新しい事業については、何かご説明はしていただけるのですか?要するに、私たちは、会社の経営に何か口を挟むということはできませんが、それが公害、あるいは、周辺への排出に影響するのかどうかというのは、やっぱり、知っておくべき事柄だと思いますので、はい。
司会:今日、ご披露できるような情報があったら、と思うのですが、現段階ではまだご説明できるようなレベルではないようです。すいません、詳細は私のほうもわかりません。ということで、申し訳ないんですが、もうちょっと具体的になったところで、あの、この前も、協議会のなかでも先生からご指摘いただきましたように、ですね、内容を把握できましたところで、まあ、時期的に、あの、協議会なり、視察会の時期でなければ、臨時でご報告ということにもできようかと思いますので、その時はお時間を作っていただいて申し訳ないですが、そんな形でご報告できれば、と思いますが、よろしくお願いいたします。
弁護団長:あのう、ちょっと司会があんまり発言してまことに申し訳ないですが。
当会:いえいえ、いいですよ。
弁護団長:新しい、今、中止になった、スラグ置場、出荷場。会社が、あれを作るときに、やっぱり大地の会に、あまりご説明がなくて、大きな問題になって、「これからそういうことが無いように」ということで文書で取り交わしをしたんですね。ですから、まあ、かなり大きな計画の変更だと思いますので、そういうことが繰り返されないように、できるだけ早く、あのう、大地の会をはじめ、住民のかたに、ですね、ご説明の協議の場をお願いしたいと思います。
司会:はい、大丈夫です。はい、そうしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
弁護団長:えー、皆さんのほうでご質問、ご意見ございます?
場内:・・・。
弁護団長:じゃあ、よろしいでしょうか?じゃ、ここまでで。
司会:高坂先生、ありがとうございました。ここでですね、協定書の調印。こちらを行いたい、というふうに思います。協定書につきましては、3年ごとに更新ということになってございます。前回は令和3年の第30回視察会の際に調印をしていただいております。今年で3年目が経過したので、協定書に調印ということでお願いしたいと思います。安中緑の大地を守る会を代表しまして、大塚会長。会社を代表しまして、常務の森田。立会人としまして、高坂先生。調印のほうをお願いしたいというふうに思います。なお、協定書につきましては2通作成をして、ですね。安中緑の大地を守る会と会社、それぞれが保管、ということになっております。それではお三方、前のほうにお願いしたいというふうに思います。
午前11時36分に、協定書調印式が開始されました。そして、同11時42分に調印式が無事に終了しました。
※当会注:協定書の内容は、参加者に公表されていませんが、1991年に締結された最初の協定書の内容は以下のとおりです。おそらく、この内容のまま3年毎に更新されているものと思われます。
=====最初の協定書=====
協定書
緑の大地を守る会(以下甲という)と東邦亜鉛株式会社(以下乙という)とは、下記の目的のために、次のとおり協議会及び工場視察会をもつことに合意した。
記
1 目的
⑴周辺住民と会社との隣人同士の信頼関係の維持拡大
⑵公害防止に関する継続的な努力及び相互理解
⑶畑地土壌改良問題に関する意見並びに情報交換
2 協議会
⑴年2回(3月及び9月)、定期協議会を開く。
⑵必要に応じ随時的な協議会を開く。
⑶参加者
①甲のメンバーのうち旧安中公害原告団及びその家族の代表 5名程度
②安中公害弁護団 5名程度
③乙(東邦亜鉛) 7名程度
第1項の目的に沿った意見・情報交換及び協議。
3 工場視察会
⑴年1回(4月)、工場視察会を実施する。
⑵参加者
①1項のメンバーのうち、旧安中公害原告団とその家族
②安中公害弁護団 15名程度
③甲、乙が合意するオブザーバー 5名程度
⑶内容
乙の案内、説明による安中製錬所の主な公害防止機器の視察
視察後の意見・情報交換及び協議
4 費用
原則として各自の負担とする。
5 期間
1991年9月23日以降3年間とする。
本協定は、双方合意の上、更新することができる。
以上の協定の証として本協定書2通を作成し、各自署名捺印の上、各1通を保有する。
1991年4月14日
甲 緑の大地を守る会
乙 東邦亜鉛株式会社
立合人 安中公害弁護団
==========
司会:ありがとうございました。それではですね。大塚会長と森田所長と握手をして頂ければ、と思います。立っていただいて、はい。(拍手)すいませんありがとうございます。それでは1枚ずつ持っていただいて、高坂先生、横に入っていただいて、3人で写真を撮っていただいて。3人並んでお願いします。
司会:はい、ありがとございました。席にお戻りください。(拍手)
司会:調印式、ありがとうございました。視察会終了に当たり、代表者の挨拶を頂戴したいというふうに思います。安中緑の大地を守る会、副会長、茂木繁様。よろしくお願いいたします。
副会長:今日はお忙しい中、東邦亜鉛株式会社安中製錬所において第33回の工場視察ということで、大勢のかたがたにご参集いただきまして、本当にありがとうございました。場内を回りながら見て、そして説明を受けて、また思いを新たにされたことと、そんなふうに思っております。また、工場の皆様とですね、今回の視察にあたって、いろいろご配慮いただき本当にありがとうございます。これからも、会社と地域住民との理解がますます深まることを祈念致しまして、簡単ではありますが、締めの挨拶とします。どうもありがとうございました。(拍手)
