イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

プライスレス

2010-02-22 22:19:24 | 特撮・ヒーロー

のってきましたね『天装戦隊ゴセイジャー』21日のepic 25機のゴセイマシン召還の場面は、全国の小さなお友達と一緒になって月河も「おもちゃ欲しい欲しい!」モードになってしまいましたよ。レッドのドラゴンがジェット旅客機、ピンクのフェニックスが戦闘機、ブラックのスネークが新幹線、イエローのタイガーがブルドーザー、ブルーのシャークが潜水艦と、男の子の好きなのりもの、ほぼ全機種網羅。『炎神戦隊ゴーオンジャー』の陸+空に、『轟轟戦隊ボウケンジャー』の海担当も加わって四方敵なしです。

ゴセイジャーたち自身は護星界から降臨した天使だけれど、宇宙虐滅軍団ウォースターの侵略を撃退すべく地球上にとどまる彼らの事情にかんがみ?マシンは地球人用乗り物の外形、特性をスキャンしてから届くわけです。

「神は、みずからの姿に似せて人間をつくられた」との聖書の故事を思い出す。

搭乗機ができたので、若き天使たちも元気いっぱいです。レッド「そのままつっこんで来い!」ピンク「何する気?」レッド「いいからいいから!」…(撃破)…ピンク「んーアラタってばぁ」と、スカイック族チームはほとんどラブコメ。

孤軍奮闘のシーイック族ハイドは「海でオレに勝てると思うのか?…(撃破)撃墜完了」とクールドライに啖呵切った後、いきなり横から不意打ち食らって「ぐわぁー!……(立て直し)いまだ!」と早くも戦闘能力高いのか低いのかわからんツンデレ開花だし、我が道を行くランディック族兄妹はアグリ「いくぞモネ!」モネ「オッケー!くっくっ、やぁーー!(ぶん投げ)」アグリ「いいぞモネ!」とスポ根調。

キャラと武器がこれだけ揃ってきたのだから、脚本にもうひとつパワーが欲しいですね。epic 2は天の塔が破壊されて途絶していたマスターヘッドとの連絡が一瞬回復、200年に一度の護星界に戻れるチャンスを取るか、目の前で怪人に囚われている人間を助けるか、ハイド(小野健斗さん)が選択を迫られるという非常に重要な局面だったのですが、そもそも彼ら、熱烈必死に護星界に帰還したいのか?母国である護星界に戻らずアウェイの地球で、地球人類のために戦い続けることがどれだけしんどくリスキーなことなのか?の描写が、epic 1からの流れでもあまりなかったので、物語的な切迫感が薄いまますんなりあっさり地上滞在に決まってしまいました。

すでに人間の少年と友達になったアラタ(千葉雄大さん)はとっくに地球にいることにそこそこ馴染んで肯定しており、エリ(さとう里香さん)は根が楽天家な上、同種族アラタの世話女房のようでもあり、アグリ(浜尾京介さん)モネ(にわみきほさん)のランディック族兄妹はもとより“そこに敵がいたらそこで闘う”のみ。ハイドひとりが「どうしたら戻れる、どうしよう」と危機感持っていただけのようにも見える。

よって前回のレッド回のあとのブルー回にもかかわらず、ハイドがいちばんカッコよく見えるような見せ場になりませんでした

今回流星のデレプタに派遣されてきたUFOのザルワックも、初の巨大化戦の相手にしては迫力不足。等身大戦でゴセイジャーに敗れたあと、彗星のブレドランが放つビービ虫(←鬼太郎の目玉親父にコウモリ翼ついたようなの)に吸いつかれて、パワー注入されると巨大化するらしいのですが、「…い、いったいこれは?」って巨大化の手はず知らなかったみたいなのなコイツ。武闘派デレプタに対し策謀担当のブレドランに人体実験もしくはあからさまに傀儡にされてる感じで、かえって微量かわいそうだったりする。巨大化するときの声も悲鳴みたいだし。「ビックリウムエナジー注入!サンギョーカクメイ!」とか「二の目が出るぞ、出るぞ、出た!」のような勢いがない。もうちょっとはじけて巨大化しようよ。ここらへんは何々星人の個性次第なのかな。

