一枚のアート。

立冬の桜。
不思議だ。
春にはあれほど人が花に酔いしれたのに、この今の時期の桜には誰も見向きもしない。
空、哀しそうな薄いブルー、冬空だね。
冷たい色、薄情な灰色、温もりを奪う罵声の風、
みんな冬の顔。
そんな立冬のなかで別れを教える桜の染まった一枚、
素敵だよ・・・綺麗だよ、誰も注目してくれないアートの会場、
でも、私は時間をかけて、ゆっくり見てあげるから、
最後だし。

一枚。

私のお気に入りがこの一枚
晩秋のこの時期に描かれる
一枚の桜の紅葉
いつも
春のアート展が有名で
多くの鑑賞者で溢れるけど
この秋のアート展今一人気がなくて
誰も訪れない
誰も歩かない
いつもの散策アートの小路
なぜ
いつも想うひとつの疑問　

微妙な色彩
複雑な色使いで描写された一枚　
テーマは別れ
素敵な一秋限りの一枚を　
時間をかけてゆっくり観賞出来るのに
誰も来ないね
冷たい土のベンチに座って桜に話しかける
いい一枚だね
これなら春の作品に負けないよ
嬉しい
そう言って
一枚の枯れ葉が
風のなかで
楽しそうに舞っている。