市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

高崎市若宮苑ケアプラン印章偽造容疑で栄養士免許取消相談を受けた県顧問弁護士から意味不明レター到来!

2019-11-12 21:25:00 | 高崎市の行政問題
■高崎市の若宮苑を巡るケアプランの偽造を端緒とした補助金の不正給付を巡り、当会会員が高崎市を相手取って足掛け4年間にわたり係争を続けております。一審では2018年11月7日(水)に前橋地裁21号法廷で、渡邉和義裁判長から原告当会会員に全面敗訴の判決が下され、東京高裁で控訴審を係争するも敗訴したため、現在最高裁に上告中です。この事件の端緒となったのが、若宮苑の偽造書類に記されていた偽物のサインですが、これを書いた容疑者が若宮苑の栄養士であることから、当会会員は、栄養士法に基づき、栄養士免許登録管理をしている群馬県に、2019年8月15日付で上申書を提出して、免許取消を申し出ています。次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月27日:高崎市若宮苑のケアプランに係る印章偽造容疑で栄養士免許取消の相談を受けた弁護士の引け腰
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3064.html

 そうした最中、突然、当会事務局に、群馬県顧問弁護士が所属する法律事務所から次の文書が郵送されてきました。

当会事務局に届いた封書。

 封を開けてみると次の内容の文書が入っていました。

*****公開質問への回答拒否状*****ZIP ⇒ 20191111oym.zip

                               令和元年11月9日
岩 崎   優  殿
【回答送付先】
 〒371-0801 前橋市文京町1-15-10
         市民オンブズマン群馬 気付
                     〒371-0026
                        前橋市大手町3丁目4番16号
                        石原・関・猿谷法律事務所
                        TEL 027-235-2040 / FAX 027-230-9622
                     群馬県代理人
                        弁護士 関     夕 三 郎

 前略 貴殿より令和元年11月29日付けで頂戴した公開質問状に対し,下記のとおり回答いたします。

                 記

 掲記公開質問状によると,本回答書は市民オンブズマン群馬のホームページないしブログに掲載され,不特定または多数人に対して公開することを予定しているようですので,事柄の性質上,掲記公開質問状には一切回答できません。
                             以 上
**********

■これをみた当会の事務局長は、「ん?」と首をひねりました。11月9日付の書面なのに「11月29日付けで頂戴した公開質問状に対し・・・」とあったからです。読み返して見ると、どうやら、「10月29日」の間違いのようです。そして、思わずつぶやきました。「弁護士なのに、弛んでいるなあ」と。

 調べてみると、当会会員が10月29日付で群馬県知事(実施機関:健康福祉部保健予防課健康増進・食育推進係)あてに、出状した公開質問状であることが判明しました。

*****公開質問状*****ZIP ⇒ 201920291jp13.zip
201920292jp46.zip
                         令和元年10月29日
〒370-8570
群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県知事  山本一太 殿
(実施機関:健康福祉部 保健予防課 健康増進・食育推進係
 ご担当者:次長 野村孝昭 殿(027-226-2601)
      係長 齊藤朋子 殿)
CC:厚生労働大臣 加藤勝信 殿

                 質 問 者:〒370-0883
                      群馬県高崎市剣崎町906番地
                      岩 崎 優
                      携帯:090-9839-8702
                  支援団体:〒371-0801
                      前橋市文京町一丁目15-10
                      市民オンブズマン群馬
                      代表 小 川 賢
                      携帯:090-5302-8312

            公 開 質 問 状
件名:「介護老人保健施設・若宮苑」に勤務する「指出直美管理栄養士」が入所者の「栄養計画書」を「文書偽造」した事件に関する調査状況について


拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素より、県民の生活向上のため、各政策分野において、日夜ご尽力賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、周知の通り、質問者の母(86歳・要介護4)が、若宮苑に入所した際に、指出直美管理栄養士により、平成27年7月1日及び、平成27年9月22日の2度にわたり、栄養計画書の利用者家族同意欄に勝手に印章が記され、文書偽造されるという事件が起き、質問者および支援団体は、8月15日付で上申書と題して、行政手続法に基づく申出を行いました。
 現在、この件について、群馬県は顧問弁護士に相談しているようですが、貴殿に直接お聞きして確かめたいことがございます。そこで本状をお送りしますので、栄養士法に基づき、若宮苑に勤務する指出直美の栄養士免許の取り消し及び名簿登録抹消のための速やかな行政処分に向けた調査状況について、率直な回答を要請します。
 若宮苑の矢島祥吉理事長は、「公益社団法人 群馬県老人保健施設協会の代表」を務めており、行政への影響力が強いことが伺えますが、これに忖度することなく、栄養士の免許登録等を所管するお立場から、指出直美の文書偽造の行為に関する処分にむけた対応について、都度説明責任を果たして頂きますよう茲許お願い申し上げます。
 本件に関して質問者は、令和元年8月15日に、市民オンブズマン群馬代表の小川賢氏らと群馬県庁を訪問し、指出直美が作成した「栄養計画書」の印章偽造を手段とする私文書偽造事件に関する証拠物を次のとおり提出いたしました。
            ≪証拠資料の提出≫
証拠1:偽造と鑑定された筆跡鑑定書(東京筆跡印鑑鑑定所 鑑定人/川野一吉)
証拠2:判決文(前橋地方裁判所民事第1部 裁判長裁判官/渡邉和義)
証拠3:栄養士法(昭和22年 法律第245号)
証拠4:苦情申立についての確認結果(作成者:高崎市長寿社会課/坂口係長)
証拠5:調査・報告依頼に対する報告(報告者:医療法人十薬会/理事長 矢島祥吉)

 質問者は、上記の「栄養計画書の偽造」に関する証拠資料を提示しつつ、群馬県庁の栄養士の免許登録等を所管する野村孝昭次長らご担当者の皆さんに、次の説明をさせて頂きました。
                   記
 ・質問者の母が若宮苑に入所した際に、若宮苑の栄養士の指出直美が栄養計画書を作成しました。
 ・その際、若宮苑の栄養士が、栄養計画書の利用者家族同意欄の「岩崎優」名義の署名を印章偽造の手段で文書偽造しました。
 ・その偽造文書を高崎市に提出した若宮苑は、高崎市から栄養マネジメント加算の支払いを不正に受領しました。
 ・そのため、若宮苑が不正に受領した栄養マネジメント加算の返還を行わせる必要があると考えた質問者(岩崎優)は、当該署名が偽造であると鑑定された筆跡鑑定書を高崎市に提出しました(証拠1)。
 ・すると、平成27年12月21日に、高崎市長寿社会課坂口係長、指導監査課久保田、介護保険課関らが、若宮苑に出向き、栄養士の指出直美に聞き取り調査を行いました。
 ・その結果、以下のとおり、証言を得ました(証拠4)。
            ≪以下、指出直美の証言はじめ≫
H27.12.21若宮苑の指出栄養士に聞き取り、息子である岩崎優さんにサインをいただい
ているとの証言有。(同意の場所、時刻等は詳細不明)(高崎市ではサインの真偽は確認できない。)  (証拠4)

            ≪以上、指出直美の証言おわり≫
  さらに、平成28年3月16日付で、若宮苑の矢島祥吉理事長は、高崎市長に対して、次のとおり、報告しています(証拠5)。
            ≪以下、矢島祥吉理事長の報告はじめ≫
岩崎優の同意日は、H27年7月1日であり、栄養計画書の説明は、フロアの椅子にて栄養士が行った。

  岩崎優の同意日は、H27年9月22日であり、栄養計画書の説明は、フロアの椅子にて栄養士が行った。
            ≪以上、矢島祥吉理事長の報告おわり≫
 ・上記のとおり、指出直美は「息子である岩崎優さんにサインをいただいている。」と、高崎市に対し、証言しました(証拠4)。
 ・さらに、矢島祥吉理事長に至っては、「フロアの椅子で、指出直美管理栄養士が、岩崎優に対し、栄養計画書の説明を行い、同意のサインをもらった。」ことを高崎市長に対し報告しています(証拠5)。
 ・しかし、これら両名の証言や報告には裏付けとなるものが何もありません。
 ・他方、質問者(岩崎優)は、「指出直美の証言」及び「矢島祥吉理事長の報告」が、虚偽であることの証拠として、偽造と鑑定された筆跡鑑定書(証拠1)を提出しました。
 ・その上で、「同意のサインは偽造であること。」を群馬県庁の栄養士等を所管する野村次長と斎藤朋子係長に対し、報告しました。
 以上の経緯を踏まえた上で、次の質問があります。

【質問1】指出直美が作成した栄養計画書の利用者家族同意欄の署名は、全国の裁判所等から選任鑑定人として指定を受けた「川野一吉鑑定人」が鑑定した結果「偽造」と鑑定されました。質問者が8月15日に貴殿に提供した筆跡鑑定書(証拠1)を、貴殿はその後、どのように活用しましたか?

【質問2】質問者が貴殿に提供した「筆跡鑑定書(証拠1)」の内容を読まれて、貴殿は、若宮苑の指出直美が作成した栄養計画書に関しては、文書偽造の犯罪の疑いがあると思料しましたか?

【質問3】上記の「指出直美の証言(証拠4)」は、単なる証言であり、何の証拠もありません。さらに、「矢島祥吉理事長の報告(証拠5)」においても、何の法的根拠もありません。
     一方で、質問者は全国の裁判所等から選任鑑定人として指定を受けている「川野一吉鑑定人」に依頼して作成した「偽造と鑑定した筆跡鑑定書」を貴殿に提供し、指出直美と矢島祥吉の証言によって着せられた濡れ衣(文書偽造は質問者の自作自演ではないか?という疑念)を晴らすため、身の潔白を示しました。
質問者が提供した「筆跡鑑定書(証拠1)」と、「若宮苑の虚偽報告(証拠4、5)」のどちらが信用に足るとお考えですか?

【質問4】質問者は、栄養計画書のサインは偽造された文書であることを、筆跡鑑定書の提出をもって証明しました。
     これに対して若宮苑側は、「岩崎優(質問者)が、サインをした」ことを示す確かな証拠(たとえば監視ビデオカメラの映像や、別の筆跡鑑定書など)を、貴殿の調査の過程で、貴殿に提出したのでしょうか?

【質問5】仮に、そのような提出物があった場合は、若宮苑側に対する名誉棄損、及び、群馬県庁に対する虚偽報告等の罪で、質問者(岩崎優)を訴えるお覚悟はございますか?

【質問6】質問者が提出した筆跡鑑定書を貴殿が信用できない場合は、御庁において然るべき鑑定人を選任されることも検討されていますか?

【質問7】貴殿が選任した鑑定人による筆跡鑑定を行い、質問者(岩崎優)の身の潔白が証明できるか否か、延いては「指出直美の証言(証拠4)」及び「矢島祥吉理事長の報告(証拠5)」が虚偽であることを証明できるか否か、いずれにしても、その結果が出たら、群馬県HPにおいて公表していただけますか?

