プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

野母得見

2016-08-20 12:53:09 | 日記
1959年

久々にみる野母の快調のピッチングだった。七回長光にマウンドをゆずるまで三安打。二段モーションから内角低目ギリギリにきまる球が効果的だった。だが試合後「そうね、高目にボールがいかなったのがよかったようだね」とひとごとのようにいった。かえって鶴岡監督の方がうれしそうに「キャンプ、オープン戦と野母はだんだんよくなっているコーナー・ワークがいい。打者の心をよく読んでいる。ペナント・レースでも、もちろんローテーションの重要な一員だ」といった。六年前、柚木(現南海ピッチング・コーチ)の再来とさわがれて入団したが、コントロールが悪く、さわがれたわりには活躍してなかった。しかし南海では数少ない左腕で、昨年は西鉄戦用の投手として何度も起用されている。「キャンプでは自分の思うとおり練習できた。体の調子も上がった。今年は六年目だからひと花咲かせなければ、と思っているがどうかね。もう思いきり投げたって、そうスピードが出るわけではないし、やはりかわすピッチングだね。それにはコントロールが第一。きょうの試合はかわすピッチングとしてはまあまあだった」帰りのバスの中でも、ひとり片スミにすわってだまってタバコをふかしている静かなヒーローそばのサディナ投手がおぼえたばかりの日本語で「ノモ、ナイス・ピッチング、ゴチソウサマ」といってポンと肩をたたいた。
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近藤三明

2016-08-20 12:30:28 | 日記
1959年

第二試合近藤が国鉄をシャットアウトするとベンチから林、平井両コーチがとびだして、かたく握手をかわした。「よくやった。ご苦労さん」林コーチは興奮している。林コーチは「これで完投投手が一人ふえた。いままで完投したのはこの近藤を入れて吹田、武智の三人になった」と明るい表情。それにくらべ国鉄ベンチはニガ虫をかみつぶしたよう。近藤が日本鋼管から近鉄に入るとき国鉄もさかんに勧誘していた。近藤がその国鉄からプロ入りはじめて、それもシャットアウトで勝ったのだから皮肉なものだ。オープン戦二度目の近藤は「外角にシュート、内角にはストレートを投げました。ストレートにのびがあったので打たれなかった」と興奮からさめないのかとぎれとぎれに話す。「日本鋼管にいたときは横の変化に弱かった。それでこんどのキャンプでは外角にシュート、内角にカーブを投げ、ピッチングに幅をもたすように練習した。カーブはまだブレーキがないのであまり使わなかったが、これからはどしどし使う」と語った。打っては三回右翼に本塁打し、七回にもタイムリー安打するなど、近藤のひとり舞台。林コーチに彼のピッチングをきいてみると「リスト、腰は強いが、体が少しかたいように思う。それもふとっているためで、、もう少しやせればもっとフォームがスムーズになるだろう。きょうは外角にいいシュートを投げ、内角にはときどきカーブを投げていたが、このカーブはまだあまい。スロー・カーブは内角いっぱいにきまるが、ググッと鋭く曲がるのがみんなはずれているもっと体がやわらかくなるとこの球がきいてくるだろう。でもまだカーブをほんとうに投げていないので、なんともいえないが・・・」といっていた。
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橋本敬包

2016-08-20 11:53:47 | 日記
1959年

橋本は四回無死満塁で大石をリリーフした。岡本に三塁右にゆるい当たりを打たれ、穴吹には痛烈な左前安打をくらって点をとられはしたが、自責点はゼロである。しかしそれ以後四安打に封じ、南海に反撃の糸口を与えなかった。そして五回みずからの中前安打で勝ち越し点をつくり、勝利投手になった。オープン戦第一戦(二十八日・呉)でも四回から六イニングを投げ三安打で南海を無得点に抑えている。三日の試合が終わってから白石監督が「橋本はよくなった。あれでシュートの切れがよくなると申し分がない。安定してきたよ。期待できるね」と語っていた。南海の鶴岡監督は「ああ、速い球を投げられると打てんわ」とぼやいていた。それだけ橋本の球は速かった。昨シーズンの成績は四十三試合・五勝(大洋二、阪神、中日、国鉄各一)七敗の成績で防御率が2・47だった。ことに巨人戦に十三試合投げ、広島では巨人相手にいちばん多く投げた。ことしのキャンプでの目標は「シュートをマスターすること」だったそうだ。しかしシュートの切れもよく、外角へのカーブもいい。それに外角へ重い速球がよくきまっていた。「いま自分の調子は八分程度です。キャンプで体ができてしまったし、あとはバリバリ投げるだけですよ。シュートはマスターしたが、打たれたのはみんなシュートが切れなかったからだ」という顔はまっ黒に日焼けしている。「シュートの修得」から「コントロールをつける」ことに目標が変わったという。今シーズンの目標については「まだこれから調子を出すのだからハッキリいえないが、まずどんどん投げさせてもらうようにすること。次に防御率を二点までにくいとめることです。勝星うんぬんはそれから」だそうだがスタート・ラインでとび出すことができたということは好調さと気合の入っていることを裏づけるものである。なぜならスタートで遅れをとった投手はシーズンを通じて好成績を残した例が少ないからだ。橋本の今後のオープン戦でのピッチングがシーズンでの働きを暗示していくようだ。
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