笑うかどには福きたる

日常生活で見たこと、聞いたこと、感じたことを牧歌的にのんびりと書いています。

文庫版 「ローマ人の物語」  8巻~13巻(カエサル上下)読了

2020年04月11日 17時39分02秒 | 読書

この本、出版当時から気になっていたのですが、ずーっとそのままになっていました。
で、なんで今回読んだか、という理由を時系列に書くと、

1.年末年始のお休みに、アマゾンプライムで「ROMA」を観たこと
2.NHKのお正月番組に著者である塩野七海さんと学生たちとの対談番組を見て、「そういえば、ローマ人の物語、読みたいと思ったまま読んでなかったな~」と思い出したこと
3.1月下旬に父が亡くなり、休日毎に出向いていたホームへのお見舞いが無くなってしまい、一気に「することが無くなってしまった」こと
4.「心の穴は"活字"で埋める」が、昔からの私の"悲しみの癒し方"であること

でしょうか。。しかも登場人物たちのビジュアルが「ROMA」で出来ていたこともあり、塩野さんの本の面白さもありで、どんどん読み進めることができました。

それにしても、私はカエサル(シーザー)のこと全然知らなかった、ということがよ~っくわかりました。正直、「シーザーとクレオパトラ」とか「ブルータスお前もか」程度の知識(知識と言わない)しかありませんでしたから。

カエサルを知らずして、西洋史を語るべからず(自戒を込めて)、です。
(ちなみに、古代ローマ軍を知らずしてイタリアサッカーを語るな、とも思った次第です(^_^;))

政敵から逃げ回っていた10代20代、国政の端っこに身を置きながら力を溜め、時が来るのを待った30代、そして西ヨーロッパ遠征の40代半ばから、スペイン遠征と「来た、見た、勝った」の50代半ばまでのカエサルの人生の大部分は「武人(軍人)」です。西ヨーロッパと地中海周辺のほぼ全域をローマの傘下に納め、政治家として国内改革に着手しようとした矢先(ほんの1年程で)、暗殺されてしまうのです。
また、物書きとしての才能もあり、遠征報告として出版された「ガリア戦記」は当時ベストセラーになったとのこと。「ローマ人の物語」では「ガリア戦記」の記載もあるのですが、もちろんこちらも読んでみました。(講談社 國原吉之助 訳) 

なんなのカエサル、でございます。

「ガリア戦記」には、超能力者も魔法使いもドラゴンも出てきません。
2000年前の"人間"がヨーロッパを歩き回り、ありとあらゆる戦いに勝った記録です。
面白かったのはドラマ「ROMA」に出てくるプッロとヴォレヌスのモチーフがあること(P186-197)。「ROMA」については、また後日書きたいと思います。

カエサルが、なぜ有能なのか、いかにしてその有能さを現実に発揮したか(発揮できたのか)という塩野さんの視点は、2000年前も2000年後の今も大きく変わらない、というのが正直な気持ちです。
特に「指示を箇条書きに書く」という一文に、個人的にはとても魅かれます。
なぜなら、箇条書きって、頭の中がきちんと整理されていないとできないですから。全体を見ながら、緻密に、計画的に、リカバリーも考えながら、作戦を実行していたんだろうな、と思えるから。
そして、カエサルを殺したのが人間の「利権、嫉妬、疑惑、恐怖」にかられた人々によるもの(「不満な人々」12巻 P197)であることも、2000年後の今となんら変わっていないんだな、と、しみじみ思います。

「人間なら誰にでも、現実のすべてが見えるわけではない。多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない」

塩野さんが作中何度も引用するカエサルのこの一言を、自戒も込めて、覚えておきたいと思います。

さて現在、同じシリーズ、3,4,5巻の「ハンニバル戦記」を読走中。
「緊急事態宣言」の自粛期間、読書三昧で過ごしますよ~(^^)/♪
コメント (4)
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