魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
59『マユはOFFでルリ子はうさばらし』
――おめぇにゃ関係ねえだろ――
木で鼻を括ったみてぇな応えが悪かったのかもしれねえ。
利恵とは、これまで、いろんなことでぶつかってきた。
校長先生のカツラ事件。片岡先生の恋物語。知井子の件じゃ、狙ったわけじゃねえけど、マユの方が一歩リードしたカタチになってるしなぁ。
あいつ、一瞬だけムッとした顔になって、それからデフォルトのエンジェルスマイルに戻って、腕組みしやがったぞ。
めんどくさいことになりそうだけど、ほっとく。
天使と小悪魔。元々が違う。デーモン先生も関わり持つなって言ってたしな。
あ、ここからは、しばらくナレーターにやらせっから。
マユは、ちょっとOFFにすっぞ。
「さて、どこ行こうか……」
ハチ公前でルリ子が呟く。
学校でのウザかったあれこれを忘れるために、美紀を連れて渋谷にやってきた。
渋谷Tデパートにルリ子の父が出資しているブティックがあるので、そこで私服に着替えられ、遅くなれば、そのままブティックの事務所で泊まることもある。父親は道玄坂にホテルも持っているので、そこで泊ればいいというのだが、いちどもそっちで泊ったことは無い。
渋谷の交差点は大げさにいえば谷底で、どこへ向かっても上り坂になっている。その上り坂の起点であるハチ公前。そこが子どものころからルリ子の渋谷冒険の出発点なのだ。
その出発点の青信号を二回パスして考えている。
「あんまり悩んでると、家出少女みたいだよぉ」
美紀が、モテカワ系のナリで続けた。
「そうだね……」
と、応えたもののルリ子は決めかねた。今日のあれこれはナミのことでは収まりそうもない。いっそ、アキバか池袋か、それとも原宿か考えていると斜め後ろから声をかけられた。
「ねえ、よかったらお茶でもどうよ」
遊びなれた感じの二人組。ルリ子は視野の端に入れただけでシカトした。
「ねえ、よかったらお茶でもどうよ」
遊びなれた感じの二人組。ルリ子は視野の端に入れただけでシカトした。
「ヒマしてんだろぉ。だったら、お互いヒマそうなコンビ同士だからさ、いいと思わない」
「あんたたちの相手してるほどヒマじゃないの」
美紀が、軽くイナシた。
「とりあえず、北」
ルリ子が言った。
「グーーーーーーーーーーゼン、オレたちも北!」
背の高いほうのニイチャン。
「きた……ないのあんたたち」
「「ハ……?」」
デコボコがそろって声をあげた。
「汚いのあんたたち」
「そういうこと」
二人そろって横顔で応える。
「んだと……!」
背高ニイチャンがルリ子の肩に手をかけた。
ええ……!?
背高は一瞬で天地がひっくり返った。
「気をつけてね、ホコリがたつでしょ……」
ルリ子は、こう見えても合気道初段の腕である。ちかごろ稽古はサボっていたが、きれいにきまったので、少し気分がよくなった。
デコボコニイチャンがボコボコニイチャンになって、ルリ子と美紀の足は、駅の西北のバスケ通りに向かった。
バスケ通りは、センター街の一部であるが、チーマー・ガングロ・家出少女などを連想させてイメージが悪いので、地元の商店会でつけた名前。べつにバスケットボールができるわけでもなく。ルリ子としては、あまり気の向くところではない。つまらないデコボコが声をかけてきたし、そいつらをノシた勢いで、とりあえず交差点を渡ったのだ。
デコボコニイチャンがボコボコニイチャンになって、ルリ子と美紀の足は、駅の西北のバスケ通りに向かった。
バスケ通りは、センター街の一部であるが、チーマー・ガングロ・家出少女などを連想させてイメージが悪いので、地元の商店会でつけた名前。べつにバスケットボールができるわけでもなく。ルリ子としては、あまり気の向くところではない。つまらないデコボコが声をかけてきたし、そいつらをノシた勢いで、とりあえず交差点を渡ったのだ。
しかし、ここで思わぬものに出会ってしまった。
マックの前で人だかり。人だかりは、そのまま北に進み、突き当たって西へ。井の頭通り手前の三叉路のところに、荷台がプチステージになったトラックが止まっていて。人だかりの中心から五人の女の子たちがステージに上がった。
「あ、オモクロだ!」
「あ、オモクロだ!」
「なに、それ?」
ルリ子はオモクロを知らない。
「オモシロクローバー。いま売り出し中のアイドルグループだよ」
ステージの上でミニライブが始まった。名前の通り、コントを交えた面白系の歌と踊りで二十分ほど。
ステージの上でミニライブが始まった。名前の通り、コントを交えた面白系の歌と踊りで二十分ほど。
「オモシロクローバー、これからもよろしくお願いしま~す!」
いつものルリ子なら、こんなアイドルともイロモノともつかないハンパなものは十秒とは見ていられないのだが、このときは、つい最後まで観てしまった。
え、なんでだろ?
これが、天使の利恵が仕組んだものだとは、気づかないルリ子だった…。
これが、天使の利恵が仕組んだものだとは、気づかないルリ子だった…。
☆彡 主な登場人物
- マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
- 里依紗 マユの同級生
- 沙耶 マユの同級生
- 知井子 マユの同級生
- 指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
- 雅部 利恵 落ちこぼれ天使
- デーモン マユの先生
- ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
- レミ エルフの王女
- ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
- アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
- 白雪姫
- 赤ずきん
- ドロシー
- 西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
- その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
- 黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
- 光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
- 浅野 拓美 オーディションの受験生
- 大石 クララ オーディションの受験生
- 服部 八重 オーディションの受験生
- 矢藤 絵萌 オーディションの受験生
- 片岡先生 マユたちの英語の先生