■10月7日に実際に提出した訴状・証拠説明書・甲号証・その他添付書類の内容は以下の通りです。
↑国立高等専門学校機構本部棟。所在地:東京都八王子市、建物用途:事務所、延べ面積:1,319.79㎡、構造:RC造、規模:地上3階、竣工:2006年、設計:豊建築事務所。「国立高等専門学校を設置・運営する組織である国立高等専門学校機構本部を、従前の幕張地区から八王子市狭間に移転するため計画されたもの。ファサードは機構本部からイメージされる「規律正しさ」をグリッドやルーバーで表現。また、エントランスのデザインは大きな壁面と開放感のあるガラスで構成。建物正面に位置するエントランスホールは、執務空間を繋ぐ2層吹抜けとし、開放的な空間とした。1・2階は事務空間として明確にゾーニングすることで、来館者及び職員が利用しやすい平面構成とした。最上階は、理事長、理事及び監事の独立したエリアとし、落ち着いた環境を確保した」同建築事務所HPより。↑
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訴 状
令和元年10月7日
東京地方裁判所民事部 御中
原 告 市民オンブズマン群馬
上記代表者 小 川 賢
〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
原 告 市民オンブズマン群馬
上記代表者 代 表 小 川 賢
電 話 090-5302-8312(原告代表・小川直通)
または 027-224-8567(原告事務局)
FAX 027-224-6624
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
被 告 独立行政法人国立高等専門学校機構
上記代表者 理事長 谷 口 功
電話 042-662-3120(代表)
FAX 042-662-3131
法人文書不開示処分取消請求事件
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
貼用印紙額 金1万3000円
第1 請求の趣旨
1 被告が原告に対し,平成31年4月16日付高機総第19号法人文書開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち,別紙に示す情報について不開示を取消せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 請求に至る経緯
平成29年8月から平成30年7月にかけ,原告は,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」)に基づき,被告に対して数回にわたり別々の法人文書開示請求をおこなったが,それらに対する開示決定において,開示文書のうち複数箇所について極めて根拠不明瞭な不開示措置がなされていることが判明した。これらの措置のうち一部については,原告が総務省の情報公開・個人情報保護審査会に審査請求を提出し,その答申を受けて撤回されたものの,なおも根拠が極めて不明朗または明白に失当とみられる不開示処分箇所が複数残っていた。そのため,原告は上記異議のある文書をまとめて対象に,平成31年3月11日付であらためて法人文書開示請求(甲1)をおこなった。結果,かかる不開示箇所についてまったく同一の本決定が下された(甲2)。実際に開示された文書およびその不開示状況については甲3ないし甲7に示すとおりである。ここで原告では,訴訟の一本化による訴訟業務負担軽減および争点明確化のため,行政事件訴訟法第12条の規定に基づき,本決定に対して提訴をおこなうこととした。
上記経緯のため,原告が争う各文書についてはそれぞれ別々の経緯があり,したがって証拠等の時系列がやや前後することを,本件審理にあたっての留意点とさせていただきたい。
2 別紙の1にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告である独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)が毎年行っている校長候補者選考について,原告が候補者リストの開示を求めたところ,標題以外の箇所すべてについて,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2ないし甲3)。
ここで説明を加えておくと,被告は,その運営するところである全51校の高等専門学校について,毎年,新校長の募集および選考を行っており,その仕組みは,原告の質問に対して被告自身が説明するところによれば,「校長の選考プロセスについては,理事長から,高専,理工系又は商船系の分野を有する大学,文部科学省に候補者の推薦を依頼し,推薦のあった者について,選考委員会における書類審査・面接審査を経て,理事長が任命して」おり,また,「例年,推薦される候補者は概ね20人程度で,選考を経て,校長に登用されるものは概ね10人程度」とのことである(甲8)。この点については,被告自身が回答をおこなったものであり,実際に行われているプロセスの仕組みに関する事実であることから,争いがないものと思われる。
ここで上記処分の妥当性について検討する。被告は,本決定および開示文書において,かかる文書に記載があり不開示とした具体個別項目の内容を一切説明しておらず(不開示の妥当性の検証が不能という点で,すでに失当である),したがって原告は具体個別項目について不知である。しかし,常識的に考えれば,かかる文書には候補者氏名のほか,最低でも「①各候補者の推薦機関」,「②当該年の全候補者数がわかる情報」,「③個別の項目名」の3つの情報が含まれているはずである。
ここからさらに検討を進めれば,候補者氏名は特定個人を示す情報として不開示は妥当であるとしても,各候補者の推薦機関については,単にその機関が当該年に校長候補者の推薦をおこなったことを示すだけの情報であり,推薦受け入れ対象機関は上記の通り被告自身がすでに言明しているのであるから,被告の人事業務に著しい影響を及ぼすとは到底認められない。また,被告が推薦を受け入れる各機関の規模を鑑みても,推薦機関名から個別具体の被推薦者を特定することは不可能であり,今後の関係各機関からの推薦が萎縮してしまうということも極めて考えがたい。さらに,当該年の全候補者数がわかる情報についても,その概数は上記のように被告自身説明するとおりであり,各年の具体的候補者数を開示したところで,被告の人事業務に著しい悪影響を及ぼすことは考えられない。個別の項目名については明らかに法の不開示事由に該当しないため不開示は失当である,したがって,最低でも上記①②③にかかる情報はまず開示されるのが当然である。
また,その他の不開示箇所についても,被告が具体的な個別項目名を一切明かさず,原告が妥当性を検証不能な形で法を適用し全部不開示としていること自体が極めて不適切な法の運用というべきであって,かかる文書中の「③個別の項目名」を被告が明かしたのち,改めて各項目について不開示の妥当性を検証し,その上で被告の人事その他業務に重大な影響を及ぼさず,かつ核心的な個人情報でないと認められた項目に関しては当然すべて開示されなければならない。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる記載項目名等を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において氏名を除く箇所すべての不開示処分取消を請求せざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙1の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。
3 別紙の2にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告の運営する群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専」)に平成25年度初めから平成28年度末まで学校長として在任した西尾典眞氏について,人事異動による退職時に当該人物が被告理事長に宛て提出した辞職願の開示を原告が求めたところ,同文書に記載のあった「辞職理由」について,被告が「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び4)。
前提となる事実の説明を行うと,西尾典眞氏は文部科学省からの出向(被告は「人事交流」の語を使用)によって同校校長に就任しており,また,校長退任後は継続して再度同省職員として復帰している(この事実については,一切の争いがないものと思われる)。したがって,事実上,群馬高専校長就任から退任までの過程すべては,同省職員あるいは同省を出向元とした高専機構職員としての職務の範疇内であったということができる。
また,さらに直接的な証拠として,平成29年6月6日,原告が群馬高専の山崎誠学校長(西尾氏の後任)ら幹部と面談し,同校の運営に関する事項をヒアリングした際の録音がある(甲9)。なお,この面談時の様子については被告も(原告同意のもと)録音を行っており,録音データは双方が保有しているので,発言内容自体には一切の争いがないものと思われる。
原告があらかじめ提出してあった質問に同校幹部らが回答する中で,西尾氏の退任理由について触れた際,同校の猿田智男事務部長(当時)は,「西尾前校長の異動の理由についてだが,同氏は人事交流という形で群馬高専の校長に着任しており,交流元(文科省)のほうで色々調整があったので,交流元(文科省)へ復帰した」「人事交流で交流元に戻っただけなので退職金は出ない」と明言し,さらに山崎誠学校長も,「交流元が文科省なので,文科省に戻ったということ」「要するに元に戻っただけ」(つなぎ表現及び語尾は発言の意味を変えない範囲で省略)と発言した(甲9中マーカー箇所)。
したがって,かかる人事異動が,西尾氏の私的な事情に基づくものではなく,出向元の文科省の公的な要請によるものであったことは,被告自身認めており明白である。言い換えれば,かかる人事は,文部科学省職員として,あるいは文部科学省から要請を受けた高専機構職員としての職務の一環として行われたものであるから,その理由については,法第5条第一号ただし書きハに定めのある「公務員等,独立行政法人の役員及び職員の職務の遂行に係る情報」に該当することが明らかであり,不開示は失当というほかない。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
4 別紙の3(1)にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,複数名に関する氏名およびかかる異動前後の職名等情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び5)。
