咲いてゐるのは みやこぐさ と
指に摘んで 光にすかして教へてくれた ――
右は越後へ行く北の道
左は木曽へ行く中仙道
私たちはきれいな雨上がりの夕方に
ぼんやり空を眺めて佇んでゐた
さうして 夕やけを背にしてまつすぐと行けば
私のみすぼらしい故里の町
馬頭観世音の叢クサムラに私たちは生まれてはじめて
言葉をなくして立つてゐた
夏の旅 Ⅰ 村はずれの歌より 立原道造
-☆-
なんとしても参加したい。 蛙の願いはおかげさまで届いた。
いわば同人誌の仲間だけという集いに、見境もなく混じってしまうことは、とても敷居が高いのだ。 しかし、ヒアシンスハウスの会・北原立木先生(文芸誌『孤帆』主宰)は快く受け入れて下さった。
連載500回、800字、26年間つづいた先生のエッセイは 「うらわ朝日」 で毎週日曜日、真っ先に楽しみに拝読していた。 きれのよい簡潔な文章は魅力的で、エッセイの書き方をこっそり学んだ気がする。
-☆-
ハウスガイド・ボランティア養成講座 番外編
「浅間山に入道雲が湧き、夏草の匂いがする …立原道造が歩いた道・軽井沢から追分へ…」 ご案内は 楠見邦博さん (文芸誌『孤帆コハン』同人)
あたたかく迎えられ、 初顔も最初から気分がいい。 フレンドリーで、ユーモアに溢れ、秘めたものがある。文章を書くことが好きで好きでたまらないという方々と肩を並べあるく。 おそれおおいこと、 それだけで幸せになる。
しかも、どなたとも話すことができた、というより話しかけて頂いた。 おなじ想いにつながれる方たちとの旅は、 かくも面白く、刺激に満ちて愉しいものか。
内気だった少女も いまや初対面の仲間にかこまれ堂々と自己主張している。 この変わり様に、自ら驚いている。
-☆-
参加者14名、 行程13㎞ 時速3キロのカントリーウォークは案内人氏の地図や、コメントに凝縮され、心地よい疲労感とともにいつまでもこころに残るはずだ
道造と対話するような気持ちで臨んだ。 雷雨にも逢った。
旧近衛邸、 雲場池、 長倉神社、 遠近宮オチコチミヤ(信濃なる浅間の山に立つ煙遠近人のみやはとがめん 在原業平)、 一里塚、 追分宿郷土館、 文学の道 雨上がりの道を若き詩人が作家が、ひょいと横切っていきそうな錯覚を覚える。
堀辰雄文学記念館、 昨年から想いつづけた場所だ。 泉洞寺、追分・分去れワカサレの碑、 追分原では浅間がよく見える麦畑に立った。 白い蕎麦の花と、蘇芳色の薄が群生する。 そのうしろから ゆっくりと、 浅間は顔を出した。
アルバム公開は またあした…