薄明の4時10分頃、 東の空に一際輝く金星が居た。 地上から天上を目指す山々は黒く静まっているだけだが稜線の作るシルエットで「あそこが戸隠山だ!」と指呼出来る。 写真では「山々の上空位は青い色の空が広がっている」 その様に見えますが、カメラの露出をややオーバー気味にセットしたから見えているだけで、肉眼では青みを感じず、 只の白っぽい薄明でしかありません。
さて、 18日の夜は中綱・民宿街を抜けて黒沢林道を使って鹿島槍スキー場に登り、さらに第6クワッドリフトと第2ペアリフトの接合点付近まで車で入り、 車中泊して星空見物して来ました。 僕の他には星空撮影機材をバッチリ揃えたた30代と思しき男性の二組だけの好ましい星空観察の場となりました。
ところで星空の撮影の一手法として、 北極星を中心に同心円を描く星の軌跡を撮影した画像をご覧になった事はあるでしょう? 星空の事を理科の授業で聞いたであろう10代前半の頃から考えると60年以上の永きに渡り、あの同心円の回転方向は時計回りと勝手に思い込んで居ました。 しかしそれは間違いで、 星々は反時計回りに動いている事を今回実感を持って知りました。 随分と永いあいだ持ち続けた勘違いに気づいた星空観察でもありました。
夏の星座・はくちょう座・琴座・わし座の主要な星で形作られる「夏の大三角」、それは21時を過ぎた時間にはほぼ天頂近くに在りました。 それが、翌朝の3時半には鹿島槍と爺ヶ岳をつなぐ稜線の上に三角形の形を移していたのです。
北極星方向を向いた僕から見ると、 星座は反時計方向に動いていたのです。 その事に凄く違和感を覚えました。 だって太陽や月は東の地平線から登り、 高度を上げて南の空へ、 そして夕方には西の地平線に沈んで行きます。 その動きは時計回りに感じます。 なんだか逆ですよね。 日が昇り、星々が見えなくなってからヤナバの山荘に戻り、引き続きその疑問に頭を巡らしました。
なんの事は無い、 太陽と月の動きを見ている時は自分の体は南を向き、 北極星をめぐる星の動きを感じる時には自分の体を北に向けて居た。 そんな自分自身の視点の違いが時計回りと反時計回りの動きと感じただけの事だったのです。 これにて一件落着!
東南方向の天の川 18日 夜9時半、
鹿島槍上空の夏の大三角。 19日 未明3時半、
その上空を赤色灯を点滅させながら飛行する航空機の軌跡
朝陽があたる爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳
今回、同じ場所で一晩過ごした若者の持つ天体望遠鏡用の自動追尾赤道儀、 あんなの欲しいなと指を咥えて眺めてました。