市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市大谷地区に計画中の大規模サンパイ処分場に県が出した設置許可に異議を申し立てた当会が提訴!(1)

2023-07-20 01:16:01 | 全国のサンパイ業者が注目!

■安中市と高崎市と富岡市が境界を接する安中市岩野谷地区、高崎市吉井町上奥平地区、富岡市桑原地区には、廃棄物処理施設として中間施設や最終処分場が集中しています。これまでにも住民は、廃棄物処分施設の計画が持ち上がるたびに反対運動を展開していきましたが、業者と癒着した行政の前に、ほとんどの場合、敗れ去り、今日の「廃棄物銀座」と呼ばれる景観を呈する惨状となってしまいました。

 

 なかでも、平成18年から安中市岩野谷の大谷地区の一番奥に計画されている㈱環境資源による関東屈指の大規模な産業廃棄物最終処分場計画は、地元の生活環境や営農環境保全の観点から、最後のとどめを刺されかねないため、地区住民は深刻な脅威として対処してきました。その過程は、本件記事の末尾に記載してあります。

 

 そうした中、突如として群馬県知事が2021年2月3日に㈱ジョウソウに対して、この大規模サンパイ廃棄物最終処分場の設置許可を出したと言う情報が地元に知らされました。仰天した地元住民のかたがたは、直ちに安中市や群馬県に事実関係を確認したところ、事実であることが判明したというのです。

 

 当会も早速情報の真偽を確認すべく、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係に確認したところ、担当部署である出先の西部環境森林事務所廃棄物係に聞くように言われ、2021年3月10日に訪れて担当者に話を聞きました。すると、「2月3日に許可処分を出した」というので、驚いて「どのような許可処分を出したのか、許可証の写しがあれば見せてほしい」と担当者に頼んだところ、「情報開示請求をするように」と言われました。

 

 そして県の指示に基づき当会が情報開示請求を行い、2021年3月26日に開示を受けた文書に含まれていたサンパイ場設置許可証など処分内容に関する情報を確認したところ、群馬県が本当にジョウソウという会社に対して、県知事がサンパイ場の設置許可証を交付したことが判明しました。

 

 そして、行政不服審査法に基づく異議申し立ての審査請求を行うため、県に「どこに対して審査請求書を提出したらよいのか」と聞いたところ、「本件は廃棄物処理法に基づく処分なので審査庁は国、つまり環境省になる」と教えられたので、2021年6月18日に環境省に審査請求書を提出しました。

 

 その後、何度か審査庁の環境省とやり取りしましたが、とりわけ、群馬県知事からの弁明書で、当会が審査請求を提起した日は、処分を知った日である2021年3月10日から3か月を超えた同年6月18日であるから、審査請求は違法だという主張を国にしていることを知ったときは、思わず天を仰ぎました。

 

 1年半近くにわたり、審査庁の環境省は当会の審査請求を審理していましたが、国は2022年11月13日に審理手続の終結を宣言し、同年12月5日に本件に係る環境省審理員の意見書および事件記録が環境大臣に提出予定だと当会に通知してきました。

 

 群馬県に聞くと、「この後処分庁の環境省は第三者機関に諮問し、答申を得てから最終判断をして裁決するのだろう」と言いました。ところがあにはからんや、環境省は2023年1月6日付の裁決書を同月10日に当会あてに郵送し、当会は同月11日に受け取りました。

 

■裁決書の内容は次のとおりです。

 

*****送り状*****

                      環循規発第2301061号

                      令和5年1月6日

 

審査請求人 小川 賢 殿

 

              環境省環境再生・資源循環局長

 

       裁決書の謄本の送達について

 

 審査請求人が令和3年6月18日に提起した審査請求について裁決されたので、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第51条第2項の規定により、別添のとおり裁決書の謄本を送付します。

 

 

*****1/6裁決書*****

                      環循規発第2301061号

 

            裁 決 書

 

      審査請求人      群馬県安中市野殿980

                 小川 賢

      処分庁        群馬県知事 山本 一太

      審査請求に係る処分  処分庁が令和3年2月3日付けで株式

                会社ジョウソウに対して行った産業廃棄

                物処理施設設置の許可処分

 

 

 審査請求人小川賢(以下「審査請求人」という。)が令和3年6月18日に提起した廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に関する審査請求(以下「本件審査請求」という。)について、次のとおり裁決する。

 

 令和5年1月6日

 

          環 境 大 臣  西 村 明 宏

 