合体ゴセイグレートを含めた武器群が花々しいのにもうひとつ戦隊として凄みがないのは、基本的に“舞台”らしいものがまだないせいもあるかも。ベースキャンプになるような建物なり母艦的なロケーションがなく、5人とも野山や町中をふらふらしながら偵察したり戦ったりしているので、弱そうというわけではないけれど、どうも腹ごたえがないんですね。天使ですから存在感自体何となくふわふわしているということなのかな。ベースキャンプはなくても、たとえば『デカレンジャー』1話のバスジャックとか、『ゴーオンジャー』2話のレースサーキット強襲のようなインパクトのあるロケーションがあると、うまいこと掴めるんですけどね。要はツカみが弱い

悪の組織に襲われ逃げまどったり捕獲されたりした人々が、ゴセイジャーに助けられるときれいさっぱり記憶ウォッシュされてしまい、恐怖の体験を忘れて元の生活に戻れ、護星天使の存在も知らぬままという設定も、いまのところプラス効果に効いていません。ヒーローが一般人にどう受け容れられ、リスペクトされるかという描写は、ヒーローの魅力を際立たせる大事な要素だと思うのです。

今作は、“普通に生活している(と思っている)日々の中で、実はキミもアナタも記憶認識ないままゴセイジャーに助けられているかも”“道ですれ違ったあの若者、ご近所で見かけるあの少女が、実は天使かも”というところが、フィクションとしてのひとつのツボだと思うのですが、ちょっと難しいかなあ、活かすのが。

「今日さ、なんか気がついたら、崖の上にいたんだよ」「危ないじゃないの」「でも周りにもなんでか大勢の人がいてさ、一緒に来たわけじゃないと思うんだけど」「何しにそんなところに行ったのよ」「それが全然わからないんだけど、空も海もバカにきれいだったんだ、みんな空と海を見に行ったんじゃないかなあ」「わざわざ?」「だって見てとても気持ちがよかったんだよね」といった、帰宅した一般人の会話でもあればよかったかな。尺が足りないかな。

ま、いまのところ人間界でゴセイジャーと接触したのは、望くん(中村咲哉さん)と、アラタと出会いがしら挨拶だけは交わしたお父さん(髭男爵・山田ルイ53世)の2人だけですからね。次回から、天知家の天文研究所にとりあえずアラタとエリのスカイックコンビは住み込むらしいので、ベースキャンプらしいものは徐々に出来てくるか。

天知所長「望のお友達ですか~息子がお世話になっております、ところでお仕事は?」に、「…あ、地球とすべての命を…」と天然に護星天使の使命を語り出すアラタは、新しいタイプのレッドの面目躍如でとてもチャーミングでした。今後もこういうシーンを変身戦闘の間にしっかり配置して、お話としての密度を作っていってほしいですね。

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乾パァァイの歌

2010-02-21 16:24:15 | スポーツ

男子フィギュア総合4位フィニッシュとなったものの、SPのウィリアム=テル、フリーの椿姫と、オペラ仕立てで氷上演技力を披露してくれたスイスのステファン・ランビエール選手。ワザ的には4回転いささか着氷怪しめなトゥループから強引にとってつけたコンビネーションがいっぱいいっぱいだったので、我らが高橋大輔選手の下になったのは仕方がないかなと思いますが、ドラマチックな表現力は歴代の名選手に遜色無かったのではないでしょうか。

ロシアの闘う皇帝=プルシェンコ選手が飽くことなく一石投じ続ける“4回転論争”も意味無しとはしないけれど、何回回ったってことを抜きに、とにかく名曲に乗せて確実に美しく滑走し演技してくれる、こういうタイプの選手がいるからこそフィギュアスケートは楽しいし、現代まで廃れることなく発展もしてきたと思う4位なら女子シングル終了後の公式エキシビションで、氷上姿がもう一度見られそうですね。

嵐のようなブーイングの中、なぜか地元カナダ選手より低い得点になったアメリカのジョニー・ウィアー選手ももう一度見たかった。

さて、ランビエール選手24歳、月河家族によれば「セイン・カミュに似てるね」だそうですが、ふとした瞬間、ますだおかだおかだに似てませんか。開会式で、スイス選手団の旗手をつとめていましたよね。アレでアップになったときから思っていたんですよ。フィギュアスケーター、演技本番では多少なりともメイクしますが、旗手のときはさすがに素顔でしょうから、なおそう思ったのかも。

