邦題って どうして こう とんちんかんなんだろう・・・
チェスはいつ出てくるのだろうと随分待ったし
精神が破壊される寸前で
チェスの本を手に入れたあたりから
やっと現れて
彼の生きるよりどころとなってゆく
監禁されていたオーストリアのホテルも
アメリカに向かう客船の船室も
窓がなくて狭くて暗くて 部屋番号も同じ
船に乗り込むときにやっと出合えた妻のアンナも
いつの間にかいなくなっていて
ああ、これは幻想なんだなあと思った。
全く変わっていないアンナに違和感があふれ
だから船のシーンはすべて幻想だと思った。
船に乗っていた世界チャンピオンが
ゲシュタポに取り上げられたはずの時計をしているなんて
ああ、きっと
相手はあのゲシュタポの将校なんだなあと思った。
悪夢のような戦争が
ナチの強引なやり方が恐ろしい
オーストリアが併合される場面は
サウンドオブミュージックでも
あっという間だった・・・
何もかも奪い取ろうとするなんて
だから戦争は嫌なんだ
欲の塊の人間たちの悪行でしかない
それにしてもドイツの俳優たちは素晴らしい
主演のオリバーは幻想と現実のシーンを演じるために体重をコントロールしたらしいし
演技も表情も圧巻だった。
そして、冷徹なゲシュタポ役の
アルブレヒト・シュッフという
東ドイツ出身の俳優がとても気になった。
郷ひろみと渡部篤郎をミックスしたような
お顔の印象だけどちょっと私の叔父にも似ていて
それが客船のチェスチャンピオンの若者役では
すっかり別人になっていてなんとも不思議だった。
1985年生まれだから
また他の作品でお目にかかれるかもしれない
原作とは大いに趣の違った作品となったが
生きるためにチェスにのめり込んで
金持ちたちの銀行口座さえも忘れ果て
チェスの棋譜を書き込んだというあたりが
「ナチに仕掛けたチェスゲーム」にあたるのだろうかとも思えた。
わたしは原作のツヴァイクというユダヤ人の作家を知らない。
反戦運動をしながらも危険を感じて英国に亡命し
やがて、アメリカに逃れ
さらにアメリカからブラジルに渡ったという逃亡の果て
この作品を書いたのち、
終わりのない戦争を悲観して
1942年に妻と自死したという・・・
そんな悲惨な運命の彼がもし、
生きていたならと思う
否、戦争がなかったなら
この作品は生まれなかっただろうが
あまりにも悲しい
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