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散髪屋さんのおから

いつも髪を切ってもらう床屋さん、お父さん、お母さんと息子さんの3人で切り盛りしている普通の散髪屋さんだ。僕は以前変わったことをしていた・・・・。それは、二度と同じ散髪屋さんには行かない。それを何年も実践していた時期がある。散髪屋さんって、町内に一つや二つはある業種になり、子供の頃から通い続けているケースが多くあると思う。気に入った散髪屋さんを見つけることが出来た人はまれではないかな。僕を含めて同じ意見を持っている人は多くいると思う。僕が若い頃、ヘアースタイルを気にしていた頃は、人に髪を触られるのがとても嫌だった。それに、鏡の前に座り自分自身を見ているあの状態も好きではなかった。鏡を見るのは一人のとき、ほかの人に覗かれることは嫌がる気持ち・・・・分かるかな。

まったく気に入るお店が無くてさ迷い続ける時期にはっと思った、そうだ!同じお店に行かなければよいのだ。変にこちらから人に気を使うなどしなくても良いのではないか。そう思うようになり、二度と同じ店には行かないようにしていた。そんな時期を経て今のお店に通うようになり10数年が経つ。

通っている散髪屋さんは、気軽であり尚且つ謙虚な姿勢を崩さない。その言葉でははっきりと伝えることは少ない鏡を通しながらこちらが目を瞑っている、瞑想感覚を逆なでしない。背中に感じる指先から、温かな人間性が良いのだ。

そんな散髪屋さんで帰り際にもらったおから。

優しい味がする。



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