 質問は以上です。

 ここで質問者は最後にもう一度宣明します。
 質問者は若宮苑の指出直美が作成した栄養計画書に署名した事実はありません。
 質問者が選定した鑑定人が作成した筆跡鑑定書でも示されているように、名前の「優」を「俊」と間違えて書いている等、質問者本人(岩崎優)の署名を真似ようとした形跡は明らかです。
 質問者が選任した川野一吉鑑定人は、全国の裁判所等から選任鑑定人として指定を受ける鑑定人ですが、その筆跡鑑定結果において、同署名の筆跡は、「岩崎優」本人の筆跡ではないことが結論付けられています(証拠1)。
 群馬県の顧問弁護士の見解も同様だと思いますが、栄養計画書の利用者家族同意欄を偽造し、若宮苑の用に供することは、いうまでもなく私文書偽造、同行使罪(刑法159条、161条)に該当し、違法です。

 質問者は貴殿に対し、順法精神に基づいた対応をお願いする次第でありますが、厚生労働省老健局介護保険計画課長におかれましても、行政のコンプライアンス意識徹底の重要性の観点から、各都道府県知事に対し、下記の通達がなされています。

                   記
                             老介発0829第1号
                             平成26年8月29日

各都道府県介護保険担当部(局)長殿

                      厚生労働省老健局介護保険計画課長

      「第3期介護給付適正化計画」に関する指針について

  (3)事業の推進方策
   ①指導監督との連携
   1) 指導監督との情報共有
     指導監督事務においては、苦情・告発等により提供された情報等に基づき、対象となる個々の事業者に対する指導や不正請求等に対する監査を実施することになるが、合わせて、積極的に適正化システムの情報を活用し、保険者における効率的な指導監督体制の更なる充実を図る。
     その際に、指導監督事務において対象となった事業者及び適正化事業において抽出された事業者の情報については、保険者内において相互に情報共有を図る。
   2)  苦情・告発・通報情報の適切な把握及び分析
介護給付費通知を受け取った受給者等からの苦情も含めて、保険者、都道府県又は国保連に寄せられた事業者に関する不適切なサービス提供、介護報酬不正請求等の苦情・告発・通報情報等の適切な把握及び分析を行い、事業者に対する指導監督を実施する。

   4) 受給者等から提供された情報の活用
     適正化事業を進める中で、受給者等から寄せられた架空請求、過剰請求等の
不正請求等の情報に基づき、都道府県と合同又は保険者自ら監査を実施する。

                       平成18年8月1日(火)~2日(水)
                              厚生労働省老健局

       全国介護保険指導監査 担当課長会議資料(第2分冊)

   (4) 刑事告発等
     指導や監査において虚偽の答弁、妨害や検査忌避を行う悪質な者については介護保険法等に基づく罰則規定の適用、犯罪の恐れがあるものについては、警察、検察当局ともよく協議され、刑事告発等についても検討願いたい


 ご如才なきことながら貴殿におかれましては、上記記載の厚生労働省からの通達を念頭に置き、質問者(岩崎優)からの通報情報の適切な把握及び分析を行い、介護老人保健施設 若宮苑に対する指導監督を実施して頂くことを強くお願いいたします。
 なぜなら、我が国の社会経済において、高齢化対策は喫緊の課題であり、今後、更に高齢化が進行していくことは、もはや避けることのできない現実であるためです。
 高齢化の進行に伴い、介護保険の介護給付はさらに増大の一途を辿ることでしょう。一方で巷間報道されているとおり、事業者のモラルハザードによる介護報酬の不正請求は後を絶たず、これら不正請求を防止する必要性は、今後益々重要となっていくことは明らかです。
 そのためには、不正請求を行った事業者に対する、許可・指定の取り消し、停止等の行政処分に加え、不正請求によって得た利益を返還させるという毅然とした対応を行い、もって、不正請求の予防を図ることが不可欠であると思料します。
 また、栄養士法第3条2項の定めは、『前号に規定する者を除くほか、第一条に規定する業務に関し犯罪又は不正の行為があった者』に対し、栄養士又は管理栄養士の免許を与えないことがある、と規定しています。仮に指出直美自らが偽造した証拠がないとした場合であっても、指出直美は高崎市の聞き取り調査において、「息子である岩崎優さんからサインをいただいている。」との証言(証言4)をしたのです。
 さらに、矢島祥吉理事長においても、「栄養計画書の説明は、フロアの椅子にて栄養士が行い、岩崎優が同意のサインをした(証拠5)。」などと、高崎市長に対し報告書を提出したのです。しかし、これらは虚偽であることは、質問者が選任した川野一吉鑑定人による筆跡鑑定書が証明しています。
 これをもってしても、「指出直美の証言(証拠4)」や「矢島祥吉理事長の報告(証拠5)」は、明らかに行政庁に対する「不正の行為」であると言わざるを得ません。

 つきましては、上記質問事項に対する回答を、令和元年11月12日(火)限り、必着で下記宛てに、郵送にてお願い申し上げます。
 なお、この公開質問状をはじめ、貴殿から回答をいただける場合、あるいは万が一いただけなかった場合を含め、本件質問と回答にかかる経緯と結果についても当会のホームページないしブログにて、ひろく公開・公表してまいりますので、あらかじめご理解くださるようお願い申し上げます。

        〒371-0801 前橋市文京町一丁目15-10 
              市民オンブズマン群馬
              代表 小 川 賢

                               以上
**********

■このように、群馬県の顧問弁護士から、11月9日付で回答が寄せられたものですが、その中身たるや、およそ弁護士とは思えない誠意の欠如もさりながら、対象となる公開質問状の日付を1か月後送りとしたものとなっており、本当に群馬県が依頼した顧問弁護士なのだろうか、と疑問符がつくかたちとなっています。

 しかも、日付が11月9日(土)となっており、所属する弁護士事務所のHPには、営業日時について「土日祝日、年末年始を除く午前9時〜午後5時」との表示があることから、休みの日に出勤して作成したことが分かります。
※参考URL:石原・関・猿谷 法律事務所(群馬県前橋市) 多様なニーズに的確に対応できる法律事務所を目指して eejqnosljyimw.zip

 あまりにも案件を抱えすぎて、日にちを間違えてしまったのでしょうか。あるいは、アルバイトの職員に指示して、出勤させて代筆をさせたのでしょうか。いずれにしても、お粗末な話です。

■しかも、文書偽造という重大な事件にもかかわらず、その真相解明について、終始必要性を投げかけ続けている当会会員の切実な公開質問状に対して、「市民オンブズマン群馬のホームページないしブログに掲載され,不特定または多数人に対して公開することを予定しているようですので,事柄の性質上,掲記公開質問状には一切回答できません。」と、木で鼻を括った対応を平然と取るのですから、呆れて果ててしまいます。

 また、このような人物を顧問弁護士として、見境なく依頼する行政の姿勢も問われるべきです。きちんとした対応をするために、弁護士を起用するならまだしも、このような行政の説明責任を放棄する回答をするのに、なぜわざわざ報酬を支払って弁護士に代弁させる必要があるのでしょうか。

 これこそ、税の無駄遣いの典型の一例です。しかるべき対応措置を検討したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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19秋・潜入調査記in群馬高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(2)

2019-11-08 21:29:00 | 群馬高専アカハラ問題
■当会では前報のとおり、11月2日(土)に沼津高専へ偵察調査に赴きました。ところで、群馬高専の文化祭である「工華祭」が沼津高専と同じ日程で開催されていたので、その翌日の3日(日)に、返す刀で群馬高専にも現地調査してみることにしました。

群馬高専工華祭2日目。休息処の図書館前の賑わい。

 群馬高専はこれまでも幾度となく訪れてはいますが、よく考えてみると、ほとんどが総務課や会議室のある管理棟で職員とやりあうばかりで、壮絶なアカハラ事件の現場となった電子情報工学科棟(J科棟)や雑賀教員室について、その様子をしっかり偵察したことがありません。雑賀が沼津高専に行っている今、その現況がどうなっているのか、改めてしっかりと観察して情報収集に努める必要があると考えました。


群馬高専構内建物配置図。同校HPより。電子情報工学科棟は26番。

J科棟3-4階の教員室配置図。平成29年度版。3階南側に雑賀教員室があることがわかる。
※参考:J科棟と専攻科棟の配置図(H29年度版)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/html/201806035_konai_haichiz_p260.pdf

■当日正午ごろに群馬高専に到着してすぐ、その足でJ科棟に向かいました。J科棟は、実質的に通路を挟んだ東西2つの建物に分かれており、両者が2階で接続されてトンネル構造になることで、1つの建物として構成されています。教員室があるのは4階建ての東側です。

 1階入り口のスライドドアを開けると、中で学生2名がおしゃべりをしていたので、「トイレを貸してください」と声をかけて階段を上り、雑賀教員室のある3階フロアに上りました。

 あえて断りを入れておくならば、トイレを探しているうちに迷い込んでしまったのが半分、催し物がここにもあると勘違いしてたまたま迷い込んでしまったのが半分で、その先にたまたま雑賀教員室があったというわけです。タイミングの悪いことに、たまたま首に掛けていたカメラの調子が悪く、勝手に何回もシャッターが入ってしまうので、まったく困ったというのが事の次第です。また、事実、高専まで車で向かううちに尿意を覚えて、3階のトイレをありがたく使わせていただきました。


3階への階段を上ったところ。手前2ドアがソフトウェア工学研究室、奥に見えるのが雑賀教員室ドア

■ソフトウェア工学研究室と崔教員室に挟まれた雑賀教員室のドアの前に立つと、まず表札が入っていないことに気が付きました。しかし、教員室配置図上、間違いなくこの部屋のはずです。ドア中央部の縦長のガラスの部分も、ドア上部と天井の間の明り取り用のガラスも、厳重に包装紙かポスターのようなもので内側から目張りがしてありました。なので、中の様子については確認できませんでした。


雑賀教員室のドア写真・上。

雑賀教員室のドア写真・下。

 ドアには桃色のレポートボックスが取り付けてありました。また、「高専生のための合同インターンシップセミナー」のポスターが貼りっぱなしになっていました。不思議なことにイベント名で検索しても一切情報が出てきませんでしたが、開催日からするに2016年のもののようです(貼り換えないのでしょうか?)。

■雑賀教員室がここまでガチガチに目張りしていることが気になって、J科棟の各教員室・研究室の様子はどうなのか、つぶさに回って見てみました。1階では、ロボティクス研究室のドアのガラスに目張りがしてありましたが、天井付近の明り取りはそのままでした。大豆生田先生の部屋も2つのドアのうち1つに目張りがしてありました。2階ではモーションキャプチャ実験室のドアが目張りしてありました。3階では、雑賀の部屋のみ目張り。4階は、石田先生の部屋のドアガラスが目張りしてありました。

 したがって、目張り自体はそれほど変というわけではありませんが、J科の中では雑賀氏がもっとも「プライバシー保護」に力を入れている様子がわかります。

■視点を変えて、今度は建物の外から様子をうかがうことにしました。建物南側の地上から見上げると、雑賀教員室と崔教員室にあたる大窓(3階、右から2枚目)には、ブラインドの隙間から入ってくる日光を遮るためか、段ボールのようなものが何枚か立てかけて置かれており、それが目印になっています。南側から見て、大窓の右半分が崔教員室、左半分が雑賀教員室です。


南側地上からJ科棟を見上げた様子。崔教員室とその隣のVR研究室の蛍光灯が点灯しているのがわかる。

 念のため、J科棟南側にある専攻科棟の3階に上り、目を凝らしてみましたが、ブラインドが下ろされており、中の様子はうかがえませんでした。


専攻科棟3階からJ科棟を見た様子。

 細かいことですが、なぜ崔先生と雑賀が同じように同じサイズの段ボールないし厚紙で日よけをしているのか、不思議です。教員室に分割された他の大窓は、左右で様子が違って見えました。自分のところの窓だけ日よけをするとバツが悪いので、どちらかが段ボールのお裾分けをしたということでしょうか。

 ちなみに、過去資料を見返すと、2016年2月の時点でこの日よけの存在が確認できることから(https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1887.html)、だいぶ前からあるもののようです。よく目を凝らしてみると、段ボール日よけの位置や形状は、この3年余りに少し変わっており、都度、適宜、眩しくないように調整してきたことが伺えます。

追記:ちなみに群馬高専関係者からの情報提供と当会の追調査から、雑賀教員室がこの3階の部屋になったのはアカハラ事件直後の2015年度からである事実が判明しました。和歌山高専から異動してきた2011年度からアカハラがもっとも苛烈だった期間にかけては、もともと雑賀教員室は1階にあったようです。詳しくは本記事のコメント欄もご参照ください】

■ところで再度、地表から電子情報工学科等を見上げた写真をよく見ると、3階の崔先生の部屋とその奥のVR研究室に明かりがついていることがわかります。実際に中に入った時も、崔先生の部屋も隣のVR研究室も明かりがついていて、人が中でなにやら作業をしていました。

 また、4階の石田先生の教員室の奥の情報応用研究室も明かりが点いていました。情報応用研究室には「(石田研究室)」の表札が付いていました。この観点からすると、教員室に隣接する研究室は隣の教員が担当する部屋というふうに考えられます。

追記:群馬高専関係者から情報提供があり、やはり、J科棟は(1階奥を除いて)教員室の隣がその教員の研究室になっているようです】

 とすると、ソフトウェア工学研究室も雑賀が担当・管理していた部屋だったところ、主が消えたので、現在は使っていないということも推測できます。なお、ソフトウェア工学研究室の方も、くまなく目張りをされて、中の様子をうかがい知ることはできませんでした。

■そんなこんなで現在のJ科棟の様子を見て回ることはできたため、次に工華祭を通じて学内の雰囲気を確かめてみることにしました。


駐車場はほぼ満車状態。

構内案内板。

学生寮エリアは立入禁止。


まずはカフェで腹ごしらえ。


中庭の全国高専大会優勝者顕彰碑。

M科工房。フォトフレームづくりの模様。

沼津高専に比べると立入禁止ゾーンが、群馬高専のほうが圧倒的に多い。2年に一度のイベントなのでもっと解放感がほしいところだ。






学食のベンチで一休みしていると、目の前の掲示板に学生相談室のチラシが。さっそく行ってみた。






このように展示物や配布物は充実しているが、はたして学生相談室はアカハラ抑止の砦になりえているのだろうか。実際、雑賀アカハラ事件について学生にインタビューしたが、知らないとの回答だった。毎年入学と卒業を繰り返すため、新陳代謝が激しいが、アカハラ事件の風化は再発防止の最大の障害だ。


