もう10年程前から、BBC4ではヨーロッパのテレビドラマを見せてくれる。毎週土曜日の夜9時からで、スェーデンやデンマークの犯罪ものやイタリアの警察もの。どれも必ずその国の言葉でふきかえなし。サブタイトルが下につく。
このサブタイトルがたいへん早くて英国人でもなれないと、読み飛ばしてしまう。わが亭主は初め全然興味がなかったようだが、サブタイトルが気にいったみたい。
二人の間でお互いに聞き違いや聞き漏らすことが多くなってきている昨今、私たちの会話にもサブタイトルがほしいね。
ところで北欧の警察もの、犯罪、殺人ストーリーとイタリアの警察ものを見てみるとどちらも最近の麻薬、売春、人身売買などが絡んだ殺人が多いのだが、北欧のストーリーはいつも暗く、特に冬などほとんど太陽の出ない日が多いのだろうから真っ暗な中での捜査が多い。
それに比べてイタリアのシシリーが舞台の モンテルバーノ警部 (Inspector Monterbano) のストーリーは同じように現代の暗い犯罪殺人を扱っていながら、大いに笑わせてくれ、しんみりさせてくれ、異様に明るい。
数年前は中年の独身モンテルバーノがシシリーの田舎町に赴任するところから始まり、テレビの初めのシーンでほとんどの人が魅了されてしまう。急坂の真っ白な町、家がびっしり連なり町の真ん中にそびえる教会の尖塔を上空写真で一回り写し、モンテルバーノが借家する海岸線を映し出す。この初頭のシーンに魅せられてシシリーに英国人の観光客が増えたとのこと大いにうなずける。
ほとんど毎回モンテルバーノが朝の水泳から帰ってくると殺人が待ち受けている。この主人公、頭は禿げて中年小太り、足はオー脚でどう見てもハンサムには見えない。それなのに女性にもてる。
彼には若い時から恋人がいて、一向に結婚しないのも現在の風潮かも。
大体10時間のシリーズが終わるとまたスカンジナビアのテレビに戻りまた翌年モンテルバーノを見せてくれる。
あまりの人気にテレビ会社も気を良くしたのか次は 若いモンテルバーノ (Young Monterbano)というのを始めた。住んでいるところは同じで務める警察署も同じなのだが、まだ20代と思われるモンテルバーノは長身ハンサム、恋人も同じ名前の彼女がいて犯罪を次々解明しながら、恋人とのすれ違いや気持ちの行き違いで悩む若い男性を演じる。中年になったモンテルバーノとあまりに落差が大きすぎるけどストーリーが毎回面白いから許せるか。
デンマークのテレビドラマではボーゲン〈デンマーク語で砦という意味)が非常に面白かった。これは犯罪ものでなく家庭の主婦がデンマークの女性首相になって活躍する物語。これも3シリーズ有って毎週土曜日が待ちきれなかったものだ。
英国のテレビドラマもいろいろあるが亭主がテレビの主導権を握っているからどうしても彼の好みで見てしまう。それで見逃した面白いドラマはあとでDVD で見ることになる。
夢中になってDVDを見たのがダウントンアビー(Downton Abbey)でこれもシリーズが長く続いたものだ。今でも長々と放映していて人気があるのがゲーム・オブ・スローン(Game of Thrones)でこれは奇想天外、殺人有りセックス有りマジック有り戦争有りの国取りゲームと権力争い。
あまりのむごたらしさに目をつぶりたくなるのにやっぱり見てしまうという不思議なドラマ。これはまだどれだけ続くかわからない。
2か月ほど前、青空市で中古のDVD ブラザーズ&シスターズ〈Brothers & Sisters)というのを非常に安く買った。アメリカのホームドラマで殺人や犯罪ものとは段違い、3人の兄弟と2人の姉妹それに未亡人の母親と彼女の兄が織りなす心温まる物語で、1冊にDVD5-6枚づつ入っていて15-18時間くらいかかる。 これが3冊買ったもののまだストーリーは終わらず、すっかり虜になってしまった私はインターネットで探し出し、残りのシリーズ4,5を買った。毎日3-5時間づつ見て、見終わってやっと一息。こんな甘いストーリーは亭主が絶対見ないから、友達に貸してある。
旅に出ると英国のテレビが見えないことが多く、したがってシリーズもののテレビドラマは見ることができない。だからあとからDVDで見るようになるのだが、これも楽しいエンターテインメントの一つだ。