ところが,当該文書で不開示とされている人物(以下「不開示対象者」)のリスト上での前後には,上記情報が問題なく開示されている教職員等(以下「開示対象者」)が多数存在しているのにも関わらず,被告は,こうした不開示対象者と開示対象者の間で差別的な取り扱いをおこなっている理由を一切説明しないまま,「個人情報に該当する部分」とのみ記述して,原告にその不開示の妥当性を検証不可能な形でかかる処分をおこなった。このことは,法の運用として極めて不適切であると言わざるを得ない。
このような,極めて不適切な形で氏名およびかかる異動前後の職名等情報を不開示としている箇所(以下「不適切不開示箇所」)の内訳と総数は,原告において数えたところ以下のとおりであった。
●校報129号:「退職」欄で4箇所,「退職」欄で1箇所,「配置換」欄で3箇所,「昇任」欄で2箇所
●校報130号:「退職」欄で4箇所,「採用」欄で5箇所
●校報131号:「退職」欄で7箇所,「採用」欄で5箇所,「配置換(学内)」欄で2箇所,「昇任」欄で4箇所,「兼務」欄で3箇所
以上40箇所が,不適切不開示箇所として認められる(甲5)。なお,各年「校報」人事関係のうち「育児休業」および「育児休業復帰」欄にへの不開示処分については,原告にとって特に開示を求めたい情報ではないため,争わない。
以下,これら不適切不開示箇所に含まれる各情報について,論点①②③に分けて,実際に不開示の妥当性を検証する。なお,各論点の対象とする範囲はやや重複する。
【論点①】
まず,各不開示対象者の氏名をのぞく各不開示対象者の所属・職名等情報に関しては,当該年に当該部署においてかかる人事が行われたことを示すだけの情報であり,開示されたからと言っておよそかかる特定個人を識別可能な情報ではない(特定個人の氏名が公にされていないのであれば,所属・役職から当該人物を特定することはできないし,また,公にされているのであれば,それはそもそも公領域情報である)。
また情報の性質面から検討を深めると,採用・異動・退職等が行われたという事実自体に関する情報は,当該人事が行われた部署に属する者は氏名情報に至るまで含め当然既知であり,他部署あるいは学生に対する機密情報ではなく,各部署内で特段の事情を斟酌して当該部署内のみに情報をとどめ隠匿しなければならない性質の情報でもないから,「開示によって新たにこれらの情報が内部者ないし外部者に明かされることになってしまい,結果,各不開示対象者に多大な不利益ないし不快の念を生じさせることになる」という可能性は著しく低いものと考えられる。
したがって第一に,各不開示対象者の所属・職名等情報(具体的には「退職」欄について「退職前の職名等」,「退職」欄について「所属・職名」,「配置換」欄について「配置換前」及び「配置換後」,「配置換(学内)」欄について「異動前の職名等」及び「所属・職名」,「昇任」欄について「前職等」及び「所属・職名」,「兼務」欄について「所属・職名」及び「前職等」)については,法第5条第一号にあたるという判断は失当であるから,不開示処分の取消を求める。
【論点②】
さらに,氏名情報についても,各不開示対象者に関する雇用区分による検討が必要である。例えば,同校の技術職員に関しては,開示対象者中に一切の記載がないことから,当該雇用区分がなぜか不開示対象者に含まれていることが強く伺われるが,原告が調査したところによれば,同校HPおよび同HP上にて公開されている刊行物において各年の技術職員氏名が部署及び役職ごとに,さらに採用・退職者の挨拶という形でその氏名も公表されており(甲10ないし11),各人の在籍状況・職位に加え採用・退職・異動・昇任状況等は容易に把握可能であるから,既に慣行として公にされている情報であり,法第5条第一号イに該当することは明らかであって,不開示対象者に含めるのは失当というほかない。したがって,(不開示対象者に技術職員が含まれているのであれば)技術職員らに関する記載の不開示処分取消を求める。
さらにこのことから,この他にも雇用区分等各種事情によっては氏名等情報が開示可能であるケースの存在が強く想定されるのであり,被告が本係争に各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を明かしたうえで,個別に不開示の妥当性を検証することが必要であると考えられる(少なくとも,上記技術職員らの不開示処分取消請求に関して,審理のため被告は不開示対象者中の実際の技術職員の存否をはじめ,その内数,ひいては不開示処分対象者の雇用区分内訳(以下「不開示対象者についての雇用区分等属性情報」)を明かさなければならないと考えられるので,不開示対象者についての雇用区分等属性情報が被告により明かされ次第,原告はそれを加味したうえでさらに個別に争う)。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において不適切不開示箇所すべての不開示処分取消を求めざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙3(1)の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。
【論点③】
また,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄については,配置換および兼務という行為そのものが,独立行政法人たる被告(高専機構)が自らの職員に対し新たな職務を伝達しそれに応じて当該職員が自らの意思を差し挟む余地なく当該職務への従事を開始する過程であり,それら自体が被告(高専機構)に一貫して在職する高専機構職員としての職務に包括されると見るべきであるから,それに関する情報は法第5条第一条ただし書ハに定めのある「独立行政法人職員の職務遂行に係る情報」に該当するとみるのが妥当である。したがって,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄に記載のある氏名,所属・職名その他情報は,上記論点①②に関わりなく開示されるのが妥当である。
5 別紙の3(2)にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,同情報のうち「退職」欄中の「退職理由」情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである。
前提として,「退職」欄中に記載のある人物のうち,教職員については,すべて同じく高専機構職員という扱いであり,実際に,独立行政法人国立高等専門学校機構規則第6号として制定されている独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(以下「高専機構就業規則」)の第7条において,被告理事長が採用することとなっており(甲12),また,公表されている群馬高専の業務報告からも,「常勤教職員の人件費は高専機構」と記載がある(甲13)。こうした事実から判断すれば,少なくとも法(または被告における規定)上の扱いの面では,被告高専機構の常勤教職員については学校の別なく被告がその職員として直接採用及び管理,給与支払をおこなうものであり,高専機構就業規則等のもと同一の扱いが行われるものであり,各学校は単に被告の一部署という扱いであることがうかがわれる。
ところが,原告が別途調査したところによれば,被告の設置・運営する複数校に対して,同様の「校報」人事情報について原告が開示請求をおこなったところ,高専機構職員の退職理由等情報については問題なく開示された(甲14ないし16)。この事実から,通例公機関の職員録等人事情報の開示範囲に関しては,省庁や独立行政法人ごとに設定することになっているところ,かかる区分の情報について被告高専機構全体としての不開示規定は特に設けられていないことがうがわわれる。そして,すでに同種の情報が慣行として公にされているうえ,被告高専機構が各種法令上またはその規則上において同列に扱いまたは管理し,また同様の職位でさらに同様の職務に従事する「高専機構職員」間で異なった取り扱いをおこなう合理的理由はないから,当該情報のみ不開示とする合理的理由もないことが認められる。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
6 別紙の4にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告と原告の間で係争が行われた平成28年(行ウ)第499号及びその控訴・付帯控訴事件において,被告が訴訟代理人弁護士に支払った報酬等一切に関しての支払決議書の開示を求めたところ,記載項目のうち「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」にかかる情報(以下「弁護士費用等情報」)について,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び6)。
被告は,弁護士費用等情報について「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当すると主張するが,弁護士費用等情報の個別内訳ならばともかく,被告が当該弁護士事務所に支払った弁護士費用の総額に関する情報から,原告その他外部の人間にとって当該訴訟業務の内情を推察することは明らかに不可能であり,また,当該事務所の内部規定等運営上における機密情報を推察することも不可能であるから,本弁護士費用等情報を開示することによって,かかる弁護士事務所の権利または競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。
加えて,当該弁護士事務所は,依頼者が私人や私企業ではなく,税金等を原資とした予算の運用について大きな説明責任をもつ国家機関(被告)であることを承知の上で当該案件を受注したのであるから,情報開示制度によって当該情報が開示されいささかの不快の念を覚えたとしても,それは受忍すべき限度の範囲内に留まると考えるのが妥当である。
さらに,本弁護士費用情報にかかる不開示処分が妥当でないことを示す答申例・判例等も多数存在していることから,一部抜粋して以下【1】【2】【3】に列挙する。
【1】総務省(旧内閣府)情報公開・個人情報保護審査会による答申例
平成15年度(行情)答申第41号(甲17)や平成15年度(独情)答申第16号(甲18)が存在する。
このうち平成15年度(行情)答申第41号については,総務省の公開する答申選に掲載されており(甲19および甲20),選任弁護士の報酬額が情報公開法の不開示情報に該当しないことがすでに明記されている。
