想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

ぐるりのこと、愛妻バラ

2008-07-04 08:13:46 | Weblog
      橋口亮輔監督の新作、ぐるりのことを観た。
      予定してではなく用事が早く終わってしまった渋谷の雑踏、
      目の前にちょうどシネマライズがあって、おまけにちょうど
      予告編開始時間だった。
      吸い寄せられるようにチケットを買いました。
      釣りを受け取りながらまだ、「これを観るのか?おい、おまえ」と
      自問していた。夢遊病だよ、まるで。

      リリー・フランキーのシャボンだらけの白い背中とお尻が
      やけに脳裏に残ってしまった。なんということだ!
      同監督の前作『ハッシュ』と同じ。いい意味で同じ、よかったです。
      大きな声でよかったよ、よかったね、というのではなく、
      じわっとくる「良かった」の方です。
     だからじわじわっとまた世界中で観られること
      でしょうな、ハッシュと同じく。

      妻の方が鬱病になり、そこから快復していく過程が
     夫婦にしかないビミョウな感覚と距離間で、リアルに
      描かれています。
      そこらへんにいる今時の普通の夫婦っていうリアル。
      通りいっぺんの、狭い生活感のある室内に食卓、浴室、
      そして夜道をふたりで歩くとき。
      最終章でそれまでの苦しさが溶けて、美しい花に結晶する。
      そこへ辿りつくまでの途中は、ほんとに息苦しいったらないよ、
      茶番がないから。

      法廷画家のシーンは圧巻、この映画が絶賛されるとしたら、
      法廷シーンがよく知られていない法廷画家という職業の目を
      通して描かれているところだろう。
      これは参りましたって感じである。
      こればかりは観なければわからない。
      でも参りましたなんて言うのは本音じゃないなあ、力作、
      すごい集中力。
      この監督はたまたま映画を作っているけど、がんばって生きてる
      姿勢、必死さがいい。
      会ったことないけど、そう思わせてくれます。
      世の中にそういう人がいることがうれしいじゃないの!

      DVDでいいわ、くらいの「そのうち観たい度」だったのに、
      ふらりとロードショーでみちゃって、
      おまけに夫婦愛なんだもの(家族愛ともいえる)。
      しょうがないなあ‥おまえとまた自問していたら、
      この写真を思いだしました。    



      隠れ愛妻家です、この人。たびたび登場のN君は、
      単身赴任時代を経て、やっと家族と合流して一年半くらい。
      このバラを奥さんに持ってかえりたいんやけど~とか大阪弁で
      ごまかして言うので、自分で伐りなさいよ、フンと鼻で笑った
      のは昨年のこと。
      今年も狙っているようで、じっと蕾をチェックしていたな。
      うさこが知らないとでも思ってるのか?
      「うちのカミさんね、ミニバラ育ててるんですよー」って、
      なんだかなあ‥、ぐるりのこと、よく観てなよね、
      せっかく合流できたんだから。
      



      でも愛妻家にはあげませーん。
      この種ってたしか、ドンファンじゃなかったかなあ‥
     

コメント
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