乙姫湧水にまつわる話
ある日、ある姫がこの地に来られた時、
ここにあった泉をたいそうお気に召して休んでおられたそうです。
その時突然、横を流れている川が増水して乙姫を飲み込んでしまいました。
村人が驚きと悲しみでおろおろしていると、
川下の方で姫の姿が浮き上がり、
そのまま川上に戻って来られました。
大鯰が姫を背に乗せて泳いできたのです。
姫をおろした大鯰はそのままどこかへ消えていったのだそうです。
この泉はいつしか大地震で埋まってしまいましたが、
その後も湧水は絶えることなく湧き続けています。
このように乙姫に縁のある井戸ということで、
姫井という地名が残ったのだそうです。
そして、姫井にあるのは地名だけではなく、
ちゃんと 「 乙姫様 」 をお祭りした神社がムクノキの裏にあります。
そしてこの神社の下手には水神木といわれる木があって、
水神木の下からは清水が湧き出しています。
この水は 「 乙姫様の化粧水 」 とも言われ、
この水を使うと肌がきれいになるという言い伝えもあるようです。