Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

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2010-01-03 | ワイン
歯茎の腫れは治り、クリスマスから引き続き最高級リースリングを空けて、大晦日を過ごした。リースリングニコゴリと焼きジャガと芽キャベツ温野菜と鴨胸肉燻製のスライスに、更に高級のダイデスハイマの一等地所ホーヘンモルゲンの2001年ビュルックリン・ヴォルフのグローセスゲヴェックスを開けた。旧年中はもっとも売り筋のワインであったがその価格41ユーロから手を出す者は本当にその価値を評価するものしかいない。既に試飲で二本ほどただで飲まして貰っているので流石に購入した。それでも開ける機会が見つからず悶々としていたので終に開けられて、本当に空けましておめでとうなのである。

詳しく語る必要もないその質なのであるが、肌理の細やかな酸に殆どラインガウワーを思い起こせさせるようなボディー感が素晴らしい。独特の梨の熟成のような味がややもすれば熟成感を思い起こさせるが ― 木樽の味との声もあるが、まだまだ大丈夫である。過熟成が疑われた1999年のそれは恐らく果実自体に過熟成感があったと想像され、2001年の長寿は揺るがさない。欲しければ金さえ出せばまだ買えるのも嬉しい。兎に角、アルコールを嗜む人間ならば世界中のだれかれを無作為に選んでこれを飲ませても恐らく九割の人間が美味いと頷くに違いない。そうしたワインであるにも拘らず丸く包まれた新鮮な酸も複雑さは十分にあるのが凄いのである。味のどこかが最後に切れ上がる良さは男好きさせるだけでなく、小言を言いたがる評論家をも黙らさせるに違いない。

これほどの愉悦を感じつつ旧年中のワインからリストアップして一望する。権威は無くとも、日頃の弛まぬ精進から恐らく最も忠実に現在のドイツワインの現状を映し込んでいる小さな鏡に他ならないと自負している。


購入した最も高価なワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2001年産 ホーヘンモルゲン

量を消費したワイン:
ミュラー・カトワール醸造所 2008年産 MCリースリング
レープホルツ醸造所 2008年産 ブントザントシュタイン カビネット 
フォン・ジムメルン醸造所 2008年産 バイケン カビネット
ゲオルク・モスバッハ醸造所 2008年産 グーツリースリング
 
初めて訪問した醸造所:
フォン・シューベルト・グリュンハウス醸造所 (ルーヴァー)
シェーンレーバー醸造所 (ナーへ)

再会して嬉しかった醸造所:
J.J.プリューム醸造所 (中部モーゼル)

最も回数多く試飲した醸造所:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 

この一年間で飲んだ最も素晴らしいワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2001年産 ペッヒシュタイン

最も素晴らしかった新鮮な2008年産ワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 カルクオーフェン グランクリュ

最もCPに優れた新鮮な2008年産ワイン:
シェーンレーバー醸造所 リースリンク辛口

これから開けるのが楽しみな2008年産ワイン:
フォン・ジムメルン醸造所 バイケン カビネット

印象に残った個性的ワイン:
シェーンレーバー醸造所 2008年産 へレンベルク グローセスゲヴェックス

印象に残った天然酵母醸造ワイン:
グリューンハウス醸造所 2008年産 アプツベルク・アルテレーベン

印象に残った古いヴィンテージ:
レープホルツ醸造所 2004年産 ソヴィニオンブランなど
J.J.プリューム醸造所 2004年産 ゾンネンウーアカビネットなど

購入した最も古いヴィンテージ:
ビュルックリン・ヴォルフ醸造所 1999年産 ランゲンモルゲン

なんとか入手出来たワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2001年産 ペッヒシュタイン
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2002年産 ペッヒシュタイン

