少し古いが、高野連の最近の動きには首を傾げざるを得ない。高野連は60年前に制定された「日本学生野球憲章」を理由に4月20日特待生制度についての措置を突然発表した。
◎特待生制度がある学校には、その具体的な内容や部員の学年、人数を申告することを求める。◎当該選手の対外試合出場を学校長の指導で5月31日まで差し止める◎特待生扱いを解除する同意書を保護者から5月中に集める▽部長を交代させる、という内容だ。
しかし、高野連会長は伊吹文科相の話し合いを経て、5月10日、その緩和措置を発表することとなった。今回の措置に該当する生徒には代替の奨学金制度を認めるというわけだ。ややこしい手続きを踏むことになるが、実質は次の入学生から実施するのと同じだ。
以上が主な経過で、結果的には改善された。しかし問題は高野連の体質だ。最初の措置を実施すれば、特待生制度を頼りに入学した生徒が経済的な理由で突然退学を迫られる事態となることが、高野連は予想できたはずだ。その生徒が野球憲章を知らされていなければ理不尽な結果になったことだろう。教育に携わるものがそれを強行しようとしたわけだ。ルール好きの高野連が、突然「試合中」にルールを変えたに等しい。
またそれまで野球憲章を徹底する努力をせず、突然このような措置をとるのは理解に苦しむ。恐らく、強硬措置をとることによって連盟としての権威を知らしめ、高校野球界に君臨したいという動機もあったのではないか。実のない組織ほど権威を示したがるのは世の常である。
この問題ではメディアが大きく報道し、それが伊吹文科相を動かすことにつながったと思われる。今回はメディアが騒いだ功績である。しかし、もし該当校が少数であれば、緩和措置はとられていなかったかもしれない。
読売新聞(2007年5月3日2時27分)によると、脇村会長は「憲章を知らない子どもに責任はないというが、現実に(学費などを)もらっている。故意ではないにしても、責任はある」と発言した。脇村会長は、入学時15歳の子供に、野球憲章を知らされずに数十年続いた特待生制度を選んだ責任を問うつもりだったのだ。「高校野球は教育の一環」という言葉もあった。罪のないものを処分する教育とはなんだろう。
今回の騒動で、高野連は多くの生徒やその父兄に心配をかけたことは否定できない。首を揃えて謝罪すべきである。最初の措置は正しく、温情で緩和措置をとったという恩着せがましい説明は通らない。緩和措置をとらざるを得ないような最初の措置が失敗なのだ。
措置を実施することがどのような結果になるか予測できないような、あるいは予測しながらも強行するような幹部が教育の場に居座り続けては高校生が気の毒だ。
今回の高野連の措置に朝日新聞だけが賛同した。その記事を書いた記者は高野連の理事であったそうだ。
◎特待生制度がある学校には、その具体的な内容や部員の学年、人数を申告することを求める。◎当該選手の対外試合出場を学校長の指導で5月31日まで差し止める◎特待生扱いを解除する同意書を保護者から5月中に集める▽部長を交代させる、という内容だ。
しかし、高野連会長は伊吹文科相の話し合いを経て、5月10日、その緩和措置を発表することとなった。今回の措置に該当する生徒には代替の奨学金制度を認めるというわけだ。ややこしい手続きを踏むことになるが、実質は次の入学生から実施するのと同じだ。
以上が主な経過で、結果的には改善された。しかし問題は高野連の体質だ。最初の措置を実施すれば、特待生制度を頼りに入学した生徒が経済的な理由で突然退学を迫られる事態となることが、高野連は予想できたはずだ。その生徒が野球憲章を知らされていなければ理不尽な結果になったことだろう。教育に携わるものがそれを強行しようとしたわけだ。ルール好きの高野連が、突然「試合中」にルールを変えたに等しい。
またそれまで野球憲章を徹底する努力をせず、突然このような措置をとるのは理解に苦しむ。恐らく、強硬措置をとることによって連盟としての権威を知らしめ、高校野球界に君臨したいという動機もあったのではないか。実のない組織ほど権威を示したがるのは世の常である。
この問題ではメディアが大きく報道し、それが伊吹文科相を動かすことにつながったと思われる。今回はメディアが騒いだ功績である。しかし、もし該当校が少数であれば、緩和措置はとられていなかったかもしれない。
読売新聞(2007年5月3日2時27分)によると、脇村会長は「憲章を知らない子どもに責任はないというが、現実に(学費などを)もらっている。故意ではないにしても、責任はある」と発言した。脇村会長は、入学時15歳の子供に、野球憲章を知らされずに数十年続いた特待生制度を選んだ責任を問うつもりだったのだ。「高校野球は教育の一環」という言葉もあった。罪のないものを処分する教育とはなんだろう。
今回の騒動で、高野連は多くの生徒やその父兄に心配をかけたことは否定できない。首を揃えて謝罪すべきである。最初の措置は正しく、温情で緩和措置をとったという恩着せがましい説明は通らない。緩和措置をとらざるを得ないような最初の措置が失敗なのだ。
措置を実施することがどのような結果になるか予測できないような、あるいは予測しながらも強行するような幹部が教育の場に居座り続けては高校生が気の毒だ。
今回の高野連の措置に朝日新聞だけが賛同した。その記事を書いた記者は高野連の理事であったそうだ。