久しぶりの管理棟の正面玄関ロビーと学生課。

帰りがけに体育館でのバンド演奏を視察。熱気が充満していた。↑ 

■さて、2日間にわたる沼津・群馬高専両校の現地訪問によって、雑賀氏に関する現状がいくつか判明しました。ポイントは次のとおりです。

【沼津高専で判明したこと】
・雑賀教員室は、なぜか(専攻科直属のはずにも関わらず)電気電子工学科(E科)棟に置かれており、表札の記載もなぜか専攻科所属でなくあたかもE科所属のようになっている。
・雑賀教員室はがらんどうで、とてもここで勤務しているとは思えない。日中どこで何をしているのか、見当もつかない。

【群馬高専で判明したこと】
・雑賀教員室の中に物が残されているのか、あるいはすでに空っぽなのかは不明。
・ただし、雑賀教員室の名札は外されている。


■雑賀洋平の今後の動向をめぐる焦点は、「果たして来年4月に素直に群馬高専に戻ってくるのか」ということに尽きます。

 従来、雑賀が取りうる選択肢として考えられていたのは、

①素直に群馬高専に復帰する
②沼津高専に居座る
③沼津にも群馬にも残らず、高専外に転職する


の3パターンです。

 今回、沼津高専を現地偵察したことにより、雑賀が明らかにその拠点を移していないことがわかりました。とすれば、沼津に根を下ろす気は特に無いということになります。そもそも、藤本校長による強権的な捻じ込み騒動のせいで最初から沼津高専教員らの印象は最悪であり、しかも「守り神」である藤本氏が校長でいられる残り期間はあとそう長くないと見積もられています。そうなると、雑賀氏が沼津高専に居座ることは、常識的にかなり厳しい道になることが見込まれます。であれば、②は考え難いことになります。

 あるいは、群馬にも沼津にも居場所がないことを悟り、必死で逃亡転職先を探している最中なのかもしれません。沼津での「ニート状態」や、異様なまでにがらんどうの教員室については、転職活動にはむしろおあつらえ向きということで、一応説明が付くことになります。しかし、会社勤めの経験もない50過ぎのアカハラ犯が今から滑り込める転職先となると、筆者には少々思い当たりがありません。ただし、群馬高専の山崎校長や、「お友達」である沼津高専の藤本校長が、そのコネと名札を駆使して雑賀氏を他の国立研究機関等に移籍させる可能性は十分に考えられます。

■上のどちらでもないとすれば、何事も無かったかのように1年間の沼津バカンスを終えて群馬高専に戻ってくることになります。だとすると、たった1年間雑賀が沼津に行って帰ってくるためだけに、両校の校長が直々になぜあれほど異例の待遇と大騒ぎをして沼津高専に押し込んだのか、まったく動機がわかりません。

 このことについて、本件に関心を寄せる高専関係者の1人から出た説としては、以下のようなものがございましたので、ここに紹介します。

(1) 最初は本気で沼津に移籍してしまうつもりで、雑賀・藤本・山崎が共謀し、2018年の夏以前から「人事交流」を準備していた。
(2) しかし、藤本校長が沼津高専内部に極秘にし、肝心の配属先学科に目処を付けていなかった。
(3) 10月半ばになって藤本校長が関係3学科長に受け入れを要請したが、既に話が漏れていて雑賀の素性がすべてバレており、各学科長がスクラムを組んで拒否した。
(4) 土壇場でちゃぶ台をひっくり返されて(自業自得だが)気が動転した藤本校長は学科長らに怒鳴り声を浴びせた。が既に時遅し。
(5) 沼津高専への「人事交流」自体は既に理事長直々に裁可されてしまったので、実行せざるを得なくなったが、学科配属も授業受け持ちも阻まれてしまい、本格移籍作戦自体は水の泡と消えた。そのため、着任挨拶での「1年間」発言。


 とのことで、なかなかに興味深い説であるように思われます。仮にこの説を採用するならば、雑賀の失敗は自分の所業について未だにあまりに無自覚だったことであり、藤本の失敗は過度な秘密主義がかえって裏目に出たことだといえるのかもしれません。もっとも、これは(諸状況と整合性はありますが)完全に仮説に過ぎませんので、読者の皆様におかれましてはあくまで参考程度でお願いいたします。

■いずれにせよ、雑賀の動向の真相については、来年の4月が答え合わせになるでしょう。当会では、引き続き関係者との情報共有・連携を密に取りつつ、一挙手一投足を見逃さず監視することにしています。

 今回の当会の調査によって得た情報で気になったこと、気が付いたこと、また調査に関しての疑問がございましたら、または関連する情報をご存知であれば、遠慮なく当会の方までお知らせください。

【11/10追記】
■実は、高専での教員室(研究室)ドアのはめ込みガラスに関しては、背景に興味深い歴史的事情があることが、他高専関係者からの情報提供により判明しました。

 2006年8月に発生した徳山高専女子学生殺害事件に際し、当時の高専機構は、事件の原因の一端を「ドアから部屋の中が見えないのが良くなかった」となすり付けて、全国高専の部屋のドアに透明ガラスを取り付けたという経緯があるようです。

 確かに、当時、犯人男子学生によるおぞましい犯行、そして遺体発見の現場となった研究室は、ドア窓がすりガラスで、施錠されてしまうと外から中を確認できる状況にはありませんでした。このことが犯行を遮蔽し、また事件発覚を遅らせてしまったという見方にも一理あります。
参考:http://gachapin99.blog48.fc2.com/blog-entry-329.html

 ただし、研究室内が棚などで入り組んだ構造になっていて死角が多かったことや、遺体についても、扉を開けてもすぐに見つかる場所にはなかったことから、実際にすりガラスの有無が事件の重要ファクターとなったかには検証の余地が多いといえます。また、研究室の管理体制など、責任問題を避けてすりガラスのせいにしてお茶を濁したのであれば、これも手放しで評価することはできません。

■余談はさておき、そのような経緯であれば、透明ガラスは「教員室・研究室の可視化」という目的を達成するために付けられたはずです。しかも、統括機関である高専機構の命令によってです。であれば、横行するドアの目隠しは当然その趣旨をないがしろにしてしまうものです。

 しかも実際、雑賀氏のアカハラの中には、密室にした教員室・研究室で学生を長時間理不尽に叱責・罵倒するといった類のものもありました。アカハラを外から見えなくした目張りなど、群馬高専は即座に引っぺがさせなければならない立場のはずです。しかるに、目張りひとつそのままという今の現状が、いかに群馬高専が今なお雑賀洋平を甘やかしているか、雑賀洋平が今なお無反省であるかを如実に示していると言えるでしょう。

 実際に、他高専関係者の言によれば、「うちの高専では、雑賀氏のようなことをしていれば、関係委員会からドアの目隠しを取り外すように言われます。あれだけオンブズマンから問題にされた群馬高専でドアの目隠しがまかり通っていることに驚かされます」とのことです。

【追記】
2週間後に群馬高専に再潜入を行った際の様子については以下の記事をご覧下さい。↓
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3074.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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19秋・潜入調査記in沼津高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(1)

2019-11-08 21:20:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専で凄惨な被害を出した大規模アカハラ事件の犯人・雑賀洋平氏。当会による不断の追及調査活動のさなか、19年4月、突如として沼津高専に「人事交流」で逃げていきました。この沼津逃亡について新たに調査をしたところ、沼津高専現校長の藤本晶氏と雑賀氏が旧職場繋がりでコネがあった事実や、実際に藤本氏がパワハラ紛いのやり口で自校に雑賀氏をねじ込んだ経緯や、沼津での雑賀氏の業務実態が不明(後期担当科目なし)で年1千万円近くの人件費がドブ捨てになっている現状が明らかになりました。更に、この「異動」の決定経緯について当会が文書開示請求したところ、数々の極めて異例な待遇がなされていた事実関係が見えてきました。
○2019年10月3日:群馬高専アカハラ犯雑賀教授の沼津逃亡経緯情報を開示請求!高専機構本部にて受領した文書の中身は…
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3041.html

11月2日、高専祭に大盛り上がりの沼津高専

 しかし、それでもこの雑賀氏の沼津逃亡には謎や不明点が多く、仮説が乱立するばかりでそれ以上の前進が見込めなかったため、当会では一度沼津に現地偵察に赴いてみることにしました。調べると、11/2(土)・3(日)にわたって沼津高専の高専祭があり、構内が一般開放されるようなので、この機会を利用することにしました。
※参考:沼津高専HP/高専祭(ログ) http://archive.is/9FrK4

■当日は朝6時53分高崎始発の上越新幹線Maxたにがわ472号に乗り、7時52分に東京駅に着きました。改札を出て東海道新幹線の乗り場に向かうと、チケット売り場にも長蛇の列で、改札口前には20mくらいの長さの入場する旅客のひとだかりが隙間なくひろがり、しばしボー然とさせられました。3連休の初日ということもあるでしょうが、家族連れや外国訪問客らも多く、さすがにJR東日本のドル箱路線です。

 しかたなく、改札口前のひとごみに飛び込みました。5分くらいかかってようやく改札口を抜け、ごったがえしているのぞみの発着ホームへの階段を横目にして、一番奥のこだま号の発着ホームに向かいました。自由席が多いのと、東京からこだまでも1時間足らずで沼津に着けるためです。



 早めに列に並んだおかげで、午前8時26分発のこだま639号に乗ったときは空席が半分くらいでしたが、出発時には8割ほど埋まり、品川駅では座りきれない人が多数出ました。新横浜でもさらに多くの乗客が入り、通路もデッキも立錐の余地がなくなりました。しかし、小田原を過ぎ、熱海につくと一気に乗客が減り、ほとんど立っている人はいなくなりました。熱海から三島までは新丹奈トンネルを経由してわずか6分余りで到着です。


↑まもなく三島駅。生憎、富士山頂には雲がかかっていた。↑

三島駅ホーム。

三島駅北口。

無料シャトルバスで沼津高専に向かう。

 午前9時21分に三島駅に着き、北口で沼津高専の案内職員の誘導で9時半発の韮山交通からチャーターした無料シャトル小型バスで会場に向かいました。住宅街を抜け、川を渡り、畑風景が左側の車窓に見えるとまもなく、沼津高専の正門に着きました。バスを降りると、そこにはかつて半世紀前に筆者も体験した覚えがかすかに残る、あの文化祭特有の高揚した雰囲気が充満した光景が広がっていました。



■もとより、学生の皆さんが作り上げた大事な祭典……高専祭の趣旨とは全く別のところで当会が騒ぎ立ててしまうことで、その美しい思い出に泥を塗るわけにはいきませんし、本意ではありません。したがって当会では、あくまで一参加者として高専祭の盛り上げに微力ながら寄与することを第一に意識しつつ、その範囲内でキャンパスの観察を行っていくことにしました。


沼津高専のキャンパスマップ。同校HPより。雑賀氏の「教員室」がある電気電子工学科棟(E科棟)は6番

■電気電子工学科棟に入り、階段を上がると、3階廊下の突き当たりに雑賀洋平の割り当て部屋がありました。特定の学科に所属しない専攻科直属の扱いなので、本来は専攻科棟や管理・共通棟が妥当なはずですが、適当な空き部屋がこれしかなかったということでしょうか。


電気電子工学科棟3階掲示配置図。

雑賀室に続く廊下。

 雑賀教員室に近づいてみると、まず表札が目に入りました。驚いたことに、「電気電子工学科教員室 雑賀洋平」とそう書いてあります。単に部屋の区画が電子情報工学科棟内であるというだけの意味でそう記載してあるのでしょうか? それとも、藤本氏の圧力が奏功し、ついに雑賀氏を電気電子工学科に押し込むことに成功したのでしょうか?


雑賀教員室の表札。

■更に驚くことに、窓のガラス越しに雑賀教員室の中を覗いてみると、まさに「もぬけの殻」という言葉そのものの状況でした。がらんどうのだだっ広い部屋に、空のスチール棚や埃をかぶったデスクが1つ2つ無造作に置かれているだけです。ここで研究活動に勤しんでいるとは到底思われません。

 デスクトップモニタが1台置かれているのは見えましたが、本や書類や身の回り品も見当たらず、教育・研究活動はおろか、沼津高専教員としての最低限の業務の拠点にここを使用している形跡すら見受けられません。

 ……雑賀氏は、税金と授業料から高給を貰いながら、同僚が教育や研究に励み学生が勉学に勤しむ日中、いったいどこで何をして時間を過ごしているのでしょうか?