(参考:答申選掲載事件名一覧より一部抜粋)
58 答申15(行情)41「特定訴訟に係る国側代理人弁護士と国との間の訴訟代理等に関する文書の不開示決定に関する件」
・選任弁護士の報酬額について,法5条2号イ及び6号ロ該当性を否定
また,これと平成15年度(独情)答申第16号については,総務省行政管理局の作成した「情報公開法に係る主な答申等について」(甲21)においても掲載されており,訴訟代理人弁護士の報酬額は「公にすることにより,当該法人又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」ではないと明記されている。
【2】地方自治体による答申例
地方自治体レベルにおいては,任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当としている例は枚挙にいとまがない。むろん従うべきが法か条例かという差異はあるものの,根本的な判断基準のところでその性質を異にするものではない。以下では任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当とした答申例のうち4つを,被告の処分が適法でない根拠として引用する。
例えば,神戸市平成14年答申74号(甲22)においては,弁護士の氏名,事務所の所在地,電話番号,報酬額について開示が妥当であると裁定されている。
(参考:神戸市平成14年答申74号より一部引用)
イ 争訟事件の処理を委任した弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号
弁護士の氏名は,神戸市から争訟事件の処理を受任したことを示す情報である。これを公開しても,当該弁護士の依頼者に神戸市が含まれていることが明らかになるだけであり,これを非公開とする理由は認められない。また,事務所の所在地,事務所の電話番号についても,これを非公開としなければならない理由はない。
したがって,弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号は,(中略)非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。
ウ 弁護士に対して支払った報酬の額
(中略)
弁護士報酬の額が明らかになり,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払う報酬額と異なることを知ったからといって,神戸市以外の依頼者から当該弁護士に不信,不満を抱き,信頼関係が損なわれ,当該弁護士の事業活動に支障が生じるとは認められない。
したがって,弁護士に対して支払った報酬の額は,改正前条例第7条第2号に該当せず,これを同号に該当するとして非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。
また,京都市平成20年答申第82号(甲23)においても,弁護士報酬を明らかにしたからといって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じるとは認められないとして,開示が妥当と判定している。
(参考:京都市平成20年答申第82号より一部引用)
2 条例第7条第2号に該当することについて
(2)謝金の額については,評点を基に決定されるが,金額のみが明らかとなったとしても,その具体的な算定根拠までが明らかになるわけではない。
また,謝金の額については,最高裁平成8年7月19日判決以降,他都市において公開されている事例があり,それによって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じているとは認められない。
さらに,弁護士の報酬については,弁護士法改正に伴い,個々の弁護士が自ら報酬に関する基準を整備し,かつ自己の報酬に関する情報を広く知らしめるよう努めることとなった。したがって,謝金の額が明らかになることによって,当該弁護士が,競業している弁護士,また,当該弁護士に依頼をしようとする第三者から,その能力についての誤解を受けるとは考えられない。
3 条例第7条第7号に該当することについて
ア 京都市が争訟事件を処理するにあたり弁護士へ支払う謝金の額については,他の公共事業に要する額と同様に公金の支出に関する情報であり,納税者に対する説明責任がある。
イ 他都市において弁護士の謝金が公開されていること,また,京都市が行う他の公共事業に要する額が公開されていることにより,特段の支障が生じているとは認められず,謝金の額を公開したとしても,京都市と弁護士との間の信頼関係が著しく損なわれ,今後の争訟事件の処理という京都市の事務事業の円滑な執行に著しい支障が生じるとは認められない。
さらに,千葉県平成15年答申第119号(甲24)を見ても,公機関が選任した弁護士の報酬額が明らかとなったとしても,その競争上もしくは事業運営上の地位に不利益を与えるものではないと判定されている。
(参考:千葉県平成15年答申第119号より一部引用)
しかしながら,公的機関が依頼者となる事件の弁護士報酬額は,予算の適正な執行という点からすれば,当該事件処理により確保される経済的利益の価額に基づいて客観的に決定されるべきもので,私人や会社が支払う弁護士報酬額よりも,より定型的に算出されているのが実態と考えられる。
本件についても,実施期間は,「千葉県企業庁争訟事件の報酬等に関する規定(内規)」に定めるところの経済的利益の額に対応する額の上限額を使用し,弁護士報酬額を決定したものである。
このようにして決定された弁護士報酬額が明らかになったとしても,事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位に不利益を与えるものとまではいえない。
加えて,滋賀県平成29年答申第98~101号(甲25)においても,弁護士報酬は特定事案における契約状況の一端を示すにとどまるものであり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまではいえないと判断されている。
(参考:滋賀県平成29年答申第98~101号より一部引用)
確かに,弁護士との契約金額や委任契約の内容については,法律事務所報酬規程に基づき,事件の内容や難易度,依頼者の資力など事案毎の事情を考慮して決定されているものと考えられるところである。
しかしながら,当該非公開情報は,実施機関と弁護士との契約内容や契約金額そのものであると認められ,これを公にしたとしても,特定事案における契約状況の一端を示すにとどまり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは言えない。
当該情報が公金の支出に係る情報であることに鑑みれば,県民等に対する公開の要請が強いものと言うべきであり,実施機関の説明からは,非公開情報該当性を認めるべき具体的な理由は見当たらないものである。
【3】公機関の選任した弁護士の報酬を開示することが妥当とした判例
このような判例としては,大阪地裁平成8年(行ウ)118号(甲26)がある。この中で,大阪地裁は,公機関の支払う弁護士報酬は,私人や会社が支払う場合と異なり一定の基準に基づき客観的に決定されるものであり,さらにこのことを当該弁護士が承知した上で受任するものであるから,報酬額を開示しただけで当該事務所の営業上の内部方針等が明らかになったり,業務に影響を与えることはないと判定している。また,それまでにも公機関の選任した弁護士の報酬が開示されてきた事例が幾多あり,それによって具体的に当該弁護士の利益が損なわれたケースは存在しないという事実を理由として採用している。
(参考:大阪地裁平成8年(行ウ)118号中判決理由より一部引用)
1 本件条例六条三号本文該当性について
(三)しかしながら,本件情報は,(中略),私人や会社が支払った弁護士報酬の場合とはやや趣が異なる。すなわち,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,予算の適正な執行という点からも,日本弁護士連合及び各弁護士会が定めた報酬規定による基本報酬額や当該事件処理により確保した経済的利益の価額により,一定の基準に基づいてできる限り客観的に決められるべきものであり,依頼を受けた当該弁護士もそれを承知でこれを承諾するもので,その決定に当たって依頼を受けた弁護士との間の人間関係は考慮されるべきではない。このような意味において,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,私人や会社が支払う弁護士報酬の額よりも,より定型的に算出される傾向があるといえる。このような弁護士報酬額及びその算定に当たって考慮された事項が明らかになったとしても,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払った報酬額と比較するなどして,当該弁護士の事業活動上の内部管理に属する営業上の方針が明らかになって,当該弁護士と依頼者との信頼関係が損なわれるとは考えられない。
2 本件条例六条八号該当性について
(二)本件情報に係る弁護士報酬は,地方自治体が支払った弁護士報酬であって,その性質は,前判示のとおりである以上,本件情報(その額およびその算定に当たって考慮された事項)が公開されたとしても,それは,大阪市の予算執行の内容が公開されたもので,報酬額の決定が適正にされている限りにおいては,それによって,大阪市から依頼を受けた他の弁護士が大阪市に不信感を抱き,それによって,大阪市における同種の事件処理を行うにつき支障が生じる事態はあり得ないというべきである。
また,調査嘱託の結果によれば,大阪府,徳島県及び徳島市等の地方自治体においては,すでに事件処理の依頼により支払った弁護士報酬の額を公文書公開条例に基づく請求に応じて公開した例があり,そのうち大阪府の担当者は,その報酬は府が定めた一定の基準に基づきその額を支出するという定型的な処理をしており,公開することによる具体的な支障は生じないと判断していることが認められる。
上記の答申・判決等を見ても一目瞭然のとおり,すでにわが国の情報公開制度において公機関の選任した弁護士報酬等情報は長らく公開されてきていて,開示を妥当とする答申も蓄積されているものである。
このように,弁護士報酬等情報(係争中の事案も含む)が幾多開示されてきたにも関わらず,被告が主張するように,開示によって「当該弁護士等の権利,競争上の地位その他正当な利益が害された」具体的な事例は,皆無と断言してよいものである(仮にそのような事例があったのだとすれば,あるいは第三者が本弁護士費用等情報からかかる弁護士事務所の正当な利益を害することのできる具体的方法があるのであれば,それは被告が立証しなければならない)。よって,そのようなおそれも,当然生じ得ないと考えるのが妥当である。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