将来が愉しみで購入したワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2007年産 ペッヒシュタイン
フォン・ブール醸造所 2008年産 キルヘンシュテュック
フォン・ブール醸造所 2008年産 イェズイーテンガルテン
フォン・ブール醸造所 2008年産 ペッヒシュタイン
バッサーマン・ヨルダン醸造所 2008年産 キルヘンシュテュック 
レープホルツ醸造所 2008年産 ガンツホルン 
クリストマン醸造所 2008年産 マンデルガルテン
シュヴァルツ親方のボルドータイプ
J.J.プリューム醸造所 2007年産 ゾンネンウーア カビネット
バッサーマン・ヨルダン醸造所 2008年産 ホーヘンモルゲン アウスレーゼ

最も将来が楽しみなワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2007年産 ペッヒシュタイン
                          
飲み頃だったワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2006年産 ピノノワール
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 2001年産 ホーヘンモルゲン

最も失望したワイン:
バッサーマン・ヨルダン醸造所 2006年産 イェズイーテンガルテン 

飲んで失望した甘口ワイン:
シュロース・ザールシュタイン醸造所 2007年産 ファインヘルプ

開けて楽しんだ甘口ワイン:
J.J.プリューム醸造所 2004年産 ゾンネンウーア カビネット

購入した甘口ワイン:
バッサーマン・ヨルダン蔵相所 2008年産 ホーヘンモルゲン アウスレーゼ
J.J.プリューム醸造所 2004年産 ゾンネンウーア カビネット
J.J.プリューム醸造所 2007年産 ゾンネンウーア カビネット
J.J.プリューム醸造所 2007年産 QbA

熟成の限界を感じたワイン:
ロベルト・ヴァイル醸造所 1995年産 グレーフェンベルク 半辛口
ロベルト・ヴァイル醸造所 2004年産 グレーフェンベルク シュペートレーゼ
ヴェルナー醸造所 1992年産 キルヘンシュトック アウスレーゼ

熟成を楽しめたワイン:
ビュルクリン・ヴォルフ醸造所 1999年産 ランゲンモルゲン

試飲時よりも良くなっていたワイン:
ロベルト・ヴァイル醸造所 2008年産 クロスターベルク

人に強く推薦したワイン:
ビュルックリン・ヴォルフ醸造所 2001年産 ペッヒシュタイン

少し寝かせたいワイン:
シュロース・ザールシュタイン醸造所 2007年産 シュペートレーゼ
J.J.プリューム醸造所 2007年産 リースリング QbA
グリューンハウス醸造所 2008年産 アプツベルク アルテレーベン
クリストマン醸造所 2007年産 ケーニヒスバッハ SC           
レープホルツ醸造所 2007年産 ブントザントシュタイン シュペートレーゼ

試飲して再認識した地所:
ルーヴァー アプツベルク
モンツィック フリューリンクプレッツェン並びにヘレンベルク
ヴェーレン ゾンネンウーア
ヨハニスベルク
シュタインベルク
リューデスハイム シュロースベルク
フォルスト キルヘンシュテュック
ファルスト イエズィーテンガルテン

散策して良くないのを確認した地所:
シュロース・ラインハルトハウゼンからヨハニスベルクへの一帯

散策して可能性を感じた地所:
シュタインベルク

まだまだ熟成を楽しめるヴィンテージ:2001年
恐る恐る手を出すヴィンテージ:2002年
試飲して再認識したヴィンテージ:2003年
残り香を楽しんだヴィンテージ:2004年
我慢して手を出さなかったヴィンテージ:2005年
急いで飲んだヴィンテージ:2006年
我慢して引き続き期待したいヴィンテージ:2007年
大もの買いに徹したヴィンテージ:2008年

