大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・136『緊急にHRが中止になった!』

2024-11-01 12:50:05 | 小説
(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記
136『緊急にHRが中止になった!』   




 連絡します連絡します、本日6限のホームルームは中止、本日6限のホームルームは中止、部活等も中止、生徒諸君は5限終了後ただちに下校するように。5限終了後ただちに下校するように。


 お財布を掴んで学食に行こうと階段を下りかけたところで生指部長の若杉先生の放送が入った。

 いつもなら放送部の『宮之森アフタヌーン♪』がのんびり始まる時間なので、みんな――なにかあったな――という気持ちになりながらも、良くも悪くも羊の群れみたく穏やかにランチタイムに移って行った。

 学食でもランチの列に間に合おうという熱気はあったけど、ことさら若杉先生の放送について話題にする声は聞こえなかった。

「ねえねえ、新聞社の車が正門の前に並んでますよ!」

 ロコが目を輝かせてランチのトレーを置く。いつものことだけど『情報屋ロコ』は早耳頭巾だ。

「なにぃ穏やかじゃないわね」

 メンチカツにソースをかけながらのたみ子も、みんなのお茶を淹れている真知子も、やっと席に着いたわたしも、動きは停めないけども聞く態勢になっている。

「それがですねぇ……」

 ロコの話の中身に、四人は動きが停まってしまう。

「ええ、またぁ!?」

 たみ子が声を上げるけど、真知子が――あとでね――という目配せをして、とりあえずAランチやBランチをかっこむ。

 
 南館とグラウンドの間、文化祭で【ウェディングパラダイス】をやった雛壇に腰掛ける。教室では憚られるし、中庭も人が多いからね。

「二年の女子だそうです」

 ここに来るまでに、また自殺した子が出たというところまでは分かった。

 なんせ、学食の窓からでも見えるところにA新聞の車が停まっているのが分かる。学食の噂話からもA新聞の他にもMやYやS新聞がズラッと並んでいて、教頭先生と若杉先生が――生徒が動揺するから学校の周囲に停めないでくれ――と苦情を言いに行ってるのが見えた。

 さすがに新聞社の車は校内からは見えないところに移動したみたいだけど、やっぱり――たいへんなことが起こったんだ――という空気は隠せない。

 入学以来、生徒が亡くなるのは三件目だ。

 一年の時の栗原さん、この六月には三年の金原さん、そして今度の二年生の女子。去年の栗原さんは病気だったけど、今年は自殺が続いている。

「いえ、実はもう一件」

「「「ええ!?」」」

「実は、夏休み中に一年の男子が……これは未遂だったらしいですけど」

「はあぁ、そりゃあ新聞社も来るはずだぁ」

「「「…………」」」

 真知子がため息ついて四人は言葉が無くなってしまう。


 タタタタタ


 グラウンドへのスロープを佳奈子が部室に駆けていく。

 放課後の部活ができなくなったので、調整とかがあるんだ。部室棟の前には見覚えのある運動部の部長たちが集まり始めていた。

 
 けっきょく、この日はマスコミや教育委員会、PTAなんかの対応と職員会議で先生たちは大変みたいだった。

 おそらく、明日は臨時の全校集会で黙祷。

 多少の事情説明はあるかもだけど、あたしたちもMITAKAとかで話し合ってみようということになった。



☆彡 主な登場人物
  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校2年生 友だちにはグッチと呼ばれる
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女 時々姉の選(すぐり)になる
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         2年3組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            2年3組 副委員長
  • 高峰 秀夫             2年3組 委員長
  • 吉本 佳奈子            2年3組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            2年3組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 安倍晴天              陰陽師、安倍晴明の50代目
  • 藤田 勲              2年学年主任
  • 先生たち              花園先生:3組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀  音楽:峰岸  世界史:吉村先生  教頭先生  倉田(生徒会顧問)  藤野先生(大浜高校)
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。
  • 御神楽采女             結婚式場の巫女 正体は須世理姫 キタマの面倒を見ている
  • 早乙女のお婆ちゃん         三軒隣りのお婆ちゃん
  • 時司 徒 (いたる)         お祖母ちゃんの妹  
  • 妖・魔物              アキラ      
  • その他の生徒たち          滝沢(4組) 栗原(4組) 牧内千秋(演劇部 8組) 明智玉子(生徒会長)
  • 灯台守の夫婦            平賀勲 平賀恵  二人とも直美の友人  
 
 
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魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!48『もうひとつ別のライオン』

2024-11-01 06:45:41 | 不思議の国のアリス
魔法少女なんかじゃねえぞ  これでも悪魔だ  悪魔だけどな(≧▢≦)!
48『もうひとつ別のライオン』 





