『巨大パルスミサイル』
主砲三基六門から斉射されたテラパルスは重力波異常の中心点で炸裂した!
漆黒の宇宙空間の真ん中に穴が開いたようになった。
友子(艦長の娘)のジーンズを洗濯しようとして漂白剤を落とした時のことを思った。
漂白剤が落ちたところは瞬間でインディゴブルーが抜けて真っ白になってしまった。アレに似ている。
たった二ミリほどだったがひどく目だった。友子はブチギレて一週間口をきいてもらえなかった。
宇宙空間のそれは二ミリでは済まなかった。
ほんの数秒で漂白は拡大してカワチを包み込んでしまった。
続いて艦内の人工引力が失われた。
上昇していたエレベーターのワイヤーが切れて落下するような無重力感。
それも一瞬のことで、宇宙空間の闇が戻るのにシンクロして人工引力が戻って来た。
これがアニメだったらビビットに音や衝撃のエフェクトが入るのだろうが、実際は光と闇だった。
闇夜に突っ立っていたら、一瞬灯台の光を浴びたような感触だ。
「どうやらパラレルに引き込まれたようです」
ニコ動のコメントが流れるようにモニター上を数値やコンピューター言語が流れていく。それを素早く読み取って砲雷長が告げる。
「抜け出せるか?」
「待ってください……」
せわし気にキーボードを叩く砲雷長、CICのスタッフの動きも連動している。砲雷科の連携はいいようだ。
――艦長、これは残像です――
ブリッジの航海長が連絡してきた。
「残像?」
――周辺の土星や衛星に質量がありません――
「確かかい?」
――艦の進路が0・12ズレています――
カワチの推力は周辺天体の引力を計算して決められる。つまり周辺の星などの天体は質量を持っていることが前提なのだ。引力の影響もないのに推力補整をやっていては艦の進行に歪みが出てくるわけだ。つまり、いま見えている宇宙空間は瞬間飛び込んでしまったパラレル宇宙の残像と言えるわけだ。
「補正を解除して元進路を維持」
――了解、トーリカージ一度――
操舵手の復唱の声が聞こえてカワチはかすかに取舵になった。
「艦尾後方2パーセクに質量喪失の形跡があります」
「イメージを出してくれ」
「二番モニターに出します」
画面にはボンヤリとした滲みが出ている。それは数秒前まで巨大な、あるいは高エネルギー物質が存在していたことを示している。
「こいつは巨大なパルスミサイルだな」
「1000テラはあるでしょう」
「地球が吹っ飛ぶほどの威力だ……」
CICのだれもがパルスミサイルの残留滲に目を見張った。
「こいつが重力波異常の原因ですね……」
「レーダーに感あり、右舷二時パルスミサイル、巨大!」
「面舵一杯! 左舷砲雷戦、目標パルスミサイル!」
左舷に微変進したばかりの艦体が大きく傾いだ。じきに巨大なミサイルが左舷に見えてきた。
「対ショック対閃光防御をなせ、艦長ギガパルスでいきます」
「了解、照準に入り次第発射」
「6 5 4 3 2……軸線にとらえました!」
「テーーー!」
ズビユーーーーーン!
瞬時にパルスミサイルは破壊され、二秒遅れて衝撃がカワチを襲った。
「間に合ってよかったです……カワチが太陽系を離れたあとに地球がやられるところでした」
「戦闘配置を解く」
五分に満たない戦闘配置だったが、解除されると艦内に安堵の空気が艦内に流れた。
主砲三基六門から斉射されたテラパルスは重力波異常の中心点で炸裂した!
漆黒の宇宙空間の真ん中に穴が開いたようになった。
友子(艦長の娘)のジーンズを洗濯しようとして漂白剤を落とした時のことを思った。
漂白剤が落ちたところは瞬間でインディゴブルーが抜けて真っ白になってしまった。アレに似ている。
たった二ミリほどだったがひどく目だった。友子はブチギレて一週間口をきいてもらえなかった。
宇宙空間のそれは二ミリでは済まなかった。
ほんの数秒で漂白は拡大してカワチを包み込んでしまった。
続いて艦内の人工引力が失われた。
上昇していたエレベーターのワイヤーが切れて落下するような無重力感。
それも一瞬のことで、宇宙空間の闇が戻るのにシンクロして人工引力が戻って来た。
これがアニメだったらビビットに音や衝撃のエフェクトが入るのだろうが、実際は光と闇だった。
闇夜に突っ立っていたら、一瞬灯台の光を浴びたような感触だ。
「どうやらパラレルに引き込まれたようです」
ニコ動のコメントが流れるようにモニター上を数値やコンピューター言語が流れていく。それを素早く読み取って砲雷長が告げる。
「抜け出せるか?」
「待ってください……」
せわし気にキーボードを叩く砲雷長、CICのスタッフの動きも連動している。砲雷科の連携はいいようだ。
――艦長、これは残像です――
ブリッジの航海長が連絡してきた。
「残像?」
――周辺の土星や衛星に質量がありません――
「確かかい?」
――艦の進路が0・12ズレています――
カワチの推力は周辺天体の引力を計算して決められる。つまり周辺の星などの天体は質量を持っていることが前提なのだ。引力の影響もないのに推力補整をやっていては艦の進行に歪みが出てくるわけだ。つまり、いま見えている宇宙空間は瞬間飛び込んでしまったパラレル宇宙の残像と言えるわけだ。
「補正を解除して元進路を維持」
――了解、トーリカージ一度――
操舵手の復唱の声が聞こえてカワチはかすかに取舵になった。
「艦尾後方2パーセクに質量喪失の形跡があります」
「イメージを出してくれ」
「二番モニターに出します」
画面にはボンヤリとした滲みが出ている。それは数秒前まで巨大な、あるいは高エネルギー物質が存在していたことを示している。
「こいつは巨大なパルスミサイルだな」
「1000テラはあるでしょう」
「地球が吹っ飛ぶほどの威力だ……」
CICのだれもがパルスミサイルの残留滲に目を見張った。
「こいつが重力波異常の原因ですね……」
「レーダーに感あり、右舷二時パルスミサイル、巨大!」
「面舵一杯! 左舷砲雷戦、目標パルスミサイル!」
左舷に微変進したばかりの艦体が大きく傾いだ。じきに巨大なミサイルが左舷に見えてきた。
「対ショック対閃光防御をなせ、艦長ギガパルスでいきます」
「了解、照準に入り次第発射」
「6 5 4 3 2……軸線にとらえました!」
「テーーー!」
ズビユーーーーーン!
瞬時にパルスミサイルは破壊され、二秒遅れて衝撃がカワチを襲った。
「間に合ってよかったです……カワチが太陽系を離れたあとに地球がやられるところでした」
「戦闘配置を解く」
五分に満たない戦闘配置だったが、解除されると艦内に安堵の空気が艦内に流れた。