巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
初日の昨日は南禅寺の他にも定番のコースを回った。
八坂神社、産寧坂、清水寺と定番の観光コースなんだけど、全員京都は初めてだったので面白かった。
「坂の向こうに見える八坂の塔、素敵ねえ……」
「写真撮ろ……ワ( ゚Д゚)!」
カメラを構えた真知子がファインダーを覗いてつんのめった!
「危ない!」
佳奈子が持ち前の運動神経で支えて事なきを得る。
「ありがとう、佳奈子。危うくお父さんのカメラ落とすところだった(^_^;)」
「いやあ、この坂で転んだら三年寿命が縮まるっていいますからねぇ」
「お産が軽ぅに済むとも言いいますねんよぉ(^○^)」
ロコの脅かしをお土産屋のオバチャンが打ち消してくれる。
「アハハ、お産はまだまだ縁が無いですけどねえ(^_^;)」
「ほんなら、縁結びのお土産とかどないどすぅ」
オバチャンのうまい営業に載って、お守り風の土人形やら清水焼の湯呑なんかを買ってしまう。
日本人が思いきる時の引き合いというか代名詞の清水の舞台では「校舎の屋上ぐらいだねぇ」と夢のないことを佳奈子が言う。
「でも、ここからの景色は一級品だねえ」
「ほんとねえ、京都って空襲に遭ってないから、雰囲気よねえ」
なるほどぉ……お寺とかの瓦屋根が多くて、目に見える範囲で高いのは京都駅近くの京都タワーぐらい。家並の向こうには西山がちょうど頃合いの背景になって、さすが千年の都。
「夕方になったら、この向こうに夕日が沈んで絶景なんだろうねえ」
「でもさ、ここは舞台なんだろうけど、ここで舞とかやっても、下からじゃぜったい見えないよね」
たみ子が現実的なことを言う。
「それは、きっと、お日さまに見せるんですよ。一日無事に都を照らしてくれたお日さまに感謝の舞を捧げたんですよ。如来さまの偉いのを大日如来とか言いますからねえ」
「おお、さすがロコ、よく調べてるねえ」
「あ、いえ、これは単なる想像なんですけどね(^_^;)」
これには斟酌せずに、みんなで傾き始めたお日さまと京都の景色を見ながら、思わず合掌してしまった。
夜の宿舎でもいろいろあったんだけど、それはまたいずれ機会があったらね。
今日は、北山の金閣寺や嵐山から嵯峨野に行ったんだけど、昨日のことを書いたらいっぱいになってしまった。
では、また明日(^_^;)
☆彡 主な登場人物
- 時司 巡(ときつかさ めぐり) 高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
- 時司 応(こたえ) 巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
- 滝川 志忠屋のマスター
- ペコさん 志忠屋のバイト
- 猫又たち アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
- 宮田 博子(ロコ) 2年3組 クラスメート
- 辻本 たみ子 2年3組 副委員長
- 高峰 秀夫 2年3組 委員長
- 吉本 佳奈子 2年3組 保健委員 バレー部
- 横田 真知子 2年3組 リベラル系女子
- 加藤 高明(10円男) 留年してる同級生
- 安倍晴天 陰陽師、安倍晴明の50代目
- 藤田 勲 2年学年主任
- 先生たち 花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀 音楽:峰岸 世界史:吉村先生 教頭先生 倉田(生徒会顧問) 藤野先生(大浜高校)
- 須之内直美 証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
- 御神楽采女 結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
- 早乙女のお婆ちゃん 三軒隣りのお婆ちゃん
- 時司 徒 (いたる) お祖母ちゃんの妹
- 妖・魔物 アキラ
- その他の生徒たち 滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
- 灯台守の夫婦 平賀勲 平賀恵 二人とも直美の友人