雑賀教員室内の様子。

■雑賀氏がここを使っている姿を見たことがあるかどうか、付近の学生に聞いてみようかと思いましたが、見回しても周辺には人の気配もなく、外から聞こえてくる高専祭の喧騒も相まって、よけいに「雑賀教員室」の閑散とした印象と寂寥感が増幅されました。

 ここで、昨年度分の沼津高専の校内配置図を確認してみると、「プロジェクト」と名の付いた、事実上用途のない倉庫同然の部屋であったことが確認できます。


H30年分の教員室配置が反映された管理棟・共通棟・E科棟3階の配置図。沼津高専HPより。今年度分の配置図はHP未公開の模様

※参考:H30年度分の沼津高専配置図
http://www.numazu-ct.ac.jp/wp-content/uploads/03campuslife/14handbook/H31handbook.pdf(末尾)
ZIP ⇒ h30_numazukousen_haiichizu.zip

 この昨年度分の教員配置図を見る限り、共通棟や専攻科棟にも「プロジェクト」部屋は複数あるようです。しかも、一般的な教員室のサイズとみられるものがです。それにも関わらず、藤本校長はなぜ、学科に所属しない雑賀氏にわざわざE科棟のこのだだっ広いプロジェクト部屋をあてがったのでしょうか?

■湧き出し続ける疑問を抑えつつ、2階に降りて、今度は共通棟にある教養科の小林美学氏(現在東京高専に赴任中)の教員室を見に行きました。

 以前の記事でも大きな謎のひとつであると報告した、全国立高専の4千名近い教員の中で、雑賀氏以外に唯一、今年度に交流先指定のうえで「人事交流」により転任していった人物です。しかも、高専機構の交流希望受付締め切りがとっくに過ぎた後に藤本校長が書類を作成・提出し、機構もそれを何の問題もなく受領しているなど、「そこまでしてなぜ小林氏が東京高専に行かなければならないのか?」と思わざるを得ないほど不自然な経緯でした。タイミング的に雑賀の玉突きで異動を余儀なくされたように見えなくもないことも、疑問に拍車をかけていました。


管理棟・共通棟・E科棟2階の配置図。出典同上。同フロアには校長室もあることがうかがえる

 小林氏の教員室のドアの前に立つと、名札はそのままに、「2020年3月まで、人事交流制度で東京高専にいます」との張り紙がなされていました。ガラス越しに部屋をのぞくと、部屋の主こそ不在であるものの、物は全部そのままに置かれているようでした。来年4月にここに戻ってくるのは確かなようです。


小林美学氏の分析準備室名札。

小林美学氏の準備室ドアの張り紙。

同準備室内部の様子。

同教員室の名札。

同教員室内部の様子。

 当会では、最悪の場合、小林美学氏を追い出した部屋に雑賀洋平を入れているのではないか、という仮説まで立てていましたが、幸いそれは否定されることになりました。しかしそうなると、小林氏が急遽たった1年間の「人事交流」に出なければならなくなった理由がいよいよさっぱり分からなくなりました。

 小林氏に白羽の矢が立った理由は、専門が化学であることから、抜けた穴は他高専からの人事交流や非常勤講師に頼らずとも、物質工学科の教員で補填できることにあるのかもしれません。しかし肝心の、なぜそもそも「人事交流」しなければならないのかについては、依然として合理的な説明が見当たりません。謎は据え置きになりました。

■今度は、同フロア管理棟、廊下の突き当たりにある校長室を見に行きました。上記の配置図画像をご覧いただけばわかる通り、雑賀洋平の「教員室」から見ると、目の前の廊下をずっとまっすぐ行って階段を下りればすぐに校長室です。

 そうなると、わざわざE科棟のプロジェクト部屋を用意した理由は、甘えん坊な雑賀ちゃまのため、頼りになる藤本パパの目の届くところに「子供部屋」を設置したかったということでしょうか? もっとも、肝心の本人が部屋を使っていないので、そんな配慮があったとしてもまったく意味がなかったようです。

 冗談はさておいて、校長室の前に来ると、まずその広さが群馬高専の比ではないことに驚きました。ただ、写真の通り執務室というより高級な会議室といった風情なので、平常の校長執務は隣の校長研究室(上記配置図参照)で行っているものと考えられます。そして配置図をご覧いただいてもわかる通り、数部屋挟んで総務課庶務係があり、雑賀氏受け入れ拒否を学科長らが伝えた際の藤本晶の罵声が漏れ聞こえてきたというのもうなずけます。


校長室内の様子。

■管理・共通・E科棟の建物を起点に、キャンパス内を少し散策してみることにしました。小林美学氏の教員室の直ぐ隣りに留学生の皆さんの部屋があり、それぞれのお国柄の展示がありました。


留学生の部屋。

タイ(奥側)とベトナム(手前)。

モンゴル。

インドネシア。

スリランカ。世界遺産で有名なキャンディ付近出身で、3年生の彼女は来日後、東京で日本語を習った後、入学。卒業後は日本の自動車メーカーに就職希望という。↑



クラブ活動は盛んだ。多種多様で充実している感がある。

大道芸同好会のパフォーマンス。

不審者注意の張り紙。



沼津高専校歌碑。

教育後援会事務局。一番北の図書館1階ロビーの一角にある。

今年のノーベル化学賞吉野先生も9年前に講演で同校に来訪した。

同校はなだらかな斜面に位置しており、学校正門から図書館に向かって緩やかな上りとなっている。学校の北方向には富士山がある。近隣には送電鉄塔がずいぶん多い。

 ふたたび展示物を見たりや出し物を体験しつつ中央通路を南下しました。





■沼津高専内の調査は午前で切り上げ、正午過ぎのシャトルバスで同校を後にして、三島駅北口に戻りました。午後は別の場所を偵察してみようと考えていたからです。それは、沼津高専の教職員宿舎です。

 雑賀氏が今回の沼津逃亡にあたり、住宅手当を貰って民間物件に住んでいるのか、それとも教職員宿舎に住んでいるのかは不明です。しかし、関係者の言によれば、他県から一時的に務めに来ている人事交流の教員はだいたい宿舎に入居しているようです。建物は古いことが多いようですが、わずらわしさが付き纏う民間物件と比べ、賃料は安価で、敷金・礼金・仲介手数料が不要で、1年限定でも借りやすいなどメリットが大きいので、人気もさもありなんと感じます。

 とすれば、雑賀が教職員宿舎に住んでいる可能性は高いように思われます。ことによっては、雑賀氏の住居の確保についても藤本校長が部下の尻を叩いて奔走していた可能性も否定できません。

 話によれば、三島駅から北に1kmほど歩いたところにある「合同宿舎文教住宅」という団地が、市職員や税務署員などと合同で沼津高専の教職員の宿舎になっているとのことです。

 そこで、三島駅北口から足を運んで見に行きました。




JR東海の総合研修センター。


古い鉄道橋を記念に保存してある。

同じ構内に新幹線操縦者のための研修所も併設。

敷石までJR東海のシンボル。潤沢な資金力がここにもうかがえる。

汗だくで、南側の団地入口に到着。

団地内の案内掲示板。

一番北の1号棟は老朽化で取り壊され駐車場になっている。

階段部の共用スペースのメンテも、レトロな北側ほど行き届いていない。





南ほどモダンなつくりとなっており、ベランダの干し物も賑やかだ。入居希望も多いはず。

 結局、雑賀がこの教職員宿舎に入居しているかどうか、確実な真相はわかりませんでした。とはいえ、沼津高専への人事交流者の大半がどのような住環境で暮らすことになるのか、そこに我々の税金がどう投入されているのかについては、実際に目で見て体感することができました。

■こうして沼津での現地調査を終えて、群馬に戻ることになりました。11月とは思えぬ暑さも手伝って、やや歩き疲れた足を引きずり、JR総合研修所の前を抜けて三島駅に戻るとタイミングよく午後1時56分のひかり466号に間に合い、東京経由午後4時すぎに高崎に戻りました。

 今回の沼津高専訪問により解決した疑問の傍らで、新たに噴出した謎の数々を抱えることになったため、当会では、現地調査の第2弾として、群馬高専にも足を踏み入れることにしました。

【続編】
19秋・潜入調査記in群馬高専…アカハラ犯・雑賀洋平の「今」とその狙いを探る(2)
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3070.html

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】

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禁断のRDFとみなかみ町・・・お粗末過ぎる住民監査結果を通知された当会会員が住民訴訟提起

2019-11-02 01:44:00 | みなかみ町政の暗闇
■みなかみ町のたくみの里近くの日帰り温泉「遊神館」は、周囲ののどかな風景とともに湯量豊富な温泉を堪能でき、大浴場・ジャグジー・薬湯・源泉掛流浴槽・露天風呂と5種類男女別々の浴槽とサウナを備え、地粉を使った館内手打そばが好評で、120畳の大広間・有料個室・カラオケルームもあり有、常設ではないものの館内手もみ整体・エステも受けられ、各種ご宴会可能がうたい文句です。この施設の一角に、「RDF実証試験施設」なるものが建てられたのは、平成30年でした。

土地利用契約が為されないまま町有地に立てられたRDF実証試験施設。



みなかみ町営日帰り温泉の「奥平温泉遊神館」。

 しかし、議会の議決を経ないまま署名された協定書にもとづき、地元の建設会社による建設工事が始まらないうちに、それまで形式的には「売却」のかたちで売り払っていたものの実際には1トン当たり2万1000円で処理するためのゴミ運搬処理契約を町の担当課長が突然解消してしまいました。

 一方RDF実証試験も開始の目途が立たず、売り払い先を失ったRDFが倉庫から溢れそうになり、あわてて2017年6月から別の業者とRDFの引き取りを契約したところ、それまでの処理費用の2倍近い1トン当たり3万7000円となり、同年7月からは1000円アップして3万8000円を町が負担してきています。

 そこで、これらの協定書や契約を結んだ経緯と責任の所在を明らかにするために、元同町議だった当会会員が、住民監査請求を行いました。しかし監査委員は責任の所在には踏み込まず、ごみ処理費用の経費節減と、PDF実証試験施設が建った町有地の使用許可を出すように、としか勧告しなかったため、当会会員は10月30日に訴状を前橋地裁に提出しました。

■ところで廃棄物固形燃料化とは、ゴミから固形燃料(RDF:Refuse Derived FuelおよびRPF:Refuse Paper & Plastic Fuel)を製造することです。これらの廃棄物固形燃料は、専用の装置で燃やされて、乾燥や暖房、発電などの用途に供されます。

 RDFは可燃性の一般廃棄物を主原料とする固形燃料で、家庭などから排出される厨芥類(台所で発生する生ごみなど)を含みます。一方、RPFは、産業廃棄物として分別収集された古紙及びプラスチックを主原料とする固形燃料で、原料性質が一般廃棄物と比較して安定しているため、製造工程はRDFより単純で、製造コストも低く、低位発熱量もRDFより高くなります。

 そのRDFを燃やそうとする試みはこれまで各地で行われてきましたが、爆発事故などでいずれも失敗しています。そうした中、みなかみ町でもRDF発電を1998年から開始しましたが、2006年にガス爆発で設備が破損し、発電事業がストップを余儀なくされました。年間約2500トンものRDFを町が運搬費を負担することで、外部に処理を委託してきました。

 ところが2016年になり、みなかみ町に突然お助けマン業者が現れました。この業者は、言葉巧みに、行き場がなくなったRDFを利用して温水供給に使い、施設も作ろうと町の有力者らに持ち掛けました。しかしスッポン養殖を前面に出すと世間体が悪いので町営の温泉施設の熱源供給のための実証実験施設ということで、話が進められました。

 しかし、この実証実験施設ではRDFを燃やすことから、本来は「廃棄物処理施設」であり、環境アセスメントや説明会など廃棄物処理法にもとづく手続きが必要となります。なぜなら、RDFの原料は所詮ゴミなので、燃やすには当然、バグフィルターなど、さまざまな排ガスクリーニング装置が整備されていなければなりません。そのため、さすがに環境省はともかく、県民のための生活環境保全意識の乏しい群馬県も、さすがに大気汚染防止法に基づく施設設置届の受理を保留しました。

 仕様書さえ見当たらず、煙突さえなさそうなボイラーもどきが稼動したら、大変な大気汚染は避けられません。温泉施設の熱源供給なぞ、言語道断です。環境汚染意識の低い群馬県省も待ったをかけたわけですが、本来なら、「保留」ではなく、「不許可」とすべき事例です。

 なお、住民監査請求のことについては、次のブログ記事を参照ください。
○2019年10月13日:スッポン養殖に目がくらみ禁断のRDFに手を出したみなかみ町に住民監査請求
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3050.html

■10月30日の提訴について、マスコミもさっそく報道しました。

**********読売新聞群馬版2019年10月31日

みなかみ元町議がRDFで住民訴訟
 みなかみ町のごみ固形化燃料(RDF)事業を巡り、町が議会の議決を経ずにRDF処理費を支出しているのは不当だとして、元町議の男性が30日、鬼頭春二町長を相手取り、岸良昌・元町長と当時の担当課長に約2億3000万円の損害賠償を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
 町は2017年度からRDFを県外事業者に年間約1億円の委託費を払って処理しているが、この額は燃料として売却していた頃の運搬費の2倍近くに膨らんだ。訴状では、この判断をした当時の担当課長と委託契約をした岸元町長が町に損失を与えたとして、17年6月から今年8月までの処理費を請求するよう求めている。
 提訴したのは鈴木章二・元町議。8月に同じ趣旨で住民監査請求をしたが、町監査委員が勧告で請求に触れなかったのを不服として提訴した。鬼頭町長は取材に、「訴状を精査して対応したい」と話している。