何だろう、顔の上半分に比べて、下半分、特にクチ周りがゴムっぽいような、不思議なもちもち感なのがそう思わせるのかな。心肺機能に効率よさげな鼻の穴のせいかしら。

ま、M1優勝前後メジャーになりかかった頃のおかださんは「TOKIO長瀬似」を自分で力説するなど、お笑い芸人界限定でイケメンをもって任じているようなので、似ていると言っちゃってもランビエール選手にそう失礼ではないでしょう。スケート選手ですからお互いに寒い所で、スベってなんぼ”

…………………閉店ガラガラ。

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切れ者 うつけ者

2010-02-20 15:37:36 | スポーツ

男子フィギュア織田信成選手のシューズのヒモはどうしちゃったんでしょう。何も4年に一度のオリンピック、それも初出場、SP4位でフリー最終組に入り、下剋上表彰台いけるかという“ここぞ中のここぞ”でタイムリーに切れなくてもね。

 「ちやつぷりんとかいう毛唐の役者の真似なんかしてんじゃねえ、末裔まで南蛮かぶれかコラァ」と怒った明智光秀の怨霊の仕業だという説が世論の大勢を占めていますが(?)、ヒモ以前に、入りから演技も表情も硬く平常心を欠いていたことは否めないでしょうね。いい成績をおさめるときの織田選手はもっと柔らかいし闊達。

 アクシデント及び結果に直接の関係はないでしょうが、チャップリンメドレーというプログラムもどうだったのかな。この手の選択は本当にアナログでファジーで、紙一重の厚みにうまーく着地するか、滑り落ちるか、突き破って沈むかは賭けみたいなものだけど、ああいうコメディタッチの、オペレッタみたいな動きって、手足の長い、正統派の白皙の貴公子的な人がやってこそ映えるし、しっかりコメディして見えるたぐいの演し物ではないかと思うのです。22歳だけれどあの通りの童顔で、身長公称164センチ、欧米人から見るとどうしたって幼く、ローティーンに見えかねない織田選手を、持ち前の柔軟性やスピード感を活かしつつカッコよく芸術的に見せるのに、出した答えが“チャップリン”というのは、もうチョット何かなかったかな…と思ってしまいますね。喜劇って、演者にあり余るほどの余裕がないと、喜劇として成立しないんですよ。

競技前からシューズに一抹の不安がよぎりつつだったのか、どうかわかりませんが、少なくとも今大会限定で見る限り、晴れ舞台なればこその良き緊張を含めて“演技することを楽しんでいる”気持ちのはじけは伝わりませんでした。

 それに比べ、銅メダルをつかんだ高橋大輔選手のプログラムは、織田選手のそれと同じ“芸能”“滑稽”を地合いに持つものでしたが、“野性味”“哀感ある粗野さ”“トッポい感じ”で実に見事にご本人の個性と協奏した。

ニーノ・ロータ作曲。フェデリコ・フェリーニ監督『道』。このプログラム初見では「名曲過ぎるだろ!こなせるの?」と思ったけれど、映画の主人公ザンパノを意識してかもみあげを伸ばし、頬もいい感じにこけて、曲想や曲の孕む物語世界とシンクロしようとするご本人の努力も伝わって来ました。今季競技本番ではまだ一度もクリーンに決まっていない4回転ジャンプを「失敗してもともと!」の意気で思いっきり序盤に持ってきたのも、結果論ですが正解でしたね。あの転倒でエンジン点火したような勢いが出ましたからね。

銀に終わったプルシェンコ選手がぶち上げた“4回転論争”については、彼の信念と、何より実績に基づく意見だから説得力があると思いますけれど、結論、何とも言えませんね。“4回転に挑んで無惨に失敗したけど、その他はまあまあな演技”と、“4回転最初から捨ててまあまあな演技”とだったら、前者に高得点がついて当然だし、つくべきだと思うし、ついてこそスポーツだと思う。

しかし、“すべてを4回転のために組み立て、その4回転が無惨に失敗したけど、その他は完璧な演技”と、“アタマからフィニッシュまでこの世のものとは思えないほど完璧だけど、4回転は最初から入れてない演技”とだったら、いったいどちらを上に評価すべきなのか、かなり悩むと思います。

