今年4月ポルトガルからの帰りに立ち寄ったモンテニャックのキャンプサイトで、7月にトア・デ・フランスが町の通りを通り過ぎてゆくことを聞いた。
去年からテレビで実況中継をするトア・デ・フランスを見逃さず楽しんでいる。初めは私たちが通ったところがテレビで映し出され、二人であそこだ、こんなことが有った、などと言いあいながら見ていたが、次第にヘリコプターから映し出されるフランス国内の景色に魅了された。素晴らしい景色を見ると地図を見ながらこの辺りとかしるしをつけ、次回フランスを通るときにはぜひ行ってみたいと思うようになった。
同時に衛星放送のスカイチームが擁護する英国人クリス・フルームの活躍が素晴らしく大ファンになってしまった。帽子やヘルメットをかぶっている時のクリスは、まだティーンエイジでも通るほど若々しく、細身の体でどこにあれほどのエネルギーがあるのかと思われる。帽子をとったら前の額が後退していてあまりにイメージと違いすぎた。
昨年パリに凱旋したネィビーブルーのユニフォームを着たスカイチームの10数人の中でイエロージャージー(トア・デ・フランスの最高栄誉)に身を包んだクリスが真ん中で一同真横に並んで肩を組んで自転車で行進していった様子は本当に涙が出るほど素晴らしかった。
授賞式では流ちょうなフランス語を話し、若い奥さんと3-4歳の男の子がお祝いに駆けつけていた。
今年も7月初旬から3週間フランス中の難関道路を走り回り、イエロージャージーを奪い取った。彼らがピレニー山脈のフランス側の急坂を登り降りしているときも、フレンチアルプスの蛇行した急坂を走っているときも、心から声援しないでおれない。
そして4週間後の8月21日から3週間スペイン全土を走るフエルタ・ア・エスパニアが始まった。
このスペイン地図は2004年から私たちがいままで通り過ぎた道路図。
初めのころは彼らがアンドラへ行く長い坂道を走っているとき、懐かしいアンドラの景色に心を奪われていたものだけれど、コースを一生懸命調べていたのはクエンカまでで、もう景色どころではない。スカイチームはペースをしっかり計画し守っているから、最後の20Kmくらいまでトップのリーダーから1分以上も後方にいて毎日やきもきさせられる。ネィビーブルーのユニフォームのスカイチームはクリスと一緒に走行しながらボデーガードの役割やペースメーカーをやっている。
スペインでの最高栄誉とされる色が真っ赤のレッドジャージーと呼ばれるもので、クリスはネービーブルの中で一人赤のジャージーに赤のヘルメットで良く目立つ。かれは坂道に強く、1日だけあるタイム・トライアルの時は2位と格段の差をつけて勝った。
そして9月10日のマドリッドに凱旋し、1年のうちで2国の競技に優勝した人はいない、歴史に残る快挙と感嘆されている。
今年は2回の激しい競技で疲れが見え始め、ティーンエージャーらしかった表情が年相応の32歳に見えるようだ。1週間後はベルゲンへ行くとのこと。プロでもよく体がもつものだ。