**********朝日新聞群馬版2019年10月31日

みなかみの固形化燃料問題 「元町長へ賠償請求を」提訴
 家庭ごみの固形化燃料(RDF)を利用した実証試験計画で、みなかみ町に損害を与えたとして、鈴木章二前町議(61)が30日、町に対し、元町長と当時の担当課長に計約2億3500万円を請求するよう求める住民訴訟を前橋地裁に起こした。
 訴状によると、実証試験の施設が町議会の議決を経ていない協定書に基づいて町有地に建設された上、施設の稼働を見込んで町議会の議決を得ずにごみ運搬処理契約を変更し、処理費用が以前の2倍近くに上っていると主張。町有地の使用料分120万円とごみ処理費用約2億3400万円の損失を町に与えたとして、協定書を結んだ当時の岸良昌元町長と契約変更にかかわった元課長に賠償請求するよう求めた。
 原告の鈴木氏は8月、損害額を算定して原因者に請求するよう鬼頭春二町長に求める住民監査請求を提出。町監査委員は町が施設の使用許可を出し、ごみ処理の経費節減計画を立てることなどを勧告したが、鈴木氏は「監査結果では、協定書や契約の有効性に踏み込まず、町の損害を看過している。施設建設に至った経緯を訴訟を通じて明らかにしたい」と言う。町は「町長が出張中で訴状も届いておらず、コメントできない」としている。
(金井信義)
**********

■訴状はまだ、当会会員から当会事務局にもまだ届いていないため、詳細は分かりませんが、当会が入手次第、皆様にご報告したいと思います。

【11/11追記】
 当会会員が10月30日に前橋地裁に提訴した訴状の写しが当会事務局に送られてきたので、以下に紹介します。
*****訴状*****ZIP ⇒ 2019103001i.zip
            訴   状
                      令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中

                   原   告  鈴 木 章 二

 〒379-1414 群馬県みなかみ町布施339-1(送達先)
        原   告    鈴 木 章 二
         電 話 090-1431-6607(携帯)
         FAX 0278-64-0753(固定電話兼用)

 〒379-1393 群馬県利根郡みなかみ町後閑318
        被   告    みなかみ町
        上記代表者    町長 鬼 頭 春 二
         電 話 0278-62-2111(代表)
         FAX 0278-62-2291

RDF違法事業費用損害賠償請求事件
 訴訟物の価額 金160万円(算定不能)
 貼用印紙額   金1万3000円

第1 請求の趣旨
 1 被告みなかみ町長鬼頭春二は、元・同町長の岸良昌、および元・生活水道課長の高橋考一に対し連帯して、平成29年6月から令和元年8月における固形燃料RDF運搬・処理業務委託事業に関して2億3423万9025円、及び平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証実験協定に関して120万円、およびこれらに対する平成29年6月から支払済みまで年5分の割合による金員を請求せよ。
 2 訴訟費用は被告の負担とする。
との判決を求める。

第2 当事者
 1 原告はみなかみ町の住民であり納税者である。
 2 被告は、みなかみ町長であり、上記事業費を計上した者である。
 3 訴外は、固形燃料RDF運搬処理業務委託先のウイズウェイストジャパン㈱(以下「WWJ」という。)(群馬県吾妻郡草津町)、サンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市下石川)、及び、みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定先のみなかみエネルギーサービス㈱(以下「MES」という。)などである。

第3 住民監査請求
 1 令和元年8月 1日、原告はみなかみ町監査委員に、地方自治法第242条第1項により、ごみ固形燃料RDFに関連した事業についてみなかみ町職員措置請求(甲1の1~4)を行った。
 2 みなかみ町監査委員は、令和元年8月6日、住民監査請求に対する補正要求書を原告に送り(甲2)、令和元年8月20日、原告はみなかみ町監査委員に対して、補正書の提出(甲3の1~2)を行った。
 3 令和元年10月3日、原告は、「みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)」(令和元年9月30日付、み監発第3号)(甲4)を受け取ったが不服である。

第4 監査請求と監査結果に対する不服
 1 原告は、みなかみ町監査委員に対し、「ごみ固形化燃料(RDF)事業の有効利用実証実験施設(以下「実験施設」という。)について、町が土地の使用許可を出していなかった」ことと、「町は2017年度からRDFを県外業者に一般廃棄物として処理を委託しているが、これを当時の担当課長による独自の判断としていた」ことについて、「使用許可を出していなかったことによる損害を算定し原因者に請求すること」と、「RDF事業に関して町が依然として支出している無駄な経費を直ちに精査して、原因となる協定書ないし契約等の取り決めの有効性を精査し、関連する損失を算定し、原因者に請求すること」との趣旨で、監査請求を申し立てた。
 2 ところが、みなかみ町監査委員の監査結果(甲4)では、令和元年12月31日までに、①遊神館地内RDF実証試験施設の行政財産(町有地)使用許可を出すこと。②ボイラーの仕様書等の提出を求め、安全性等を確認すること、③安全性等が確認できない場合は、事業の中止も検討すること、④ごみ固形燃料(RDF)化の運搬処理業務委託事業の支出について精査を行い、経費節減計画を立てること、としか勧告されておらず、肝心の協定書や契約書等の有効性そのものに踏み込まないまま、既に支出ないし使われた行政財産(公金、町有地)の損害が看過されてしまっている。

第5 みなかみ町の損失
 1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
   平成29年7月から現在(令和元年10月)に至るまでの少なくとも2億3423万9025円(内訳:は、「一般廃棄物(RDF)運搬・処理業務委託契約書」(以下「業務委託契約書」という。)(甲6の1~4)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。
   よって、金234,239,025円は公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
   なお、平成29・30・31年RDF利用施設搬出量(甲10)によれば、WWJ扱い分の内訳は次の通りである。
   平成29年6月  349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
   平成29年7月~平成30年3月
           1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
   平成30年4月~平成31年3月
           2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
   平成31年4月~令和元年8月
           1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
 2 平成29年10月から令和元年10月におけるみなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定に関して平成29年10月から現在(令和元年10月)までの2年間に業者が遊神館地内で設置した実験施設用に使用してきた一定面積の町有地にかかる使用対価(月5万円×24か月=)120万円は、「みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定書」(以下「協定書」という。)(甲7の1、2)そのものが地方自治法第96条第1項第5号に定める「その種類及び金額について政令で定める基準に従い、条例で定める契約を締結すること」のため、議会の議決を経なければならないが、議決のなされないまま契約をされており無効である。さらに、この協定書では実験施設が町有地である遊神館地内にあることから、当然町有地の譲渡もしくは貸し付けが伴うため、地方自治法第96条第1項第6号に定める「条例で定める場合を除くほか、財産を・・・(中略)・・・又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること」に相当することから、議会の議決を経なければならない。ところが、議決のなされないまま契約をされており、実質的に業者によって町有地が占用されている状態である。
   したがって、協定書の締結以降、この町有地が貸し出された場合の得べかりし使用対価(月5万円×24か月=)1,200,000円が未回収となっており、みなかみ町の損失である。

