大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:124『プレパラートの攻撃!』

2023-06-11 06:56:45 | 時かける少女

RE・

124『プレパラートの攻撃!』テル  

 

 

 

 ヘルムの島を二つに割ってヤマタは勝負に出た!

 

「いったん戻った方がいいような気がするよ……(; ゜゜)」

「四号も飛べるようになったみたいだし、出直した方がいいような……(゜ロ゜;)」

 ロキとケイトが気弱になる。

「四号が飛んだのは火事場の馬鹿力だ、いつも出せるとは限らん」

 ヒルデは自分のウィンドを開いて見せた、黒魔法のフライはレベル5に過ぎない。なによりMPの残量が8しかなく、ファイアとかの初級魔法を二度ほどやったら枯渇するレベルだ。

「あ、ポチが居ない!」

「ロキといっしょじゃなかったのか?」

「みんなが外で戦い始めてアンテナに掴まって……」

「あ、アンテナにポチの上着が!」

 ケイトが指差したアンテナの先に小さな上着が絡んでいる。

「あ、あいつ!?」

「落ち着け、地震に驚いて飛んで行ったんだろ、犬や猫にはよくあることだ」

「ポチは犬猫とはちがわい!」

 怒りながらも不安そうなロキ。

 切り離された島の半分に戻ってしまったら探しようもないが、落ち着いたら付近を探してやらなければならない。

 ブーーーーン

 すると、小さな扇風機のような音をさせてポチが下りてきた。

「ポ、ポチ!」

「や、やだなあロキ(^o^;)、ちょっと偵察に行ってたんじゃないかあ(^_^;)」

 かわいい嘘だ、手足がプルプル震えている。ビックリして飛び出した言い訳に、あたりを見てきたんだ。

「ユーリアの残像が山の方に続いていたよ。それと、なんだか分からないけど禍々の気配が目の前の林からするよ」

 しかし、怪我の功名、ヒントは掴んできたようだ。

「機会があったらライブラの能力を付けてやるといい。報告の内容が、もっと具体的になる」

「うん、そうするよ。ポチ、中に入って休んでろ」

「分かったあ、ポチ休むの~」

 みんな無事であることに安心したんだろう、通信機のベッドからは直ぐに可愛い寝息が聞こえた。

 

 サワサワサワサワサワ……

 

 林の木々が一斉に葉っぱを揺する音がし始めた。

「これは……」

「車内に戻った方がいい、ハッチを閉めて、あの窪地に向かいます」

「分かった」

 タングリスの勘に従ってわたしもブリュンヒルデも首をすくめて車内に戻って息を潜める。

「亀が手足をひっこめるみたいだ」

「ほんとだ」

 こども二人が失礼なことを言う。

「だれが亀なんだぁ?」

「呼吸が合っているから亀が首や手足を引っ込めるのに似ている」

「みんな四号の手足みたいにキビキビ動けてる」

 そうか、いつの間にかクルーとしてのチームワークがとれるようになってきたんだ。それを口にすることで安心したいんだ。

 
 ブーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

 
 ポチの時とは違う羽音が響いた。数が多い……なんてものじゃなかった!

 ペリスコープから見える景色がブレて見える、いや、見渡す限りの木々が全て振動しているのだ。

「来るぞ!」

 ブウウウーーーーーーーーーーーン!

 羽音が大きくクレッシェンドしながら向かってくる!

「プレパラートだ!」

 カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ!

 無数のプレパラートが四号の車体を叩いていく!

 四号の装甲が削り取られることはないのだろうが、まさに身を削られるような不気味さ。例えて言うなら、数百人の歯医者に取りつかれて歯を削られているような気持ちの悪さだ。

 そんな想像をしてしまったからか、プレパラートの衝突音はシュウィーーーーーーーーンという高速音に変わった。

 プレパラートの衝突音が収まった時には、みんなレモンを丸カブリしたように酸っぱい顔になっていた。

 歯医者のドリルを想像したのは、わたし一人ではなかったようだ。

「わ、スゴイことになってる!」

 開けたハッチから真っ先に飛び出したポチが驚きの声をあげた。


「「「「「オオーーーーーー!!」」」」」

 
 四号の塗装は全て削り取られて金属の地肌が露出していた。

 そして……

 露出した地肌は鈍色の鉄ではなく、眩いまでの金色であったのだ!

 

☆ ステータス

 HP:13000 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・90 マップ:9 金の針:0 所持金:6500ギル(リポ払い残高27000ギル)
 装備:剣士の装備レベル35(トールソード) 弓兵の装備レベル30(ソードボウ)
 憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

 テル (寺井光子)   二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  今度の世界の小早川照姫の幼馴染 ペギーにケイトに変えられた
 ブリュンヒルデ     無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ラーテの搭乗員 辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体 小さいが人化している
 ペギー         異世界の万屋

―― この世界 ――

 二宮冴子  二年生   不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
 中臣美空  三年生   セミロングで『かの世部』部長
 志村時美  三年生   ポニテの『かの世部』副部長 


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