大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

真凡プレジデント・60《上から下までお姉ちゃん》

2021-04-22 05:42:59 | 小説3

レジデント・60

《上から下までお姉ちゃん》   

 

 

 

 体温よりも高い猛暑の中をケーキバイキングに行く!

 

 中谷先生にもらったSホテルのケーキバイキング優待券。

 ホテルに行くのだから私服に着替える。

 とくにドレスコードがあるわけじゃないんだけど、制服で行くとかえって目立ってしまう。

 それに、ちょっぴりオシャレをしてみたいという気持ちもあったりする。

 

 あ、ナフタリン臭いよ。

 

 久々に出したオシャレ着、胸に当てて鏡で見ていたらお母さんに指摘される。

 仕方がないので失踪中のお姉ちゃんのクローゼットをまさぐる。

 退職後はジャージばっか着ていたけど、やっぱ天下の女子アナだ、持っている衣装はハンパではない。

 トップかボトムか、一点だけ拝借して間に合わせようと思うんだけど、やっぱ、さり気に見える衣装でも、女子アナの衣装だ。ちゃちな女子高生の服には合わない。

 仕方がない、たった一日の事でもあるし。大半をお姉ちゃんので間に合わす。

 まあ、キャップだけでも自分のいこうか。

 それで、パステルピンクのキュロットに淡い水色のカットソー、その上にオフホワイトのボレロ。

 体形がほとんどいっしょなのでピッタリ収まる。

 これを学校に持って行って、午前中の授業が終わったら四人で着替えてくり出す算段だ。

 

 ローファーはありえないでしょ。

 

 玄関を出ようとしたらお母さんに言われる。

 お姉ちゃんが居なくなってから、さすがに心配になって帰って来たんだけど、あれこれとうるさい。

 でも、さすがに年の功。

 制服姿なんだけど、学校で私服に着替えることを知っているので、するどく指摘してくれたんだ。

 

「えーー、って、そだよね」

 

 鏡の前でファッションショーやった時には足元まで気が及ばない。

「サイズいっしょだから、これ持っていきな」

 お母さんが渡してくれたのはお姉ちゃんのパンプスだった。

 上から下までお姉ちゃんのグッズ……忸怩たるものがあるけど、四の五の言っていては遅刻する。

 行ってきまーす!

 ……パンプスは持ったがキャップを忘れた。

 

☆ 主な登場人物

  •  田中 真凡    ブスでも美人でもなく、人の印象に残らないことを密かに気にしている高校二年生
  •  田中 美樹    真凡の姉、東大卒で美人の誉れも高き女子アナだったが三月で退職、いまは家でゴロゴロ
  •  橘 なつき    中学以来の友だち、勉強は苦手だが真凡のことは大好き
  •  藤田先生     定年間近の生徒会顧問
  •  中谷先生     若い生徒会顧問
  •  柳沢 琢磨    天才・秀才・イケメン・スポーツ万能・ちょっとサイコパス
  •  北白川綾乃    真凡のクラスメート、とびきりの美人、なぜか琢磨とは犬猿の仲
  •  福島 みずき   真凡とならんで立候補で当選した副会長
  •  伊達 利宗    二の丸高校の生徒会長

 

 

 


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