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習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『響』

2018-10-07 08:38:05 | 映画

 

『となりの怪物くん』に続いて今回もとんでもない怪物くんのお話だ。月川翔はこの過激な主人公を実にクールに見せてくれる。シビれる。まぁ、こんな女子高生はいないけど、もしこんな人間がいたなら面白い。(まぁ、それは「映画の中でなら」ということだが。だって自分の隣にいたら、これは困る!)周囲なんか見ない。目の前だけを見て、本気でダメなものはダメと、断固潰していく。

 

15歳の少女が書いた小説が芥川賞と直木賞をダブル受賞する、というとんでもないお話なのだが、そのこと以上にこの少女の行動が自然体に超過激。その危なっかしい行動から目が離せない。

 

だいたいふつうなら、文芸少女なんていうのを、主人公にした時点でそんな映画が成り立つはずもないのに、大胆にもこの映画はそれを成し遂げる。天才少女出現、彼女の才能に世界がひれ伏す、なんていうバカバカしいお話を成立させるのだ。しかも、このテンションの低さ。周りがどう思おうとまるで気にもしない。要は自分が納得するか、否かだ。それしかない。そんなわがままな女の子(しかも、暴力的だ)が、それでも1本筋が通っているから、大人たちですら彼女を拒絶できない。本音で真正面から向かってくる彼女に太刀打ちできない。彼女は自分が正しいと思うことをする。だが、それは人の意見を聞かないわがままではない。その人が正しいと思えば、ちゃんと受け入れる柔軟性はある。

 

マンガみたいな(というか、原作はもちろんマンガ)設定を、淡々としたタッチで、自然に見せていきながら、あり得ない少女の行動を見守り続ける。主人公の響を演じた平手友梨奈が凄い。彼女がどこまでいくのか、そこから目が離せない。全編ほぼ無表情で、過激きわまりない行動をさらりとこなして、どこまででも突き進む。受賞のその先を見たい、と思う。あそこで終わるのではなく、彼女が世界との関わり合いの中で、そのいびつな才能をどこに向けていくことになるのか、それが見たい。

 


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