プルシェンコ選手が「フィギュアという種目の進化の証し、これができてこそチャンピオン」と力説する4回転も、シロウトの観客の目からは、結局、全体の演技の中で効いていなければそんなに有り難味も、感動もない。月河なんか正直、録画のコマ送りででもチェックしなければ4回転と3回転の違いがわかりません。札幌やインスブルックの頃のフィギュアスケートって“高く跳んでたくさん回るのが何よりの醍醐味、技量の見せどころ”というスポーツではなかったように思うし、SPでのステファン・ランビエール選手のウィリアム=テルや、フリーでのジョニー・ウィアー選手の『堕天使』のほうが、“4回転跳んだるぞ”演技よりずっと胸に来たことも確か。

プルちゃんが、プログラム浅い段階で43コンビネーションを成功させた後のいくつかの3回転に往年の軸ぶれなさがあり、つなぎのステップに往年のスピード感があったら、力説にももう少し迫力があったかもしれませんね。さしもの皇帝も、五輪最終ラウンドフリーまで来ると、3年間のブランクと勤続疲労が出たか。

一週間前『ミラクルボディー』で4回転へのこだわりと闘志を数々の映像検証で披瀝してくれたブライアン・ジュベール選手は、SPからいきなり本調子を欠いたようですね。フリーではどのグループの、何番めの滑走順に入ったのか、巻き戻してチェックするのが難儀なぐらい下になってしまいました。あんまり打倒プルシェンコを意識し過ぎて、競馬で言う“追いかけバテ”というやつか、普通に体調が悪かったのに強行出場したツケか。

月河の家族高齢組が「いちばんかわいい♪」と押す小塚崇彦選手が、伸び伸び滑って8位。4回転のクリーンなトゥループは、ジャッジも最終組のひとつ前の順ということで目が覚めてなかったのかもしれませんが、もっと評価されてもいいのにね。姿勢がきれいですみずみ手足も伸びているので、演技全体の見映えが技術以上に良く見える。演技の持ち味は日本人3人の中でいちばんノーブル、でもアップになると反っ歯のあどけないお兄ちゃん。そのギャップもいいですよね。20歳、まだまだ伸びしろもあるでしょう。

その小塚くんのコーチが、このほどスケート殿堂入りした1960年代の日本代表・佐藤信夫さん。教え子が、表彰台には届かなかったけど内容がよく客席の反応も最高でうれしそうでしたね。娘さんでアルベールビル・リレハンメルの代表だった佐藤有香さんはアメリカのジェレミ‐・アボット選手のコーチをつとめておられますが、こちらのほうがよりコーチらしい貫禄になっていた。採点を待つコーナー=キス&クライではよく、細身の選手の脇にド迫力メイクのおばちゃんコーチや、ヒゲや白髪混じりロン毛のホッキョクグマみたいなおっちゃんコーチが寄り添っていますが、有香さんもいまやヴィジュ面では見劣りしませんな。アボット選手9位、小塚選手より上に持って行きたかったかな。実家に帰って信夫お父さんに「オマエはまだまだだ、殿堂は遠い」とか言われるのかな。

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露と消える

2010-02-18 17:09:20 | スポーツ

フィギュアスケート・ペアでロシア代表として出場した川口悠子選手は、表彰台に届かなかったことやスロージャンプでミスしたことより、フリー直前にコーチから4回転ジャンプをやめ3回転に」と指示されたことのほうがショックだったようですね。タマラ・モスクビナコーチは川口選手が10代のときに「どうしても貴女の指導を受けたい」と何度も手紙を送って、再三謝絶されてもあきらめずようやく師事を許された人。直前になってプログラムの難易度をひとつ落とすというのはかなり厳しい決断だと思います。「ずっと4回転前提で練習してきたのに、そんなに調子悪く見えたのかしら」「思っていたほど実力がないと思われたのかも」と気持ちが千々に乱れたことでしょう。整理のつかない心理のまま敢行した演技では、ベストの出来は当然期待できません。

1998年の長野でロシアペアの演技を見て、シングルからペアへの転向を志したという川口さん、念願のモスクビナコーチのもとでトレーニングを積みつつ、ロシア語を学びサンクトペテルブルク大学で学位取得、国籍を日本からロシアにかえる努力の末ロシア五輪代表の座を射止めましたが、こういう結果に終わってみると、彼女の内なるモティベの中で、“コーチ愛”の占める割合が多過ぎたかな?とも思うのです。

