ロンドンブリッジ駅から数百メートルに位置する大病院はガイズ・ホスピタルと呼ばれる。
10年前78歳の亭主は肺がんで左肺下葉切除の手術をしてもらったこの病院へ、また通うことになった。
10年前は病院全体が古く、建物も今回ほど大きくなかったと記憶している。
正面玄関は割合狭くいつも駐車場が満杯。正面の両横には非常に高いビルが建っている。
正面左側の高層ビルは
一般の病院と同じ各科目に分かれた医療設備が完備されているのだろう。
私はこの玄関へ入ったことがないから憶測だけしか書けない。
この高層ビルは正面玄関の右の建物で2016年9月にオープンした癌センターである。
まだ新しくてきれいなこのセンターには毎日450人の癌患者が訪れる。
一階にはオートメ化した受付と、次回予約受付のオープンオフィス、血液検査の一角、コーヒーショップなどがある。真ん中には広々とした待合椅子が置かれてゆったり座っている人たちが多い。
特筆すべきは受付の近くにかつらと特別なブラジャーを売っているお店があること。
薬物療法や放射線療法で脱毛した癌患者のためにかつらは必需品。それに乳房切断患者のための特別なブラジャーを扱っているこのお店、初めて見て感心した。
エレベーターは一階の表示がWでこれはウエルカム・フロアー 次がR で Rediothoropy (放射線療法)次はO Out Patiant( 外来患者)などと別れているが、R のフロアーへ行くとここに受付があり,癌の位置、種類によって反対のエレベーターでまたR1 や R2 とフロアーを上がっていかなければならない。だからメインのエレベータは普通の1階や2階と表示していない。
亭主ポールは5月半ばに肺に影があると言われて以来検査ばかりに3か月も費やし、8月末にこのガイズホスピタルへ送られた。この時点でまた同じ左肺に癌があると診断されていたが、貴方の体力では放射線療法も大丈夫だろうと言われてその気になった。それまでこの年では薬物療法で苦しい目に合うより何もしないで自然に任せようと言っていたのに。
この放射線科でもう一度ペッツスキャンをと言われて、初めのペッツスキャンから2か月半での再スキャンの結果では、転移が4か所にあって肺癌の治療不可と言われてしまった。
本人はまだ自覚症状が全然無いので元気で車も運転し、ショッピングも散歩も兼ねて二人で5-6㎞も歩いていく。
この赤いドアの向こうでは肺がん患者の放射線治療が行われている。
昨日で5日間の放射線療法を終わったが、これは、背骨に転移した癌細胞の進行を遅らせるためでこれが大きくなって脊髄を圧迫すると歩けなくなる。
亭主は今までラッキーで幸せな人生を送ってきたから、もういいのだと達観しているが娘が大いに心配している。それで今回の放射線療法の後1か月後に様子を見たうえ、またキャンピングカーでポルトガルへ行く予定にしている。歩けなくなるまで人生を楽しもうと決心しているし、医師たちもそれを推奨してくれている。