やっぱり新戦隊は、どんな新番組よりも第1回の視聴、ワクワクしますね。なんたってメンバーのキャストがほぼ“初モノ”の新人さんだし、造形、武器、必殺技ギミックに敵キャラ、すべてが真っさらのさらさらなので、自然と前のめりになります。
14日バレンタインスタートの『天装戦隊ゴセイジャー』、スーツ姿のスチールは紙媒体や公式プレサイトでチェック済みでしたが、放送を見て改めて発見。近年なかった、立体クチビル付きマスクなんですね。ゴーグルの下の、アゴまでのシルバー部分にくっきり。後半の名乗り変身決めポーズ後、横顔からキラッとカメラ目線(?)になるカットで、思わず「…い、色っぽい」と生唾のんでしまいましたよ。でも、変身バトル中に台詞を言ってもクチビルが動くわけではないのね。天使ですからね。人の顔カタチに似せて作ったということなんでしょうね。
戦隊の初回は概ねどの作品も“レッド回”ですが、ゴセイレッド=アラタ役の千葉雄大さんはまったく新しいタイプのレッド像を作り上げてくれそうです。名前は“雄大”ですが、ルックスは“繊細”そのもの。色白でスレンダーで、パルミジアニーノの『聖母』ばりの首長さん、おまけに小沢健二さんみたいなストレートショートで、ヴィジュアル的には“たくましさ”とか“頼り甲斐”とは対極にあるんだけど、でもキャラとしてはしっかりレッドでリーダーしている。
ここのところのレッドは、ハート、ソウルだけは誰より正義漢だけれど、人間的には未熟で成長途上で、その成長の勢いでメンバーを引っ張るようなところがあり、その上に“癒し系”や“やんちゃ”“人見知り”などの味付けが施されることが多かった。千葉さんのアラタは“ピュア”“天然”で、自分も他人をも疑うことを知らない、その無鉄砲さがいちばんの武器という感じ。「天使で戦士」設定なればこそのレッド像ですね。塊のミゾーグの瓦礫団子にメンバーが取り込まれてしまってから、チェンジカードもないのに生身で「オレは絶対にあきらめない!」と向かって行く場面は、しっかり強そうに見え“レッドは別格”感がありましたから。
レッドがひたすらピュアな分、男子メンバー他2人は、ブルー=ハイド(小野健斗さん)がクソ真面目まっしぐらでときどき融通が利かず、ブラック=アグリ(浜尾京介さん)が熱っつくて直情径行、ときどき独断専行という、かつてのレッドたちがおもに備えていた要素をうまいこと肩代わりしてくれていますね。ハイドには『超星艦隊セイザーX』のアドさんに通ずるところもあって、こなれてきたらアラタ以上に天然ボケ炸裂しそう。ひとりだけ茶髪のアグリは微量オレ様入っていて『マジレンジャー』の翼も『ボウケンジャー』の真墨をも思い出させる。クールではない“ホットなオレ様”と言えば、『デカレンジャー』のバンも序盤それっぽかったか。
無理やり捜して欲を言えばですが、女の子ふたりが、epic 1(←“第1話”ではなくこう言うんですよ)段階ではちょっとまだキャラ分けが不分明かな。ピンク=エリ(さとう里香さん)は楽天家ながら結構ちゃっかりさんで、イエロー=モネ(にわみきほさん)はお兄ちゃんのアグリ同様強気な熱血さんのようですが、どちらもおおらかさや、バトルに行っての豪胆さが共通しているし、設定年齢も近そうで、近年の“女子2名戦隊”に比べると色分けが弱いと思う。まぁここらへんは、早晩来るであろう“ガールズ回”までのお楽しみでしょうね。
「全員、地球人類ではない」設定でスタートする戦隊というのもしばらく無かったと思います。ここのところの戦隊シリーズ、SFメカニック系とファンタジーお伽噺系が交互に来ていましたが、順番としては今年はメカニック年に当たるんですよね。変身して等身大サシで戦ってる分にはいいんですが、巨大ロボ戦になると、どうもメカニック系に比べてファンタジー系は分が悪かった。お話の地合いになじませるのにひと工夫要るんですよ。『マジレンジャー』は“勇気で獲得する魔法”で貫き、先々週終了した先輩戦隊は“先祖秘伝のツールと、使いこなすための特殊能力の鍛錬”で辛くも押し切った。『ゲキレンジャー』は基本、徒手格闘技のヒーローなので、巨大化ロボに乗り込んで、換装強化しつつ戦うということと相性がよくなく、物語は良かったのに巨大化戦になるたびにテンションが下がりました。
今般のゴセイジャー、“天使”でメカニック路線というのもちょっとなじみにくいかなと思いますが、epic 1でのハイドによると、人間界で人間に護星天使と知られると、その人間の記憶を消さなければならないという不文律があるらしく、そういう意味でのSFチックな“気配”はあります。天使ゆえのいい意味の浮き世離れ感みたいなものが醸成できれば、新鮮かつ楽しい戦隊になりそうです。
さて、そんな案配で記憶を消されそうになった人間少年の望役・中村咲哉さんはNHK朝ドラ『瞳』の将太くんでした。毛布の切れ端落としてびぇーびぇー泣いてたあの子と同一人物とは到底思えな………いというほどではありませんが、1998年生まれ11歳、背が伸びて顔も小さくなったし、滑舌もいちだんと上達。子役さんはこれが怖い。
いまのところゴセイジャーと接触し認識したのは望くんだけで、ひょっとしたら望くんは天界とチューニングする特殊能力を持っている設定か。でもアラタたちゴセイジャーは人間ではないので、望くんと仲良しになっても最終epicでは悲しいお別れが待っていたりするのかしら。
悪の組織“ウォースター”、母艦“インデベーダー”幹部“ブレドラン”“デレプタ”の名前は映画タイトル由来のようです。epic 1登場の“ベラスカ星人・塊のミゾーグ”は、スカラベ(フンコロガシ)由来まではわかりやすいけど、下は何だろう。ついカイリー・ミノーグを思い出してしまいましたが、んなわけないよね。