ペアスケーティングで世界を目指すなら、アスリート的情熱のベクトルはコーチより、パートナー間に向かうのが自然ではないでしょうか。今大会のパートナー=アレクサンドル・スミルノフ選手とは06年から組んでいるそうですが、彼の、もしくは川口選手の力量が不足だったわけではなく、何となく両者の間に通い合う、同じ目標を視野にしての情熱の量、温度が足りなかったような気がする。金メダルの中国ペアはペア歴1992年から数えて実に18年、2007年からはご夫婦になっています。

モスクビナコーチは、1960年代の旧ソ連時代に活躍したペアスケーターですが、オリンピックでのメダルはありません。とにかく当時の同国のフィギュアスケート界は、特にペアに関しては他国の追随を許さない層の厚さでした。98年長野の後、川口さんから師事の申し込みがあったとき何度も断った背景には、異国の若手選手に携わることへの違和感以上に、当時からひそかに凋落の気配を見せていた自国のフィギュア事情が念頭にあったかもしれない。今般男子シングル戦線に27歳で復帰したエフゲニー・プルシェンコ選手もどこかの媒体で「母国の若手が予想外に伸び悩み、オリンピックでのメダルが厳しくなってきた(から自分が復帰した)」と言っていた通り、“疑惑のジャッジ”で採点法根本改正に至った2002年ソルトレイク辺りから、ロシアに往年の、手のつけられない独走充実はみられなくなりました。

結果論だけど、直前のプログラム変更で4位に沈む程度のペアを代表に選ばざるを得ないところまで、ロシアのフィギュア界は人材枯渇していたのです。オリンピックのためだけに、“法的に日本人でなくなる”選択までした川口選手は残念ながら、狙いが悪かった、と言うより“狙いのタイミングが悪かった”という気がしてならない。いまさらこんなことを言っては傷口に塩塗るような話だけど、シングルを続けて荒川静香選手に伍する手は無かったものかな。体格的、資質的に挽回不能と見てのペア転向志願だったのかしら。

川口選手、今年11月に29歳。次ソチ五輪の2014年には32歳になられるわけですが、今大会優勝の中国ペアの女性・申雪選手は31歳、3度めのオリンピック挑戦での金メダルです。心折れずにもうひと声を目指すなら、可能性はじゅうぶんにあります。失意の競技直後ぶらさがりインタヴューで、日本人記者の質問をパートナーに流暢にロシア語通訳する川口さんは、日本人としてあっぱれな貫禄もありました。指導者、あるいは国境を越えんとするアスリートのためのコーディネーターとしても活躍してほしい。落ち込まないで、“上を希望する志し”だけは失わないでもらいたいと心から願います。

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護星者

2010-02-17 21:53:39 | 特撮・ヒーロー

やっぱり新戦隊は、どんな新番組よりも第1回の視聴、ワクワクしますね。なんたってメンバーのキャストがほぼ“初モノ”の新人さんだし、造形、武器、必殺技ギミックに敵キャラ、すべてが真っさらのさらさらなので、自然と前のめりになります。

14日バレンタインスタートの『天装戦隊ゴセイジャー』、スーツ姿のスチールは紙媒体や公式プレサイトでチェック済みでしたが、放送を見て改めて発見。近年なかった、立体クチビル付きマスクなんですね。ゴーグルの下の、アゴまでのシルバー部分にくっきり。後半の名乗り変身決めポーズ後、横顔からキラッとカメラ目線(?)になるカットで、思わず「…い、色っぽい」と生唾のんでしまいましたよ。でも、変身バトル中に台詞を言ってもクチビルが動くわけではないのね。天使ですからね。人の顔カタチに似せて作ったということなんでしょうね。

戦隊の初回は概ねどの作品も“レッド回”ですが、ゴセイレッド=アラタ役の千葉雄大さんはまったく新しいタイプのレッド像を作り上げてくれそうです。名前は“雄大”ですが、ルックスは“繊細”そのもの。色白でスレンダーで、パルミジアニーノの『聖母』ばりの首長さん、おまけに小沢健二さんみたいなストレートショートで、ヴィジュアル的には“たくましさ”とか“頼り甲斐”とは対極にあるんだけど、でもキャラとしてはしっかりレッドでリーダーしている。