司会:ありがとうございました。それでは私ども会社のほうから、常務執行役員総務本部長であります大久保よりご挨拶を申し上げます。
本社総務本部長:本社総務本部の大久保でございます。僭越ながら一言ご挨拶させていただきます。本日はお忙しい中、第33回安中工場視察会にご参加いただきまして、誠にありがとうございました。冒頭の大塚会長のご挨拶、非常に胸に突き刺さりました。今後とも、安中製錬所、ならびにその家族従業員と家族ともども、どうぞよろしくお願いいたします。さて、ですね、昨日(4月5日)なんですけれども、当社から、臨時開示を行った事項がございました。それを若干紹介させていただきます。タイトルはですね、「当社持分法適用関連会社に対する債権の取立不能または取立遅延のおそれに関するお知らせ」というものでございます。タイトル名からしまして、ご覧になった方で驚かれた方もいらっしゃると思いますけれども、詳しい内容につきましてはですね、当社のホームページに掲載しておりますので、その事実部分をご覧になっていただければと存じます。(注⇒ https://www.nikkei.com/nkd/disclosure/ednr/20240405S100T86S/?msockid=0d30a971a2cf60df214cba37a325612b )
内容的にはですね、当社が40%の権益を保有しておりますオーストラリアに所在するアブラ鉱山がですね、アブラという鉱山が、当初計画に比べて、鉱石品位や採掘数量が下回ったことに加えまして、大雨による輸送障害などの想定外の外部要因により、収支と資金繰りが悪化して、オーストラリアの会社法に基づく任意管理手続きを開始することになったというリリースでございます。今後はですね、任意管理人が選任されまして、えー、豪州のアブラ鉱山の操業を継続しながら、方向性を決めていくことになります。なお、これに伴いまして、ですね、当社の債権額に相応の影響が出る可能性はございますけれども、メインバンクをはじめとする銀行団の支援のもと、当面の資金繰りに関しましては、ですね、支障がございません。で、ご報告いたします。以上がきのうのリリースしたもので、適時開示したもののご報告でございます。次に安中製錬所。まあ、安中製錬所については、亜鉛事業を取り巻く環境でございますけれども、電気代につきましては、ですね、ピーク時期よりは一服したものの、諸資材の値上がりはまだまだ続いており、なかなか出口が見えない、非常に厳しい状況が続いております。こうした中でございますけれども、先ほど協定書を更新させていただきました。今後とも、当社の、当社への、ご支援ご協力を賜りたく、どうぞよろしくお願いいたします。最後に大変恐縮でございますが、ここにご列席の皆様と、ご家族の皆様のご健勝を心より祈念いたしまして、私からの挨拶をさせていただきます。本日はどうも有難うございました。
↑以前、使用していた豪州のエンデバー鉱山とラスプ鉱山の原鉱石のサンプル↑
↑安中製錬所で使用されたり産出されたりする各種物質のサンプル↑
↑安中製錬所から年間数万トン産出される産業廃棄物指定の非鉄スラグ。東邦亜鉛では、「K砕」と呼び、有価物のように装っているが、実は鉛、ヒ素、カドミウムなど各種重金属が残留するシロモノ。実際に工場外のどこに、どのように「出荷」されているのか依然として不明↑
司会:えー、以上を持ちまして第33回工場視察会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。なお、少しですけれどもお弁当、お茶菓子、用意をさせていただきました、忘れずにお持ちをいただきたい、というふうに思います。それとですね、お帰りの際に、下の1階の玄関ロビーのところで、花の苗をお渡ししたいというふうに思います、一人一つずつお持ち帰りをいただければ、というふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。それでは気を付けてお帰り下さい。どうもありがとうございました。
以上、午前11時48分に全ての予定を終了しました。
■以上、第33回工場視察会のやりとりを報告しましたが、今回、以下の事項について、今後、詳しい背景調査が必要になろうかと思います。
(1)会社側がスクラップ・アンド・ビルドにようやく注力しはじめたこと。
(2)8年前に鳴り物入りで、非鉄スラグの「東」保管・出荷場を屋外に新設したが、最近、その稼働を停止したこと。
(3)この場所を、同社の新規事業のための工場建設用地として転用する方針が、決まっていること(ただし新規事業が何かは明らかにされていないこと)
(3)あらたに屋内型の非鉄スラグ「西」保管・出荷場を、旧第1電解工場跡地に設け、ベルトコンベヤや磁選機などを移設して、稼働させる準備をしていること。
(4)この関連で、屋内型の「西」保管・出荷場新設のため、土壌汚染対策法に基づく土壌調査を実施する必要があること。
(5)屋内型の非鉄スラグ「西」保管・出荷場を建設し、完了するまでの間、少なくとも複数年間、かつて使用していた公害防止対策が不十分な「旧」非鉄スラグ保管・出荷場の使用がなぜか可能とされて、現在実際に稼働していること。
■東邦亜鉛が、「8年前に鳴り物入り」で、非鉄スラグ保管・出荷場を完成させた際の経緯は、当会の次のブログ記事を参照ください。
○2016年5月16日:安中緑の大地を守る会総会でわかった東邦亜鉛安中製錬所スラグ置き場新設計画の驚くべき概要↓
■このブログ記事に掲載されているとおり、東邦亜鉛は「地域の皆様との共存共栄を求めて <ご質問にお答えします>」と題するチラシを住民に配布しました。内容を以下に示します。
*****「地域の皆様との共存共栄を求めて」*****
●K砕(ケイサイ)つて何?
