大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

鳴かぬなら 信長転生記 115『目指せバケツ谷』

2023-03-28 14:59:55 | ノベル2

ら 信長転生記

115『目指せバケツ谷信長 

 

 

 篠突く雨の中、行軍しつながら再度出した偵察隊が戻って来る。

 

「御注進! 御注進! 敵はバケツ谷にて休息し雨やみを待っております!」

「俺たちも雨宿りするか、もうパンツの中までグチュグチュだし(^_^;)」

 桃太郎が情けないことを言う。

「このまま前進だ! 敵の軍列は伸びきったままバケツ谷で停まっている。ならば、三千の軍勢でも容易に本陣が突けよう! 大将の首さえ獲ってしまえば、この戦は勝ちだ! このまま突撃しろ!」

「あ、でもでも、雨の中走ったら体が冷えて……」

 そこまで言うと、桃太郎は人よりも大きな顔を寄せてくる。

「な、なんだ(;'∀')!?」

「オレ、お腹弱いから、冷えると……したくなる」

「え、なにがしたくなるのだ?」

 すると、いっそう顔を寄せてくる。

「……鶴ちゃん、いい匂いがする(#^o^#)」

「か、嗅ぐんじゃない!」

「ごめん、ウ〇コしたくなる(#^皿^#)」

「すればいいだろ! 早飯早グソは武将のたしなみだ!」

「だって、こんなゴチャゴチャと鎧着こんでるし」

「戦国武士は鎧を着たままするのが嗜みだ、常識だろーが!」

「え、どうやって?」

「戦袴は股が割れていて、しゃがめば開く。フンドシは前に垂らさず、上に伸ばして首の後ろで紐を括る。そうすれば、紐を緩めるだけで用が足せるんだ。常識だろーが」

「知らなかった! パンツだし!」

「グヌヌ、もう馬に乗ったままやれ! 家康は、三方ヶ原でそうやって人気者になった!」

「え、そうなのか!?」

「城に逃げ戻ると、鞍壺にナニが付いているのを家来に見咎められてな。『バカを申せ! これは兵糧の味噌が付いただけのものじゃ!』と言い張って笑いを誘い、負け戦で落ち込んだ空気をほぐしたんだ」

「なるほど……」

「大将というのは、多少人間的な弱みやおかしみがあった方が人が懐く。しかし、わざとやったら、ただの鼻つまみ者だ……って、寄ってくんな!」

「いや、鶴ちゃんも首の後ろで紐括ってんのかなって……いや、めんごめんご(^0^;)」

「さっさと号令を掛けろ、勝機を逃すぞ!」

「よし! 皆の者! 敵はバケツ谷の底にあり! 狙うは大将の首一つ、歯向かう者は切り捨て打ち捨てよ! 逃げる者は追うな! 大将の首が取れたと知ったら、組打ちの最中であろうと、戦場(いくさば)を離れ、お爺さんお婆さんの待つ村に駆け戻れ! 行くぞ!!」

 

 おお!!

 

 クソの話で完全に解れた桃太郎軍は、そのままバケツ谷を見下ろす崖の上に至り、桃太郎が先頭を駆けて、ノリと勢いのまま敵の赤鬼大将の首を獲ってしまった。

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚

 

 

 

 


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