■東亜鉛安中製錬所が年間5万5千トンほど副産物として排出している鉱さい(非鉄スラグ)には高濃度の重金属として鉛、ヒ素、カドミウム、亜鉛などが含まれています。東邦亜鉛はこの鉱滓の大半を「K砕」という独自の呼称を付して、これまでセメント増量材や、アスファルト骨材、それにゴム吸音建板混入材、そして路盤材や埋土、盛土などの土木資材向けに出荷してきました。しかし、このうち鉛とヒ素の含有量が多く、同社では、同じく群馬県内で操業する大同特殊鋼が排出るフッ素・六価クロム入りの鉄鋼スラグの問題が発覚して以降、いつ自分たちが排出している鉛・ヒ素等を高濃度に含有する非鉄スラグの問題にも焦点が当てられるのか、戦々恐々としていました。そしてついに、先年、当会の告発により、高渋バイパスの中央分離帯に大量の非鉄スラグが投棄されていることが判明し、ニュースでも報じられ大騒ぎになりました。こうした経緯は、既にこのブログでも関連記事を掲載してきました。
↑非鉄スラグの不法投棄問題を指摘されながらも、平常通り操業を続ける東邦亜鉛安中製錬所(2020年10月16日08:24信越線安中駅にて撮影)。↑
最近の非鉄スラグ関連記事は以下を参照ください。
○2020年8月27日:コロナ禍で開催が4カ月半遅れた第29回工場視察会で、東邦亜鉛がK砕の有毒性について仰天説明!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3196.html
○2020年9月11日:【報道】食べると腹痛・悪寒・貧血等?!…東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグを県が廃棄物に認定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3202.html
○2020年10月10日:【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】群馬県が行政処分をした非鉄スラグの質問に対し東邦亜鉛がよこした不誠実回答↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3217.html
こうした中で、東邦亜鉛が2020年8月22日に安中製錬所で開催した工場視察会後の意見交換会で、参加者から「非鉄スラグの投棄場所として安中市内は含まれるのか?」の質問に対して「非鉄スラグの投棄についての調査結果は全て行政に報告してある」との見解を示しました。そのため、当会は、事実関係を確認すべく、群馬県と安中市に問い合わせていました。
その結果、安中市は、市内の再生砕石取扱い企業に対して電話でのヒヤリングをしましたが、東邦亜鉛が非鉄スラグの投棄場所について報告していたのは群馬県であることが判明し、当会は2020年8月24日付けで群馬県に公文書開示請求を行いました。
すると群馬県から同年9月3日付で10月22日まで開示決定期間を延長するとする通知が届きました。
そして、群馬県からは、2020年10月16日付で、公文書部分開示決定通知書と、公文書非開示決定通知書、そして公文書の存否を明らかにしない決定通知書が送られてきました。
*****公文書部分開示決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第3号(規格A4)(第4条関係)
公文書部分開示決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文書の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第1項の規定により、次のとおり一部を除いて開示することを決定したので通知しま。すなお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して 3 月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文密の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、①に関する文書(令和2年10月16日付廃リ第601-10号により非開示決定した文書を除く)
<開示の日時>令和2年10月16日(金)以降
<開示の場所>群馬県庁2階 県民活動支援・広報課
<開示の実施方法>閲覧及び写しの交付
<開示しない部分の概要及びその理由>
○文害名・非開示部分
「これまでに判明しているK砕使用箇所一覧(当課で集計)」のうち、廃リ課整理、表面(蕗出等)の状況のうち当初に関する情報、対策の実施状況のうち状況に関する情報、環境調査実施状況及び環境調査結果並びに公共部分の工事発注者
(施主)及び所在地区分以外の情報〇理由
群馬県情報公開条例第14条第2号(個人情報)該当
(理由)個人の住所・氏名等が記載されており、特定の個人が識別されるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第3号(法人情報)該当
(理由)法人の住所・名称等が記載されており、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第5号(審議検討情報)該当
(理由)当該情報が公になると、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第6号(事務事業情報)該当
(理由)当該情報が公になると、県の実施する今後の調査等の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
※見出し部分は群馬県情報公開条例第5号(審議検討情報)及び第6号(事務事業情報)に該当
<※開示しない理由がなくなる期日>―
<事 務 担 当 課 等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2826
<備考>複写等費用50円を、お釣りのないように準備してください。
注1 公文書の開示により得た情報は、群馬情県報公開条例第24条の規定により、適正に使用しなければなりません。
2 指定された日時が都合の悪い場合には、あらかじめ事務担当課等へ連絡してください。
3 公文書の開示を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。
4 ※印の欄は、開示しない部分について、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
5 開示決定に係る公文書に第三者に関する情報が記録されている場合において、当該第三者から不服申立てがあったときは、その全部又は一部を開示することができなくなる場合があります。
*****公文書非開示決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第4号(規格A4)(第4条関係)
公文書非開示決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文書の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第2項の規定により、次のとおり開示をしないことを決定したので通知します。
なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の日の翌日から算起して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、①に関する文書(令和2年10月16日付廃リ第601-10号により部分開示決定した文害を除く)
<開示しない理由>
〇文書名・該当部分
部分開示決定した文書以外の文書
○理由
群馬県情報公開条例第14条第2号(個人情報)該当
(理由)個人の住所・氏名等が記載されており、特定の個人が識別されるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第3号(法人情報)該当
(理由)法人の住所・名称等が記載されており、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第5号(審議検討情報)該当
(理由)当該情報が公になると、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあ るため。
群馬県情報公開条例第14条第6号(事務事業情報)該当
(理由)当該情報が公になると、県の実施する今後の調査等の適正な遂行に支障 を及ぼすおそれがあるため。
<※開示しない理由がなくなる期日>―
<事務担当課等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2862
<備考>―
※印の欄は、開示しない部分について、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
*****存否応答拒否決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第5号(規格A4)(第4条関係)
公文書の存否を明らかにしない決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文密の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第2項の規定により、次のとおり公文杏の存否を明らかにしないことを決定したので通知します。
なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3 月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3 月以内であっても、処分の日の翌日から起算し1 て年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から 起箕して6 月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起箕して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起箕して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文密の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、②に関する文書
<公文書の存否を明らかにしない理由>
群馬県情報公開条例第17条該当
対象となる文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示するこ ととなるため。
<事務担当課等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2862
<備考>―
**********
■そして、2020年10月23日(金)午前11時過ぎに開示された情報を見て、当会は仰天しました。なぜなら真っ黒だったからです。
※事実上非開示同然の真っ黒な開示情報「東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する使用箇所リスト」↓
ZIP ⇒ 20201228msxoivvj.zip
これでは、せっかく東邦亜鉛が行政に対して有毒な鉛・ヒ素入りの非鉄スラグの投棄場所の自社調査結果を報告した貴重な情報が、まったく隠されたままです。
東邦亜鉛が8月22日(土)午前9時から地元住民らを対象に行った恒例の安中製錬所工場視察会の席上、参加者から、「非鉄スラグの不法投棄がニュース沙汰になっているが、安中市内には投棄されているのか教えてほしい」と切実な質問が有り、それに対して東邦亜鉛側が「すべて行政に調査結果を報告している」と回答しました。そのため、当会は安中市と群馬県に情報公開請求をしたのです。
その結果、安中市は該当情報を保有していなかったため、東邦亜鉛の言う「行政」とは群馬県であることが判明したのです。
その群馬県が、このように真っ黒な形で情報開示、否、実質的には情報非開示をしてきたことは、群馬県があいかわらず東邦亜鉛を忖度して、情報隠しをしている体質が続いていることを如実に示しています。しかし、今回は東邦亜鉛は視察会での回答から、「群馬県に報告しているので、そちらから情報を得てほしい」という趣旨に受け取れる発言をしていました。
■こうして群馬県は、榛東村の公共事業1件のみ、自治体名を明かしただけで、あとは全て非開示だったのですが、その後2020年12月8日に突然群馬県のHPに、次の記者発表記事がリリースされました。
**********群馬県HP最終更新日:2020年12月8日
URL ⇒ https://www.pref.gunma.jp/houdou/e17g_00032.html
【12月8日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する使用箇所の解明等の状況について(廃棄物・リサイクル課、環境保全課)
東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグについて、令和2年9月10日に廃棄物処理法に基づく調査結果及び関係者への行政処分等を公表しました。使用箇所について、引き続き調査を行ってきたところ、現在の状況は次のとおりです。
1 非鉄スラグ使用箇所の解明及び環境への影響調査の結果(令和2年10月末時点)
(1)東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグの使用が確認された箇所は、別紙の1のとおり公共工事で1箇所、民間工事で106箇所である。
(2)これまでの調査の結果では、使用箇所における建設資材から土壌環境基準又は土壌汚染対策法の指定基準(以下「土壌環境基準等」という。)に相当する値を超過する有害物質が検出された箇所はあるが、土壌汚染は確認されていない。
2 対応措置の状況