最も印象に残ったスレート味:
グリューンハウス醸造所 2007年産 アプツベルク カビネット

最も印象に残った雑食砂岩味:
レープホルツ醸造所 2008年産 ガンスホルン グローセスゲヴェクス

最も印象に残ったロートリーゲンデス味:
シェーンレーバー醸造所 2008年産 リースリング辛口

不味くて印象的だったリースリンク:
ヨハニスホーフ シュペートレーゼ 2007年

典型的なワイン街道ワイン:
フォン・ヴィンニンク醸造所 2008年産 ウンゲホイヤー

典型的なルーヴァーのワイン:
カールスミューレ醸造所 リースリンク

最も太陽を感じなかったワイン:
カルトホイザー醸造所 2007年 カビネット

良く出会った醸造家:
ハンスイェルク・レープホルツ
マルティン・クリストマン

印象に残った醸造家との出会い:
先代プリューム夫妻
フォン・シューベルト氏
カルトホイザーのティーレ親仁
シェーンレーバー親子
ケセラーの親仁さん
クニプサーの親仁さん
シュヴァルツ親方
カトワール氏並びにフランツェン醸造親方
ゲオルク・モスバッハー夫妻
バッサーマン・ヨルダン社長と醸造親方
ビュルクリン・ヴォルフのオーナー並びに社長
               
最も重要だった広報番組:
SWR 「ヴァインラント」

重要だったワイン報道:
「EUワイン法に合わせたドイツ法改正へのクリストマン氏の主張」
「ヒュー・ジョンソンのジャーマンワイン痛烈批判」

印象に残ったインタヴュー記事:
ヴィルヘルム・ヴァイル語る温暖化のラインガウ

この一年間のキーワード:木樽

トレンド:酸化醸造法


一連の年末年始最終にペッヒシュタイン2001年ものを開けられてとても幸せであった。二年前に飲んだ時閉じ気味であったのが、今はまた開いて来ている。つまり六年近くの時と七年を越えた時点でのこの違いは何だろう?そしてこの先も期待出来るのである。そして開けた一本が公式では最後の一本であった。ワインとはいい時に最も良いものを口に出来る事は如何に難しいかという証明なのである。ジョンソン氏はペッヒシュタインを纏めて購入したようだが、毎年無作為に購入していかないとこうした至福は味わえないのである。少なくともこうしたものを飲んではじめてその地所やワインの本当の価値が分かるのだ。食事のテリ-ヌには過不足無く最高で、甲殻類の味と玄武岩のそれのハーモニーに、細かな酸が乗り、小さな可憐な白い花の咲き乱れるカーペットはまさに新春の天国図であった。こうした綺麗な余韻をもつ、これに匹敵する白ワインがフランスに存在するとは思われないのである。



参照:
待降節ストレスを試して流す 2009-12-23 | 試飲百景
今が素晴らしければそれで良い 2009-12-26 | ワイン
今年度の消費とその番付 2008-12-29 | ワイン
懐かしい暴飲暴食の味覚 2008-12-26 | 料理
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小動物の軌跡の先に沈む朝月

2010-01-03 | 雑感
一月二日の早朝から床屋に行こうと思ったが仕舞っていた。昨夜から雪が舞っていたようで一センチほど雪が乗っている。各地では凍結で事故が多発しているようだ。

その足でダイデスハイムのワイン地所の尾根筋を歩いた。小動物の足跡が残っていて、何時頃一匹が通って、もう一匹が二時間ほど後にその臭いを追っているのが分かる。

月が山陰に入るのを眺めてから帰宅した。そして買いものがあったのを思い出して、再び車を出した。スーパーで売っている紙がどおしても欲しかったのである。A4五百枚入りで、税込み三ユーロしないので、一枚あたり五十セントほどなのだ。合わせて、五千枚ほど購入して戻ってくる。

そうなると印字するインクカートリッジが不安になる。急いでネットで購入しようとすると、いつも購入していたキャノンの純正品はもう扱っていないのを知って驚く。そうなれば、世界中で広く利益を上げていた主要商品が流通していないことになる。おまけに嘗てから流通していて、一度も使った事がない、ペリカン製インクを使った代用品に、メードインジャーマニーと書いてあるではないか。

こうなれば、中国かどこかて大量に安く作らせて、ふんだんに利益を上げている純正品よりも、ドイツ製の高級インキ入りの方が上等に思えてくるから不思議である。それでも価格は六割ほどしかしない。兎に角使ってみてから評価を下したいが、こうした状況になってこれば、キャノンをはじめキャノン商法を採用している日本の企業などは業績悪化で経営危機を迎えるのではないだろうか。次ぎはコピー防止処置か?まさにメディア産業の二の舞である。
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