正月だからといって雪かきに待ったなしの札幌から、ren.です。
年賀イラストの投稿は予約だったので、これが年明け最初の執筆となるエントリです。
●「宇宙海兵隊 ギガース 6」 今野敏/講談社ノベルズ
最終巻ですが、一昨年の11月に発売していました。
ちょくちょくチェックしていたのですが、見落としていました。
前巻をこのブログで取り扱ったのは2008年8月ですから、5年半ぶり。
ヤマタイ国と地球の独立戦争はいよいよ木星圏での本土決戦目前。
リーナ達の乗る母艦アトランティスの艦隊に向け、ヒミカの乗る旗艦ワダツミの艦隊が、火星から追撃戦を仕掛けるまで、秒読み状態。
しかし、ホーリーランドの企みによって始まったこの戦争も、もはや政治的な駆け引きに場を移しつつあった。
反戦派議員であるジンナイや、ジャーナリストのコニー、ヤマタイ国の工作員であるチェレンコによって、急速に終戦へと情勢は動いていく。
この作品における宇宙戦闘は、ごく短時間で行われます。
宇宙空間で戦火を交えられるのは、お互いが移動する軌道が交差する一瞬だけだからです。
最新鋭の戦闘ロボットや、戦闘機、艦砲をもってしても、すれ違いざまに撃ちまくるだけ。
とても理にかなったリアルな描写ではありますが、それだけに戦闘シーは淡白です。
今回も、戦闘シーンはわずかな描写で、ドライバー達の葛藤や、地上での政治駆け引きが主。
最も緊迫する部分は、ジンナイ陣営と、主戦派のUNBI(連合保安局)の諍いだと思われます。
なので、バリバリのロボットバトルモノを期待すると、かなりの肩透かしになりますね。
リーナとヒミカの姉妹についても、ドラマチックな出来事は起こらないどころか、顔を合わすこともありません。
というか、今回はリーナの出番自体が少ない(w
そんなわけで、派手な展開も泣けるドラマもないため、「完結した」という評価以外はあまり芳しくないようです。
しかし、ストーリーとしては納得のいく結末なので、私は満足です。
もうちょっと、ヒュームスや戦闘機、突撃艇のメカニック的に突っ込んだ話が欲しかったけど。
戦争というものにおいて、現場の兵士と大局の政治を繋ぐジャーナリズムを描いた、この作品。
反戦派の立場が勝利するストーリーのため、主戦派は敵役となってしまいましたが、UNBI以外にもそちら側の政治家や扇動報道についての話があっても面白かったんじゃないかな、とは思います。
エピローグもあっさりしているので、戦後も含めて別のストーリーを想像するのも面白いのかもしれません。