(1)県では、東邦亜鉛(株)に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告、及び生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を指示した。
(2)これを受けて、東邦亜鉛(株)は、別紙の2(1)のとおり、非鉄スラグの使用が確認された全107箇所において、対応措置を講じている。
(3)使用箇所における対応措置等の状況は、次のとおりである。
公共工事は全1箇所で、民間工事は全106箇所のうち86箇所で、非鉄スラグの撤去が完了している。残る20箇所も撤去される予定。
これまでの調査の結果では、土壌汚染は確認されていない。未撤去の20箇所は、立入禁止など当面の措置が講じられており、有害物質の摂取リスクは極めて低い。
3 今後の対応
(1)今後とも非鉄スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
(2)判明した使用箇所は全て県がリスト化し、今後も継続して、地下水概況調査の中で、環境への影響について監視を行っていく。
(3)撤去完了まで監視を継続するとともに、東邦亜鉛(株)に対しては、使用箇所における必要な措置を早期に完了させるよう引き続き指導を行う。
=====別紙=====
使用箇所の解明、環境調査及び対応措置等の状況
令和2年10月末時点
1 使用箇所数
(1)公共工事
(2)民間工事
2 対応措置等の状況
(1)対応措置の状況
東邦亜鉛(株)は県の指示を受け、土壌汚染対策法の考え方・技術基準に沿って、全使用箇所で撤去等の対応措置を講じている。
なお、撤去が完了していない20箇所は、土地所有者との調整がつき次第、撤去予定である。(←当会注:土地所有者とは、まさか、東邦亜鉛から鉛・ヒ素入り有毒非鉄スラグを長年にわたり引き取り、自社のメガソーラー施設に数万トンも敷き詰めていた岡田工務店・岡田興業なのではあるまいか。だとしたら、県の措置は大甘だと言わざるを得ず、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(2)分析結果
非鉄スラグから、土壌汚染対策法の指定基準に相当する値を超える鉛及び砒素が検出された使用箇所は、表4のとおりである。
なお、直下の土壌からは、土壌汚染対策法の指定基準を超える鉛及び砒素は検出されていない。(←当会注:県は東邦亜鉛からの自己申告の報告の内容を鵜呑みにしているのであれば、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(3)土壌環境基準等の超過箇所における対応措置等の状況
溶出量基準超過の23箇所のうち、20箇所で撤去が完了し、残る3箇所も撤去予定である。いずれの箇所も土壌汚染は確認されておらず、直ちに地下水に影響が生じる状況にないため、有害物質の地下水経由の摂取リスクは極めて低い。
含有量基準超過の88箇所のうち、79箇所で撤去が完了し、残る9箇所も撤去予定である。撤去完了までの間、当面の措置として立入禁止・注意喚起を講じているため、有害物質の直接摂取リスクは極めて低い。(←当会注:県は非鉄スラグを産業廃棄物と認めて撤去を東邦亜鉛に命じたのではないのか。立入禁止・注意喚起の看板を立てておけば、5年間や10年間放置していてもよいのであれば、行政命令の意味がない。東邦亜鉛に忖度をするかのような、県のこのコメントは不適切。)
3 土壌汚染対策法の指定基準と健康リスク管理の考え方(参考)
(1)土壌汚染対策法の指定基準には、地下水経由の摂取リスクに対する「溶出量基準」と直接摂取リスクに対する「含有量基準」がある。2つの基準は、長期間の有害物質の摂取を想定して、健康被害防止の観点から定められており、一生涯にわたり摂取しても、健康影響が現れないように設定されている。(←当会注:そもそも廃棄物処理法上は、特定有害廃棄物なのだから違法不当に投棄されていること自体問題。また農用地の土壌の汚染防止等に関する法律では汚染土壌から収穫された作物(玄米中のカドミウム含有量)を基準としており、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(2)土壌汚染対策法では、地下水経由の摂取と直接摂取の2つの摂取経路による健康被害を防止するため、摂取経路の管理、摂取経路の遮断又は土壌汚染の除去により措置が講じられる。(←当会注:筆者の居住する安中製錬所周辺の主に重金属を含む長年の降下煤塵による土壌汚染地帯では、県・安中市の主導で排客土方式による汚染土壌除去を目的とした土地改良事業計画が進行中であり、筆者の自宅を含め、昭和40年代に浮上した公害問題以降、敷地内の井戸の使用を禁じられている。土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(出典)『事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン』((公財)日本環境協会)
(3)地下水経由の摂取に関して、到達距離内(鉛:概ね80m、砒素:概ね250m)に飲用井戸がない場合には、措置を講じる必要がない。
【非鉄スラグに関する問い合わせ先】
廃棄物・リサイクル課 産業廃棄物係
電話 027-226-2861
メール sanpai@pref.gunma.lg.jp
環境保全課 放射線・土壌環境係
電話 027-226-2833
メール kanhozen@pref.gunma.lg.jp
※報道提供資料 ZIP ⇒ 20201208sxogp.zip
**********
■この記者発表情報をみると、鉛・ヒ素の含有量と浸出量のデータについても公表されています。
また、非鉄スラグの投棄場所(=使用場所)の情報にしても、それが公共事業でも民間工事であっても、本来は全部公表すべきですが、せめて○○市〇〇町くらいまでは公表してもなんら問題は無いはずです。
にもかかわらず群馬県は、当会の情報公開請求に対して、真っ黒けの情報しか出しませんでした。しかも、それは集計表のみです。
群馬県は果たして東邦亜鉛の意見を聞いたうえで「情報非開示」ないし「存否応答拒否」をしてきたのでしょうか。そのことを確かめるべく、当会では2020年12月25日に県庁を訪れて、次の内容の審査請求書(異議申立書のこと)を群馬県知事あてに提出しました。
*****12/25審査請求書*****ZIP ⇒ 20201225risxojyj.zip
令和2年12月25日
(宛先) 審査庁 群馬県知事 山本一太 様
審査請求人 住 所 前橋市文京町一丁目15-10
氏名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 印
連絡先 TEL:090-5302-8312(小川携帯)
又は 027-224-8567(事務局長:鈴木庸)
審査請求書
次のとおり審査請求します。
1 審査請求に係る処分の内容
令和2年10月16日付廃リ第601-10号「公文書部分開示決定通知」(資料1参照)に含まれない公文書に対する「公文書非開示決定通知書」に関する部分開示決定した文書以外の非開示決定処分(資料2参照)及び同「公文書の存否を明らかにしない決定通知書」に関する存否応答拒否決定処分(資料3)