7 別紙の5にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告高専機構の設置し運営するところである長野工業高等専門学校(以下「長野高専」)において平成21年以降に発生した同校学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書(以下「事件報告書等文書」)の開示を,原告が求めたところ,「日時に関する記載」について,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び7)。
原告において当該文書を確認したところ,文書全てにわたって日・時のみならず年・月に至るまでの一切の記載が不開示とされていることがうかがえる。
ところが,平成30年10月,原告市民オンブズマン群馬の会員が,被告に対し,「2009年5月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」と「2009年6月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」の開示を請求したところ,前者への開示決定(甲27)に対して後者からの開示決定(甲28)は「故■■■■君に関する報告」が抜けており,実際の開示文書もそのようになっていた。このことから,「故■■■■君に関する報告」にかかる事件は平成21年(2009年)5月に発生していたということが判明した。
したがって,被告の保有する事件報告書等文書の同種年月日等情報は,一部について上記のとおり明らかにされ,さらに同様の手法を用いることにより,残りのすべてについても容易に判明するものである。また,開示請求をおこなう日時や開示請求者により,同種開示請求に対し異なった対応をする合理的理由もないから,事実上,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報は何人も容易に入手可能な情報であると認められる。したがって,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報については現に公衆が知り得る状態に置かれているものであり,これは法とその趣旨を別にする他種法令等の要請によるものもしくは報道等により偶然に明らかとなったものでもないから,法第5条第一号イに該当することは明らかである。
付言すれば,被告は事件報告書等文書に記載のある年月日等情報の法第5条第一号及び法第5条第四号該当性を主張するが,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報を明らかにしたとして,それはかかる事件及びそれに対する各種対応を行った年月日及び時系列を示すだけの情報であり,文書に記載のある学生を知らない外部者(原告を含む)にとっては,かかる情報から当該学生を識別・特定することは到底不可能なうえに,文書に記載のある学生を知る人物にとっては当然学生の死亡事実自体も既知なのであって,かかる情報が開示されたからといって新たに不利益が生じることは考え難い。まして,被告の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとも考え難い。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
第3 むすび
以上のとおり,本決定のうち別紙に示す情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから,すべて取消を求める。
以上
=====別紙=====
別紙 請求の趣旨
不開示処分取消請求箇所
1 文書1-1から1-9「国立高等専門学校長一覧」に対する不開示箇所のうち,各候補者の氏名を除く箇所。
なお,被告は不開示とした文書内の具体的項目について一切を明らかにしていないが,係争中被告が各不開示項目を明らかにした場合,その個々について不開示妥当性を別途争う。
2 文書2「辞職願」に対する不開示箇所のうち,「辞職理由」。
3 文書3-1から3-3「校報129号,130号,131号」に対する不開示箇所のうち,
(1)人事関係に関する部分であって,同書面の同一欄において,氏名およびかかる人事前後の職名等情報(以下「氏名および職名等情報」)の開示がなされている人物がいるにも関わらず,不開示決定において,それらと差別的な取り扱いを行う具体的差異および事由の説明が一切ないまま,不開示とされている人物らに関する氏名および職名等情報(訴状本文中「不適切不開示箇所」)。
なお,係争中に被告が具体的な個々の当該不開示事由を明らかにした場合は,その事由の妥当性について別途個別に争う。
(2)「退職者」欄において,独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則に基づき採用された常勤教職員についての「退職理由」。
4 文書4-1から4-3「支払決議書」に対する不開示箇所のうち,「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」。
5 文書5-1から5-8「事件・事故等発生状況報告書【第一報】・【第二報】・【最終報】」および「故■■■■君に関する報告書」に対する不開示箇所のうち,「日時に関する記載」。
以上
=====証拠方法=====
1 甲1号証 法人文書開示請求書
2 甲2号証 高機総第19号法人文書開示決定通知書
3 甲3号証 本決定により開示された国立高等専門学校長候補者一覧(平成23年以降)
4 甲4号証 本決定により開示された西尾典眞氏の辞職願
5 甲5号証 本決定により開示された群馬高専校報129ないし131号の表紙及び人事関係
6 甲6号証 本決定により開示された,原告及び被告高専機構がその当事者となった争訟において代理人弁護士に支払った弁護士費用にかかる平成28ないし30年度の支払決議書
7 甲7号証 本決定により開示された,平成21年以降に発生した長野高専学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書
8 甲8号証 国立高等専門学校の校長の任命手続について
9 甲9号証 平成29年6月6日に行われた群馬高専幹部と市民オンブズマン群馬による面談・質疑応答全内容の録音書き起こし
10 甲10号証 群馬高専教育研究支援センターメンバー構成(群馬高専HPより)
11 甲11号証 群馬高専教育研究支援センター年報第6号(抜粋)
12 甲12号証 独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(抜粋)
13 甲13号証 平成30年度群馬高専学校要覧(抜粋)
14 甲14号証 弓削商船高専校報92・95号
15 甲15号証 津山高専校報138・139・144・145号
16 甲16号証 有明高専校報88・90号
17 甲17号証 平成15年度(行情)答申第41号
18 甲18号証 平成15年度(独情)答申第16号
19 甲19号証 答申選掲載事件名一覧
20 甲20号証 答申選
21 甲21号証 情報公開法に係る主な答申等について
22 甲22号証 神戸市平成14年答申第74号
23 甲23号証 京都市平成20年答申第82号
24 甲24号証 千葉県平成15年答申第119号
25 甲25号証 滋賀県平成29年答申第98~101号
26 甲26号証 大阪地裁平成8年(行ウ)118号
27 甲27号証 長野高専総第63号
28 甲28号証 長野高専総第64号
=====附属書類=====
1 訴状副本 1通
2 証拠説明書 1通
3 甲号証写し 各1通
**********
○証拠説明書 ZIP ⇒ 20191007.zip
○甲号証
甲1-5 ZIP ⇒ 20191004b15.zip
甲6-8 ZIP ⇒ 20191004b68.zip
甲9-10 ZIP ⇒ 20191004b910.zip
甲11-13 ZIP ⇒ 20191004b1113.zip
甲14-16 ZIP ⇒ 20191004b1416.zip
甲17-18 ZIP ⇒ 20191004b1718.zip
甲19-21 ZIP ⇒ 20191004b1921.zip
甲22-25 ZIP ⇒ 20191004b2225.zip
甲26-28 ZIP ⇒ 20191004b2628.zip
○原告・被告の適格証明書類 ZIP ⇒ 201909261iiij.zip
201909262iiij.zip
201909263iiiej.zip
■以上の通り、訴状だけで2万字近い分量になりました。今回の第一次訴訟にあたっては、どんな小さな不開示箇所でも、正当な理由がないのであれば一切の手は抜かず、1文字でも多くの墨を剥がしとるという方針で臨んでいるからです。
これは、国民の権利である情報公開制度をないがしろにする高専組織の情報隠し癖に対して、また、「理不尽な処分をしてもそれをひっくり返すための労力の大きさに愚民どもは怖気づき泣き寝入りしてくれるだろう」という国民を舐めに舐め切った高専組織の思い上がりに、明白に「NO」を突き付ける我々オンブズマンのメッセージでもあります。
情報公開制度は、「原則は開示」、仕方ない部分については「例外不開示」なのであって、「ひとつでも多く不開示箇所を探してとにかく墨で塗りたくろう」という高専機構とその傘下各高専の情報公開への誤った認識と態度は、今ここで是正されなければなりません。
■当会では、これに引き続いて、アカハラ犯雑賀氏の沼津高専異動に関する情報にも焦点を当て、第二次提訴を行うことにしました。その3に続きます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
★★高専過剰不開示体質是正訴訟・提訴関連記事リンク★★
【第一次提訴のいきさつ及び訴状提出の模様について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)↓
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【第一次提訴の訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html
【第二次提訴のいきさつと訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html