1)ロータリーキルンという装置から発生する、形状は5~20mm径の大きさで、固く多孔質で、見た目の色は黒い焼き砂状のものです。
2)主成分は、鉄が40%、亜鉛が3%前後含まれており、年間50,000T程度発生しています。
3)主な販売先は、①鉄原料 ②建材用原料 ③サンドブラスト材 ④セメント用原料向けに販売しています。
●粉じんに有害物資は含まれないの?
1)製錬所内に保管されている様々な原料は、鉱石由来のカドミウムや鉛などの重金属が含まれており、どんな粉じんでも外部に漏えいさせないことが原則です。
2)K砕は、重金属を回収した最終工程から出るもので、土壌に溶け出すような有害物質を含まない「一般粉じん」の扱いで、屋外貯蔵も認められている物質ですが、粉じん発生は極力抑えるべきとの認識でいます。
●粉じんの有無を数値化できないか?
1)製錬所周辺の降下ばいじんは、県の環境保全課が毎月測定して、結果は毎年9月に発行される「環境白書」に報告されています。
2)西の平や伊勢宮では、ダストジャーにより24時間365日測定されていますので、粉じん発生量の増減があれば、現在でも数字で評価されています。
3)27年度の白書では、「過去5年間減少傾向である」と、良い評価を継続しいて頂いていますので、新K砕保管・出荷場整備により、評価が下がるようなことはしません。
●高い塀の設置は風向きや景観に悪影響はないか?
1)新しく6mの高い塀の設置を計画していますが、当然、地域の皆様に対して悪い影響が出ないよう、経過を観察しながら継続的な改善を目指します。
2)具体的には、これまでの荒地の景観を改善し、工場の騒音や粉じんを防止する効果を追求し、工場周辺の環境改善にっなげたいと考えています。
3)今後も地域の皆様からの情報に耳を傾け、会社は継続的に改善を図っていくべきと考えていますので、何か不具合等ありましたらご連絡頂きますようお願いします。
●工事の日程は?
1)4月に実施した地元説明会の後、直ちに群馬県に対して「設置届」を提出し、5月中旬からの工事着工を目指しています。
2)地元説明会において、地元の皆さんから出されたご意見・ご要望は、計画に織り込むように工夫して、最終的な完成は9月下旬を目標にしたいと思います。
3)長い工事期間となりますが、工事中に地元の皆様が不快な思いをなされないよう、万全な準備と細心の注意をはらい、安全に工事を進めたいと考えています。
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ご覧のとおり、8年前は「●粉じんに有害物資は含まれないの?」という住民の不安に対して、
「1)製錬所内に保管されている様々な原料は、鉱石由来のカドミウムや鉛などの重金属が含まれており、どんな粉じんでも外部に漏えいさせないことが原則です。」
「2)K砕は、重金属を回収した最終工程から出るもので、土壌に溶け出すような有害物質を含まない「一般粉じん」の扱いで、屋外貯蔵も認められている物質ですが、粉じん発生は極力抑えるべきとの認識でいます。」
などと、説明していた東邦亜鉛ですが、その後、非鉄スラグに大量の鉛、ヒ素、カドミウムなどが混入していたことが判明したため、現在、群馬県では、東邦亜鉛安中製錬所が排出する非鉄スラグは、産業廃棄物に指定しています。
〇2020年12月8日;【12月8日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する使用箇所の解明等の状況について(廃棄物・リサイクル課、環境保全課)↓
しかし東邦亜鉛安中製錬所が毎日排出する非鉄スラグには、鉛、ヒ素、カドミウムなど重金属が含まれていることから、本来であれば、廃棄物処理法第2条第5項に定める特別管理産業廃棄物のうち、特に有害性の高い物質あるいはそれらを含む特定有害産業廃棄物に該当するはずです(廃棄物処理法施行令第2条の4第5項)。
今回の、従来の屋外型の非鉄スラグ保管・出荷場の閉鎖と、屋内型の非鉄スラグ保管・出荷場の新設計画、そして完成までのつなぎの期間に、あろうことか8年前まで使用していた旧・スラグ保管・出荷場の臨時使用という、異常な対応の背景には、上記の事情が反映されているのかもしれません。
■東邦亜鉛が何かしでかす場合には、本来の目的などを隠したまま、住民への説明が事後報告となるケースが多々あり、さらに行政も東邦亜鉛の立場を忖度しますので、今回分かった非鉄スラグ保管・出荷場の突然の変更申請の背景について、慎重に調査する必要があります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項おわり】