あれほど家内から言われていた観葉植物への水遣りだが、不覚にもすっかり忘れていた。特に私の部屋は、一日中エアコンをつけっ放しで、空気が乾燥するから要注意だった。
夕方、ギターを爪弾きながら部屋の隅に吊るしてある一本が視界に入り、そのことを思い出した。慌てて水を遣ったのだが、既に幼葉が5、6枚黄色になりかけており、すんでのこと枯らすところだった。
これは一年前、病床のおふくろのために求めて、ベッドサイドに飾っていた何ものにもかえ難い一本である。これを自分の不注意から枯らしたとあっては、申し開きが立たない。いくら取り込んでいたとは言え、理由にはならない。
当の自分はと言えば、昼は長男の嫁、晩は三男の嫁に弁当を届けて貰い、食べることについては何不自由なく有難く感謝していたはずなのに、こちらの生あるものへの心配りを怠っていたとは、何ともはや忸怩たる思いを拭えない。