↑国立高等専門学校機構本部棟。所在地:東京都八王子市、建物用途:事務所、延べ面積:1,319.79㎡、構造:RC造、規模:地上3階、竣工:2006年、設計:豊建築事務所。「国立高等専門学校を設置・運営する組織である国立高等専門学校機構本部を、従前の幕張地区から八王子市狭間に移転するため計画されたもの。ファサードは機構本部からイメージされる「規律正しさ」をグリッドやルーバーで表現。また、エントランスのデザインは大きな壁面と開放感のあるガラスで構成。建物正面に位置するエントランスホールは、執務空間を繋ぐ2層吹抜けとし、開放的な空間とした。1・2階は事務空間として明確にゾーニングすることで、来館者及び職員が利用しやすい平面構成とした。最上階は、理事長、理事及び監事の独立したエリアとし、落ち着いた環境を確保した」同建築事務所HPより。↑
*****訴状*****ZIP ⇒ 20191007ir4.zip
訴 状
令和元年10月7日
東京地方裁判所民事部 御中
原 告 市民オンブズマン群馬
上記代表者 小 川 賢
〒371-0801 群馬県前橋市文京町一丁目15-10(送達先)
原 告 市民オンブズマン群馬
上記代表者 代 表 小 川 賢
電 話 090-5302-8312(原告代表・小川直通)
または 027-224-8567(原告事務局)
FAX 027-224-6624
〒193-0834 東京都八王子市東浅川町701-2番地
被 告 独立行政法人国立高等専門学校機構
上記代表者 理事長 谷 口 功
電話 042-662-3120(代表)
FAX 042-662-3131
法人文書不開示処分取消請求事件
訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
貼用印紙額 金1万3000円
第1 請求の趣旨
1 被告が原告に対し,平成31年4月16日付高機総第19号法人文書開示決定(以下「本決定」)において不開示とした箇所のうち,別紙に示す情報について不開示を取消せ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因
1 請求に至る経緯
平成29年8月から平成30年7月にかけ,原告は,独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」)に基づき,被告に対して数回にわたり別々の法人文書開示請求をおこなったが,それらに対する開示決定において,開示文書のうち複数箇所について極めて根拠不明瞭な不開示措置がなされていることが判明した。これらの措置のうち一部については,原告が総務省の情報公開・個人情報保護審査会に審査請求を提出し,その答申を受けて撤回されたものの,なおも根拠が極めて不明朗または明白に失当とみられる不開示処分箇所が複数残っていた。そのため,原告は上記異議のある文書をまとめて対象に,平成31年3月11日付であらためて法人文書開示請求(甲1)をおこなった。結果,かかる不開示箇所についてまったく同一の本決定が下された(甲2)。実際に開示された文書およびその不開示状況については甲3ないし甲7に示すとおりである。ここで原告では,訴訟の一本化による訴訟業務負担軽減および争点明確化のため,行政事件訴訟法第12条の規定に基づき,本決定に対して提訴をおこなうこととした。
上記経緯のため,原告が争う各文書についてはそれぞれ別々の経緯があり,したがって証拠等の時系列がやや前後することを,本件審理にあたっての留意点とさせていただきたい。
2 別紙の1にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告である独立行政法人国立高等専門学校機構(以下「高専機構」)が毎年行っている校長候補者選考について,原告が候補者リストの開示を求めたところ,標題以外の箇所すべてについて,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2ないし甲3)。
ここで説明を加えておくと,被告は,その運営するところである全51校の高等専門学校について,毎年,新校長の募集および選考を行っており,その仕組みは,原告の質問に対して被告自身が説明するところによれば,「校長の選考プロセスについては,理事長から,高専,理工系又は商船系の分野を有する大学,文部科学省に候補者の推薦を依頼し,推薦のあった者について,選考委員会における書類審査・面接審査を経て,理事長が任命して」おり,また,「例年,推薦される候補者は概ね20人程度で,選考を経て,校長に登用されるものは概ね10人程度」とのことである(甲8)。この点については,被告自身が回答をおこなったものであり,実際に行われているプロセスの仕組みに関する事実であることから,争いがないものと思われる。
ここで上記処分の妥当性について検討する。被告は,本決定および開示文書において,かかる文書に記載があり不開示とした具体個別項目の内容を一切説明しておらず(不開示の妥当性の検証が不能という点で,すでに失当である),したがって原告は具体個別項目について不知である。しかし,常識的に考えれば,かかる文書には候補者氏名のほか,最低でも「①各候補者の推薦機関」,「②当該年の全候補者数がわかる情報」,「③個別の項目名」の3つの情報が含まれているはずである。
ここからさらに検討を進めれば,候補者氏名は特定個人を示す情報として不開示は妥当であるとしても,各候補者の推薦機関については,単にその機関が当該年に校長候補者の推薦をおこなったことを示すだけの情報であり,推薦受け入れ対象機関は上記の通り被告自身がすでに言明しているのであるから,被告の人事業務に著しい影響を及ぼすとは到底認められない。また,被告が推薦を受け入れる各機関の規模を鑑みても,推薦機関名から個別具体の被推薦者を特定することは不可能であり,今後の関係各機関からの推薦が萎縮してしまうということも極めて考えがたい。さらに,当該年の全候補者数がわかる情報についても,その概数は上記のように被告自身説明するとおりであり,各年の具体的候補者数を開示したところで,被告の人事業務に著しい悪影響を及ぼすことは考えられない。個別の項目名については明らかに法の不開示事由に該当しないため不開示は失当である,したがって,最低でも上記①②③にかかる情報はまず開示されるのが当然である。
また,その他の不開示箇所についても,被告が具体的な個別項目名を一切明かさず,原告が妥当性を検証不能な形で法を適用し全部不開示としていること自体が極めて不適切な法の運用というべきであって,かかる文書中の「③個別の項目名」を被告が明かしたのち,改めて各項目について不開示の妥当性を検証し,その上で被告の人事その他業務に重大な影響を及ぼさず,かつ核心的な個人情報でないと認められた項目に関しては当然すべて開示されなければならない。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第四号ヘに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる記載項目名等を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において氏名を除く箇所すべての不開示処分取消を請求せざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙1の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。
3 別紙の2にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告の運営する群馬工業高等専門学校(以下「群馬高専」)に平成25年度初めから平成28年度末まで学校長として在任した西尾典眞氏について,人事異動による退職時に当該人物が被告理事長に宛て提出した辞職願の開示を原告が求めたところ,同文書に記載のあった「辞職理由」について,被告が「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び4)。
前提となる事実の説明を行うと,西尾典眞氏は文部科学省からの出向(被告は「人事交流」の語を使用)によって同校校長に就任しており,また,校長退任後は継続して再度同省職員として復帰している(この事実については,一切の争いがないものと思われる)。したがって,事実上,群馬高専校長就任から退任までの過程すべては,同省職員あるいは同省を出向元とした高専機構職員としての職務の範疇内であったということができる。
また,さらに直接的な証拠として,平成29年6月6日,原告が群馬高専の山崎誠学校長(西尾氏の後任)ら幹部と面談し,同校の運営に関する事項をヒアリングした際の録音がある(甲9)。なお,この面談時の様子については被告も(原告同意のもと)録音を行っており,録音データは双方が保有しているので,発言内容自体には一切の争いがないものと思われる。
原告があらかじめ提出してあった質問に同校幹部らが回答する中で,西尾氏の退任理由について触れた際,同校の猿田智男事務部長(当時)は,「西尾前校長の異動の理由についてだが,同氏は人事交流という形で群馬高専の校長に着任しており,交流元(文科省)のほうで色々調整があったので,交流元(文科省)へ復帰した」「人事交流で交流元に戻っただけなので退職金は出ない」と明言し,さらに山崎誠学校長も,「交流元が文科省なので,文科省に戻ったということ」「要するに元に戻っただけ」(つなぎ表現及び語尾は発言の意味を変えない範囲で省略)と発言した(甲9中マーカー箇所)。
したがって,かかる人事異動が,西尾氏の私的な事情に基づくものではなく,出向元の文科省の公的な要請によるものであったことは,被告自身認めており明白である。言い換えれば,かかる人事は,文部科学省職員として,あるいは文部科学省から要請を受けた高専機構職員としての職務の一環として行われたものであるから,その理由については,法第5条第一号ただし書きハに定めのある「公務員等,独立行政法人の役員及び職員の職務の遂行に係る情報」に該当することが明らかであり,不開示は失当というほかない。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
4 別紙の3(1)にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,複数名に関する氏名およびかかる異動前後の職名等情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び5)。