第6 本件請求の要旨
1 固形燃料RDF運搬・処理業務委託に関して
 (1)住民監査結果(甲4)では、業務委託契約書が地方自治法第96条第1項も定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
 (2)この件につき、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
 (3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
 (4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長(注:当時の生活水道課長の高橋考一)が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
 (5)また報告には、「当時RDFの運搬費は(1トン21000円)で、委託先の㈱IHI環境エンジニアリング(以下「IKE」という。)は、茨城のS商店に『減量で受け入れができないか』と確認をしたが、S商店は『今迄同様、全量でなければ受け入れることができない』と(調査特別委員会に)回答してきた」と記されている。
 (6)続けて「平成29年3月14日に町とIKEとの協議が整わなかったため、(被告が)S商店に『平成28年度末で終了、来年度からなくなる』旨を連絡した。調査特別委員会は平成31年2月13日に茨城県のS商店を訪れて、(同社)担当のN取締役執行役員に聞き取り調査をしたところ、『次年度に向け大型トレーラーまで購入し継続の意思はあった。一度(契約を)切ったらその次は受け入れられない』と回答したとのことであった。」「取締役執行役員のNさんは『あくまでもIKEの下で事業をしていたので、みなかみ町の職員とはかかわっていない』とのことであった」としており、なぜか、みなかみ町職員の関与を強く否定していることを強調している。
 (7)また「元担当課長(高橋考一)は運搬料の原料をIKEと協議したが、0か100かの回答に、『来年度は0にしてもらいたい』と元町長(注:岸良昌)の決裁もなく、独自の判断でお願いした」とある。
    このことから、この元担当課長(高橋考一)は、当時の岸町長の決裁を得ないまま、それまでのIKEと関商店ルートでのRDFの引き取りを打ち切ったことがわかる。
 (8)一方、こうしているうちにも、IKEによるRDFの引き取りが打ち切られた後も、「平成29年4月からも1日約10トンから生産されており、奥利根アメニティパークでの保管量が限界に近くなった為、運搬処理の見積もりを2社からとり、(当時の岸良昌市長が)WWJと1トン3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)で運搬処理契約を締結した。その結果、倍近い多額の費用がかかっている。ごみ処理経費の削減が進んでいない状況であると言わざるを得ない」と、異様に高額な費用の支出であることを認めている。
 (9)具体的には、平成29年5月22日に、みなかみ町長の岸良昌は、WWJとサンエコサーマル㈱と業務委託契約書を締結したが、この時は1トン3万8000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3040円を加算した合計4万1040円)で運搬処理契約を締結していた(甲6の1)。委託期間は、契約日の平成29年5月22日から同年度末の平成30年3月31日までであった。
 (10)ところが、僅か1か月余り後の平成29年7月1日に、突然契約変更が行われ、契約金額が増額されて1トン当たり3万9000円(ただし、請求金額はこれに消費税8%分の3120円を加算した合計4万2120円)とされた(甲6の2)。その後、毎年4月1日付で、業務委託契約書が更新されて現在に至っている(甲6の3、甲6の4)。
 (11)この業務委託契約書により、みなかみ町はこれまでに次の支出を余儀なくされている。
    平成29年6月  349.380t×@41,045円/t=1434万0302円
    平成29年7月~平成30年3月
           1576.370t×@42,120円/t=6639万8280円
    平成30年4月~平成31年3月
           2567.960t×@42,120円/t=1億0816万2475円
    平成31年4月~令和元年8月
           1076.400t×@42,120円/t=4533万7968円
 (12)以上総額234,239,025円は、議会の議決を経ずに締結された業務委託契約により支出されたものであり、公金で負担すべき理由がなく、みなかみ町の損失である。
 2 みなかみ町遊神館RDFボイラー実証試験協定について
 (1)住民監査結果(甲4)では、協定書が地方自治法第96条第1項で定める議会の議決を経ないまま締結されたことに触れられていない。
 (2)この件についても、令和元年9月3日付でごみ処理調査特別委員会(委員長・中島信義)(以下「調査特別委員会」という。)がみなかみ町議会議長の小野章一あてに「ゴミ処理調査特別委員会の最終報告」(甲5)を提出しているが、その内容が住民監査結果に反映されているかどうか定かではない。
 (3)この最終報告では、「茨城県古河市のS商店(注:㈱関商店の茨城工場のこと)へ固形燃料(RDF)の販売を打ち切った経緯」「MESとの接点」が記されている。
 (4)それによると、「平成26年に元町長(注:岸良昌のこと)より奥利根アメニティパークの経費削減見直しの指示を受けた当時の担当課長が『経費削減は町民の負担軽減になる』として、平成27年度よりRDFの町内循環型構想推進の検討を開始した」とあり、ボイラー実証試験施設を巡る協定書締結に向けた動きがはじまる端緒となったことがうかがえる。
 (5)具体的には、いつの議会全員協議会なのかは定かでないが、最終報告によれば「町議会は、当局(注:みなかみ町執行部のこと)よりRDボイラーの実証試験を民営で行うと報告を受けた」とある。
 (6)続けて、「平成28年1月にMESの代表者(注:山地敏男。甲7)が来町、元担当課長に面会、RDFをボイラーで燃焼し熱源としてスッポン事業をしたいとのこと、そして北海道富良野市でのRDFのボイラーの実用状況(仮温熱供給方式)の説明があり、平成28年6月に町当局より(議会の)厚生常任委員会へ報告があった。厚生常任委員会より担当課(長)に『町内循環が可能であれば勉強したほうが良い』と提案した」と最終報告は記している。
 (7)そして、「平成28年7月20日より、厚生常任委員会でRDFボイラーを実用している先進地、北海道富良野市へ視察、事前に運搬しておいた当町のRDFをボイラーで燃焼、それは可能であることを確認したが、排ガスより基準値の7倍のダイオキシンが発生したとのこと。次にMESの代表者(山地敏男)がみなかみ町へ来た経緯は当初富良野市からの紹介であったと町から議会(厚生常任委員会)へ報告があった。しかし調査した結果で富良野市も照会した事実はないとのことである。元担当課長の勘違いであったことが判明した」とされている。
 (8)つまり、議会の厚生委員会は、元担当課長の“勘違い”でわざわざ富良野市へ視察にいき、さらにコストを掛けてみなかみ町で製造したRDFを現地富良野市にあるRDFボイラーで燃焼試験をしたことが判明したのである。
 (9)最終報告ではさらに「MESの代表者(山地敏男)はRDFを製造している自治体をインターネットで検索し、来町したとのことであった。平成31年4月26日の調査特別委員会で、MESの代表者が元町長(岸良昌)に面会したか、又誰が紹介をしたのかの確認を現在の担当課に依頼した。そして令和元年5月15日の調査特別委員会の席上、担当課より公式記録に面会した事実はなかったとの報告。そして非公式での面会も確認できなかったとのこと、そして令和元年8月9日で再度確認したところ、非公式で面会した事実が判明した(注:このときMES代表者が、町長の岸良昌と副町長の鬼頭春二に面会したのは、当時の厚生常任委員長の高橋市郎町議と現在の厚生常任委員長の山田正一町議の紹介であったことが、MES代表者の山地敏男が作成した資料から判明している(甲7))」とあり、RDFの町内循環への方針転換が、MESの山地敏男による元町長の岸良昌への働きかけを端緒としていたことがわかる。
 (10)そして最終報告では協定書締結に至る経緯について、「平成29年9月22日に起案し、元町長より決済(ママ、決裁)がおり、平成29年10月3日にMESの代表者と協定書を締結したことを元町長(岸良昌)と元厚生常任委員長に報告した。そして実証試験に向け動きはじめた」と記している。
 (11)その後、「平成29年10月30日に新町長にM氏(注:前田善成)が就任、11月中旬、協定書が無いとのことで、元担当課長(高橋考一)が前町長(前田善成)と元議長(注:林喜美雄)へ提示した。その席上協定書に不備がある旨の指摘があり、変更指示が出た。そしてMESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっている」と最終報告は綴っている。
    このことから、協定書が、元担当課長の手引きで、岸良昌・元町長が町議会における議決を経ずに、議会の厚生常任委員会の元委員長ら一部のみを抱き込んで、MESとの間で締結されたことがわかる。
 (12)最終報告では「前町長(前田善成)は昨年5月までは実証試験を推進していたが、一連の騒動(みなかみ町に地域おこし協力隊員として平成28年に採用され、みなかみ町観光協会に出向していた女性職員が平成30年4月18日に前田善成町長(当時)からセクハラ行為されたとして、同5月に被害届が出され、起訴される前に前田町長は失職。同12月27日に女性職員が被害届を撤回し、本件示談成立とされるまでの一連の出来事)後は方向を転換し、政争の具とした。また多数の議員は協定書の有無すら承知しておらず、情報共有の観点から反省すべき点は多々あり慎重に進めるべきであったと言わざるをえない」とある。
 (13)さらに最終報告によると、いつなのか不明だが、「その後、議会の要請で協定書が提示された」として、「実証試験でボイラーの設置期間は、『5年間と確認した』にもかかわらず、協定書内容には『ボイラーの法定耐用年数以上』との記載があった。さらに実証試験が失敗した場合の後処理等責任所在の記載がなかった。初めから成功ありきではなかったかと思わざるを得ない。実証試験でありながら町有地内に無許可で施設を建設したことも不適切であった。協定書が事前に議会に提示されていたならばこれらの問題は生じなかったと想われる。一方実証試験委使うボイラーは韓国製であり新古の判断がつかない物であった」とある。
 (14)このことから、元町長の岸良昌とMES代表の山地敏男との間で締結された協定書の存在は、議会の一部関係者のみ協定書の締結を承知していたものの、多数の町議会議員は、協定書の存在を知らされない状況にあったことは、議会の議決を経ずに締結されたことを如実に示している。なお、前田善成が町長就任の半月後その存在を知らされ、肝心のボイラー仕様や費用分担責任の不明記など不備を指摘して変更を指示したにもかかわらず、最終報告では、あたかも前町長の前田善成が、本件を政争の具として批判しているが、むしろ、協定書の不備を指摘したことにより、元町長・岸良昌とともに本件を推進していたものらが、本件の利権を擁護しようとして、前田善成に政争を仕掛けたというべきであろう。
 (15)最後に、最終報告は「平成31年2月12日より調査特別委員会に於いて同型ボイラーを実用している富良野市へ調査に行き確認したところ、自動運転システム及び熱交換器の能力に課題が見受けられ調整修繕を行っていたため、当時は稼働していない状況が見受けられた。調査特別委員会としても遊神館地内での実証試験には疑問を感じている。最後にごみ処理調査特別委員会のまとめとしてRDFボイラーの実証試験を進めるための一連の説明と協議が不十分であった結果、問題を大きく複雑にしたと言わざるをえない。昨年(平成30年)12月の議会定例会に於いてごみ処理調査特別委員会が設置され数多くの委員会、調査、そして関係者への聞き取りなどを進めてきたが調査特別委員会としては限界を感じた。今後町当局としてこの最終報告を受けて対応して頂くことを申し述べ、ごみ処理調査特別委員会の最終報告といたします」と結んでいる。
 (16)以上のことから、協定書では、実証試験の施設を町有地に設置するにあたり、適正な対価を示すことなく町有財産である町有地を貸し付けることを約している。したがって地方自治法第96条第1項第6号により、議会での議決が必須であるにもかかわらず、元町長の岸良昌が、議会の議決を経ないまま、MESの山地敏男の間で、協定書を締結したことは明らかである。
 3 みなかみ町議会におけるRDF問題にかかる協議経過について
 (1)前項までは、平成30年12月に町議会定例会で設置されたごみ処理調査特別委員会によるRDF問題にかかる調査の最終報告をもとに、このRDF問題を見てきたが、今度は、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、当時の金子生活水道課長による説明資料(甲8)に基づいて、その時点までのRDF問題を振り返ってみる。
    それによれば、今回の事件で取りざたされているRDFは可燃ごみを固形化してペレット状にしたものであり、平成10年4月に石川島播磨重工業㈱(現・IHI)により建設され竣工した奥利根アメニティパーク固形燃料施設において製造が開始された。
 (2)当初は、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたとみられる(甲9)。
 (3)平成10年4月から9年間稼働した後、平成18年8月3日午前8時20分、バイナリー方式の発電の熱伝達媒体として使用していたノルマルペンタンが漏れて爆発事故が起きた。修繕費等を検討したところ、費用が嵩むため稼働休止を余儀なくされた。
 (4)そのため製造したRDFを外部に売却する必要が生じ、急遽平成18年8月10日に、IKEの紹介で町とS商店との間で売却契約が成立した。条件はRDFの売り払い代金として1トン当たり1000円(税込み)でS商店が町に支払うことで合意された。ところが、RDFをみなかみ町から茨城県古河市にあるS商店の茨城工場までの運搬賃として1トン当たり21,000円(税別)かかるとされた。すなわち差し引き20,000円(税別)がRDF処理費としてS商店に支払われる勘定になる。
    このRDFの外部処理については、平成18年8月11日の町議会厚生常任委員会で町が説明し承認を得たとされており、実際のRDF搬出は同8月21日から開始された。その二日後、同8月23日に議会全員協議会でRDF外部処理について説明がなされた。
 (5)当初の平成18年度はRDFの運搬費をIKEが負担したが、平成19年度以降はIKEとの「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」にこの運搬費用が計上されるようになった。この理由は、実質的に運搬費を負担しないと販売できないことから、逆有償取引と見なされることを恐れての配慮だと思われる。
 (6)ちなみにRDFの処理費は変動があるものの年間2,500トン前後排出されており、業務委託契約にまぎれてIKE(最終的にはS商店)に支払われている運搬費用は年間5千万円前後とみられる。実際に、平成18年度から28年度にかけて、町とIKEと間で締結された「固形燃料化施設運転保守管理業務委託契約」の契約金額(税込み)は次の通りである。