          主   文

 

       本件審査請求を却下する。

 

            事 案 の 概 要

 

 1 本件審査請求の骨子

  本件は、長野県安中市内に設置が計画されている産業廃棄物処理施設(管理型最終処分場。以下「本件施設」という。)について、処分庁が令和3年2月3日に設置許可処分(群馬県第425号一0号。以下「本件設置許可処分」という。)をしたことに対し、同市に居住する審査請求人が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま設置許可処分をすることはできないなどとして、本件設置許可処分の取消しを求める事案である

 2 前提となる事実

(1)審査請求人は、群馬県安中市野殿に居住する住民である。

(2)株式会社環境資源(以下「環境資源」という。)は、平成18年5月26日に設立され、群馬県安中市内に本店を置く、一般廃棄物、産業廃棄物の最終処分場の建設、運営、管理等を目的とする株式会社であり、平成29年6月22日に株式会社ジョウソウ.(以下「ジョウソウ」という。)に商号変更した(履歴事項全部証明書)。

(3)環境資源は、平成25年10月22日、処分庁に対して廃棄物処理法第15条第1項の規定により、本件施設の設置許可申請(以下「本件設置許可申請」という。)を行った(産業廃棄物処理施設設置許可申請書)。

(4)審査請求人は、廃棄物処理法第15条第6項の規定に基づき、本件施設の放流水が、ダイオキシン類、全窒素、CODの基準を満たしておらず、周辺の農業用水や生活環境に重大かつ深刻な影響を及ぼすこと等から本件設置許可申請に対して許可を出してはならない旨の意見書(平成26年7月30日付け株式会社環境資源産業廃棄物処理施設設置許可申請にかかる生活環境保全上の見地からの意見書。以下「本件意見書」という。)を処分庁に提出した。

(5)処分庁は、令和3年2月3日、ジョウソウに対して次の内容の本件設置許可処分を行った(産業廃棄物処理施設設置許可証)。

 ア 施設の種類

   管理型産業廃棄物最終処分場

 イ 処理する産業廃棄物の種類

   ①燃え殻、②汚泥、③廃プラスチック類、④紙くず、⑤木くず、⑥ゴムくず、⑦金属くず、⑧ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、⑨鉱さい、⑩がれき類、⑪ばいじん、⑫13号廃棄物(以上12種類)

   なお、②については含水率85パーセントの無機性汚泥に限られ、④及び⑤については付着物に限られる。

 ウ 設置場所

   群馬県安中市大谷字新山1259番2ほか6筆

 エ 処理能力

   埋立面積30,794㎡

   埋立容量644,924㎥

(6)審査請求人は、同年3月10日、処分庁に対して群馬県情報公開条例に基づき、「廃棄物処理法第15条第1項の規定により設置の許可を受けた、ジョウソウによる産業廃棄物最終処分場設置許可申請書及び添付書類一式並びに産業廃棄物処理施設設置許可証の写し」の開示を請求(以下「本件開示請求」という。)した。

   同月19日、処分庁は、審査請求人に対し、開示を請求された上記公文書のうち、「①役員及び発行済み株式総数の百分の五以上の株式を有する株主の住民票の写し、②役員及び発行済み株式総数の百分の五以上の株式を有する株主の成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書、③各事業年度における決算書類並びに法人税の納付すべき額及び納付済額を証する書類、④印鑑証明書及び⑤財務基盤及び事業の事業性に関する書類」を除いて開示することを決定した(公文書部分開示決定通知書)。

(7)審査請求人は、本件設置許可処分を不服として、同年6月18日付けで本件審査請求をした(審査請求書)。

 

            審理関係人の主張の要旨

 

 1 審査請求人の主張

(1)審査請求期間について

   審査請求人が、本件設置許可処分があったことを知ったのは、本件開示請求により開示された本件施設の設置許可申請書類及び施設の設置許可証が審査請求人の手元に届いた令和3年3月19日であるから、この日が「処分があったことを知った日」(行政不服審査法(平成26年法律第68号)第18条第1項)である。

   審査請求人は、同年6月18日に審査請求をしているから同項に規定する3か月の審査請求期間内に審査請求をしている。

   処分庁は、審査請求人が同年3月10日に本件開示請求のため群馬県庁に来庁した際に、本件設置許可申請の審査を担当する群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課の職員が審査請求人に対して本件設置許可処分の事実を伝え、開示請求する公文書の内容又は件名の記載について助言したことをもって、本件設置許可処分があったことを知ったと主張するが、単に設置許可処分をなしたと口頭で告げられただけで、本件設置許可処分を知ったということにはならない。

