Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

楽譜も無用な演奏会

2025-02-25 | 
承前)記念演奏会の演奏をしたのはチューリッヒの座付きだった。個人的に相性悪く、中々実演でいい出合いはなかった。

歴史的には同じ街の交響楽団と同一楽団だったようでそちらはトーンハレ交響楽団と知られ、そちらにもあまり馴染みはなかったのだが、本拠地の改築期間の仮のホールがあまりに素晴らしいということで何度か通った。

前任の音楽監督がルイージで、現在東京でNHK交響楽団の指揮者となっている。現在は今回客演した同じイタリアのノセダである。この指揮者はロンドンの交響楽団でサイモンラトルの下で副指揮のような立場にいたので、生中継などを聴いている。その印象から今回の演奏も何ら期待していなかった。

プログラムはリヒャルトシュトラウスプログラムで、後半には演奏回数の少ないチェロ協奏曲でもある「ドン・キホーテ」が演奏された。演奏者も座付き楽団のソリストなのでこれも殆ど期待していなかった。

実際に、弾いてはいたのだが他のそれに絡むソリスツと共に冴えなかった。どの程度弾けばいいかというとなかなか難しい。抑々楽団の実力が思ったよりも大分低かった。最初の音合わせなどで、歌に合わせた安定したピッチを取っていて、流石に独語圏では上位の劇場のそれに反しないとは思った。然し最初の「カプリッチオ」の曲でその実力は知れた。

独語圏の楽団では、ミュンヘン、シュトュツガルト、ハムブルク、ベルリン、ドレスデンなどは上位に入っていて、そこに入るのはチューリッヒだと考えていたが、ヴィーンやそこらに混ぜるどころか、フランクフルトやケルンにも至らないかもしれない。ニュルンベルクとかその辺りと同格ではないかと思わせた。恐らく給与はベルリンなどよりも上で他所の倍ほど取っていると思っていたので、大きな想定外だった。

なるほどここ暫くでもハーノンクールとかメスト指揮とかでの演奏がメディアで有名だったが、前者の場合は実際は異なる専門家が多く入っていた可能性が強い。それでも双子の一方の交響楽団の方もスイスで最も稼いでいる楽団であり、奏者の質は悪くなかった。然し奈落で演奏するとなると労働時間が長いだけで、あまり優秀な人は集まらないのだろう。

同時に共通する面はアメリカン配置の伝統があるようで、奈落では異なっていても舞台の上で演奏するとなると容易くアンサムブルを作る形になっているのだろう。それでも指揮者が拘れば叩き直せる筈なのだが、どうも前任者の時からこの程度の演奏に甘んじていたのだろうと思われる。

それにしてもそうした音楽的な前提程度にしか楽譜が読めていない指揮者で、それでも前任者よりもいい交響楽団で振ってキャリアをもっているのだ。何故この程度の指揮者が欧州でトップクラスの名門交響楽団を振っているのかもよく分からなかった。リヒャルトシュトラウスも真面に振れない指揮者が、新制作「指環」四部作を振って、それが放送されてメディア化されているとなると、驚く以外に何もない。然しこんな企画を昨年までのペトレンコ指揮に続いて同じ祝祭大劇場で演奏させたものだと呆れるしかない。(続く)



参照:
眠りの前に下りていく 2025-02-12 | ワイン
ドライな方が上手く鳴る 2019-04-12 | 文化一般

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