2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
令和2年10月17日
3 審査請求の趣旨
審査請求人は「令和2年8月22日(土)に東邦亜鉛安中製錬所で開催された工場視察会の後の情報交換会で参加者から出された同社が排出する非鉄スラグに関する質問に対して、同社が、『非鉄スラグが使用された場所について判明した場合、その都度、所有者と管理者、即ち行政には報告をさせていただいております』と回答しました。ついてはこれに関連する次の情報。①東邦亜鉛株式会社安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から安中市に連絡ないし報告された一切の情報 ➁上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか分かる情報」を情報公開請求した。
これに対して処分庁である群馬県知事は、このうち①について、「これまでに判明しているK砕使用箇所一覧(当課で集計)」と題する非鉄スラグ投棄場所を列挙したリストと思しきほぼ黒塗りのA3判で、わずかに「工事発注者(施主)」と「所在地区分」欄では「榛東村」とかかれた1件の自治体名のみ開示で、「表面(露出等)の状況」欄では、「当初」項のみ開示、「対策の実施状況」欄では、「状況」項のみ開示、「環境調査実施状況」欄では、「路盤材」と「土壌」の項で「済」又は「日程等調整中」のみ表示、「環境調査結果」欄では、「路盤材」と「土壌」の項で、「適」又は「不適」ないし「日程等調整中」のみ開示で、それ以外は全て黒塗りで非開示とした。
また、➁について処分庁は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という)(資料4参照)第17条に該当し、「対象となる文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示することになるため」として、存否応答拒否通知をした。
よって、上記1の決定を取り消し、開示決定を求める。
4 審査請求の理由
(1)処分庁は、①の非開示理由として、条例第2条、第3条、第5条、第6条を挙げたがいずれも失当である。
(2)条例第14条第2号(個人情報)は、今回の場合、鉛・ヒ素のような特定有害物質を高濃度に含有する非鉄スラグによる県民の生命、健康、生活又は財産の保護の観点から、ただし書が適用されるべきである。事実、処分庁は非開示理由として条例第14条第4号(公共安全情報)を挙げていない。
(3)条例第14条例第3号(法人等事業情報)は、今回の場合、鉛・ヒ素のような特定有害物質を高濃度に含有する非鉄スラグによる県民の生命、健康、生活又は財産の保護の観点から、ただし書が適用されるべきである。事実、処分庁は非開示理由に条例第14条第4号(公共安全情報)を挙げていない。
(4)条例第14条第5号(審議検討情報)は、今回の場合、法令や環境基準等に照らして判断されたものであるので、審議検討情報とは言えない。
(5)条例第14条第6条(事務事業情報)は、今回の場合、民間事業者が行う事業に伴う情報であるため、事務事業情報とは言えない。なぜなら、廃棄物処理法第3条によれば、事業者(今回の場合民間事業者)は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならず、また、当該廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めなければならないとする排出事業者責任を定めているためである。
(6)処分庁は➁の存否応答拒否について、条例第17条に該当するとしか説明していない。
(7)国の人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」の「・法第8条(行政文書の存否に関する情報)関係」において、下記の記載がある。
記
「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得ると考えられる。
具体的には、次のような例が考えられる、とされている。
①特定の個人の病歴に関する情報(第1号)
②先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第2号)
③情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(第3号)
④犯罪の内偵捜査に関する情報(第4号)
⑤買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質に関する政策決定の検討状況の情報(第5号)
⑥特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第6号)
(8)上記によれば、存否応答拒否の前提は、当該情報が不開示情報に該当していなければならない。この観点から、処分庁は開示請求「特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」と公開しない理由を説明したいのだろうが、➁の請求内容と、どのような関係があるのか、処分庁の理由にはなにも書かれていない。
仮に条例第14条第2条の個人に関する情報だと説明したいとすると、「特定の個人は識別できないが、公開することによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると言う意味だと考えられる。
(9)審査請求人は、「安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうかわかる情報」ともとめているのであるから、場所の情報として、地番までもとめているわけではない。よって、個人の地番が特定できない範囲で、開示できる情報が、処分庁が今回非開示として情報のなかに含まれていると考えられ、処分庁の今回の判断は、原則開示の条例の趣旨から逸脱するものである。
(10)よって、上記1の決定において、本件情報①は不開示情報に該当せず、また同➁についても「存否応答拒否」に該当しないため、決定を取り消して、公開を求める。
5 処分庁の教示の有無及びその内容
「この決定について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、群馬県知事に対して審査請求することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内であっても、処分の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。」との教示があった。
以上
**********
■群馬県に対して情報非開示の不服申し立てをすると、長い場合は2年間も結論を先延ばしします。なので、12月25日の審査請求では、県側にせめて前橋市役所の期間限度基準の8カ月を超えることのないように釘を刺しておきました。
