大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・138『一本早い電車に乗った』

2024-11-03 12:03:10 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
138『一本早い電車に乗った』   




 寝付けなかったわりには早く目が覚めて、いつもより一本早い電車に乗った。

 6組の佐伯さんのことと、それを受けて屋上で開いた臨時MITAKAのせいだ。

 一つ手前の寿町が近づくと、ドアのそばで唸り声。

 う~~~ん

 大荷物抱えたお婆さんが下りるのに苦労している。モンペに地下足袋、頭に手拭い巻いて、電車で時どき出会う行商のお婆ちゃん。
 たいていは二三人のチームで、荷物持って乗り降りの時は助け合ってキビキビ動いてる。
 でも、今朝は何かの事情で一人で乗って、仲間の補助が無いから苦労してるんだ。

「だいじょうぶですか!?」

 声をかけた時は、もう荷物の端っこを持ち上げている。

「あ、どうもありがとうございます(^○^;)」

「いいえ」

 背負った大荷物を介助をしながらホームに出て……この時代、ホームにエレベーターなんか付いてないから、そのまま改札を出るところまで付き合ってしまう。

「ほんとうに、ありがとうねお嬢ちゃん。電車出ちまったけど、だいじょうぶ?」

「あ、はい、隣の宮之森だし、一本早いのに乗ってたし(^_^;)」

「そう、でもほんとうにありがとうございました」

「は、はい、じゃあ(^_^;)」

 とどめのありがとうが照れくさくって、そのまま宮之森目指して歩き始める。うまく道を拾っていけばいつもの時間に学校に着ける。

 
 ええと……こっちだったかなあ。


 滅多に通らない寿町の路地を進む。見覚えのあるお屋敷の角を曲がって……うん、あの祠を過ぎたら商店街に抜ける道!

 え?

 祠の向こう側、祠の壁に手をついてゼーゼー言ってるジャージ姿にビックリ。

「え、御神楽さん!?」

 バイトの結婚式場以外ではめったに見かけない御神楽さん(じつは須世理姫)が死にそうなくらいにくたびれている。

 文化祭のサポートに来てくれた時以外は外では見かけない御神楽さん。当然巫女服じゃないけど、下と上で紅白のジャージなので雰囲気は巫女さん。

「あ、ああ、地獄でグッチ。ちょっとエネルギーちょうだいね」

「え、あ、だいじょうぶ!?」

「おお、朝から人助けしたね、いつもよりエネルギーが多いよ……あ、ああ、なんとか一息だわぁ」

「あの、どうしたんですか?」

「佐伯さん、生き返らせてたのよ……」

「え……ええ!?」

「ちょっと待って……」

 御神楽さんが手を振ると床几が出てきて、とりあえず祠の横に並んで座る。

「あの子、そんなに切羽詰まっていたわけじゃないのよ」

「そ、そうなの!?」

「いや、理由はあるわよ。人間関係がヘタで、ちょっと孤立はしてたのよ。それが、金原さんが亡くなったのに地味に影響受けちゃっててね」

「あ、ああ……」

 それは、先生やあたしたちも心配していた。こういうのは伝染しやすいって。

「あの子の愛唱歌は『学生時代』なのよ」

「学生時代?」

「ああ、ほら、こんなの……」

 御神楽さんが指を回すと聞いたことのある曲が流れた。

――蔦の絡ま~るチャ~ペルで 祈りを捧げた日~♪――

「これの二番がね――讃美歌を歌いながら清い死を夢見たぁ♪――なのよ」

「えええ、そんなことでぇ!?」

「いや……それが、引き金になったのが文化祭の【ウェディングパラダイス】なのよ」

「え、なんで【ウェディングパラダイス】が原因で死のうと思うんですか!?」

「すてきすぎたのよ」

「え、ええ?」

「グッチたち、めちゃくちゃ楽しそうだったでしょ」

「あ、そりゃもちろん」

「17歳っていえば、人生でいちばん輝いてる歳でしょ。それが女の晴れ着、花嫁衣裳をクラスの女子全員が身に着けて、いっそうキラキラしちゃってさ。まあ、疎外感……人にも言えないで、金原さんのことも記憶に新しいし、飛躍したわけよ……【ウェディングパラダイス】は、わたしも調子に乗っちゃったからね……

