今週火曜日と木曜日は英国鉄道(British Rail)のストライキだった。それで火曜日と水曜日に予定されていたオペラハウスの公演はキャンセルされた。水曜日はストではないが、朝交通が再開されるのに時間がかかるためと、また夜中からストに入るためほとんどの通勤者は出社していなかった。
木曜日も危ぶまれたが、火曜日に同時ストライキされた地下鉄が、木曜日は動いていたため、キャンセルを免れた。
私の住んでいる地域には地下鉄がなく、電車(British Rail)だとロンドンのチャリングクロスまで25分で行ける。ストでは仕方がないから、午後2時前からバス2台を乗り継いでロンドンへ向かった。バスはヴィクトリア駅へ向かっていたが、途中に地下鉄の駅があり、そこで降りて地下鉄でチャリングクロスへ。まだ3時過ぎでは早すぎるため、そのままチャリングクロスを通りすぎて、大英博物館へ行った。
最近のロンドンは観光客が多く、大英博物館は無料のこともあり、いつもたくさんの観光客であふれている。
持って行った食べ物やお茶など飲みながらのんびり2時間ほど過ごしたら、いつもは遅くまで開いている博物館が5時過ぎに閉まるからとおいだされた。職員も帰宅が大変なのだろう。
そこから歩いてオペラハウスへ向かった。どこもかしこもたくさんの人。
5時半過ぎにオペラハウスのカフェーでフランスから来た友達のN子に会い一緒に7時に約束している友達2人を待った。
オペラ蝶々夫人は明治時代の長崎が舞台で、当時長崎で外人と接触できるのは芸者しかいなかった。オペラの蝶々夫人は家の没落で売られた15歳の娘で、アメリカ人のピンカートンは歌の中でもアメリカに帰ってちゃんと結婚すると言っている。オペラ歌手の間では、ピンカートン役は敬遠されるという。実際今日のオペラでもピンカートンが出てきて挨拶しても大して拍手はないうえ、ウーと言う声も聞こえた。
白服がピンカートン、その横の薄茶の服がアメリカ領事ーこの人はとってもいいバリトンだった。
以前はこのオペラを見る度人種差別に怒ったものだが、音楽が素晴らしいからまた見てしまう。特に今回のオペラはすばらしかった。
と言うのはいつも蝶々夫人になるのは太った西洋人でとっても15歳にみえないし、可憐さがない。今回初めて日本人の蝶々夫人を見た。
ソプラノの中村えりさんはずいぶん前にツーランドの中でわき役で出ていたのを見たが今回は晴れて主役。とっても小さい人でこんなに小さくてあの大役が務まるのだろうかと心配して見ていたが、あとになるに従い、素晴らしい声で感激した。
ストライキにもめげず観客も1-2階は空席がほとんどないほど満員だった。
蝶々さんの歌には盛大な拍手が何度も送られた。
出演者のすべてが名前を見る限りでは、英国人には見えない。
10時過ぎに終わってすぐ地下鉄とバスでロンドンの北の友達の家に泊めてもらった。2時間もかかってはバスを乗り継いで自宅へ帰ることはできなかっただろう。
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