それでも、上記の場合、開示の可否が確定するのは今年の盆休み明けになるわけで、迅速かつ適切な情報公開が実施できるかどうか、群馬県による公害企業への忖度度を測るうえで重要な目安となります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
↑非鉄スラグの不法投棄問題を指摘されながらも、平常通り操業を続ける東邦亜鉛安中製錬所(2020年10月16日08:24信越線安中駅にて撮影)。↑
最近の非鉄スラグ関連記事は以下を参照ください。
○2020年8月27日:コロナ禍で開催が4カ月半遅れた第29回工場視察会で、東邦亜鉛がK砕の有毒性について仰天説明!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3196.html
○2020年9月11日:【報道】食べると腹痛・悪寒・貧血等?!…東邦亜鉛の鉛・ヒ素入り非鉄スラグを県が廃棄物に認定!↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3202.html
○2020年10月10日:【東邦亜鉛非鉄スラグ問題】群馬県が行政処分をした非鉄スラグの質問に対し東邦亜鉛がよこした不誠実回答↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3217.html
こうした中で、東邦亜鉛が2020年8月22日に安中製錬所で開催した工場視察会後の意見交換会で、参加者から「非鉄スラグの投棄場所として安中市内は含まれるのか?」の質問に対して「非鉄スラグの投棄についての調査結果は全て行政に報告してある」との見解を示しました。そのため、当会は、事実関係を確認すべく、群馬県と安中市に問い合わせていました。
その結果、安中市は、市内の再生砕石取扱い企業に対して電話でのヒヤリングをしましたが、東邦亜鉛が非鉄スラグの投棄場所について報告していたのは群馬県であることが判明し、当会は2020年8月24日付けで群馬県に公文書開示請求を行いました。
すると群馬県から同年9月3日付で10月22日まで開示決定期間を延長するとする通知が届きました。
そして、群馬県からは、2020年10月16日付で、公文書部分開示決定通知書と、公文書非開示決定通知書、そして公文書の存否を明らかにしない決定通知書が送られてきました。
*****公文書部分開示決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第3号(規格A4)(第4条関係)
公文書部分開示決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文書の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第1項の規定により、次のとおり一部を除いて開示することを決定したので通知しま。すなお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して 3 月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文密の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、①に関する文書(令和2年10月16日付廃リ第601-10号により非開示決定した文書を除く)
<開示の日時>令和2年10月16日(金)以降
<開示の場所>群馬県庁2階 県民活動支援・広報課
<開示の実施方法>閲覧及び写しの交付
<開示しない部分の概要及びその理由>
○文害名・非開示部分
「これまでに判明しているK砕使用箇所一覧(当課で集計)」のうち、廃リ課整理、表面(蕗出等)の状況のうち当初に関する情報、対策の実施状況のうち状況に関する情報、環境調査実施状況及び環境調査結果並びに公共部分の工事発注者
(施主)及び所在地区分以外の情報〇理由
群馬県情報公開条例第14条第2号(個人情報)該当
(理由)個人の住所・氏名等が記載されており、特定の個人が識別されるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第3号(法人情報)該当
(理由)法人の住所・名称等が記載されており、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第5号(審議検討情報)該当
(理由)当該情報が公になると、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第6号(事務事業情報)該当
(理由)当該情報が公になると、県の実施する今後の調査等の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。
※見出し部分は群馬県情報公開条例第5号(審議検討情報)及び第6号(事務事業情報)に該当
<※開示しない理由がなくなる期日>―
<事 務 担 当 課 等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2826
<備考>複写等費用50円を、お釣りのないように準備してください。
注1 公文書の開示により得た情報は、群馬情県報公開条例第24条の規定により、適正に使用しなければなりません。
2 指定された日時が都合の悪い場合には、あらかじめ事務担当課等へ連絡してください。
3 公文書の開示を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。
4 ※印の欄は、開示しない部分について、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
5 開示決定に係る公文書に第三者に関する情報が記録されている場合において、当該第三者から不服申立てがあったときは、その全部又は一部を開示することができなくなる場合があります。
*****公文書非開示決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第4号(規格A4)(第4条関係)
公文書非開示決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文書の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第2項の規定により、次のとおり開示をしないことを決定したので通知します。
なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3月以内であっても、処分の日の翌日から算起して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、①に関する文書(令和2年10月16日付廃リ第601-10号により部分開示決定した文害を除く)
<開示しない理由>
〇文書名・該当部分
部分開示決定した文書以外の文書
○理由
群馬県情報公開条例第14条第2号(個人情報)該当
(理由)個人の住所・氏名等が記載されており、特定の個人が識別されるおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第3号(法人情報)該当