「そ……あ……でも、助かったのなら」

「ほかの神さまの力も借りて、黄泉比良坂で待ち受けて、ついさっきこっちまで引き戻してきたとこ」

「そ、そうなんだ……」

「あ……もうちょっとエネルギーくれる?」

「あ、うん、もうちょっとなら」

「じゃあ……」

 しがみついてきたと思ったら、なんだか急速に力を吸いだされる感じ……あ、ちょっ、それ以上は……(;゚Д゚)

 目の前が暗くなってきて……気が付いたら、学校の正門前に倒れていた。



☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
  
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!50『ポピー畑のドロシー』

2024-11-03 09:14:04 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
50『ポピー畑のドロシー』 




 
「はやくはやく、こっちだお!」


 着陸するとポピー畑に隠れて見えなくなっちまったけど、ライオンは分かっているみてえで、どんどん走ってマユたちを手招きしやがる。

 そいつは、白地に水色のギンガムチェックにフンワリ半袖のワンピースのツィンテールで、ポピー畑の中で眠ってやがった。

「ドロシー、やっと眠ることができたんだねぇ」

 ライオンは、優しく、そいつの髪をなでやがる。

「こいつ、会ったことがあるぞ」

「ええ!」

 ピョン! ドシン!

 気弱なライオンは、1メートルほど飛び上がって驚きやがる。その振動で、半径2メートルほどのポピーがなぎ倒されたぞ。

「マユシー、ドロシーのこと知ってるの( ゚Д゚)!?」

「白雪姫の庭で会った……そう言えば『ライオンさんを探してる』って言ってたぞ」

「それ、ボクのことだお  。゚(゚´Д`゚)゚。 」

「……でもなあ、この子が探してたのは、勇気を誇りにしているライオンさんだって言ってたぞ」

「ボクは、ドロシーの前では勇気あるライオンで通しているんだお……そうか、ドローシーはボクのことを探してくれていたんだお! 感激だお! ガオーー!」

 泣きながら吼えるライオンて始めて見たぞ(;'∀')。

「あの……」

「な、なんだいマユシー……?」

「こいつのことドロシーって呼んでるけど……こいつ、やっぱり『オズの魔法使い』のドロシーなのか?」

「そ、そうだよ。カンザスからオズの国に家ごと飛ばされて……竜巻でね、そいで、家が東の魔女の真上に落ちて、魔女を殺しちゃったんだお。むろん事故だお。でもでも妹の西の魔女が恨んじゃって……あ、ドロシーが、東の魔女の靴を履いちゃったせいもあるんだけどね。それは、魔女をやっつけたものが受け継いで自動的に履くことになっていたから、ドロシーのせいじゃないんだお」

「知ってるよ。ドロシーはカンザスに帰りたかっただけなんだよな」

「そうだお、そしてオズの魔法使いに頼みに行ったんだお。ほら、あのエメラルドの都まで」

 ポピー畑の向こうに、キラキラ輝くエメラルドの都が見えたぞ。

「……ということは、これからオズの魔法使いに会いにいくところなんだな?」

「もう、オズの魔法使いには会ったお。そしてオズの魔法使いに『西の魔女のホウキを取ってきたら、望みを叶えてやる』って言われてきたところなんだお」

「待てよ……ドロシーがポピー畑で眠っちまうのは、エメラルドの都に行く前に西の魔女の魔法にかけられたからのはずだぞ。それに、かかしとブリキマンがいっしょのはず。それと、犬のトトもいるんじゃねえのか?」

「ドロシーは眠れないんだお……( ノД`)シクシク…」

 ライオンは、またひとしきり泣きやがる。

「えぇと、話が見えてこねえんだけどよ」

「確かに、このポピー畑には、西の魔女の魔法がかかっていて、ボクやトトは眠ってしまったけど、ドロシーは眠らなかったお。かかしとブリキマンは脳みそと心がないから眠りようもないんだけどね。でも、ドロシーは眠らないんだ。一見元気そうに見えるけど、このオズの国に来てから一睡もしていないお。エメラルドの都を出てから心配になってきたんだ。この眠らない元気さは異常だって」

