大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

明神男坂のぼりたい・106〔バンジージャンプ〕

2022-03-21 06:54:33 | 小説6

106〔バンジージャンプ〕 

  


 AKR47の母体はユニオシ興行。

 日本で一番人使いが荒い。

 当たるとなると、半日の休みもくれない。これでは、先日の仲間美紀みたいな子も出てくる(リスカだったけど、命に別状は無し。だけど、休んでる間に、ゴーストライター付きで手記を書かされている。ほんとに無駄のない会社)

 あたたちは、まだまだ売り出し中なので、オファーのあった仕事はなんでもやる……やらされる……やらせていただく。

 今日は、わざわざ新幹線とバスを乗り継いで、バンジージャンプのメッカ愛知鷹尾ハイランドにまできている。

 あたしたちはAKBみたいに自分の番組持てるところまでいってないので、ヒルバラ(お昼のバラエティー)に10分のコーナーをもらってて、メンバーが、とっかえひっかえ、いろんなことをやらされる。

 

 水を張った洗面器に顔を突っ込んでどこまで耐えられるか競走 

 渋谷の交差点で交通量調査の要領でイケメン通過調査競走

 浅草で人形焼きの早食い競争

 東京タワーの階段早登り競争

 逆立ち10メートル競走

 温水プールバタ足50メートル競争

 とげぬき地蔵でくぎ抜き競争

 

 で、10回目記念に、六期生対抗バンジージャンプというのをやらされた。

 いえ、やらせていただきました(-_-;)。

 

「ええー、どうしても明日香がやりたいというので(だれも言ってません!)この愛知鷹尾ハイランドのバンジージャンプにやってきました。ここはジャンプしながら願い事を叫ぶと叶うそうです。デビューからたった2カ月、どんな願いがあるのでしょうか(決まってるじゃん、ゆっくり寝かせて!)でも、ここの願い事は、ジャンプするまでは口にできません。しゃべってしまうと効果が無いそうです。で、明日香にはカメラ付きの……」

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 ヘルメットを被せられた。

 顔の前には自撮り、メットの上には、あたしの視線とシンクロさせたチビカメラが付いている。

 ホントはメンバー二人が飛ぶはずで、ジャンケンに負けたカヨちゃんも飛ぶはずだったんだけど、リハでちびってしまうぐらいの緊張の末に過呼吸になって、急きょチームリーダーのあたしが二人分の内容=おもろさを出して飛ぶことになった。


「なんで、明日香が選ばれたか分かる?」

 MCのタムリが聞いてくる(なぜか大阪弁のテロップ『おまえやんけ、やれ言うたん!』)

「え、あ、センターだから?」

「いや、明日香だけが、自分の部屋3階にあるから」

「ええ、マンションの五階とかに住んでるのもいますよ」

「戸建てで、三階は明日香一人だから。で、準備は万端?」

「うん、トイレも二回もいってきたし……たぶん大丈夫」

「よし、絶対成功する御呪いしてあげる……」

 そう言って、タムリはあたしのすぐ横に寄ってきた……と思たら、突き飛ばされた!

 

 ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

 

 そう叫んだとこまでは覚えてる。

 そのあと、あたしはモニターの中からも、みんなの視界からも一瞬で消えてしまった……

 

 


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