日本も普通になりたがっている

私の記事の続きではないがFAZの第一面に「日本も普通になりたい」とした社説が載っている。安倍批判ばかりの繰り返しでは埒が明かないので、高級紙らしく提案として、現状分析がされていて、近未来の方向性を窺わせる。

それによると、「安倍首相が辞めればきっと立役者として評価される」だろうというのだ。つまり、「普通の国」になる集団的防衛権への解釈改憲は、現在の極東の政治状況を見れば必ずしも中共が叫ぶような人殺し呼ばわりされるものではなくて、政治的な戦略として理解されないこともないとする。しかし、安倍政権やその取り巻きの修正主義者が権力を掌握して事を運ぶならば、たとえ「正常化」を主張してもナショナリズムで以って多くの近隣や遠くの国々に無礼な振る舞いをするようなもので、中国の後塵を拝してもっぱら好戦的に自らの「力の政治を強化」することへの警戒心を諸外国に生じるだけだとする。

なるほど、中国の世界戦略の中で極東は不安定さを増して、その海軍の増強に領土の権益の拡大への圧力は高まりを見て、それが日米の強化を促進させたが、日本政府が推し進める安全保障政策は中国要因だけでなく、北朝鮮の猛威もあって、その状況は「国際的な責務」という嘗て連邦共和国でも議論されたことを思い起こさせるようだ。

しかし、極東はNATOやEUの西欧とは違って遥かに複雑で、戦後同じような境遇にあった日本に比べると遥かにドイツは「普通の国」だったとする。だから「日本が強化されるとしても、だれも文句は言わない」のだが、日本が十分に正常化できない責任を自ら負っていることは肝に銘じなければいけないというのだ。

独裁政権の中共と同じように国際社会で日本の歴代政権を批判することは長年無かったのだが、安倍政権はそうしたものを全て打ち砕いてしまったので、今回の解釈改憲の集団的防衛権が国際社会の中で正当に評価されるためには、先ずは日本の政治家が国粋主義の修辞法を封印して、なによりも安倍が退陣することだとアドヴァイスを送っている。

ドイツで最も影響力の高い新聞は今までに何度も安倍の退陣を示唆してきた。その都度背後にはワシントンの影響を観察しているものと思って事態の推移を期待してきたのだが、合衆国の安倍政権壊滅作戦は未だに進行していない。

今回滋賀県で反安倍の投票結果が出たようだが、今後福島知事選や沖縄へと続くといわれている。安倍の首が飛んでも、ワシントンの影響からひとり立ちできるような官僚組織もエリート知識人も存在しない。十二歳の知能の日本人が普通の国を作れるだろうか？犬より僅か四歳分知能が高いだけなのだ。



参照：
Auch Japan will normal werden, Peter Sturm, FAZ vom 14.7.2014
「普通の国」になった実感　2014-07-15 | ワールドカップ06・10・14
洗濯してみないと分らないが　2014-07-04 | 生活
典型的素人の痴呆化社会　2014-06-26 | マスメディア批評