ところが,当該文書で不開示とされている人物(以下「不開示対象者」)のリスト上での前後には,上記情報が問題なく開示されている教職員等(以下「開示対象者」)が多数存在しているのにも関わらず,被告は,こうした不開示対象者と開示対象者の間で差別的な取り扱いをおこなっている理由を一切説明しないまま,「個人情報に該当する部分」とのみ記述して,原告にその不開示の妥当性を検証不可能な形でかかる処分をおこなった。このことは,法の運用として極めて不適切であると言わざるを得ない。
このような,極めて不適切な形で氏名およびかかる異動前後の職名等情報を不開示としている箇所(以下「不適切不開示箇所」)の内訳と総数は,原告において数えたところ以下のとおりであった。
●校報129号:「退職」欄で4箇所,「退職」欄で1箇所,「配置換」欄で3箇所,「昇任」欄で2箇所
●校報130号:「退職」欄で4箇所,「採用」欄で5箇所
●校報131号:「退職」欄で7箇所,「採用」欄で5箇所,「配置換(学内)」欄で2箇所,「昇任」欄で4箇所,「兼務」欄で3箇所
以上40箇所が,不適切不開示箇所として認められる(甲5)。なお,各年「校報」人事関係のうち「育児休業」および「育児休業復帰」欄にへの不開示処分については,原告にとって特に開示を求めたい情報ではないため,争わない。
以下,これら不適切不開示箇所に含まれる各情報について,論点①②③に分けて,実際に不開示の妥当性を検証する。なお,各論点の対象とする範囲はやや重複する。
【論点①】
まず,各不開示対象者の氏名をのぞく各不開示対象者の所属・職名等情報に関しては,当該年に当該部署においてかかる人事が行われたことを示すだけの情報であり,開示されたからと言っておよそかかる特定個人を識別可能な情報ではない(特定個人の氏名が公にされていないのであれば,所属・役職から当該人物を特定することはできないし,また,公にされているのであれば,それはそもそも公領域情報である)。
また情報の性質面から検討を深めると,採用・異動・退職等が行われたという事実自体に関する情報は,当該人事が行われた部署に属する者は氏名情報に至るまで含め当然既知であり,他部署あるいは学生に対する機密情報ではなく,各部署内で特段の事情を斟酌して当該部署内のみに情報をとどめ隠匿しなければならない性質の情報でもないから,「開示によって新たにこれらの情報が内部者ないし外部者に明かされることになってしまい,結果,各不開示対象者に多大な不利益ないし不快の念を生じさせることになる」という可能性は著しく低いものと考えられる。
したがって第一に,各不開示対象者の所属・職名等情報(具体的には「退職」欄について「退職前の職名等」,「退職」欄について「所属・職名」,「配置換」欄について「配置換前」及び「配置換後」,「配置換(学内)」欄について「異動前の職名等」及び「所属・職名」,「昇任」欄について「前職等」及び「所属・職名」,「兼務」欄について「所属・職名」及び「前職等」)については,法第5条第一号にあたるという判断は失当であるから,不開示処分の取消を求める。
【論点②】
さらに,氏名情報についても,各不開示対象者に関する雇用区分による検討が必要である。例えば,同校の技術職員に関しては,開示対象者中に一切の記載がないことから,当該雇用区分がなぜか不開示対象者に含まれていることが強く伺われるが,原告が調査したところによれば,同校HPおよび同HP上にて公開されている刊行物において各年の技術職員氏名が部署及び役職ごとに,さらに採用・退職者の挨拶という形でその氏名も公表されており(甲10ないし11),各人の在籍状況・職位に加え採用・退職・異動・昇任状況等は容易に把握可能であるから,既に慣行として公にされている情報であり,法第5条第一号イに該当することは明らかであって,不開示対象者に含めるのは失当というほかない。したがって,(不開示対象者に技術職員が含まれているのであれば)技術職員らに関する記載の不開示処分取消を求める。
さらにこのことから,この他にも雇用区分等各種事情によっては氏名等情報が開示可能であるケースの存在が強く想定されるのであり,被告が本係争に各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を明かしたうえで,個別に不開示の妥当性を検証することが必要であると考えられる(少なくとも,上記技術職員らの不開示処分取消請求に関して,審理のため被告は不開示対象者中の実際の技術職員の存否をはじめ,その内数,ひいては不開示処分対象者の雇用区分内訳(以下「不開示対象者についての雇用区分等属性情報」)を明かさなければならないと考えられるので,不開示対象者についての雇用区分等属性情報が被告により明かされ次第,原告はそれを加味したうえでさらに個別に争う)。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
なお付記すると,被告が,各不開示箇所にかかる不開示対象者の雇用区分等情報を一切明らかにしない極めて不適切な法の運用をし,結果,原告にとって各不開示箇所の不開示妥当性の検証を不可能ならしめたため,原告としては本訴状において不適切不開示箇所すべての不開示処分取消を求めざるを得ないのであり,万が一,上記の個別な不開示妥当性の検証によって,不開示が妥当とされる箇所が一部個別に見つかったとしても,それは重大な疑義を生じさせた被告の過失に起因するものであり,原告の過失によるものでは一切ないから,別紙3(1)の請求に関しては,判決における認容度合いに一切かかわらず,民事訴訟法第六十四条の規定に基づき,被告はかかる請求分について訴訟費用を全額負うべきであるとの判決を求める。
【論点③】
また,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄については,配置換および兼務という行為そのものが,独立行政法人たる被告(高専機構)が自らの職員に対し新たな職務を伝達しそれに応じて当該職員が自らの意思を差し挟む余地なく当該職務への従事を開始する過程であり,それら自体が被告(高専機構)に一貫して在職する高専機構職員としての職務に包括されると見るべきであるから,それに関する情報は法第5条第一条ただし書ハに定めのある「独立行政法人職員の職務遂行に係る情報」に該当するとみるのが妥当である。したがって,「配置換」欄,「配置換(学内)」欄,「兼務」欄に記載のある氏名,所属・職名その他情報は,上記論点①②に関わりなく開示されるのが妥当である。
5 別紙の3(2)にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,群馬高専が刊行する「校報」のうち,同校教職員らの人事異動関連情報について,原告が情報開示請求をしたところ,同情報のうち「退職」欄中の「退職理由」情報について,「人事関係のうち個人情報に該当する部分」とだけ呼称して区分し,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである。
前提として,「退職」欄中に記載のある人物のうち,教職員については,すべて同じく高専機構職員という扱いであり,実際に,独立行政法人国立高等専門学校機構規則第6号として制定されている独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(以下「高専機構就業規則」)の第7条において,被告理事長が採用することとなっており(甲12),また,公表されている群馬高専の業務報告からも,「常勤教職員の人件費は高専機構」と記載がある(甲13)。こうした事実から判断すれば,少なくとも法(または被告における規定)上の扱いの面では,被告高専機構の常勤教職員については学校の別なく被告がその職員として直接採用及び管理,給与支払をおこなうものであり,高専機構就業規則等のもと同一の扱いが行われるものであり,各学校は単に被告の一部署という扱いであることがうかがわれる。
ところが,原告が別途調査したところによれば,被告の設置・運営する複数校に対して,同様の「校報」人事情報について原告が開示請求をおこなったところ,高専機構職員の退職理由等情報については問題なく開示された(甲14ないし16)。この事実から,通例公機関の職員録等人事情報の開示範囲に関しては,省庁や独立行政法人ごとに設定することになっているところ,かかる区分の情報について被告高専機構全体としての不開示規定は特に設けられていないことがうがわわれる。そして,すでに同種の情報が慣行として公にされているうえ,被告高専機構が各種法令上またはその規則上において同列に扱いまたは管理し,また同様の職位でさらに同様の職務に従事する「高専機構職員」間で異なった取り扱いをおこなう合理的理由はないから,当該情報のみ不開示とする合理的理由もないことが認められる。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
6 別紙の4にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告と原告の間で係争が行われた平成28年(行ウ)第499号及びその控訴・付帯控訴事件において,被告が訴訟代理人弁護士に支払った報酬等一切に関しての支払決議書の開示を求めたところ,記載項目のうち「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」にかかる情報(以下「弁護士費用等情報」)について,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び6)。
被告は,弁護士費用等情報について「公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」に該当すると主張するが,弁護士費用等情報の個別内訳ならばともかく,被告が当該弁護士事務所に支払った弁護士費用の総額に関する情報から,原告その他外部の人間にとって当該訴訟業務の内情を推察することは明らかに不可能であり,また,当該事務所の内部規定等運営上における機密情報を推察することも不可能であるから,本弁護士費用等情報を開示することによって,かかる弁護士事務所の権利または競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認められない。
加えて,当該弁護士事務所は,依頼者が私人や私企業ではなく,税金等を原資とした予算の運用について大きな説明責任をもつ国家機関(被告)であることを承知の上で当該案件を受注したのであるから,情報開示制度によって当該情報が開示されいささかの不快の念を覚えたとしても,それは受忍すべき限度の範囲内に留まると考えるのが妥当である。
さらに,本弁護士費用情報にかかる不開示処分が妥当でないことを示す答申例・判例等も多数存在していることから,一部抜粋して以下【1】【2】【3】に列挙する。
【1】総務省(旧内閣府)情報公開・個人情報保護審査会による答申例
