・・・
春日記「蓬」
今日書きたいのは蓬の新芽、いまだにセピアの草地が街の地表の大部分を占めているなかで、ようやく小さな赤ちゃんの手の大きさになった蓬。
その新芽の鮮やかさは雨後の水滴の瑞々しさ、小さな一粒の真珠の輝き、
初心な蓬の一葉を手にして嗅ぐと、新鮮な爽やかな野生の薫りに誘惑され、
衝動に駆られ、千切って断片を口に含むとえぐい薬草の味が広がる。
この味、春の野草の匂い、苦味、そして亡くな . . . 本文を読む
・・・
今日の春日記は空、
朝、いつも目を覚まし薄汚れたカーテンを少し開け、漠然と見詰めるのは空、
おお!・・・晴れているな、でも冷たい青空、
どう観ても今日の空色は冬空、綿を摘んで千切ってばら撒いた空、
消し炭を主成分に不透明な濃い乳白色で調合された冬独特の色彩の雲、
適当に散らばっているみたいだけど、互いに牽制しながら隙を疑っている悪者、
空が澄んでいる分だけ冷たく、凛として寒い。
どの角度か . . . 本文を読む
―
雛祭りが過ぎ、少し夜明けが早く感じられるようになって来た3月、
今日はなぜか少し暗いな・・・そう思いながら外を見ると厚い雲に覆われている。
雨かな、そう思って天気予報を見ると晴れ、
ようやく今日は一息つけるか、そう思いながら平凡なデザインのマグに熱いお湯を注いで、いつもの珈琲の温もりを両手に感じながら味合う。
美味しい・・・いつものインスタントがなぜか美味しく感じる。
まあ、こんな非凡な日もあ . . . 本文を読む
―
小刻みに震える寒さが抱きついて来た昨日から、一転した肌寒い朝のなかを歩きながら、
少し歩いて立ち止って、深い溜息混じりの息を吐くと白い。
もういいか?3月も過ぎたことだし、そう思いながら素肌の感覚を楽しもうといつものように靴下、手袋を捨て、手足を曝け出しながら少し歩くと冷たい。
「くそ!まだ寒の戻りが居座っているのか・・・」そう思う空なのに、
泣きそうな表情がなぜか崩れてこない。
無印作品
. . . 本文を読む
―
雨か?この雨が春を加速させるだろうな・・・
北の標高の低い峰々から雪を融かし始めていく春の雨、生きているすべてのものにとって大切な恵みと潤いを齎す雨。
これで私の肌も少しは潤うかな?そう思う雨、
夜が明けたら先が細くなって来て、この分だと昼には上がりそう。
潤い
春の潤い
冬の凍てつきでガチ・・に乾いていた土が
ようやく潤いが戻り
やわらかいしっとり肌に戻っている
春の柔肌土の匂い
甦 . . . 本文を読む