ここのところのレッドは、ハート、ソウルだけは誰より正義漢だけれど、人間的には未熟で成長途上で、その成長の勢いでメンバーを引っ張るようなところがあり、その上に“癒し系”や“やんちゃ”“人見知り”などの味付けが施されることが多かった。千葉さんのアラタは“ピュア”“天然”で、自分も他人をも疑うことを知らない、その無鉄砲さがいちばんの武器という感じ。「天使で戦士」設定なればこそのレッド像ですね。塊のミゾーグの瓦礫団子にメンバーが取り込まれてしまってから、チェンジカードもないのに生身で「オレは絶対にあきらめない!」と向かって行く場面は、しっかり強そうに見え“レッドは別格”感がありましたから。

レッドがひたすらピュアな分、男子メンバー他2人は、ブルー=ハイド(小野健斗さん)がクソ真面目まっしぐらでときどき融通が利かず、ブラック=アグリ(浜尾京介さん)が熱っつくて直情径行、ときどき独断専行という、かつてのレッドたちがおもに備えていた要素をうまいこと肩代わりしてくれていますね。ハイドには『超星艦隊セイザーXのアドさんに通ずるところもあって、こなれてきたらアラタ以上に天然ボケ炸裂しそう。ひとりだけ茶髪のアグリは微量オレ様入っていて『マジレンジャー』の翼も『ボウケンジャー』の真墨をも思い出させる。クールではない“ホットなオレ様”と言えば、『デカレンジャー』のバンも序盤それっぽかったか。

無理やり捜して欲を言えばですが、女の子ふたりが、epic 1(←“第1話”ではなくこう言うんですよ)段階ではちょっとまだキャラ分けが不分明かな。ピンク=エリ(さとう里香さん)は楽天家ながら結構ちゃっかりさんで、イエロー=モネ(にわみきほさん)はお兄ちゃんのアグリ同様強気な熱血さんのようですが、どちらもおおらかさや、バトルに行っての豪胆さが共通しているし、設定年齢も近そうで、近年の“女子2名戦隊”に比べると色分けが弱いと思う。まぁここらへんは、早晩来るであろう“ガールズ回”までのお楽しみでしょうね。

「全員、地球人類ではない」設定でスタートする戦隊というのもしばらく無かったと思います。ここのところの戦隊シリーズ、SFメカニック系とファンタジーお伽噺系が交互に来ていましたが、順番としては今年はメカニック年に当たるんですよね。変身して等身大サシで戦ってる分にはいいんですが、巨大ロボ戦になると、どうもメカニック系に比べてファンタジー系は分が悪かった。お話の地合いになじませるのにひと工夫要るんですよ。『マジレンジャー』は“勇気で獲得する魔法”で貫き、先々週終了した先輩戦隊は“先祖秘伝のツールと、使いこなすための特殊能力の鍛錬”で辛くも押し切った。『ゲキレンジャー』は基本、徒手格闘技のヒーローなので、巨大化ロボに乗り込んで、換装強化しつつ戦うということと相性がよくなく、物語は良かったのに巨大化戦になるたびにテンションが下がりました。

今般のゴセイジャー、“天使”でメカニック路線というのもちょっとなじみにくいかなと思いますが、epic 1でのハイドによると、人間界で人間に護星天使と知られると、その人間の記憶を消さなければならないという不文律があるらしく、そういう意味でのSFチックな“気配”はあります。天使ゆえのいい意味の浮き世離れ感みたいなものが醸成できれば、新鮮かつ楽しい戦隊になりそうです。

さて、そんな案配で記憶を消されそうになった人間少年の望役・中村咲哉さんはNHK朝ドラ『瞳』の将太くんでした。毛布の切れ端落としてびぇーびぇー泣いてたあの子と同一人物とは到底思えな………いというほどではありませんが、1998年生まれ11歳、背が伸びて顔も小さくなったし、滑舌もいちだんと上達。子役さんはこれが怖い。

いまのところゴセイジャーと接触し認識したのは望くんだけで、ひょっとしたら望くんは天界とチューニングする特殊能力を持っている設定か。でもアラタたちゴセイジャーは人間ではないので、望くんと仲良しになっても最終epicでは悲しいお別れが待っていたりするのかしら。

悪の組織“ウォースター”、母艦“インデベーダー”幹部“ブレドラン”“デレプタ”の名前は映画タイトル由来のようです。epic 1登場の“ベラスカ星人・塊のミゾーグ”は、スカラベ(フンコロガシ)由来まではわかりやすいけど、下は何だろう。ついカイリー・ミノーグを思い出してしまいましたが、んなわけないよね。

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