Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

「詐偽師」本人による実証

2014-07-28 | 文化一般
STAP細胞捏造事件の記事が科学欄に載っている。十年ほど間に起こった韓国での捏造事件に続く大スキャンダルの続報である。特に有名なネーチャー誌が、あまりにも突拍子もない発見に尋常ならない証明が必要とされることを断りながらも、今回の事件が、ネーチャーの発表のあり方と出版機関のありかたに光を当てたと反省している。

一方において、理研が予算獲得のために、若い研究者をスターに祭りたてるためにあまりにも杜撰な管理をしながら、一夜にしてその仮面を剥ぎ取って詐偽師として落着させようとした経緯に強い批判を受けていることをして、またなかなか論文の撤回どころか、再び年末までこともあろうにその「詐偽師」本人に実証事件をさせていることを伝える。

つまり、STAPが全くのいかさまなのか、そうでないかは、分らないとして、画像から始まって細胞そのものの偽装の疑いを払拭すべく研究を再開したと言うのだ。勿論、最新の微細に亘る彼女自身の実験日誌の発表にも拘らず ― 初耳である ― 小保方嬢の手業でのみ可能なものがあったとしての結論だとする。

その一方病理学者高橋女史が理研を批判して、如何にこの分野における倫理などの問題と、「なによりも実用化」ということでの多くの患者の期待に応えるための緊迫した状態が存在するのだと言う。イタリアでも先日、政府を揺さぶる肝細胞詐偽研究所への犯罪捜査となったとある。

つまりこの問題はなにも日本だけの特殊事情ではなくて、世界の科学界を揺さぶっていて、なにも盗作とか画像処理の問題ではなくて、ありとあらゆる科学雑誌においても、新たなソフトウェアーの導入で、不正が益々明らかにされていくことになるとある。

なるほどある意味論文が全てであるが、68年紛争で博士号廃止や拒否などの動きが、少なくともキャリアー志向とその結果のありとあらゆる価値が金額で評価されるようになるともはやそうした高尚な意志は省みられることがなくなってしまったのだろう。



参照:
Der Labor-Laptop-Komlex, Joachim Müller-Jung, FAZ vom 9.7.2014
見て見ぬ振りの共犯関係 2014-06-18 | マスメディア批評
手練手管の質やその価値 2014-02-21 | 数学・自然科学
学会よりも出版やメディア 2014-03-20 | マスメディア批評
コメント (2)
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