平成15年度(行情)答申第41号(甲17)や平成15年度(独情)答申第16号(甲18)が存在する。
このうち平成15年度(行情)答申第41号については,総務省の公開する答申選に掲載されており(甲19および甲20),選任弁護士の報酬額が情報公開法の不開示情報に該当しないことがすでに明記されている。
(参考:答申選掲載事件名一覧より一部抜粋)
58 答申15(行情)41「特定訴訟に係る国側代理人弁護士と国との間の訴訟代理等に関する文書の不開示決定に関する件」
・選任弁護士の報酬額について,法5条2号イ及び6号ロ該当性を否定
また,これと平成15年度(独情)答申第16号については,総務省行政管理局の作成した「情報公開法に係る主な答申等について」(甲21)においても掲載されており,訴訟代理人弁護士の報酬額は「公にすることにより,当該法人又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの」ではないと明記されている。
【2】地方自治体による答申例
地方自治体レベルにおいては,任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当としている例は枚挙にいとまがない。むろん従うべきが法か条例かという差異はあるものの,根本的な判断基準のところでその性質を異にするものではない。以下では任用した弁護士の報酬に関わる情報の開示を妥当とした答申例のうち4つを,被告の処分が適法でない根拠として引用する。
例えば,神戸市平成14年答申74号(甲22)においては,弁護士の氏名,事務所の所在地,電話番号,報酬額について開示が妥当であると裁定されている。
(参考:神戸市平成14年答申74号より一部引用)
イ 争訟事件の処理を委任した弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号
弁護士の氏名は,神戸市から争訟事件の処理を受任したことを示す情報である。これを公開しても,当該弁護士の依頼者に神戸市が含まれていることが明らかになるだけであり,これを非公開とする理由は認められない。また,事務所の所在地,事務所の電話番号についても,これを非公開としなければならない理由はない。
したがって,弁護士の氏名,事務所の所在地,事務所の電話番号は,(中略)非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。
ウ 弁護士に対して支払った報酬の額
(中略)
弁護士報酬の額が明らかになり,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払う報酬額と異なることを知ったからといって,神戸市以外の依頼者から当該弁護士に不信,不満を抱き,信頼関係が損なわれ,当該弁護士の事業活動に支障が生じるとは認められない。
したがって,弁護士に対して支払った報酬の額は,改正前条例第7条第2号に該当せず,これを同号に該当するとして非公開とした決定は妥当ではなく,公開すべきである。
また,京都市平成20年答申第82号(甲23)においても,弁護士報酬を明らかにしたからといって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じるとは認められないとして,開示が妥当と判定している。
(参考:京都市平成20年答申第82号より一部引用)
2 条例第7条第2号に該当することについて
(2)謝金の額については,評点を基に決定されるが,金額のみが明らかとなったとしても,その具体的な算定根拠までが明らかになるわけではない。
また,謝金の額については,最高裁平成8年7月19日判決以降,他都市において公開されている事例があり,それによって当該弁護士の活動に具体的な支障が生じているとは認められない。
さらに,弁護士の報酬については,弁護士法改正に伴い,個々の弁護士が自ら報酬に関する基準を整備し,かつ自己の報酬に関する情報を広く知らしめるよう努めることとなった。したがって,謝金の額が明らかになることによって,当該弁護士が,競業している弁護士,また,当該弁護士に依頼をしようとする第三者から,その能力についての誤解を受けるとは考えられない。
3 条例第7条第7号に該当することについて
ア 京都市が争訟事件を処理するにあたり弁護士へ支払う謝金の額については,他の公共事業に要する額と同様に公金の支出に関する情報であり,納税者に対する説明責任がある。
イ 他都市において弁護士の謝金が公開されていること,また,京都市が行う他の公共事業に要する額が公開されていることにより,特段の支障が生じているとは認められず,謝金の額を公開したとしても,京都市と弁護士との間の信頼関係が著しく損なわれ,今後の争訟事件の処理という京都市の事務事業の円滑な執行に著しい支障が生じるとは認められない。
さらに,千葉県平成15年答申第119号(甲24)を見ても,公機関が選任した弁護士の報酬額が明らかとなったとしても,その競争上もしくは事業運営上の地位に不利益を与えるものではないと判定されている。
(参考:千葉県平成15年答申第119号より一部引用)
しかしながら,公的機関が依頼者となる事件の弁護士報酬額は,予算の適正な執行という点からすれば,当該事件処理により確保される経済的利益の価額に基づいて客観的に決定されるべきもので,私人や会社が支払う弁護士報酬額よりも,より定型的に算出されているのが実態と考えられる。
本件についても,実施期間は,「千葉県企業庁争訟事件の報酬等に関する規定(内規)」に定めるところの経済的利益の額に対応する額の上限額を使用し,弁護士報酬額を決定したものである。
このようにして決定された弁護士報酬額が明らかになったとしても,事業を営む個人の競争上若しくは事業運営上の地位に不利益を与えるものとまではいえない。
加えて,滋賀県平成29年答申第98~101号(甲25)においても,弁護士報酬は特定事案における契約状況の一端を示すにとどまるものであり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまではいえないと判断されている。
(参考:滋賀県平成29年答申第98~101号より一部引用)
確かに,弁護士との契約金額や委任契約の内容については,法律事務所報酬規程に基づき,事件の内容や難易度,依頼者の資力など事案毎の事情を考慮して決定されているものと考えられるところである。
しかしながら,当該非公開情報は,実施機関と弁護士との契約内容や契約金額そのものであると認められ,これを公にしたとしても,特定事案における契約状況の一端を示すにとどまり,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは言えない。
当該情報が公金の支出に係る情報であることに鑑みれば,県民等に対する公開の要請が強いものと言うべきであり,実施機関の説明からは,非公開情報該当性を認めるべき具体的な理由は見当たらないものである。
【3】公機関の選任した弁護士の報酬を開示することが妥当とした判例
このような判例としては,大阪地裁平成8年(行ウ)118号(甲26)がある。この中で,大阪地裁は,公機関の支払う弁護士報酬は,私人や会社が支払う場合と異なり一定の基準に基づき客観的に決定されるものであり,さらにこのことを当該弁護士が承知した上で受任するものであるから,報酬額を開示しただけで当該事務所の営業上の内部方針等が明らかになったり,業務に影響を与えることはないと判定している。また,それまでにも公機関の選任した弁護士の報酬が開示されてきた事例が幾多あり,それによって具体的に当該弁護士の利益が損なわれたケースは存在しないという事実を理由として採用している。
(参考:大阪地裁平成8年(行ウ)118号中判決理由より一部引用)
1 本件条例六条三号本文該当性について
(三)しかしながら,本件情報は,(中略),私人や会社が支払った弁護士報酬の場合とはやや趣が異なる。すなわち,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,予算の適正な執行という点からも,日本弁護士連合及び各弁護士会が定めた報酬規定による基本報酬額や当該事件処理により確保した経済的利益の価額により,一定の基準に基づいてできる限り客観的に決められるべきものであり,依頼を受けた当該弁護士もそれを承知でこれを承諾するもので,その決定に当たって依頼を受けた弁護士との間の人間関係は考慮されるべきではない。このような意味において,地方公共団体が支払う弁護士報酬の額は,私人や会社が支払う弁護士報酬の額よりも,より定型的に算出される傾向があるといえる。このような弁護士報酬額及びその算定に当たって考慮された事項が明らかになったとしても,当該弁護士の他の依頼者が自己の支払った報酬額と比較するなどして,当該弁護士の事業活動上の内部管理に属する営業上の方針が明らかになって,当該弁護士と依頼者との信頼関係が損なわれるとは考えられない。
2 本件条例六条八号該当性について
(二)本件情報に係る弁護士報酬は,地方自治体が支払った弁護士報酬であって,その性質は,前判示のとおりである以上,本件情報(その額およびその算定に当たって考慮された事項)が公開されたとしても,それは,大阪市の予算執行の内容が公開されたもので,報酬額の決定が適正にされている限りにおいては,それによって,大阪市から依頼を受けた他の弁護士が大阪市に不信感を抱き,それによって,大阪市における同種の事件処理を行うにつき支障が生じる事態はあり得ないというべきである。
また,調査嘱託の結果によれば,大阪府,徳島県及び徳島市等の地方自治体においては,すでに事件処理の依頼により支払った弁護士報酬の額を公文書公開条例に基づく請求に応じて公開した例があり,そのうち大阪府の担当者は,その報酬は府が定めた一定の基準に基づきその額を支出するという定型的な処理をしており,公開することによる具体的な支障は生じないと判断していることが認められる。
上記の答申・判決等を見ても一目瞭然のとおり,すでにわが国の情報公開制度において公機関の選任した弁護士報酬等情報は長らく公開されてきていて,開示を妥当とする答申も蓄積されているものである。
このように,弁護士報酬等情報(係争中の事案も含む)が幾多開示されてきたにも関わらず,被告が主張するように,開示によって「当該弁護士等の権利,競争上の地位その他正当な利益が害された」具体的な事例は,皆無と断言してよいものである(仮にそのような事例があったのだとすれば,あるいは第三者が本弁護士費用等情報からかかる弁護士事務所の正当な利益を害することのできる具体的方法があるのであれば,それは被告が立証しなければならない)。よって,そのようなおそれも,当然生じ得ないと考えるのが妥当である。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第二号イに該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