(理由)法人の住所・名称等が記載されており、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
群馬県情報公開条例第14条第5号(審議検討情報)該当
(理由)当該情報が公になると、意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、県民の誤解や憶測を招き、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれがあ るため。
群馬県情報公開条例第14条第6号(事務事業情報)該当
(理由)当該情報が公になると、県の実施する今後の調査等の適正な遂行に支障 を及ぼすおそれがあるため。
<※開示しない理由がなくなる期日>―
<事務担当課等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2862
<備考>―
※印の欄は、開示しない部分について、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
*****存否応答拒否決定通知書*****ZIP ⇒ 20201017qnm.zip
別記様式第5号(規格A4)(第4条関係)
公文書の存否を明らかにしない決定通知書
廃リ第601-10号
令和2年10月16日
小川 賢 様
群馬県知事 山本 一太
令和2年8月24日付けで請求のあった公文密の開示については、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第18条第2項の規定により、次のとおり公文杏の存否を明らかにしないことを決定したので通知します。
なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3 月以内に、群馬県知事に対して審査請求をすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3 月以内であっても、処分の日の翌日から起算し1 て年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。
また、この処分があったことを知った日の翌日から 起箕して6 月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起箕して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、審査請求をした場合には、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起箕して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文密の内容又は件名>
①東邦亜鉛(株)安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から群馬県に連絡ないし報告された一切の情報
②上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか判る情報
上記のうち、②に関する文書
<公文書の存否を明らかにしない理由>
群馬県情報公開条例第17条該当
対象となる文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示するこ ととなるため。
<事務担当課等>環境森林部廃棄物・リサイクル課産業廃棄物係
〈電話番号〉027-226-2862
<備考>―
**********
■そして、2020年10月23日(金)午前11時過ぎに開示された情報を見て、当会は仰天しました。なぜなら真っ黒だったからです。
※事実上非開示同然の真っ黒な開示情報「東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する使用箇所リスト」↓
ZIP ⇒ 20201228msxoivvj.zip
これでは、せっかく東邦亜鉛が行政に対して有毒な鉛・ヒ素入りの非鉄スラグの投棄場所の自社調査結果を報告した貴重な情報が、まったく隠されたままです。
東邦亜鉛が8月22日(土)午前9時から地元住民らを対象に行った恒例の安中製錬所工場視察会の席上、参加者から、「非鉄スラグの不法投棄がニュース沙汰になっているが、安中市内には投棄されているのか教えてほしい」と切実な質問が有り、それに対して東邦亜鉛側が「すべて行政に調査結果を報告している」と回答しました。そのため、当会は安中市と群馬県に情報公開請求をしたのです。
その結果、安中市は該当情報を保有していなかったため、東邦亜鉛の言う「行政」とは群馬県であることが判明したのです。
その群馬県が、このように真っ黒な形で情報開示、否、実質的には情報非開示をしてきたことは、群馬県があいかわらず東邦亜鉛を忖度して、情報隠しをしている体質が続いていることを如実に示しています。しかし、今回は東邦亜鉛は視察会での回答から、「群馬県に報告しているので、そちらから情報を得てほしい」という趣旨に受け取れる発言をしていました。
■こうして群馬県は、榛東村の公共事業1件のみ、自治体名を明かしただけで、あとは全て非開示だったのですが、その後2020年12月8日に突然群馬県のHPに、次の記者発表記事がリリースされました。
**********群馬県HP最終更新日:2020年12月8日
URL ⇒ https://www.pref.gunma.jp/houdou/e17g_00032.html
【12月8日】東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグに関する使用箇所の解明等の状況について(廃棄物・リサイクル課、環境保全課)
東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグについて、令和2年9月10日に廃棄物処理法に基づく調査結果及び関係者への行政処分等を公表しました。使用箇所について、引き続き調査を行ってきたところ、現在の状況は次のとおりです。
1 非鉄スラグ使用箇所の解明及び環境への影響調査の結果(令和2年10月末時点)
(1)東邦亜鉛(株)安中製錬所から排出された非鉄スラグの使用が確認された箇所は、別紙の1のとおり公共工事で1箇所、民間工事で106箇所である。
(2)これまでの調査の結果では、使用箇所における建設資材から土壌環境基準又は土壌汚染対策法の指定基準(以下「土壌環境基準等」という。)に相当する値を超過する有害物質が検出された箇所はあるが、土壌汚染は確認されていない。
2 対応措置の状況
(1)県では、東邦亜鉛(株)に対して、引き続き使用箇所の全容解明に当たるとともに、判明した使用箇所における環境調査の加速化と結果の報告、及び生活環境の保全上支障が生じないよう必要な措置を指示した。
(2)これを受けて、東邦亜鉛(株)は、別紙の2(1)のとおり、非鉄スラグの使用が確認された全107箇所において、対応措置を講じている。