   処分庁は、本件設箇許可処分の事実を地元にも伝えておらず、ホームページにも掲載せず、まして記者発表や新聞報道もした形跡がない。そうした中で、同月8日、審査請求人にたまたま隣接地区の区長から設置許可が出たらしいので確認する必要があるとの連絡が入り、本件施設の計画地である大谷地区の知り合いに電話で確認したところ、そのような噂があるが詳しい経緯が分からないというので、審査請求人が同月10日に処分庁に公文書の開示の相談をして、開示請求する内容に麒齢がないか確認した上で群馬県の情報公開係に開示請求書を提出したのである。

   仮に同月8日が「処分があったことを知った日」とすると、半信半疑の状態でも「知った」状態にあるとみなされることになってしまい、そうでなくても群馬県の環境行政は、住民に情報を隠しながら事業者側に立ってどんどん手続を進める性向があるため、唯一、我々住民の権利である開示請求によりどのような処分がどのような手順を踏んで行われたのか知るほかない。

   群馬県情報公開条例の解釈及び運用基準によると、審議検討情報の非開示情報としての要件を定めた同条例第14条第5号の「不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、「未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを公にすることにより、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがある場合をいう。適正な意思決定を行うことそのものを保護するのではなく、情報が公にされることによる県民への不当な影響が生じないようにするという趣旨である。」とされている。

   このように処分庁は自ら未成熟な情報では、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあると判断しているのに、審査請求人が、地元の巷間情報であっても「設置許可がなされた」という言葉を耳にしただけで「知った」とみなすのは、同条例に照らしても、あきらかに矛盾するものである。

(2)本件設置許可処分について

 ア 処分庁が本件設置許可処分に当たり、本件意見書に記載された懸念事項についてどのような指導をしたのか、事業者がどのような対応したのか、処分庁から本件開示請求により開示された公文書を見ても全く確認できない。

 イ まして、環境資源は既に存在しておらず、千葉県に拠点のある株式会社城装が主体となって設立したジョウソウが、それまで環境資源が行政や地元関係者と協議をしてきた経緯や結果をなぜそのまま継承し得るのかなどの不明点や疑問点について合理的な説明もない。

ウ  そもそも、群馬県は特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるために条例を制定しているはずである。そのことを群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課に指摘すると、「本件は環境資源が設置計画を申請した時点では発効しておらず、適用外だ」という。しかし、今回の事業者はジョウソウであり、そもそも事業者が実質的に異なるのだから適用外という判断は当てはまらない。

   また、ジョウソウは地元関係者に対して同意書を取っているのかどうかも確認できておらず、環境資源が平成19年当時に取得した同意書をそのまま踏襲しているとなれば、その有効性についても疑問符がつく。

 エ さらに、山本群馬県知事は本件設置許可処分に先立ち、令和2年12月25日の午前9時ころ、環境森林部長や廃棄物 リサイクル課長を同道し、安中市長らに面談のため安中市役所を訪問している。その際、「設置許可申請のための書類が揃っているので、これ以上先延ばしにできない」などと安中市長側に説明したという。審査請求人はこのことについて、安中市側に情報開示請求をしたところ、安中市には当該協議に関する議事録がないとのことで、どのような説明が群馬県側からなされたのか確認できていない。少なくとも、審査請求人が本件意見書で述べた懸念事項等について明確な説明が短時間でなされたとは到底思えない。

 オ 地元住民らが強く反対し、安中市行政としても設置を望んでいない、このような関東圏で最大クラスの大規模産業廃棄物処分場設置について県民の安全、安心な生活環境の保全を司る群馬県が、住民の声にも耳を傾けようとせず、十分な検討や精査も尽くさないまま、設置許可処分をすることはできない。

   よって、本件設置許可処分を取り消すとの裁決を求める。

 2 処分庁の主張

(1)審査請求期間について

   審査請求人は、令和3年3月10日、本件開示請求のため群馬県庁に来庁している。その際、群馬県環境森林部廃棄物・リサイクル課の職員が本件設置許可処分の事実を伝え、開示を請求する公文書の内容又は件名の記載について、助言している。よって、遅くとも同日には審査請求人は本件設置許可処分があったことを知っているところ、本件審査請求は同年6月18日付けでなされたものであるから、行政不服審査法第18条第1項所定の審査請求期間を徒過しており、不適法である。

