1967年
今シーズンのトレード第一号が決まった。大洋、産経、東京から申し込まれていた広島の大石弥投手とプラス金銭トレードで獲得したものだが、他チームの声がかけられるほど大石の力はまだ衰えていない。西本監督も「かつての二十勝投手ヒジの故障があってここ一、二年鳴かず飛ばずだが、キャリアも申し分ないし、テクニックも充分だ。スリークォーターからやや下手気味に投法をかえているがまだ球威は衰えていないのでリリーフとして期待できるだろう。五~六勝といわず十勝以上は稼げるのではないか」と、このトレード効果を強調していた。この移籍は宮田代表補佐が表面に立って動いたもので、さる七日、こっそり上京し、東京へ前田のトレードを申し入れに来ていた山本広島代表と会い、大石をトレードしてほしいことを申し入れたという。
広島側も、金銭トレードでなく若手投手の交換を望んでいたことから、今シーズン、ウエスタンリーグの投手三冠王となった大石弥に羽を立て、スムーズな交換となったわけだ。「大洋へトレード交渉に行くと、剣幕を張りながら、その実、大石の話し合いを持つなど、宮田代表補佐の交渉はきわだっていた。トレードは阪急が一番うまいんじゃあないか」と消息通の評判である。それについて、「西に焦点を集めておいて、東で交渉するのが秘訣かも知れないよ」と、宮田代表補佐は奥の手を正直に語っていた。
今シーズンのトレード第一号が決まった。大洋、産経、東京から申し込まれていた広島の大石弥投手とプラス金銭トレードで獲得したものだが、他チームの声がかけられるほど大石の力はまだ衰えていない。西本監督も「かつての二十勝投手ヒジの故障があってここ一、二年鳴かず飛ばずだが、キャリアも申し分ないし、テクニックも充分だ。スリークォーターからやや下手気味に投法をかえているがまだ球威は衰えていないのでリリーフとして期待できるだろう。五~六勝といわず十勝以上は稼げるのではないか」と、このトレード効果を強調していた。この移籍は宮田代表補佐が表面に立って動いたもので、さる七日、こっそり上京し、東京へ前田のトレードを申し入れに来ていた山本広島代表と会い、大石をトレードしてほしいことを申し入れたという。
広島側も、金銭トレードでなく若手投手の交換を望んでいたことから、今シーズン、ウエスタンリーグの投手三冠王となった大石弥に羽を立て、スムーズな交換となったわけだ。「大洋へトレード交渉に行くと、剣幕を張りながら、その実、大石の話し合いを持つなど、宮田代表補佐の交渉はきわだっていた。トレードは阪急が一番うまいんじゃあないか」と消息通の評判である。それについて、「西に焦点を集めておいて、東で交渉するのが秘訣かも知れないよ」と、宮田代表補佐は奥の手を正直に語っていた。