(3)使用箇所における対応措置等の状況は、次のとおりである。
公共工事は全1箇所で、民間工事は全106箇所のうち86箇所で、非鉄スラグの撤去が完了している。残る20箇所も撤去される予定。
これまでの調査の結果では、土壌汚染は確認されていない。未撤去の20箇所は、立入禁止など当面の措置が講じられており、有害物質の摂取リスクは極めて低い。
3 今後の対応
(1)今後とも非鉄スラグの使用箇所の解明を進め、新たに使用箇所が判明した場合は、これまでと同様の方法で環境調査を行い、その結果を速やかに公表する。
(2)判明した使用箇所は全て県がリスト化し、今後も継続して、地下水概況調査の中で、環境への影響について監視を行っていく。
(3)撤去完了まで監視を継続するとともに、東邦亜鉛(株)に対しては、使用箇所における必要な措置を早期に完了させるよう引き続き指導を行う。
=====別紙=====
使用箇所の解明、環境調査及び対応措置等の状況
令和2年10月末時点
1 使用箇所数
(1)公共工事
(2)民間工事
2 対応措置等の状況
(1)対応措置の状況
東邦亜鉛(株)は県の指示を受け、土壌汚染対策法の考え方・技術基準に沿って、全使用箇所で撤去等の対応措置を講じている。
なお、撤去が完了していない20箇所は、土地所有者との調整がつき次第、撤去予定である。(←当会注:土地所有者とは、まさか、東邦亜鉛から鉛・ヒ素入り有毒非鉄スラグを長年にわたり引き取り、自社のメガソーラー施設に数万トンも敷き詰めていた岡田工務店・岡田興業なのではあるまいか。だとしたら、県の措置は大甘だと言わざるを得ず、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(2)分析結果
非鉄スラグから、土壌汚染対策法の指定基準に相当する値を超える鉛及び砒素が検出された使用箇所は、表4のとおりである。
なお、直下の土壌からは、土壌汚染対策法の指定基準を超える鉛及び砒素は検出されていない。(←当会注:県は東邦亜鉛からの自己申告の報告の内容を鵜呑みにしているのであれば、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(3)土壌環境基準等の超過箇所における対応措置等の状況
溶出量基準超過の23箇所のうち、20箇所で撤去が完了し、残る3箇所も撤去予定である。いずれの箇所も土壌汚染は確認されておらず、直ちに地下水に影響が生じる状況にないため、有害物質の地下水経由の摂取リスクは極めて低い。
含有量基準超過の88箇所のうち、79箇所で撤去が完了し、残る9箇所も撤去予定である。撤去完了までの間、当面の措置として立入禁止・注意喚起を講じているため、有害物質の直接摂取リスクは極めて低い。(←当会注:県は非鉄スラグを産業廃棄物と認めて撤去を東邦亜鉛に命じたのではないのか。立入禁止・注意喚起の看板を立てておけば、5年間や10年間放置していてもよいのであれば、行政命令の意味がない。東邦亜鉛に忖度をするかのような、県のこのコメントは不適切。)
3 土壌汚染対策法の指定基準と健康リスク管理の考え方(参考)
(1)土壌汚染対策法の指定基準には、地下水経由の摂取リスクに対する「溶出量基準」と直接摂取リスクに対する「含有量基準」がある。2つの基準は、長期間の有害物質の摂取を想定して、健康被害防止の観点から定められており、一生涯にわたり摂取しても、健康影響が現れないように設定されている。(←当会注:そもそも廃棄物処理法上は、特定有害廃棄物なのだから違法不当に投棄されていること自体問題。また農用地の土壌の汚染防止等に関する法律では汚染土壌から収穫された作物(玄米中のカドミウム含有量)を基準としており、土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(2)土壌汚染対策法では、地下水経由の摂取と直接摂取の2つの摂取経路による健康被害を防止するため、摂取経路の管理、摂取経路の遮断又は土壌汚染の除去により措置が講じられる。(←当会注:筆者の居住する安中製錬所周辺の主に重金属を含む長年の降下煤塵による土壌汚染地帯では、県・安中市の主導で排客土方式による汚染土壌除去を目的とした土地改良事業計画が進行中であり、筆者の自宅を含め、昭和40年代に浮上した公害問題以降、敷地内の井戸の使用を禁じられている。土壌汚染対策法だけにこだわる県のこのコメントは不適切。)
(出典)『事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン』((公財)日本環境協会)
(3)地下水経由の摂取に関して、到達距離内(鉛:概ね80m、砒素:概ね250m)に飲用井戸がない場合には、措置を講じる必要がない。
【非鉄スラグに関する問い合わせ先】
廃棄物・リサイクル課 産業廃棄物係
電話 027-226-2861
メール sanpai@pref.gunma.lg.jp
環境保全課 放射線・土壌環境係
電話 027-226-2833
メール kanhozen@pref.gunma.lg.jp
※報道提供資料 ZIP ⇒ 20201208sxogp.zip
**********
■この記者発表情報をみると、鉛・ヒ素の含有量と浸出量のデータについても公表されています。
また、非鉄スラグの投棄場所(=使用場所)の情報にしても、それが公共事業でも民間工事であっても、本来は全部公表すべきですが、せめて○○市〇〇町くらいまでは公表してもなんら問題は無いはずです。
にもかかわらず群馬県は、当会の情報公開請求に対して、真っ黒けの情報しか出しませんでした。しかも、それは集計表のみです。
群馬県は果たして東邦亜鉛の意見を聞いたうえで「情報非開示」ないし「存否応答拒否」をしてきたのでしょうか。そのことを確かめるべく、当会では2020年12月25日に県庁を訪れて、次の内容の審査請求書(異議申立書のこと)を群馬県知事あてに提出しました。
*****12/25審査請求書*****ZIP ⇒ 20201225risxojyj.zip
令和2年12月25日
(宛先) 審査庁 群馬県知事 山本一太 様
審査請求人 住 所 前橋市文京町一丁目15-10
氏名 市民オンブズマン群馬
代表 小川 賢 印
連絡先 TEL:090-5302-8312(小川携帯)
又は 027-224-8567(事務局長:鈴木庸)
審査請求書
次のとおり審査請求します。
1 審査請求に係る処分の内容
令和2年10月16日付廃リ第601-10号「公文書部分開示決定通知」(資料1参照)に含まれない公文書に対する「公文書非開示決定通知書」に関する部分開示決定した文書以外の非開示決定処分(資料2参照)及び同「公文書の存否を明らかにしない決定通知書」に関する存否応答拒否決定処分(資料3)
2 審査請求に係る処分があったことを知った年月日
令和2年10月17日
3 審査請求の趣旨