      平成18年度 2億6460万円
      平成19年度 2億6250万円
      平成20年度 2億6250万円
    平成21年度 2億6250万円
    平成22年度 2億6250万円
    平成23年度 2億2638万円
    平成24年度 2億2639万円
    平成25年度 2億1934万5000円
      平成26年度 2億2561万2000円
      平成27年度 2億2140万円
      平成28年度 1億9794万2400円
    他方で、町の資源物売り払い収入としてRDFについては、
      平成19年度 320万6910円
      平成20年度 309万7050円
      平成21年度 297万3480円
   という数字が公表されている。
 (7)甲8の説明資料によれば、平成27年に、奥利根アメニティパーク経費削減計画が浮上し、RDFによる循環型社会形成構想の推進が提唱されたという。そして、平成28年1月にMES代表者(山地敏男)が北海道富良野市の誰か(不明?)から紹介を受けてRDF購入計画をみなかみ町の誰か(不明?)に打診したという。【最終報告によれば、この時面会したのは元担当課長(高橋考一)とある】
    なお、MES代表者は平成26年3月にも、みなかみ町にRDFを購入しに訪問したことがあることを自ら語っている。
 (8)MES代表者はこの時、「富良野市がRDFボイラーの実証実験を推進」「みなかみ町にスッポン養殖実施の可否を提案(打診?)」「固形燃料化施設の経費削減策として生ごみ分別施策を検討(打診?)」について、RDF購入計画とともに持ち掛けている。
    なお、MES代表者は平成28年6月1日にMES名義で町内にアパートの賃貸利用契約をした。
 (9)平成28年6月2日にみなかみ町議会の厚生常任委員会において、「ごみ袋の無料化及びRDFの協議」「富良野市先進地視察の協議」が行われた。【最終報告によれば、このとき厚生常任委員会から町の担当課(生活水道課)に、「(RDFの)町内循環が可能であれば勉強したほうがいい」と提案があり、翌7月下旬の富良野市視察が決まった。】
    なお、MES代表者は、みなかみ市の元担当課長(高橋考一)より、「町内業者でないと(町との)契約は難しい」言われたため、平成28年6月13日にMESを設立し代表者となった。
 (10)平成28年7月20~21日にかけて、厚生常任委員会が富良野市のRDFボイラーを視察した。その際に、事前にみなかみ町からRDF2トンを富良野市に運搬・搬入し燃焼実験を実施した。運搬はMESがウブカタ資源に依頼し、燃焼実験は富良野市山部東21線12に設置されているRDFボイラーを使って行ったことになっている。燃焼試験の結果、「燃焼自体は問題ないが、排ガスよりダイオキシン38ナノグラム(基準値は5ナノグラム以下)が発生していることが判明した。ところが、この燃焼試験結果表には場所として「富良野リサイクルセンター」とあるが、その住所が上記と異なっており、上記住所にはボイラーが存在しないことが分かっている。
 (11)平成28年10月1日から町は、固形燃料化施設の経費節減のため、ごみ減量および分別推進策として生ごみ分別を開始した。
 (12)平成29年2月1日の厚生常任委員会で、「RDFの有効利用計画について」「実証実験の実施計画(実績→検証→導入の見極め)」「遊神館での実施及び光熱費等の経費削減効果」「民間によるスッポン養殖計画及びMESとの関係」について、町(元担当課長か)から説明があった。
    このうち経費削減効果について、「机上(の計算)で電気代2000万円を1400万円に削減する効果がある」とされ、「そのための燃料としてRDF購入費200万円が必要」と説明された。またスッポン養殖については「RDFボイラーのノウハウを持つMESが関与する」との説明があった。
 (13)これにより、RDFの運搬費削減効果として、年間2500トン分の1500~1600万円が見込まれて、遊神館の電気代金に匹敵するとの説明があった。
    また、実証実験期間については、「6か月は最低行いたい」旨の説明があった。【協定書では実証試験期間について「耐用年数以上」との記載有り】
    実証試験のスケジュールについては、「平成29年3月据付けで平成29年4月から稼働しデータ収集を行う」との説明があった。
    設置、運用、灰処分等の軽費については、「すべてMESが負担する」とし、実証試験後の体制については、「ボイラーの買い取りやリース等が考えられる。また、MESは常駐者を置いて、ボイラーの運転管理を行う」旨の説明があった。
 (14)遊神館でのRDF実証試験まではRDFを処分できないため、平成29年度よりRDFを一般廃棄物としてWWJに処理を委託することに決まった。
    この決定までの過程として、当初みなかみ町はRDFを有価物として購入者を検討したが、購入希望者が見当たらないため、一般廃棄物としての処理業者を探した。町が取引実績のある㈱エコ計画に打診したところ「一般廃棄物としての処理で必要となる処理場の所在自治体との協定における排出量の確定が難しい状態である」というので、WWJに打診したら「鹿沼市とn協定の内数での処理が可能」と分かり、WWJに決定したとの説明だった。
    処理費は1トン当たり3万9000円(税別)で、WWJ関連のサンエコサーマル㈱(栃木県鹿沼市)で焼却減量化による中間処理後、焼却灰をWWJの最終処分場(草津町)に運んで最終処分することになった。
 (15)その後、平成29年10月3日にみなかみ町とMESとの間で、実証実験の協定書を締結した。同月、業者からのヒヤリングによると、基礎工事の依頼が行われた。同10月30日に、前田善成が町長に就任した。同11月2日に、奥利根アメニティーへRDFボイラーが2台分?搬入された。同時に、基礎及び建屋工事の設計作業が開始された(業者ヒヤリングによる)。
 (16)平成29年11月中旬に、消防・労働基準監督署・県等の官庁申請実施時期となり(業者の工程表による)、協定書の見直しが検討された。見直し内容は、実証実験期間を1年とする仕様書を添付することと、県の承認書類を添付することで、MES代表者はこれを了承した。【最終報告によれば、新町長の前田善成が「協定書がない」というので、元担当課長(高橋考一)が協定書を提示したところ、前田町長が「協定書に不備があり変更するように」との指示が出され、MESに対して協定書の変更とRDFボイラー仕様書等の提出を求めたが、現在も未提出のままとなっているという】
    また、このころ、建屋の基礎工事が開始された。
 (17)平成29年12月5日に、産業観光常任委員会が開催され、「RDFボイラーの灰の処理について」と「事業実施の所管について」が討議された。灰の処理は、実証実験を実施するMESによる産廃処理(マニフェスト処理)とし、事業実施に伴う議会の委員会の所管は、実証実験時は厚生常任委員会で審議し、遊神館導入における予算発生時には産業観光常任委員会がかかわることとなった。
 (18)平成29年12月16日に、厚生常任委員会において、「ごみ処理施設の整備検討方式の選定について」が討議され、10年間の施設利用コストの比較表について町当局から次の通り説明があった。
      A案 10年間利用の為の延命化   2,416百万円
      B案 焼却施設の新設        1,750百万円
      C案 RDF施設の全面改修     1,460百万円
 (18)平成30年2月15日に、遊神館へRDFボイラーが搬入され機械設備が設置された。同2月23日に、配管工事が開始された。
 (19)平成30年3月12日に、みなかみ農業公社主催のスッポン説明会及び試食会が開催された。一説によれば、遊神館のRDF実証実験は、この工業公社のスッポン養殖事業計画が目的で画策されたものだという。
 (19)平成30年3月20日に、ばいえん発生施設設置届出書が群馬県に提出されたが、申請者名をみなかみ町名義で提出したため、取下げを余儀なくされた。同3月28日に建屋建設工事が開始された。(業者からのヒヤリングによる)
 (20)平成30年4月1日に、「RDF購入に関する契約書等付帯書類伺い」と「RDF収集運搬業務に関する契約書等付帯書類伺い」が業者から提出されたが、現在もなお保留中となっている。
 (21)平成30年4月6日16時に、MES及び関連企業がみなかみ町に来庁し、現在に至るまでに経緯について説明を受けた。
 (22)平成30年4月16日、スッポン事業の推進について、MESほか関係者が説明のため、前田善成町長に面会しに来庁した。この時、みなかみ町からは「スッポン事業を行う前に実証実験を行うことが先決である」旨説明があった。
 (23)遊神館の蓄熱槽とボイラー間の配管追加工事が発注されたが、工事費の支払いがどこなのかは不明のままとなっている。
 (24)平成30年4月20日に、生活水道課と観光商工課と業者(MES)との間で遊神館ボイラーの初回打合せが行われた。この時、借地契約のための行政財産使用許可申請書が未提出であるため、業者(MES)へ打合せを実施するよう指導した。
    同日、業者が観光商工課と打合せを行い、観光商工課より業者に対して、「申請書に、県提出の施設設置届等証明についての説明書類を添付するように」と求めた。そこで、さっそく業者が行政財産使用許可申請書を町に提出したが、決裁に至っていない。
 (25)平成30年4月27日に、業者側の木内建設から「ばい煙発生施設設置届出書」が県に再度提出された。現在なお、県において預かり状態らしい。
 (26)平成30年5月14日に、業者の届出により群馬県の環境森林事務所によるみなかみ町の認識の確認等のヒヤリングがみなかみ町の担当課で行われた。その際、「有価物適用5要件」について、県から説明を受けた。みなかみ町からは「早期にボイラーの実証実験を行いたい旨の趣旨を説明し、相談したところ、「有価物としての照明が不十分であるため、実証実験を町主体で一般廃棄物として行い、その後データ収集により有価物として証明できるようになった時点で有価物への変更を行うことが望ましい」との説明を受けた。
    県によるヒヤリングの後、前田町長には担当課(生活水道課か)から「県に協力いただき、早い段階での実証実験に着手するなら、町主導で実証実験を行い、試験データをもとに有価物に移行することが早いと、県から提言いただいた」旨説明を行った。
 (27)平成30年5月24日に、みなかみ町が群馬県環境森林事務所と協議した。県から「あくまで有価物として動く場合は、有価物5要件中で、県の現在の認識では疑義が3点有り、有価物としては現在のところ認めづらい」との見解が示された。3点とは、通常の取り扱い形態についてであり、①取引が1社では市場形成性が認められないこと、②現状との食い違い(平成29年から一般廃棄物として処理していること)、③取引価値の有無、であった。
 (28)平成30年5月28日に、みなかみ町がMESへ、県からの指摘を伝えた。その際、県の指摘として、①RDFについて、町が有価物としても、県では「有価物と認めがたい」との見解であること、②事業としての採算性に疑問があること、③「RDFを有価物として実証できないか」と町がMESに確認すること、がMESに伝えられた。
 (29)平成30年5月30日に、みなかみ町が早期の実証実験実施に向けて、町主体で行い、一般廃棄物でのスタートに路線を変える旨の起案を提出した。翌5月31日に、町が県環境森林事務所と協議をした。その際、有価物か一般廃棄物かの各区分における届出関係事務の整理について、打ち合わせた。
 (30)平成30年6月1日に、本件について担当課から前田町長に対して説明を行った。町長からは「事実経過と本来あるべき姿(手続き等)を整理したうえで、あらためて説明を行うように」と指示があった。その理由としては「このまま進めることで責任の所在が不明瞭となる懸念」が示された。
 (31)平成30年6月8日に厚生常任委員会による管内視察のなかで、アメニティパーク及び遊神館等の現地調査の後、厚生常任委員会が開催され、町当局から現状の説明を行うとともに、実証実験の実施に向けて確認を行った。その中で、山田町議が、平成30年4月1日に業者が町長に出した「RDF購入に関する契約書」と「RDF収集運搬業務に関する契約書」について、「書類はもうできている。前田(町長)がハンコを押さない」と発言したという。
 (32)平成30年6月14日に、前田町長と担当課との打ち合わせで、町長から「民設民営での実証実験を崩すことなく進めること」旨の指示が出された。また、同6月18日の前田町長との打合せでも、「民設民営であくまでも民主体の手法で実証実験を進めること」旨の再確認の指示が出された。
 (33)平成30年6月22日に、前田町長からの民営民設の決裁を受けて、業者にばい煙発生施設設置届出書の訂正箇所を是正し、再提出指示を出したところ、業者から同日、訂正したものが提出された。
 (34)以上が、みなかみ町議会で平成30年7月24日に行われた全員協議会の席上、町当局から為された、その時点までのRDF問題についての時系列的な説明内容である。
    平成30年6月26日には、前田町長からセクハラ行為をされたと主張し、強制わいせつ容疑で被害届を出した女性が新聞紙上で「町長の言葉を信用した人々からの2次被害に押しつぶされそうな毎日」と胸中を語った毎日新聞の記事が掲載されるなど、前田町長に対するマスコミ報道が激化し、平成30年6月30日には、前田町長が目まいや食欲不振を訴えて検査入院する事態となり、町政の停滞が深刻化し、同7月27日に臨時町議会が招集され、その本会議に於いて『観光地としてのイメージの回復、町政への信頼回復と正常化が急務である』などを理由として前田町長への不信任決議案が上程され、可決された。県の議会見解でも一事不再議の原理から法律上は出来なくはないが、通常は、一度否決されたた議案の再提出はないのが議会人の常識であったが再上程された。通常はリコール運動になるとの見解であったが不信任の可決になった。
    これに対して前田町長は8月6日に議会を解散し、4月22日に続き、9月9日に再び町議選の投開票が行われたが、改選後に再び不信任決議案に提出された場合、賛成するとみられる勢力が大勝したため、翌9月10日、前田町長は町議選で自身を支持する勢力が大敗した責任を取り、町長の辞職願いを提出した。しかし議会はこれに同意せず、「一連のセクハラ問題により町政を混乱させた責任を取るべき」として9月18日に、二度目となる町長不信任決議案が提出され、本会議でも全会一致で可決されたことから前田は町長を失職した。その後、岸良昌町長時代に副町長だった鬼頭春二が、平成30年10月23日告示、10月28日執行の町長選挙に立候補し、無投票で初当選した。
 (35)こうして、遊神館のRDF実証実験によりスッポン養殖への道筋をつけようとした元町長の岸良昌は、MESから提案のあったRDFボイラーを強引に導入すべく議会の議決を経ないまま協定書を締結したものの、それまでのRDFの売却契約を破棄したことにより、2倍近い費用をかけて、RDFを外部委託処分するはめになった。しかも、協定書に基づき平成30年5月に設置されたRDFボイラー施設は、遊神館地内の町有地を占用しているにもかかわらず、みなかみ町には使用料が支払われていない。
    よって、これらの損害を原因者から回収する義務が現町長にある。