   このことは、同人のブログ記事(令和3年4月6日掲載)にも、「3月8日に隣の富岡市桑原地区のかたから知らせを受け、地元大谷地区の関係者に確認したところ、群馬県が地域住民の意向を無視して、強引に設置許可をジョウソウに出していたことが分かりました。そして3月10日に群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課を訪れて、担当者らと協議し、情報開示請求手続きをとりました。」と記載されている。

(2)本件設置許可処分について

 ア 廃棄物処理法第15条第6項の規定による意見書は、施設の設置に対して単純な賛否を求めるものではなく、より正確な審査を行うために必要な「生活環境保全上の見地からの意見」を求めるものである。処分庁は、提出された意見書の内容及び群馬県廃棄物処理施設等専門委員会から出された生活環境保全上の見地からの意見を踏まえ、廃棄物処理法第15条の2第1項第2号に定められる周辺地域の生活環境の保全等について適正な配慮がなされており、かつ、その他同法の定める要件に適合していると判断したものである。    

 イ ジョウソウは、環境資源から社名変更等を行ったものであり、法人格の変更はない。社名変更等の事実は履歴事項証明書で確認しており、審査請求人に対して令和3年3月26日に当該証明書も開示している。

 ウ また、群馬県において、審査請求人が主張するような特定地域に廃棄物処理施設が集中することを避けるための条例は制定していない。群馬県では、廃棄物処理施設の設置に関して、「群馬県廃棄物処理施設等の事前協議等に関する規程」を制定し、廃棄物処理法の手続を行う前に事前協議を実施するよう事業者に指導している。本件施設に係る事前協議書は、平成18年7月7日に提出されており、平成25年4月1日の同規程の一部改正で、設置を行おうとする施設が最終処分場の場合、他の最終処分場の敷地の境界からの距離が1 km以上あること(第7条第1号イ)等が追加された。

   なお、ここでの審査請求人の指摘は、いずれも上記事前協議規程に関するものであり、本件設置許可申請の審査において適用されるものではない。

 エ 山本群馬県知事による安中市長への訪問については、知事が許可処分の前に地元市長に群馬県の方針を伝えたものである。

 オ 廃棄物処理法は、産業廃棄物処理施設の設置の許可の申請が同法の定める要件に適合する場合においても、なお都道府県知事に対して、許可を与えるか否かについての裁量権を与えるものではないのであって、処分庁は、本件設置許可申請について、廃棄物処理法の定める要件について慎重に審査を行い、適合することを確認したため本件設置許可処分を行ったものである。

 

               理   由

 

 1 本件に係る法令等の規定

(1)廃棄物処理法

 ア 廃棄物処理法第15条第1項は、産業廃棄物処理施設を設置しようとする者は、当該産業廃棄物処理施設を設罹しようとする地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないと規定する。

   同条第4項は、都道府県知事は、産業廃棄物処理施設について第1項の許可の申請があった場合には、当該施設の設置の場所等を告示するとともに、申請書等を当該告示の日から1月間講習の縦覧に供しなければならない旨規定する。

   同条第6項は、第4項の規定による告示があったときは、当該産業廃棄物処理施設の設置に関し利害関係を有する者は、同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して2週間を経過する日までに、当該都道府県知事に生活環境の保全上の見地からの意見書を提出することができることを規定する。

 イ 廃棄物処理法第15条の2第1項は、都道府県知事は、前条第1項の許可の申請が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならないと規定し、同項第2号は、「その産業廃棄物処理施設の設置に関する計画及び維持管理に関する計画が当該産業廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び環境省令で定める周辺の施設について適正な配慮がなされたものであること。」と規定する。

(2)行政不服審査法

   行政不服審査法第18条第1項は、「処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して3月を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。」と規定する。

 2 審査請求期間について

(1)行政不服審査法第18条第1項本文は、処分についての審査請求は、「処分があったことを知った日」の翌日から起算して3か月以内にしなければならない旨規定するところ、処分の名宛人以外の第三者の場合については、諸般の事情から、上記第三者が処分があったことを了知したものと推認することができるときは、その日を上記「処分があったことを知った日」としてその翌日を上記第三者の審査請求期間の起算日とすることができるものというべきである(最高裁平成5年12月17日第三小法廷判決 民集47巻10号5530頁参照)。

(2)これを本件についてみると、審査請求人が令和3年3月10日に本件開示請求をする際に、対象となる公文書の内容等について群馬県環境森林部廃棄物 リサイクル課の職員に相談したことに争いはないものと解される。

