想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

放射能の風に包まれる

2012-05-20 00:52:41 | Weblog
北九州市が震災瓦礫広域処理を受入れるということであるよ。
北橋市長がノリノリ、新日鉄が焼却炉を新設する話も。
今夜宮城石巻市からトラック(25t?)22台の隊列が出発し、
来週23日には説明会もないまま焼却試験が始まるという。
反対住民は市庁舎を囲めとtwt しているが、はたして何万人
もの人間の鎖ができるだろうか。
どうか駆けつけてくれないかと友人へ電話したが、大丈夫だよ
と慰められた。オレたちが守るよ、帰ってこれるようにと。
言葉は嬉しかったが、ほんとうに守れるのか‥闘えるのか‥

遠く離れた故郷九州、もう帰省することはめったにないのだが、
それでも空港が近づくと、地上の濃い緑や河、海岸線が光り
輝いてみえる。美しいと改めて思う。

福島も美しいところだ。
森と湖があって、あいかわらず美しい景色が広がるが、
そこに吹く風は放射能を運ぶ死の使いになってしまった。
なったんじゃなくて、してしまったのだ、人間が。
そこに暮らす者の心に降りかかる、目には見えない不安と
恐怖は日に日に積もり、重い澱となって蝕んでいる。
気持ちを奮い立たせるのに、放射能なんざ、なんの怖くね、
と言ったりする年寄りたちの予定調和を激しく裏切られた老後
気の毒でならない。

だから、体験している者にしかわからないのかもしれない。
東京では知的な人々、感性豊かな人々が見えない敵を恐れ
被曝をさける工夫をしている。その人々の恐れと、福島を
体験している人の恐れとは少し違うのではないかと思うのだ。

けれど、想像力をたくましくして、耳を傾けてほしい。
住むところを追われるように離れ、飢え震えた夜を過ごした大勢が
いまだ我が家へ帰れないでいる。警戒区域解除されても帰れない。
その現実を知っていれば、想像してほしい。
その人の気持ちを察して、我が身に置き換えるならば、どうか。
ローンを組んで新築した家に一度も住まなかった家族や
馬が心配で汚染された山裾の家を離れないでいる高齢の夫婦のこと。
除染が進まず(やりようもなく金だけだぶついている)町で遊ぶ
子どもたちの親のやるせなさ。避難する金なく事情があって留まって
いるものを、愚か、ひとでなしと後ろ指さされても聞き流している。

だいじょうぶ、少しくらい、福島ほどひどくないと思えるだろうか。
少しくらいなんて単位は放射能に限ってはないのだ。
今降り続き吹き続けている放射能の風は、野ざらしのガレキを汚し、
汚れたものを少しくらい、復興のお手伝いを、と美談で飾り偽り、
美しいふるさとを人々から奪おうとしている。
ふるさとを奪うというのは、暮らしを破壊するということだ。

見えない、今は。
けれど、見えたときには恐れとなって顕われる。
死と苦痛、別れ、喪失、そういうものに対峙させられ、
拳をふるわせて泣いても、その時は遅い。

他人事とおもわずに、ひとつづきのこの小さな島国と島々と海を
慈しんではもらえないだろうか。
わたしは人一倍心配性なのではあるけれど、
わたし以上に勇気も力もある人さえ、どうにもならないのが
放射能なのだから。
ガレキが運ばれる先へ、反対の声を一言届けてくれないだろうか。
093-582-2187 FAX:093-582-2196
(北九州市環境局循環社会推進部循環社会推進課)

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