プロ野球 OB投手資料ブログ

昔の投手の情報を書きたいと思ってます

安藤治久

2016-11-06 15:05:49 | 日記
1962年

顔が丸く血色がいい。五月人形の金太郎のような感じだがニックネームはベティーさん。しかしいまではベティーさんと呼ぶナインはほとんどいない。結婚して二つになる子供までいるからだ。いまの呼び名は安藤の安をとって安(アン)ちゃん。この安ちゃん、宇都宮マネジャーにいわせると「からだはひと一倍大きいくせにどこにいるんだかわからない」くらいおとなしいが、ときどきおもしろいことをいう。「あのときはそれこそバンザイでもしたいくらいの気持でした」というのは昨年駒沢球場がとりこわされることに決定したとき。大阪ではいいピッチングができる安藤も駒沢へくるとまるでダメになるからだ。「ヤジなんて気にならないけど、あそこはプレートがおかしいんです。なんだかモゾモゾと足がめり込むようでね。そこへいくとここは・・・」雨でマウンドは重たかったが後楽園はすごく投げやすいそうだ。「きょうはスライダーですね。それとよかったのは山下さんのリード。ぼくはいわれるままに投げただけです。東映ですか?みんな強い、強いというからやはり・・・」しばらく考えてから強いんでしょう、といった。四年も阪急にいながら関西なまりはまるでない。静岡県沼津の海のそばで育ち、高校も沼津市高。その後ノンプロも吉原の大昭和製紙へはいったため関西弁は覚えられないらしい。「ボールをよく振ってくれたので楽でしたね。コントロールがよくみえたのもそのせいでしょう。1点差でもぼくはなんともなかった。ただ心配だったのは雨。投げにくいことよりも中止になったらせっかく勝てるゲームが再試合になりますからね。三度ほど中断はあったけど、最後までやってよかった」海のにおいをかいで育ったせいか釣りが大好き。オフ・シーズンは釣りオンリーとか。「あとは趣味もなにもない。ジンクスもありません。なんにもない男ですよ」ニッコリともしないでこういった。しかし鼻の下からアゴにかけてヒゲがボウボウ。「これですか。これはちょっと気になったのでそらなかっただけです」あわててアゴのあたりをなでたところをみると、ヒゲをのばしておくのがジンクスらしい。完封勝ちは昨年六月四日対近鉄戦以来だが、これもすっとぼけた。「シャットアウト?そうですか、去年のことはよく覚えてません。東映戦の勝ち星も去年いくつだったか・・・忘れましたね」ナインのなかではかなりの酒豪として知られているが、それも「適量ということにして下さい」と小雨のなかを逃げるようにして球場から出た。好調東映に完封勝ちしたのはこの安藤がはじめてである。
コメント
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