ぽぉぽぉたんのお部屋

季節の移ろい、道ばたの草花、美味しい食べ物、映画や友人のこと、想いがいっぱいの毎日をお話します

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

2015-04-30 | 映画のお話
第87回アカデミー賞 最多9部門ノミネート
作品賞・監督賞・脚本賞 エマニュエル・ルベツキが撮影賞の4部門受賞作品

全編ワンカット風の長回しのカメラワーク

とにかく疲れた。

目も疲れたが、ずっとバックに流れていたパーカッション音と
内容とで精神的にもだいぶやられたような疲労感。

これはアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の完璧主義のせい

お昼も元気をつけようとカレーを選んだほどです。

病んでいる現実と幻想、錯覚、怒涛のセリフに破壊シーン
どぎつくて複雑な展開のくり返し
葛藤・苦悩 「なぜこんなはめになった」のことばが痛い

視覚と聴覚と両方からそれらがやってくるからたまらないのだ

辟易もするが
思わず笑ってしまうシーンも多々あった。
一度ふき出してしまうこともあったのだが
観客の反応がほとんどないのはどうして?
同じ列の男性は笑っていたのだが・・・

これはブラックユーモアなのに
バットマンをやったマイケル・キートンが
「バードマン」なのだから・・・

ブラックスワンを思い出したがやはり違う

見ていて
全てが計算づくで緻密な構成の作品のはずなのだが
ただのドキュメンタリーだったのかと
時々わからなくなるような感も漂わせている

やっと安堵したと思ったらこのエンドではやり切れないのだが
私は少し真面目に見過ぎていたのかもしれない

まわりの鬱や自死した人を重ね合わせてしまっていたようだ・・・

娘のほほ笑むような表情からどうなってるの?とまた追い込まれる
観客にゆだねられた解釈といったらいいのかもしれないが
またもや闇に進んでいくようで途方にくれそうだった
 
が、ダークファンタジーと思えばいいのかもしれない


売れっ子だったかつてのリーガンは傲慢だった
が、相手のことを考えるようになり、
娘のサムや恋人、そして別れた妻とも和解できたのだから


今思えば
パンツ一丁の浮遊シーンから始まり

中盤では
ガウンが挟まり締めだされて
パンツ一丁でタイムズスクエアを歩き、走り、
劇場入り口から駆け込む
 
そうして最後の病室のシーンも
ガウンを脱いで窓から飛びたったのだから

「人は失ったもので形成される。人生は失うことの連続だ。
失うことでなりたかった自分ではなく本当の自分になれるのだ。」
「リーガンが自分の凡庸さと向き合う物語」と監督は言っている。

「愛、死、夢、望み、成長、自分自身だけでなく他人の限界と折り合いをつけること」が人生において重要
とは映画の中の劇作家のことばとか


凝り過ぎていてついてゆけないと思いながらも必死に観終えた。
でも楽しめなかったわけではない。
斬新で緊張感がすごいが、神経が研ぎ澄まされるので字幕の色さえ覚えていない。

もう一度観たいという思いもあるが、もう観ない方がと狭間で揺れている。


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