   そして、審査請求人が上記の相談の後に開示を請求をした公文書が本件施設の設置許可証の写し等であることからすれば、審査請求人は上記の相談の際に同課の職員から本件設置許可処分があったことを告げられ同処分があったことを了知したものと推認するのが相当である。

(9)この点について、審査請求人は、上記のとおり、本件開示請求により開示された本件施設の設置許可証等が審査請求人の手元に届いて本件設置許可処分を確定的に認識した同月19日が処分があったことを知った日にあたると主張する。

   しかし、行政不服審査法第18条第1項本文は特段の制限を付することなく、単に「処分があったことを知った」と規定しているのみならず、審査請求人の主張するように設置許可証等が開示請求等により行政処分の名宛人以外の第三者に交付されるまで当該第三者が「処分があったことを知った」といえないとすると、行政処分の効果を一定期間の経過により確定させようとする同条の趣旨に反する結果を招来することは明らかである。また、同項は、ただし書において「正当な理由があるときは、この限りでない。」と審査請求期間の制限が解除される場合を規定しているから、このように解したからといって審査請求人にとって酷な結果になるとはいえない(京都地裁昭和 51年1月30日判決・判夕338号319頁参照)。

   したがって、「処分があったことを知った日」を審査請求人が主張するように解することはできず、審査請求人は令和3年3月10日に本件設置許可処分があったことを知ったものというべきである。

(4)また、審査請求人は、地元の巷間情報であっても「設置許可がなされた」という言葉を耳にしただけで「知った」とみなすのは、群馬県情報公開条例に照らしても明らかに矛盾するとも主張するが、上記(2)の認定は、審査請求人が地元の知人から設置許可がなされたことを耳にしたことを理由に処分があったことを知った日」を認めるものではないから、審査請求人の主張はその前提を欠くものであって採用できない。

(5)そうすると、本件審査請求は、審査請求人が本件設置許可処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月を超えた後の令和3年6月18日になされたものであるから、審査請求期間を経過した後になされた不適法なものといわなければならない。

(6)そして、本件審査請求が審査請求期間を経過した後になされたことについて「正当な理由」(行政不服審査法第18条ただし書)に該当する事実も認められない。

 3 結論

   よって、本件審査請求は、不適法であるため、行政不服審査法第45条第1項の規定により、主文のとおり裁決する。

                            以上

 

 

                教  示

 

 この裁決については、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に、国を被告として(訴訟において国を代表する者は法務大臣となります。)、裁決の取消しの訴えを提起することができますが、この裁決の取消しの訴えにおいては、不服申立ての対象とした処分が違法であることを理由として、裁決の取消しを求めることはできません。

 処分の違法を理由とする場合は、この裁決があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます。ただし、上記の期間が経過する前に、裁決があった日の翌日から起算して1年を経過した場合は、裁決の取消しの訴えや処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。なお、正当な理由があるときは、上記の期間やこの裁決があった日の翌日から起算して1年を経過した後であっても裁決の取消しの訴えや処分の取消しの訴えを提起することが認められる場合があります。

 

 

                    環循規発第2301061号

 

 

この謄本は、原本と相違ないことを認証する。

 

 

令和5年1月6日

 

 

                環境大臣  西 村 明 宏

**********

 

■なんと環境省は第三者機関に本件を図ることなく、すぐさま裁決書で当会の審査請求に対して群馬県の言い分をすべて聞き入れ、門前払いをしたのです。

 

 当会は、これが前例となると、行政から口頭で処分の有無を告げられただけで、「処分があったことを了知した」と判断されてしまうことになるため、提訴すべきが熟慮を重ねました。なぜなら、裁判所に行政訴訟を提訴しても、裁判所は行政の肩を持つため、勝訴は全く望めないからです。弁護士をつけなくても、1件当たり1万3000円の手数料と切手代6000円を支出しなければならず、弁論期日には裁判所まで往復しなければならず、心身そして懐の負担を生じる上に、結果は絶望的だからです。

 

 それでも最後には思い直して、提訴期限ぎりぎりの2023年7月11日(火)に提訴することを決意し、その前に週末に急遽訴状を書き上げ、当日午前中に前橋地裁に、午後東京の霞が関に行き、東京地裁にそれぞれ訴状を提出しました。

 

【市民オンブズマン群馬・市政をひらく安中市民の会事務局からの報告】 ⇒ この記事つづく 


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