 思い出した、白雪姫のところで会ったドロシー……あの元気さは変だ。

「そう言えば、ちょっと元気すぎる感じがしたなあ」

「エメラルドの都でドクターに診てもらったら重度の不眠症だって……で、睡眠薬や催眠術を試してもらったんだけどね、ちっとも効き目がなくて。ドロシーは『構わないから、先に行こう!』って言うし。それでボクたちは、ドロシーを寝かせるために三人で手分けして、ドロシーを眠らせる方法を探しに行ったんだお。まだ、かかしとブリキマンは戻ってきていないみたいだけど……そうか、そうなんだ! ボクたちの帰りが遅いもんで、ドロシーの方から、ボクたちを探しに行って……そして、探し疲れて、ここで……やっと眠ったんだお」

「それは……ちょっと違う……」

 ポピー畑から、ひどく疲れた声がした。

 振り返ると……誰もいねえ。

「ここだよ……ここ……」

 弱々しく声が続いた。

「だれだ……?」

「足もとを見ろよ……」

「足もとぉ?」

 足もとを見ると、ドロシーの飼い犬のトトが、うなじを垂れてお座り……というより気絶寸前だったぜ!

「トト、口がきけるのかお!?」

 ライオンが驚いた。

「ライオンが喋るんだ、犬だってしゃべるよ……」

「こいつは?」

「小悪魔のマユだ、覚えとけ」
 
「あ……悪魔!?」

「おお」

「ギャーーーーーーーーーーーー!!」

 ライオンは、一気に50メートルほど逃げてしまいやがった。

「あ……」

 マユはあっけにとられた。

「あのバカ……(-_-;)」

 トトは、いっそううなだれた。

 三十分ほど説明して、ようやく小悪魔がこわいものでないことを理解させたけど。マユは少し後悔したぞ。落第の話をしたところでライオンのやつゲラゲラ笑いやがる。

「アハハハハ(˃᷄〇˂᷅ ) マユシー落第したのかお! アハハハハ(˃᷄ꇴ˂᷅ ) マユシー面白いお! アハハハハ(˃᷄▢˂᷅ )」

「ああ、もう、おまえら助けるの止めよぉかなあ……」

「いやあ、メンゴメンゴ」

「だって、時間もなあ……」

 わざとらしく時計を見る。リアル時間で5時間、まだいいか。

「で、話はもどるけど、トト、おまえはなんでそんなにくたびれてやがるんだ?」

 トトは、あぐらをかいて腕組みをした。ひどくオヤジに見えたけど失礼だと思って、笑うのをこらえてやったぞ。

「おまえたちが帰ってくるのが遅いから、ボクが見かねてやったんだよ」

「どうやって?」

「羊を数えてごらんて、ドロシーに言ったんだ」

「そんなことで、ドロシーは眠れたのかぁ?」

「ボクだったら、羊が怖くて、できないけどな」

「ドロシーはやったよ。でも100匹ぐらい数えると、いろいろ考えることが頭に浮かんで、ダメになる……そこで、仕方なくボクがやったんだ」

「おまえが羊を数えたのか?」

「羊になったんだ。ドロシーの周りをグルグル回って、目の前に来たときに数えさせたんだ……で、9999匹目でやっと……おかげで、もうクタクタ。左回りに回ったもんだから、左脚が少し短くなったかも」

「そうか……そこまで、ドロシーのために……」

 ライオンが、また泣きやがる。

「もう泣くなぁ、でかいナリして」

 そうして、ライオンは泣き疲れて、トトはもともと疲れてやがったんで、ドロシーといっしょに眠っちまいやがった。

「しかたねえなあ……」

 マユは、三人が目覚めるのを一人で待つことにした。


 ま、そのうちかかしもブリキマンも戻ってきやがるだろうしな……。


☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  


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