Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

震撼させる浪漫歌劇指揮

2024-05-04 | 文化一般
ベルリナ―フィルハーモニカーを振ってペトレンコは中共デビューをする。6月末に四日間の公演を上海で行う。即完売の様である。

それより一月以上前の5月12日にエンゲルも北京でデビューする。アンサムブルムジークフォールムヴィーンを振って、ベアート・フュラーらの曲を演奏する。今回初めて知ったのがそのスイスの作曲家がこの楽団の創立者の一人だったということで、なるほどヴィーン風の楽団だなとは思っても友人らが共演したりでドナウエッシンゲンでも聴いている。

エンゲルも昨年のパリのIRCAMとヴィーンモデルンの開幕公演でこの楽団と大成功をしている。北京の中央音楽学院主催の音楽祭の開幕演奏会のようだが、思いのほか立派な歌劇場で招待客だけの演奏会らしい。さぞかし楽界のお歴々が集まるのだろう。

そこでの指揮者のプロフィールは独自なもので、誰かが公式のそれを取捨選択して書いている。内容からするとマネージメントの作文の翻訳のようでもあり、本人のチェックが入っている感じもする。取り分け「2021年他在蒂罗尔音乐节上以《罗恩格林》震撼了观众。」ー 「2021年エアールのティロル音楽祭聴衆を『ローエングリン』で震撼させる」が目につく。

北京の催し物の主旨からすればヴァ―クナーが大書きされるところに意思を感じる。普通ならばヘンツェの「メデューサの筏」やメシアンの「アシジの聖フランシスコ」、先ず何よりも中共でも最近話題のハースの「ブルートハウス」が大書きされるところだ。

独墺圏では今迄これがプロフィールとして大書きされたことはあまりなかった。やはりバイロイトなどで振らない事にはそれ程大きな出来事とならないからでもあるが、これが大書きされたのは必ずしも中共向けではなくて来る七月のバイロイトの記者会見で何かが出てくる可能性もある。

因みにべルリナーフィルハーモニカーを振っていることになっていて、おかしいなと思ってみていると、フィルハーモニーで振ったことと間違っている。マネージメントのオヤジが企画した演奏会もこうして価値が生じている。

コロナ期間中に一年延びたことからクラッツァー演出「タンホイザー」が2025年に、「ローエングリン」2026年に再演される様だ。カタリーナ・ヴァ―クナーがティロルのそれを観たことは間違いないと思うが、一般的に現行の演出を指揮することはないとすれば、新シーズンにどこかでまたヴァ―クナーを指揮するのかも知れない。あれだけの指揮者に新制作を任せないと勿体無い。

先のインタヴューではっきりした様に、その指揮には独特の符牒があって、更に合わせることに重きを置いているのでまさしくクナッパーツブッシュの再来のようなヴァ―クナー指揮になる要素が解明された。兎に角、ガツンと鳴らさせると、バイロイトの祝祭劇場が震撼の渦に包まれることは間違いないと思う。勿論それの必然な演出がそこで為されなければ意味がない。

ペトレンコもいずれ復帰すると思うのだが、ヴァ―クナー指揮に関してはやはりエンゲルの方が圧倒的な支持を受けると予想している。先ずはその音楽祭の体制がどのようになっていくかに掛かっている。



参照:
ブーレーズの死へグルーヴ 2024-04-18 | 音
幕が閉じてのその熱気 2022-12-25 | 音
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