ドアの向こう

日々のメモ書き 

蟾蜍

2006-12-05 | こころ模様

             風の無い晩に歌が聞こえる……
             ――月は黒ずんだ青葉の
             曲折ギザギザに銀を被キせてる。

             ……歌がきこえる、 生埋イキウメになった
             木精コダマかしら、そらあの石垣の下さ……
             ――已ヤんだ。 行って見よう 、そこだ、その陰だ。

    蟾蜍ヒキガエルよっ。 ――なにも恐い事は無い。
             こっちへお寄り、僕が附いてる。
             よっく御覧、これは頭を圓マルめた、翼ハネの無い詩人さ、
             溝ドブの中の迦陵頻伽カリョウビンガ…… あら厭だ。

             ……歌ってる ――おヽ厭だ。 ――なぜ厭なの。
             そら、あの眼の光ってること……
             おや冷スマして、石の下へ潜ってく。
             さよなら ――あの蟾蜍は僕だ。   
              
                トリスタン・コルビエール 「黄色な恋」より 蟾蜍ヒキガエル

  迦陵頻伽カリョウビンガ 
  〔梵 Kalavi ka 好声鳥・妙音鳥などと意訳する〕
 (1)想像上の鳥。雪山セツセンまたは極楽にいて、美しい声で鳴くという。上半身は美女、下半身は鳥の姿をしている。その美声を仏の声の形容とする。迦陵頻。びんが。
 宝相華金銅透彫幡頭(ほうそうげ こんどうすかしぼり ばんとう)の 画像に見える。
     (銅鍛造、透彫 平安時代・12世紀 岩手・中尊寺所蔵)
 (2)美しい芸妓。また、美声の芸妓。

               -☆-

   蝦蟇も 蛙も  一蓮托生。     
コメント
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