                               以上

*****証拠説明書*****ZIP ⇒ 2019103002.zip
事件番号 令和元年(行ウ)第  号 RDF違法事業費用損害賠償請求事件
原告  鈴木章二
被告  みなかみ町 町長 鬼頭春二
                      令和元年10月30日
前橋地方裁判所民事部 御中
           証 拠 説 明 書

                  原告  鈴 木 正 一   ㊞

●号証:甲1の1
ZIP ⇒ 2019103003bpp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年7月29日
○作成者:原告
○立証趣旨:原告がみなかみ町監査委員に地自法第242条第1項によりごみ固形燃料RDFに関連した事業について職員措置請求(住民監査請求)を行った事実。
●号証:甲1の2
ZIP ⇒ 2019103004bpqimnj.zip
○標目:事実証明書1
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月31日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠としてRDF実証実験に伴う町有地使用許可を怠り、部署間の情報共有を怠ったことを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲1の3
○標目:事実証明書2
ZIP ⇒ 2019103005bprimnj.zip
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月27日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備が稼働できない状況を解説した記事を添えた事実。
●号証:甲1の4
ZIP ⇒ 2019103006bps.zip
○標目:事実証明書3
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年3月16日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、RDF実証実験設備の稼働には町議会特別委による検証が更に必要であることを報じた記事を添えた事実。
●号証:甲2
ZIP ⇒ 2019103007bq.zip
○標目:住民監査請求に対する補正要求書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月6日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の住民監査請求に対して監査委員から補正を求められた事実。
●号証:甲3の1
ZIP ⇒ 2019103008brp.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求の補正書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年8月20日
○作成者:原告
○立証趣旨:みなかみ町監査委員に対して補正書を提出した事実
●号証:甲3の2
ZIP ⇒ 2019103009brq.zip
○標目:事実証明書4
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年5月25日
○作成者:読売新聞社
○立証趣旨:職員措置請求書に証拠として、町議会特別委による最終報告案で一部職員らにより事態が複雑化したことを報じる記事を添えた事実。
●号証:甲4
ZIP ⇒ 2019103010bs.zip
○標目:みなかみ町職員措置請求に基づく勧告について(通知)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月30日
○作成者:みなかみ町監査委員
○立証趣旨:原告の職員措置請求に対してみなかみ町監査委員から「勧告」するという内容が出された事実
●号証:甲5
ZIP ⇒ 2019103011bt.zip
○標目:ごみ処理調査特別委員会の最終報告
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:令和元年9月3日
○作成者:町議会のごみ処理調査特別委員会
○立証趣旨:町有施設遊神館でのRDFボイラー実証試験事業に関して一連の疑惑について、平成30年12月に議会内に設置された特別委員会が調査した最終報告書。RDF外部処理の変更による新たな業務委託契約や、実証試験事業にかかる協定書が、議会の議決を経ずに元町長が署名した不透明な経緯と事実。
●号証:甲6の1
ZIP ⇒ 2019103012bup.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年5月22日
○作成者:みなかみ町元町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:元町長らによる遊神館でのPDF実証試験事業推進のため、平成29年3月末で、それまでのPDF売却契約相手の関商店との取引を、元担当課長が独断で一方的に打ち切ったため、新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結び、コストが以前の2倍近くにアップ(委託料1トンあたり税抜で38,000円)した事実。
●号証:甲6の2
ZIP ⇒ 2019103013buq.zip
○標目:業務委託変更契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成29年7月1日
○作成者:元みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:平成29年5月22日に新たにWWJ+エコサーマルと運搬・処理業務委託を余儀なくされ、議会の議決も経ずに契約を結んだのに、なぜか委託料1トンあたり税抜で38,000円から39,000円に値上げした金額に変更した事実。
●号証:甲6の3
ZIP ⇒ 2019103014bur.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年4月1日
○作成者:前みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成30年度も1年間継続した事実。
●号証:甲6の4
ZIP ⇒ 2019103015bus.zip
○標目:一般廃棄物(固形燃料PDF)運搬・処理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年4月1日
○作成者:現みなかみ町長、WWJ、サンエコサーマル㈱
○立証趣旨:上記の契約と同じ条件で、平成31年(令和元年)度も1年間継続している事実。
●号証:甲7
ZIP ⇒ 2019103016bv.zip
○標目:奥利根アメニティパークの件、RDFボイラー(導入業者)山地敏男氏談〈メモと協定書案〉
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年ごろ
○作成者:原告
○立証趣旨:RDFボイラーの導入を図ったMES代表の山地敏男氏の談として「平成29年6~8月頃別紙の通り高橋市郎、山田庄一両氏より、町長、副町長に紹介案内していただいた」ことを本人から聞き取ってメモした事実
●号証:甲8
ZIP ⇒ 2019103017bwiv_rdfoj.zip
2019103018bwairdfrlpj.zip
2019103019bwbirdflpvj.zip
○標目:遊神館PDF経過(説明)
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成30年7月24日
○作成者:みなかみ町生活水道課金子課長
○立証趣旨:平成30年7月のみなかみ町議会の全員協議会で、本件担当部署の生活水道課の金子課長が、遊神館PDF実証試験に関わる経過説明の際に用いた資料を示す事実
●号証:甲9
ZIP ⇒ 2019103020bx.zip
○標目:固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約書
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成18年4月1日
○作成者:みなかみ町長(当時)、IKE
○立証趣旨:平成10年~18年8月2日までは、同施設内で日量最大40トンの可燃ごみを20トンの固形燃料(RDF)化して最大550kwのバイナリー発電機能を有する焼却+灰溶融設備で処理していた。灰溶融は直流抵抗方式で能力は16時間稼働で最大3トンだった。運転管理はみなかみ町がIHI子会社のIKEと「固形燃料化及び利用施設運転保守管理業務委託契約」を結び、年間委託費として毎年2億6千万円程度支払われていたことを示す事実。
●号証:甲10
ZIP ⇒ 2019103021bpo.zip
○標目:平成29/30/31年(2017/2018/2019年度) RDF利用施設搬出量
○原本・写しの別:写し
○作成年月日:平成31年9月
○作成者:被告
○立証趣旨:遊神館RDF実証試験のため、平成29年6月以降RDFの外部処理委託を余儀なくされ、毎月平均200トンほど、1トン当たり税込み4万1200円と、それ以前よりもほぼ2倍にコストアップし、令和元年8月までに、2億3423万9025円が、議会の議決を経ないまま締結された業務委託契約委に基づき支出されていることを示す事実。
                      以上
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…原告住民全面敗訴判決から見える裁判官の一分(いちぶん)とは

2019-11-01 23:40:00 | 前橋Biomass発電問題・東電福一事故・東日本大震災
■10月31日に言い渡された判決文の内容は、ご覧いただきましたように、被告群馬県の主張を100%そのまま鵜呑みにした内容であり、原告住民の主張や反論はことごとく否定したかたちとなっています。

正面入口脇や構内の植え込みにペンペン草が繁茂する前橋地裁。

 興味深いのは、2ページ以降の「事実及び理由」の構成が次のとおりになっていることです。

**********
第1 請求<P2>
第2 事案の概要<P2~P18>
1 関係法令の定め(p2-7)
 (1) 補助金に関する定め
 (2) 環境影響評価に関する定め
2 前提事実(争いのない事実、顕著な事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認められる事実)(p7-10)
 (1) 当事者等
 (2) 本件前橋バイオマス事業の経緯
 (3) 本件補助金交付の経緯
 (4) 本件訴えに至る経緯
 (5) 本件訴え提起後の経緯
3 争点(p11)
4 争点に対する当事者の主張(p11-17)
 (1) 争点1(本件事業の補助事業としての適格性)
 (2) 争点2(条例アセスメント不履行の違法性)
 (3) 争点3(本件補助金の金額の妥当性)
第3 当裁判所の判断<P18~P35>
1 認定事実(p18-27)
 (1) 当事者等
 (2) 本件前橋バイオマス事業計画の経緯
 (3) 本件前橋バイオマス事業の概要
 (4) 本件運用策定の経緯
 (5) 本件補助金交付の経緯
2 事実認定の補足説明(p27-29)
 (1) 本件運用の策定について
 (2) 排ガス量について
3 争点1(本件事業の補助事業としての適格性)(p29-34)
 (1) 前橋バイオマス燃料と前橋バイオマス発電について
 (2) 放射能汚染について
 (3) 木質チップの調達について
 (4) 環境配慮計画について
 (5) 以上によれば、本件事業の内容は、補助金交付事業として不適格であるとは認められない。
4 争点2(条例アセスメント不履行の違法性)(p34-35)
 (1) 上記3(1)アのとおり、上記発電事業の不適格性は、本件補助金の交付決定の違法性を基礎づけるものではない・・・。
 (2) 上記1(3)イ(イ)で認定したとおり、・・・排ガス量は・・・該当しない。そのため、前橋バイオマス発電が本件発電事業に関して条例アセスメントを行っていないことに違法性は認められない。
5 争点3(本件補助金の金額の妥当性)(p35)
 (1) 上記1(5)エないしカで認定したとおり、・・・・本件補助金の金額が妥当であると認められる。
 (2)ア これに対し、原告らは、・・・本件プレス機・・・主張する。
  イ しかしながら、上記1(3)ア(イ)で認定した通り、・・・原告らの上記主張は理由がないから採用することができない。
 (3)ア また、原告らは、・・・・本件補助金の金額は過大である旨を主張する。
  イ しかしながら、本件各証拠によっても、・・・・事実は認められず、原告らの上記主張は、その前提において主張がないから採用することができない。
6 以上によれば、前橋バイオマス燃料に対する本件補助金の交付が違法であるとは認められない。
第4 結論<P35>
 よって原告らの請求はいずれも理由がないから棄却する・・・。
**********

 そもそも、放射線レベルの高い地域から、汚染された物質を外部に持ち出すこと自体、法律で禁じられているはずです。また、補助金で物品を調達する場合は、価格の妥当性が求められるため、特定のメーカーの特殊な製品を随契で調達することも原則できないことになっています。ところがが、そうした関係法令等の定めは、被告を勝たせるためには都合が悪いため、裁判所は全て黙殺しています。

 そして、本文35ページの判決文のなかで、p18以降が裁判所の判断として記されています。つまり、判決文の半分に相当する18ページが裁判所の判断となっています。

 さらに、そのうちの、p18-27が認定事実とされています。つまり10ページが事実認定に割かれています。さらに、p27-29が事実認定の補足説明となっています。合計すると12ページとなり、裁判所の判断の実に3分の2を占めています。

 こうして、認定事実として、すべて被告の主張をそのまま引き写しているため、原告の主張は、裁判所の独自の認定事実をもとに、すべて否定されてしまいました。原告が主張した群馬県外からの木質チップの搬入など、被告の都合の悪いものは、全て黙殺されていることは言うまでもありません。

 しかも、前橋バイオマス発電と前橋バイオマス燃料は誰がどうみても、不可分な事業組織であるにもかかわらず、法人として別登記だから、という理屈で、原告の主張を否定しています。しかし、さすがに環境アセスメントについての原告の主張について触れざるをえないことから、争点2(条例アセスメント不履行の違法性)について、僅かに10行ですが、「満たさず」「該当しない」「違法性は認められない」を連発しています。

■不思議なのは、なぜこれほどまでに原告住民の主張をことごとく否定したのか、ということです。

 それは、ひとつでも原告の主張を認めてしまうと、全体の構成が崩れ、被告を勝たせるための論理が構築できなくなるためです。裁判所は行政に立てつくわけにはいきません。実際に住民訴訟を提起した場合、裁判所が、原告住民側の訴訟適格や公訴時効など、あらゆる観点からなんらかの不備がないか、実際に裁判に入らせないための手段を行政と一緒に検討するケースを当会は知っています。

 この背景には、裁判官(裁判長を含む)として、行政を敗訴させることは、その後の自らの出世に大きく影響をするため、行政に対して恐怖心を抱いているためです。

 事実、人数的に言っても、裁判官は合議制の場合でも3名までですが、一方の行政側は、群馬県の場合でも6000名あまりの職員を擁していると言われています。ですから、言うなれば、3対6000というわけです。これでは勝ち目などなく、あとの仕返しが怖い、というわけです。

 しかも、裁判所の予算は総務省が牛耳っており、結局、役人や官僚、公務員によって、裁判官は、給与という生殺与奪の根っこを抑えられています。そのため、ひとたび行政側に不利な判決を出してしまうと、あとで出世=給与に悪影響を被り、行政に不利な判決をしたということで「烙印」を押されてしまうのではないか、という不安に襲われるのです。

■今回の判決を見る限り、これまで3年半を振り返ると、とても裁判官らが本気でしたためた文章とは信じられません。おそらく、群馬県の訴訟代理人である法律事務所弁護士が素案を作り、群馬県の職員に校正させた後(あるいはその逆かもしれませんが)、裁判所に下書きを提出し、それを裁判官が不本意ながらも自筆で署名し、裁判所からの判決文として原告に交付したと考えると、このあまりにも酷い判決文の作成の由来について腑に落ちます。

 ということで、仮に控訴する場合には、控訴状は,判決正本を受領した日を入れないで,2週間の最終日までに提出する必要があります。したがって、今回の事件の控訴期限は11月14日木曜日が最終日となります。

 いちおう控訴状だけは簡単なので予め準備しておき、関係者で11月13日までじっくりと対応策を検討することにしたいと思います。

【11/14追記】
 10月31日の地裁判決のあと、11月5日18:34に上毛新聞の村上記者から電話がありました。同記者によると、原告の敗訴判決について記事にしたいとのことでした。また、控訴についても意向を聞かれましたが、11月10日に予定している地元住民の皆さんとの対策会議を経てから検討する旨、伝えました。なお、「本件の記事化について、編集デスクの了解はとってある」とのことで、どのような記事が出たのか気になっていたところ、本日、14日9:56に同記者に電話をしたところ、あのあとまもなく記事にして社会面に掲載したとのことで、さっそく確認したところです。
 同記者は「(被告の)群馬県にも取材する」と言っていたことから、記事の後段に記されている原告請求棄却理由については、群馬県から訊いたコメントを参考にしたのかもしれません。なにしろ棄却理由は、被告の言い分を正しいとして認めたうえでの全面完全敗訴なので、とくにこれといった特定の棄却理由はないからです。
 なお、別のブログ記事で報告した通り、11月14日付で控訴状を前橋地検に提出しました。
○2019年11月14日:東電の毒牙から赤城と県土を守れ!…前橋バイオマス訴訟一審敗訴を受け原告が控訴状提出!
https://pink.ap.teacup.com/ogawaken/3073.html
**********上毛新聞2019年11月7日
バイオマス訴訟 原告側請求棄却 前橋地裁判決
 前橋市苗ヶ島町で稼働している木質バイオマス発電所を巡り、市民団体が、県が建設業者に支払った補助金を返還させるよう求めた住民訴訟の判決言い渡しが6日までに前橋地裁であり、渡辺和義裁判長は原告側の請求を棄却した。
 判決によると、県は2016年8月~17年5月、木質バイオマス発電の燃料製造施設の整備費として業者に4億8千万円を補助。原告側は、環境に及ぼす影響を事前に調べる「アセスメント」を県が実施せずに補助を決めたことを「業者の圧力に屈した」と主張したが、業者が14年に県を訪問した時点で発電規模など具体的な内容が決まっていなかったため、圧力をかけようがなかったとして訴えを退けた。
**********

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項終わり】


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