犬には興味ないから、犬を中心にした小説なら、読まない。でも、犬を周辺に置いて、昭和を描く小説のようなので、読むことにした。最初はあまり乗れなかった。ただ、主人公の柏木イクと僕とは同世代なので、(彼女のほうがいっこ上の今年55歳。もちろん、作者の姫野カオルコも同じ)背景となる時代が僕の記憶と微妙にシンクロする。彼女は滋賀で僕は大阪と、住んでいる地域も微妙に近い。まぁ、そういう個人的なことはどうでもいいのだが、そんなこんなで、興味深く読むことができた。
特に終盤は、なんだかかなり感情移入してしまった。今、いろんな意味での「母の介護」をしているから、最後のエピソードは、僕たちに置かれた今として、とてもリアルなのだ。もちろん、そんなこともこの小説の本質とはまるで関係ない。
6つの時代が描かれる。いつの時代のも彼女の周りには犬がいた。犬のいる人生は彼女が選んだのではなく、たまたま、だが、そんな「たまたま」も彼女の運命なのだろう。彼女が結婚しなかったことも、たまたまでしかない。でも、人の人生なんてものも、「たまたま」なのだと痛感する。
このなんでもない出来事のスケッチを読みながら、こんなにもどうでもいい日常の積み重ねの先に今の僕たちがいるというこれもまた当たり前のことを痛感する。この小説自体がそんなことを描こうとしていたのか、と改めてわかる。いくつもの偶然の先に今の我々がいるのだ。この小説はそんなことを教えてくれる。
特に終盤は、なんだかかなり感情移入してしまった。今、いろんな意味での「母の介護」をしているから、最後のエピソードは、僕たちに置かれた今として、とてもリアルなのだ。もちろん、そんなこともこの小説の本質とはまるで関係ない。
6つの時代が描かれる。いつの時代のも彼女の周りには犬がいた。犬のいる人生は彼女が選んだのではなく、たまたま、だが、そんな「たまたま」も彼女の運命なのだろう。彼女が結婚しなかったことも、たまたまでしかない。でも、人の人生なんてものも、「たまたま」なのだと痛感する。
このなんでもない出来事のスケッチを読みながら、こんなにもどうでもいい日常の積み重ねの先に今の僕たちがいるというこれもまた当たり前のことを痛感する。この小説自体がそんなことを描こうとしていたのか、と改めてわかる。いくつもの偶然の先に今の我々がいるのだ。この小説はそんなことを教えてくれる。