7 別紙の5にかかる不開示処分取消請求理由
この処分は,被告高専機構の設置し運営するところである長野工業高等専門学校(以下「長野高専」)において平成21年以降に発生した同校学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書(以下「事件報告書等文書」)の開示を,原告が求めたところ,「日時に関する記載」について,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」として不開示としたものである(甲2及び7)。
原告において当該文書を確認したところ,文書全てにわたって日・時のみならず年・月に至るまでの一切の記載が不開示とされていることがうかがえる。
ところが,平成30年10月,原告市民オンブズマン群馬の会員が,被告に対し,「2009年5月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」と「2009年6月以降に発生した長野高専学生の自殺案件すべてに関しての事件・事故等発生状況報告書」の開示を請求したところ,前者への開示決定(甲27)に対して後者からの開示決定(甲28)は「故■■■■君に関する報告」が抜けており,実際の開示文書もそのようになっていた。このことから,「故■■■■君に関する報告」にかかる事件は平成21年(2009年)5月に発生していたということが判明した。
したがって,被告の保有する事件報告書等文書の同種年月日等情報は,一部について上記のとおり明らかにされ,さらに同様の手法を用いることにより,残りのすべてについても容易に判明するものである。また,開示請求をおこなう日時や開示請求者により,同種開示請求に対し異なった対応をする合理的理由もないから,事実上,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報は何人も容易に入手可能な情報であると認められる。したがって,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報については現に公衆が知り得る状態に置かれているものであり,これは法とその趣旨を別にする他種法令等の要請によるものもしくは報道等により偶然に明らかとなったものでもないから,法第5条第一号イに該当することは明らかである。
付言すれば,被告は事件報告書等文書に記載のある年月日等情報の法第5条第一号及び法第5条第四号該当性を主張するが,事件報告書等文書に記載のある年月日等情報を明らかにしたとして,それはかかる事件及びそれに対する各種対応を行った年月日及び時系列を示すだけの情報であり,文書に記載のある学生を知らない外部者(原告を含む)にとっては,かかる情報から当該学生を識別・特定することは到底不可能なうえに,文書に記載のある学生を知る人物にとっては当然学生の死亡事実自体も既知なのであって,かかる情報が開示されたからといって新たに不利益が生じることは考え難い。まして,被告の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとも考え難い。
以上から,当該文書のかかる箇所に関して,「法第5条第一号及び法第5条第四号に該当すると認められ,また,法第5条第一号ただし書き及び第二号ただし書きに該当するとは言えず,不開示とすることが相当」などとして不開示とした被告のかかる処分は失当であるから,取消を求める。
第3 むすび
以上のとおり,本決定のうち別紙に示す情報について不開示とした処分が違法であることは明らかであるから,すべて取消を求める。
以上
=====別紙=====
別紙 請求の趣旨
不開示処分取消請求箇所
1 文書1-1から1-9「国立高等専門学校長一覧」に対する不開示箇所のうち,各候補者の氏名を除く箇所。
なお,被告は不開示とした文書内の具体的項目について一切を明らかにしていないが,係争中被告が各不開示項目を明らかにした場合,その個々について不開示妥当性を別途争う。
2 文書2「辞職願」に対する不開示箇所のうち,「辞職理由」。
3 文書3-1から3-3「校報129号,130号,131号」に対する不開示箇所のうち,
(1)人事関係に関する部分であって,同書面の同一欄において,氏名およびかかる人事前後の職名等情報(以下「氏名および職名等情報」)の開示がなされている人物がいるにも関わらず,不開示決定において,それらと差別的な取り扱いを行う具体的差異および事由の説明が一切ないまま,不開示とされている人物らに関する氏名および職名等情報(訴状本文中「不適切不開示箇所」)。
なお,係争中に被告が具体的な個々の当該不開示事由を明らかにした場合は,その事由の妥当性について別途個別に争う。
(2)「退職者」欄において,独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則に基づき採用された常勤教職員についての「退職理由」。
4 文書4-1から4-3「支払決議書」に対する不開示箇所のうち,「合計金額」,「支払金額」,「うち消費税及び配分金額」。
5 文書5-1から5-8「事件・事故等発生状況報告書【第一報】・【第二報】・【最終報】」および「故■■■■君に関する報告書」に対する不開示箇所のうち,「日時に関する記載」。
以上
=====証拠方法=====
1 甲1号証 法人文書開示請求書
2 甲2号証 高機総第19号法人文書開示決定通知書
3 甲3号証 本決定により開示された国立高等専門学校長候補者一覧(平成23年以降)
4 甲4号証 本決定により開示された西尾典眞氏の辞職願
5 甲5号証 本決定により開示された群馬高専校報129ないし131号の表紙及び人事関係
6 甲6号証 本決定により開示された,原告及び被告高専機構がその当事者となった争訟において代理人弁護士に支払った弁護士費用にかかる平成28ないし30年度の支払決議書
7 甲7号証 本決定により開示された,平成21年以降に発生した長野高専学生の自殺事件について,同校が作成した「事件・事故等発生状況報告書」またはそれに類する文書
8 甲8号証 国立高等専門学校の校長の任命手続について
9 甲9号証 平成29年6月6日に行われた群馬高専幹部と市民オンブズマン群馬による面談・質疑応答全内容の録音書き起こし
10 甲10号証 群馬高専教育研究支援センターメンバー構成(群馬高専HPより)
11 甲11号証 群馬高専教育研究支援センター年報第6号(抜粋)
12 甲12号証 独立行政法人国立高等専門学校機構教職員就業規則(抜粋)
13 甲13号証 平成30年度群馬高専学校要覧(抜粋)
14 甲14号証 弓削商船高専校報92・95号
15 甲15号証 津山高専校報138・139・144・145号
16 甲16号証 有明高専校報88・90号
17 甲17号証 平成15年度(行情)答申第41号
18 甲18号証 平成15年度(独情)答申第16号
19 甲19号証 答申選掲載事件名一覧
20 甲20号証 答申選
21 甲21号証 情報公開法に係る主な答申等について
22 甲22号証 神戸市平成14年答申第74号
23 甲23号証 京都市平成20年答申第82号
24 甲24号証 千葉県平成15年答申第119号
25 甲25号証 滋賀県平成29年答申第98~101号
26 甲26号証 大阪地裁平成8年(行ウ)118号
27 甲27号証 長野高専総第63号
28 甲28号証 長野高専総第64号
=====附属書類=====
1 訴状副本 1通
2 証拠説明書 1通
3 甲号証写し 各1通
**********
○証拠説明書 ZIP ⇒ 20191007.zip
○甲号証
甲1-5 ZIP ⇒ 20191004b15.zip
甲6-8 ZIP ⇒ 20191004b68.zip
甲9-10 ZIP ⇒ 20191004b910.zip
甲11-13 ZIP ⇒ 20191004b1113.zip
甲14-16 ZIP ⇒ 20191004b1416.zip
甲17-18 ZIP ⇒ 20191004b1718.zip
甲19-21 ZIP ⇒ 20191004b1921.zip
甲22-25 ZIP ⇒ 20191004b2225.zip
甲26-28 ZIP ⇒ 20191004b2628.zip
○原告・被告の適格証明書類 ZIP ⇒ 201909261iiij.zip
201909262iiij.zip
201909263iiiej.zip
■以上の通り、訴状だけで2万字近い分量になりました。今回の第一次訴訟にあたっては、どんな小さな不開示箇所でも、正当な理由がないのであれば一切の手は抜かず、1文字でも多くの墨を剥がしとるという方針で臨んでいるからです。
これは、国民の権利である情報公開制度をないがしろにする高専組織の情報隠し癖に対して、また、「理不尽な処分をしてもそれをひっくり返すための労力の大きさに愚民どもは怖気づき泣き寝入りしてくれるだろう」という国民を舐めに舐め切った高専組織の思い上がりに、明白に「NO」を突き付ける我々オンブズマンのメッセージでもあります。
情報公開制度は、「原則は開示」、仕方ない部分については「例外不開示」なのであって、「ひとつでも多く不開示箇所を探してとにかく墨で塗りたくろう」という高専機構とその傘下各高専の情報公開への誤った認識と態度は、今ここで是正されなければなりません。
■当会では、これに引き続いて、アカハラ犯雑賀氏の沼津高専異動に関する情報にも焦点を当て、第二次提訴を行うことにしました。その3に続きます。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
★★高専過剰不開示体質是正訴訟・提訴関連記事リンク★★
【第一次提訴のいきさつ及び訴状提出の模様について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その1)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3055.html
【第一次提訴の訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その2)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3056.html
【第二次提訴のいきさつと訴状内容について】
高専組織の情報隠蔽体質是正は成るか?オンブズが東京地裁に新たなる提訴!(その3)↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3057.html