審査請求人は「令和2年8月22日(土)に東邦亜鉛安中製錬所で開催された工場視察会の後の情報交換会で参加者から出された同社が排出する非鉄スラグに関する質問に対して、同社が、『非鉄スラグが使用された場所について判明した場合、その都度、所有者と管理者、即ち行政には報告をさせていただいております』と回答しました。ついてはこれに関連する次の情報。①東邦亜鉛株式会社安中製錬所が出荷した非鉄スラグの使われた公共及び民間事業の現場に関してこれまで同社から安中市に連絡ないし報告された一切の情報 ➁上記①に関し、安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうか分かる情報」を情報公開請求した。
これに対して処分庁である群馬県知事は、このうち①について、「これまでに判明しているK砕使用箇所一覧(当課で集計)」と題する非鉄スラグ投棄場所を列挙したリストと思しきほぼ黒塗りのA3判で、わずかに「工事発注者(施主)」と「所在地区分」欄では「榛東村」とかかれた1件の自治体名のみ開示で、「表面(露出等)の状況」欄では、「当初」項のみ開示、「対策の実施状況」欄では、「状況」項のみ開示、「環境調査実施状況」欄では、「路盤材」と「土壌」の項で「済」又は「日程等調整中」のみ表示、「環境調査結果」欄では、「路盤材」と「土壌」の項で、「適」又は「不適」ないし「日程等調整中」のみ開示で、それ以外は全て黒塗りで非開示とした。
また、➁について処分庁は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という)(資料4参照)第17条に該当し、「対象となる文書が存在しているか否かを答えるだけで非開示情報を開示することになるため」として、存否応答拒否通知をした。
よって、上記1の決定を取り消し、開示決定を求める。
4 審査請求の理由
(1)処分庁は、①の非開示理由として、条例第2条、第3条、第5条、第6条を挙げたがいずれも失当である。
(2)条例第14条第2号(個人情報)は、今回の場合、鉛・ヒ素のような特定有害物質を高濃度に含有する非鉄スラグによる県民の生命、健康、生活又は財産の保護の観点から、ただし書が適用されるべきである。事実、処分庁は非開示理由として条例第14条第4号(公共安全情報)を挙げていない。
(3)条例第14条例第3号(法人等事業情報)は、今回の場合、鉛・ヒ素のような特定有害物質を高濃度に含有する非鉄スラグによる県民の生命、健康、生活又は財産の保護の観点から、ただし書が適用されるべきである。事実、処分庁は非開示理由に条例第14条第4号(公共安全情報)を挙げていない。
(4)条例第14条第5号(審議検討情報)は、今回の場合、法令や環境基準等に照らして判断されたものであるので、審議検討情報とは言えない。
(5)条例第14条第6条(事務事業情報)は、今回の場合、民間事業者が行う事業に伴う情報であるため、事務事業情報とは言えない。なぜなら、廃棄物処理法第3条によれば、事業者(今回の場合民間事業者)は、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならず、また、当該廃棄物の再生利用等を行うことによりその減量に努めなければならないとする排出事業者責任を定めているためである。
(6)処分庁は➁の存否応答拒否について、条例第17条に該当するとしか説明していない。
(7)国の人事院が定める「情報公開法に基づく処分に係る審査基準について」の「・法第8条(行政文書の存否に関する情報)関係」において、下記の記載がある。
記
「開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるとき」
開示請求に係る行政文書が具体的にあるかないかにかかわらず、開示請求された行政文書の存否について回答すれば、不開示情報を開示することとなる場合をいう。開示請求に含まれる情報と不開示情報該当性とが結合することにより、当該行政文書の存否を回答できない場合もある。例えば、特定の個人の名を挙げて、その病歴情報が記録された文書の開示請求があった場合、当該行政文書に記録されている情報は不開示情報に該当するので、不開示であると答えるだけで、当該個人の病歴の存在が明らかになってしまう。このような特定の者又は特定の事項を名指しした探索的請求は、第5条各号の不開示情報の類型すべてについて生じ得ると考えられる。
具体的には、次のような例が考えられる、とされている。
①特定の個人の病歴に関する情報(第1号)
②先端技術に関する特定企業の設備投資計画に関する情報(第2号)
③情報交換の存在を明らかにしない約束で他国等との間で交換された情報(第3号)
④犯罪の内偵捜査に関する情報(第4号)
⑤買い占めを招くなど国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある特定の物質に関する政策決定の検討状況の情報(第5号)
⑥特定分野に限定しての試験問題の出題予定に関する情報(第6号)
(8)上記によれば、存否応答拒否の前提は、当該情報が不開示情報に該当していなければならない。この観点から、処分庁は開示請求「特定の個人の権利利益を害するおそれがあるため」と公開しない理由を説明したいのだろうが、➁の請求内容と、どのような関係があるのか、処分庁の理由にはなにも書かれていない。
仮に条例第14条第2条の個人に関する情報だと説明したいとすると、「特定の個人は識別できないが、公開することによりなお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当すると言う意味だと考えられる。
(9)審査請求人は、「安中市内で非鉄スラグが使われたことがあるかどうかわかる情報」ともとめているのであるから、場所の情報として、地番までもとめているわけではない。よって、個人の地番が特定できない範囲で、開示できる情報が、処分庁が今回非開示として情報のなかに含まれていると考えられ、処分庁の今回の判断は、原則開示の条例の趣旨から逸脱するものである。
(10)よって、上記1の決定において、本件情報①は不開示情報に該当せず、また同➁についても「存否応答拒否」に該当しないため、決定を取り消して、公開を求める。
5 処分庁の教示の有無及びその内容
「この決定について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に、群馬県知事に対して審査請求することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内であっても、処分の翌日から起算して1年を経過すると審査請求をすることができなくなります。)。」との教示があった。
以上
**********
■群馬県に対して情報非開示の不服申し立てをすると、長い場合は2年間も結論を先延ばしします。なので、12月25日の審査請求では、県側にせめて前橋市役所の期間限度基準の8カ月を超えることのないように釘を刺しておきました。
それでも、上記の場合、開示の可否が確定するのは今年の盆休み明けになるわけで、迅速かつ適切な情報公開が実施できるかどうか、群馬県による公害企業への忖度度を測るうえで重要な目安となります。
【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】
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