 ノドチンコむき出しで叫んでやがったのは新聞配達のジョルジュだ。

「どうしたの、ジョルジュ!?」

「大変なものに出くわしてしまった……あ、こっちこっち!」

 ハタハタと手を振ってジョルジュはミファとマユを道路脇の大きな岩陰に連れて行きやがった。

「いったいなによ、なにがあったのよ!?」

「いいか、いいか、驚くなよ……」

「シッ……!」

 息を整えながら話を続けようとしたジョルジュをマユは制止した。

 岩の向こうの道を町長が歩いてくるのが見えたんでな。

 道は、岩のところで曲がっていて後ろから来た町長は気づいちゃいねえ。いつもの町長なら、目の前を歩いていた二人の姿が見えなくなれば「おかしい」ぐらいは思うだろうけど、この時は気づきもしなかった。それほどサンチャゴとライオンのショックが大きかったんだ。


 町長の気配が完全に無くなるまで息をひそめ、さらに三つ数えてからジョルジュは話し出した。


「さっき、ライオンに遭ってしまった……(-_-;)」

「「え!?」」

「新聞を配達し終えて、家に……帰ろうとしたんだ、そして北……の、町はずれのイガイガ林の……ところまで来た……ら……オレの上……上を、大きな影がよぎったんだ……」

「あの(……)のとこは、人目を気にしてるんだろうけど、分かりにくいから」

「とりあえず、イガイガ林まで行って話してくれる。ただでもお喋りなあたしたちが、人前で黙り込んじゃ、かえって怪しまれるわよ」

「それもそうだ」

 ということで、イガイガ林に着くまで、三人はバカ話ばかりした。おかげで、マユのこともジョルジュは自然に理解した。年頃の少年や少女は改まった話は苦手だ、バカ話の中で話したほうが、お互いに通じやすい。

「ところでよ、マユは悪魔なんだ(^▭^;)」

 話の途中で正体をバラす。いっしゅんビックリだったけどミファが「小悪魔なんだけどね」と付け加えると「そ、そうか小悪魔なんだ(^△^;)」と、半分ビビッて半分親しみのこもった笑顔になりやがる。まあ、正直でいいけどな。

 薮を三つ、小川を一つ越えるとイガイガ林の前に出て来た。

「で、ライオンはどうした? どこにいやがるんだ?」

「林の、あるところに閉じこめてある……」

「ジョルジュが、閉じこめたの!?」

「あ、ああ、町に出られちゃ大騒ぎだからさ。オレだってやるときゃやるよ!」

「で、どこに閉じ込めたんだ?」

「こ……ここ(''◇'')」

 ジョルジュはカチコチになって目の前の薮を指差しやがった。

 そこは一見薮に見えたけど、それは木の枝を切り積み重ねたカモフラージュだ。三人でカモフラージュの薮をどけると岩肌が現われて、そこには人一人ががやっと通れるくれえの割れ目が開いていたぞ。

 割れ目の奥から気配がした……たぶんライオンの気配……でも、サンチャゴじいちゃんのライオンの気配とは違っていたぞ。

 ちょっと暗い……マユは魔法で明るくしてみた。

 割れ目の中は意外と広く、奥の方で「く」の字に曲がっているようで、気配は曲がった「く」の字の奥の方からしてきやがる。

 マユを先頭に、ゆっくりと奥に進んでいくと、後ろの方で、ガラガラガラと大きな音がした。

 ウワーーー( >Д<)!!

 崩れてきた岩で入り口がふさがれてしまった。

 ミファとジョルジュは思わず抱き合ってしまってやがる。

「おめえたち、友だち以上の仲なのかあ」

「あ……思わずよ、思わず。手近にいたから!」

「そ、そうだよ(^O^;)!」

「ま、どうでもいいけど……先に進もうか」

「「あ、うん((''◇''))!」」

 マユは、今のが(二人が抱き合ったことじゃなく、岩が崩れたこと)ライオンの仕業であることに気づいていたぞ。

 気配はいきなり「く」の字の角を曲がって現れた。

 それは身の丈二メートルは超えるライオンだった!

 ん……身の丈?

 そう、ライオンは二本の足で立っていやがった!


「やあ、わざわざすまないね」


 そのライオンが口をきいた……!?



☆彡 主な登場人物
  • マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
  • 里依紗      マユの同級生
  • 沙耶       マユの同級生
  • 知井子      マユの同級生
  • 指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー
  • 雅部 利恵    落ちこぼれ天使 
  • デーモン     マユの先生
  • ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
  • レミ       エルフの王女
  • ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
  • アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
  • 白雪姫
  • 赤ずきん
  • 狼男
  • 黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー
  • 光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー
  • 浅野 拓美    オーディションの受験生
  • 大石 クララ   オーディションの受験生
  • 服部 八重    オーディションの受験生
  • 矢藤 絵萌    オーディションの受験生
  • 片岡先生     マユたちの英語の先生  





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